期待の2作目だが・・・
Title:猛烈リトミック
Musician:赤い公園
個人的に今、最も注目しているバンドの一組、赤い公園。メジャーデビュー後、初のフルアルバムとなった「公園デビュー」は、2013年の私的ベストの第10位に入れるくらいはまったアルバムである一方、メロディーにしてもサウンドにしても、もうあとひとひねりあればさらにおもしろくなるのに・・・と惜しくも感じたアルバムでした。逆に言えばそれだけまだまだ伸びる余地を感じたアルバムでした。
この「惜しい」あるいは「完成していない」余白の部分が、この2作目ではどのように展開していくのか楽しみにしていたのですが、残念ながら今回のアルバムではこの余白の部分が、若干マイナス方向に振れてしまったように感じました。
その残念に感じた一番の要因はメロディーライン。もともとポップ性の強いメロディーを書いてくる彼女たちですが、今回のアルバムはよりメロディーのポピュラリティーが増したように思います。ただその結果、メロディーのインパクトは強いものの、早く飽きが来てしまうような・・・要するにベタさを感じるものになってしまったように思います。
例えばアルバムの冒頭を飾る「NOW ON AIR」は、最初のノイジーなバンドサウンドにピアノの音が重なる出だしの展開はかなり期待できるスタートだったのですが、メロディーが、特にサビのその前の展開がかなりベタ。インパクトはあるもののあまりおもしろみを感じません。
その後も「絶対的な関係」ではダイナミックなロックを展開したかと思えば「108」ではファンキーなリズムを、といった具合に赤い公園らしい様々な音楽的要素をつめこんだ展開が非常におもしろく感じられる一方で、メロディーに関してはもうひとひねり欲しいよなぁ、と感じてしまうような曲が並んでいました。
ただそんないまひとつだった前半に比べてグッとおもしろくなるのが後半戦。ちょっとしんみり幻想的なスタートから、サビのサイケなサウンドへの展開がおもしろい「ドライフラワー」や、複雑なリズムを聴かせつつもメロはポップでまとめあげている「ひつじ屋さん」など赤い公園の本領発揮といった曲が並んでいます。
メロディーも、かわいらしいポップの「楽しい」やちょっと歌謡曲っぽい哀愁が加わった「お留守番」などインパクト重視の前半と比べるとグッとおもしろさが増したように感じます。
これはかなり勝手な推測なのですが、アルバムの前半は、少々インパクトあるメロで売りに走ってしまったのかなぁ、なんてことも考えてしまいました。前作「公園デビュー」はオリコン最高位27位。ブレイクにあと一歩という位置だっただけに本作では・・・という意思が働いてしまったのかもしれません。
そんな訳で前作同様「惜しい」アルバムだったのですが、残念ながらその惜しさが、「さらなる傑作を産みだせるのに」と感じた前作と違って、「もうちょっとで傑作となったのに」という段階に後退してしまいました。間違いなくいいバンドだと思うんですけどね。次回作に期待!
評価:★★★★
赤い公園 過去の作品
透明なのか黒なのか
ランドリーで漂白を
公園デビュー
ほかに聴いたアルバム
RAMPANT/KEMURI
2007年に解散を発表したものの、2012年に「AIR JAM」への参加と同時に再結成を果たしたスカパンクバンド。活動再開後2枚目のアルバムですが、前作は未聴なので個人的にはかなり久しぶりに聴いたKEMURIの最新作。相変わらずのスカパンクはKEMURI節ともいえる感じで安定感があります。ダビーな曲やスカというよりもシンプルなギターロック風の曲もあったりして、ベテランの彼ららしい懐の深さも感じます。
評価:★★★★
KEMURI 過去の作品
ALIVE Live Tracks from The Last Tour "our PMA 1995-2007"
evergreen/秦基博
秦基博の弾き語りベスト。彼の代表曲をほぼアコースティックギター1本での弾き語りでカバーしている作品。決して派手ではない彼の曲が、アコギ1本でのカバーとなり、より「地味」になっているものの、それでもしっかり耳に残り心に響いてくるメロディーに、秦基博のメロディーメイカーとしての実力を感じさせます。彼の曲が、ある意味「裸一貫」になったことにより、より魅力的に映えたベスト盤だったと思います。
評価:★★★★★
秦基博 過去の作品
コントラスト
ALRIGHT
BEST OF GREEN MIND '09
Documentary
Signed POP
ひとみみぼれ
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2014年」カテゴリの記事
- まだまだ「実」だけど(2014.12.29)
- ロック入門...的な(2014.12.28)
- 踊れるロック(2014.12.27)
- レトロなガレージサウンドが心地よい(2014.12.26)
- 社会派三部作完結編(2014.12.23)
コメント