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2014年11月29日 (土)

あと一歩・・・なのかなぁ・・・。

Title:魅力がすごいよ
Musician:ゲスの極み乙女。

男性2人+女性2人組バンド、ゲスの極み乙女。今、もっとも注目を集めているバンドの一組で、メジャーから初のフルアルバムとなった本作は、アルバムチャートでも4位を記録するなどブレイクを記録しています。

このサイトでも何度か彼らのアルバムは紹介していますが、いままでのアルバムに関しても、正直、いいアルバムだとは思いつつ、個人的にどこかはまれない、悪い意味でのひっかかりを感じていました。そして、そんな印象は残念ながらこのアルバムでも引き続き感じてしまいました。

自称「ヒップホッププログレバンド」という彼らのスタイルは、かなりユニークで凝ったものに感じます。先行シングルとなった「猟奇的なキスを私にして」みたいにインパクトあるポップソングを書きつつも、「アソビ」のようなアバンギャルドさを感じさせる凝ったアレンジも同時に聴かせるユニークさ。ちょっとジャズのテイストを感じる「星降る夜に花束を」やファンキーさを垣間見せる「サリーマリー」など、要所要所に感じるブラックミュージックの要素もまたユニークに感じます。

そんな中、私が彼らにいまひとつはまれない要因が、どこか彼らの音楽から感じるような醒めたような感覚。歌詞にしてもどこか斜めからの視点、というのが大きな要因でした。そして今回のアルバムで加えて感じたのは、全体的に感じる中途半端さでした。

確かにヒットチャートで勝負できるだけのポップなメロを書けるバンドですがそれだけで勝負するにはもうちょっとインパクトがほしい感じ。アレンジにしても凝っておもしろいといえばおもしろいのですが、それだけでゾクゾクと来るほどの感覚は残念ながらありません。加えて今回のアルバムは、以前のアルバムでどこか聴いたような・・・といったイメージも抱いてしまいました。「HIP HOP」の要素も軽くラップを入れている程度で決して本格的ではありません。

そこで感じてしまうのは、じゃあ彼らが一番やりたい要素はなに?ということ。どうもその彼らの音楽が目指す「核」みたいな部分が薄いように思いました。ただ、この彼らの「本当にやりたいこと」という意思の薄さが、楽曲全体から感じる醒めた姿勢につながっているようにも感じます。そしてそれが私にとって彼らの音楽にいまひとつはまれない大きな理由のようにも感じました。

ただ、だからといって低い評価を下すには惜しいだけの「いいアルバム」であることは間違いないんだよなぁ。そういう意味では個人的にすごくもどかしさを感じるアルバムでした。ある意味、いかにも「いまどき」のバンドなのかもしれませんが・・・。

評価:★★★★

ゲスの極み乙女。 過去の作品
踊れないなら、ゲスになってしまえよ
みんなノーマル


ほかに聴いたアルバム

LIVE with SOAPLANDERS 2013~2014/前野健太

前野健太初のライブアルバム。ジム・オルークや石橋英子といった豪華メンバーから結成されたソープランダーズとのライブの模様を収録した1枚。録音状態は結構荒く、それがライブの臨場感を伝えている感じ。前野健太の楽曲は、シンプルなポップソングと思いきや、その中に感じられる一種独特のエグ味みたいなものが魅力ですが、今回のライブ盤では荒い雰囲気ゆえに、そのエグ味が雑味みたいに感じられてしまった感じが。収録曲的にはベスト盤的な内容ですが、初心者としてはスタジオ録音盤から入った方がいいかも。

評価:★★★

前野健太 過去の作品
オレらは肉の歩く朝
ハッピーランチ

LIGHT/SPECIAL OTHERS ACOUSTIC

インストジャムバンドSPECIAL OTHERSが、アコースティック編成となってリリースしたニューアルバム。SPECAIL OTHERSの曲をアコースティックにカバーした曲もあり、暖かい雰囲気で、どこか切ないメロディーのポップにまとめあげています。これからの寒い季節にもピッタリな、心が暖まるような作品です。

評価:★★★★★

SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE
SPECIAL OTHERS
Have a Nice Day
Live at 日本武道館 130629~SPE SUMMIT 2013~

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