「バンド」らしさが進化
Title:Mu? Mu? Mu? MANNISH BOYS!!!
Musician:MANNISH BOYS
正直なところ、企画的な雰囲気の一時的なユニットで、2枚目まで登場するとは思わなかった斉藤和義と中村達也のユニットMANNISH BOYSの新作。今後は、継続的に活動を行っていくのでしょうか。
前作「Ma!Ma!Ma!MANNISH BOYS!!!」では、まだ斉藤和義+中村達也という組み合わせが十分に生かし切れていないように感じ、MANNISH BOYSとしての「バンド」の一体感も強くは感じられないような印象を受けました。そんな前作に比べると、グッとMANNISH BOYSとしての一体感の増した今回の作品。バンド然としたロックな作品が多く並んでいるように感じました。今回、初回盤限定としてジャムセッションを収録したCDがボーナス盤としてついてきていますが、そんなCDが完成するあたり、MANNISH BOYSがロックユニットとして強くまとまっている証拠のように感じます。
また、前作に比べると自由度も高くなった印象を受けます。前作では原発批判の歌があったり、中村達也の出身地、名古屋をテーマとした歌があったりと、ユーモラスなテーマ性がありつつも、どこかMANNISH BOYSとしての「個性」をむりやり出そうとしている部分がありました。本作はそれに比べると肩の力が抜けたような印象。「GO!GO!Cherry Boy!」ではクロマニヨンズっぽいパンクナンバー・・・かと思えば歌詞にクロマニヨンズが登場したり、「週末のファンファーレ」では打ち込みを用いたり、中村達也の朗読を織り込んだ「本を捨てるなら雨降りの日に」なんて曲もあったり、前作以上のバリエーションを感じられます。
そんな中、先行シングルにもなった「天使とサボテン」は、まさにMANNISH BOYSならではといえるナンバー。切ない歌詞とメロディーは斉藤和義らしさを感じる一方、ソリッドでへヴィーなバンドサウンドは斉藤和義ソロ作ではあまり聴けないようなサウンド。せっちゃんらしさと中村達也らしさが見事に融合した、MANNISH BOYSだからこそ聴けるような名曲になっていました。
そんな訳で、前作より良くなっていたのは間違いありません。が、それでも個人的には、この2人のユニットとしてはまだまだこんなもんじゃないだろ、という感想を持ったのも事実。例えば斉藤和義としての魅力で言えば、「天使とサボテン」のような曲もあったものの、特に歌詞の、まだまだソロ作に比べると、その魅力を十分に出し切っているとは言えないように思います。アルバムの最後にインスト曲が2曲並んだのも、ネタ切れ・・・ではないと思うのですが、ちょっと物足りなさも・・・。
今後、コンスタントに活動を続けるのならば、次回作、さらなる進化を期待したいユニット。もちろん、それが可能なだけの2人だと思うので、こんな感想になると思うのですが・・・。ただ、前作と本作と比べると、その期待は決して過剰なものではないと思います。次回作を楽しみにしていたいと思います。
評価:★★★★
MANNISH BOYS 過去の作品
Ma!Ma!Ma!MANNISH BOYS!!!
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