志磨遼平よ、どこへ行く
Title:Hippies.E.P.
Musician:ドレスコーズ
ドレスコーズ結成から約2年半。なんと、志磨遼平以外全員脱退という事態を迎えた彼ら。これは、オリジナルメンバー4人での最後の作品となる5曲入りのミニアルバム。今後、ドレスコーズは志磨遼平1人のみのユニットとなり、12月には彼1人でのユニットとしての初のアルバムのリリースも予定されています。
メンバー3人脱退の理由は公表されていませんが、ただこのミニアルバムを聴くとその理由は痛いほどわかるように思います。だってこの作品、全くバンドっぽさがないんだもん。デビュー作「the dresscodes」ではバンドサウンドを前に押し出していた彼らですが、前作「Trash」ではポップな側面を一気に前に出してきました。その時も、「次はひょっとしたらバンドを解体するのか」と予想していたのですが、その予想が痛いほど当たってしまった結果となっています。
でも、この最初はバンドサウンドを前に出しつつ、徐々にポップ路線にシフトするのって、志磨遼平が前に組んでいた毛皮のマリーズと全く同じパターンなんですよね。ある意味、志磨遼平は前のバンドと全く同じことをドレスコーズでもやってしまったわけで。じゃあ、なんでバンドを組んだんでしょうか?特にドレスコーズのメンバーは、非常に個性的なドラミングが聴ける菅大智をはじめ癖のあるプレイヤーが多く、ポップ路線にシフトしたら、そんな個性的なバンドサウンドが逆に障害になることはわかりきっていたはずなのに・・・。
これは勝手な推論ですが、志磨遼平は一種のバンド幻想を追い求め、払拭できないところがあるのではないでしょうか。彼が好むポップソングは、決してバンド向けではないはずなのに、どこかバンドという形態を追い求めてしまう・・・個人的には、バンド形態を模索しながらも、すぐメンバー脱退という事態に陥ってしまう、くるりの岸田繁と重なる部分を感じてしまいます。ただ、アルバム毎に音楽的興味が変わる岸田繁と異なり、志磨遼平の音楽的興味はある意味毛皮のマリーズ時代から一貫しており、そういう意味では、もしバンドを組むにしても、自分の好みに合うメンバーをちゃんと探せばいいのにな、と思うのですが。
そんな訳で、ドレスコーズではなく志磨遼平のソロアルバム的な色合いの強いミニアルバム。おそらく本来はフルアルバムにする予定が、バンドが途中で空中分裂を起こしてしまったんだろうなぁ、と推測されます。だからこそ、次のアルバムがわずか3か月のスパンでリリースされる訳で。
しかし、楽曲の出来としては悪いわけありません。志磨遼平のポピュラーセンスのあふれる作品に仕上がっています。それだけに、おそらくはこれの延長線上にあると思われる、12月リリース予定の次回作は楽しみになってくるのですが・・・・次はどうなるのかなぁ。やはりまた新しいメンバーを加入しては脱退する、というくるりみたいな状況になっちゃうのかなぁ。
評価:★★★★★
ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes
バンド・デ・シネ
ほかに聴いたアルバム
世界のみかた/中村中
レーベル移籍後初、2年5ヶ月ぶりとなるニューアルバム。昭和歌謡曲風のメロに、「孤独」と「絶望」の先に「希望」を見出そうとする歌詞が印象的。この歌詞をふくめて、昭和歌謡曲らしさをいい意味で引き継いでいる彼女。本作はへヴィーなギターサウンドが前に出ているロックテイストの強い作品に仕上がっている印象も。もっと売れてもいいミュージシャンだと思うんですが、ただ一方で、確かにブレイクのためには歌詞にもうひとひねり欲しいかも、と思うのも事実・・・。
評価:★★★★
中村中 過去の作品
私を抱いて下さい
あしたは晴れますように
少年少女
若気の至り
二番煎じ
聞こえる
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コメント
とても間違いやすいのですが、志摩ではなく志磨なのです!「志を磨く」です( ^ω^ )
投稿: おにく | 2014年12月18日 (木) 12時37分
>おにくさん
おおお!す、すいません!うっかりしていました。さっそく全て修正しました。ご指摘、どうもありがとうございましたm(_ _)m
投稿: ゆういち | 2014年12月21日 (日) 21時48分