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2014年11月23日 (日)

椎名林檎 IS BACK!

Title:日出処
Musician:椎名林檎

椎名林檎について、この所、一部でちょっとした話題になっています。以前、ここのサイトでも取り上げましたが、NHKのサッカーワールドカップ中継の主題歌になった「NIPPON」の歌詞が右翼的であることが賛否を巻き起こし、このアルバムも、ジャケット写真が日章旗を彷彿させるデザインであることが一部で話題となっています。

確かに、「NIPPON」の歌詞にしろこのジャケットにしろ、右寄りのイメージを抱かせる点は否定できないと思います。ただ、そこまで問題視する話かなぁ、というのは正直な感想。「NIPPON」の歌詞にしても、他の国の試合も中継される番組の主題歌としては決定的に配慮が足りず、その点は批判されても仕方ないとは思うものの、歌詞に深読みは可能とはいえ、「日本代表の応援歌」としては許容される範囲内だと思うし、ジャケットにしても、右翼的なモチーフを、「昔の日本」をイメージさせるための単なるアイコンに過ぎないと思います。

この程度の「右寄り」のアイコンが批判される傾向の方が、むしろ窮屈に感じてしまいます。ただ一方で、こういうアイテムでもおそらく10年くらい前なら何ら問題視されなかったと思うんですよね。こういう「右」をイメージさせるようなものがいろいろ言われちゃうのって、ヘイトスピーチに代表されるように、保守的、右翼的なものが排外主義にむすびついてしまっている今の現状があるからのように思います。そういう意味では椎名林檎の問題というよりも、「保守」に名を借りたような「排外主義」がはびこっている現状こそ、問題視すべき話ではないでしょうか。

そんな「雑音」が聴こえるようなアルバムだったのですが、その内容については文句なしの傑作に仕上がっていました。いい意味で椎名林檎らしさを感じる作品で、ともすれば全盛期に匹敵するような出来だったのでは?とすら思えるようなアルバムにだったと思います。

椎名林檎の魅力といえば、ロックサウンドをバリバリ奏でつつも、ホーンセッションや打ち込みなどを巧みに取り入れてくるサウンド、文語調で和風な歌詞をうまくメロディーにのせてくるセンス、そこらへんを含めてヒットチャートでも勝負できるほどのポップな雰囲気にまとめてくるようなバランス感覚の良さ、といったところでしょうか。今回のアルバムでもそんな魅力がいかんなく発揮されていたと思います。

「静かなる逆襲」ではホーンセッションを入れて賑やかにスタートしつつ、ギターサウンドを入れてロック的なダイナミズムを感じさせつつ、続く「自由への道連れ」でへヴィーなギターをガンガン鳴らすロックなナンバーに仕上げてきています。

「赤道を越えたら」などはまさに椎名林檎らしいムーディーな雰囲気の楽曲を聴かせてくれますし、ジャジーな「今」も雰囲気たっぷりに椎名林檎の色気の部分を感じることが出来ます。今回のアルバムでは、これらの曲も含め、椎名林檎の女性性の部分、色気の部分がより前に出てきたような、雰囲気を感じさせるような曲が目立ったような印象を受けました。

また、アルバム全体の構成や曲と曲のつながりも実によく考えられたアルバム。「静かな逆襲」から「自由への道連れ」の展開もスムーズかつ見事ですし、なにより「赤道を越えたら」から「JL005便で」の展開も見事。この展開があるからこそ、「JL005便で」の最初の打ち込みのサウンドと椎名林檎の声にゾクゾクするものを感じました。

良くも悪くも話題の「NIPPON」をはじめ、「カーネーション」「ありあまる富」などといった先行シングルが後半にまとまっているのも特徴的で、これって要するにアルバムの出来に、それだけ自信があった、ということの現れではないでしょうか。そんな自信も納得のアルバムだったと思います。

東京事変解散後初のソロアルバムということもあり、まさに、あのデビューしたころの椎名林檎が戻ってきた、とも言いたくなるような傑作アルバムだったと思います。なんだかんだいってもやはりすごいよ、彼女は。今後のソロ活動にも激しく期待したくなるアルバム。ただ、保守的なモチーフを用いすぎて、おかしな方向に行ってしまうことだけはないようにしてほしいのですが・・・。

評価:★★★★★

椎名林檎 過去の作品
私と放電
三文ゴシップ
蜜月抄
浮き名

逆輸入~港湾局~


ほかに聴いたアルバム

The Gospellers Now/ゴスペラーズ

ここ最近、アルバムではバラエティー富んだ作風を聴かせてくれているゴスペラーズ。本作でもかなりバラエティー富んだ作風が特徴的。お得意のアカペラでのR&Bナンバーはもちろん、マージービート風の作品や歌謡曲、シティポップな作品まで並んでいます。ただ、今回のアルバムに関しては、結果、少々散漫になってしまった印象が否めず。様々なジャンルに挑戦はしているものの、楽曲的にはいささか平凡な結果になっているように感じました。そして一番気になったのが、アレンジが正直ちょっとチープ・・・特にエレクトロサウンドに関しては、この点が気になってしまいました・・・。

評価:★★★

ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE
ハモ騒動~The Gospellers Covers~

Brothers & Sisters/SOIL&"PIMP"SESSIONS

約3年ぶりとなるオリジナルアルバム。初回盤にはベストライブ音源を収録したDISC2がついてきて、今回、そちらも聴いてみたのですが、アグレッシブでぶっ壊れている感じが気持ちいいライブと比べると、オリジナルは良くも悪くも洗練した印象が。個人的にはライブ盤くらいぶっ壊れた方がおもしろいと思うのですが。

評価:★★★★

SOIL&"PIMP"SESSIONS 過去の作品
PLANET PIMP
SOIL&"PIMP"SESSIONS presents STONED PIRATES RADIO
MAGNETIC SOIL
"X"Chronicle of SOIL&"PIMP"SESSINS

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