女王、貫録のカバー
Title:Aretha Franklin Sings the Great Diva Classics
Musician:Aretha Franklin
「クイーン・オブ・ソウル」の異名を持ち、アメリカの音楽誌「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」では1位を獲得するなど高い評価と絶大な支持を得ているソウルミュージシャン、アレサ・フランクリン。その彼女の3年半ぶりとなるアルバムがリリースされました。今回のアルバムはカバーアルバム。それもタイトル通り、女性ミュージシャンが歌ったスタンダードナンバーをカバーした作品になっています。
ただ、このスタンダードカバーの選曲がなかなかおもしろい感じ。エタ・ジェイムスの「At Last」やダイナ・ワシントンの「Teach Me Tonight」などの彼女にとっての敬愛すべき諸先輩方のカバーも収録されている一方、ディスコクラシックの「I Will Survive」のカバーなんて、ソウルミュージシャンというイメージからするとかなり意外なセレクト。そしてそれ以上にビックリしたのはアリシア・キーズの「No One」やアデルの「Rolling In The Deep」なんていう最近のヒット曲をカバーしてきたことでした。
特にアデルの「Rolling In The Deep」は、低音部からスタートする歌い出しにゾクゾクくるようなカバーになっていて「小娘もなかなかやるけど、まだまだね」なんて感じの女王からのメッセージが伝わってくるよう・・・。これって日本で例えれば美空ひばりがaikoや椎名林檎や宇多田ヒカルのカバーをするようなもんだよなぁ・・・カバーされた方が恐縮しちゃうそう(笑)。
もっとも、そのボーカルはやはり昔と比べてしまうと厳しい側面もチラホラ感じてしまうのも事実。まあ彼女も御年72歳。その年齢を考えると十分すぎるほど声量は出ている、ともいえるかもしれませんが、高音部に関してはちょっと厳しいように思いました。声はそれなりに出てくるのですが、声に艶がなくなってしまってちょっと平坦になってしまったように思います。
その分、低音部に関してはいまだにゾクゾクするような迫力は十分に感じることが出来、「クイーン・オブ・ソウル」としての貫録を垣間見ることが出来ました。緩急つけたボーカルや微妙な表現力などもさすが。ここらへん、ただ声量だけで押し切るような自称ディーバたちとの格の違いを感じます。上にも書いた通り、「Rolling In The Deep」の出だしなんて、まさに女王健在を感じられ、ゾクゾクとするものを感じてしまいます(もっともアデルも十分すぎるほど素晴らしいミュージシャンですが)。
そんな感じで、失礼ながらも「寄る年波には・・・」な部分があるのは否めないのですが、一方ではちゃんと「クイーン・オブ・ソウル」としての実力を感じることが出来たカバーアルバムだったと思います。ファンなら十分満足できるアルバムだったのではないでしょうか。ただ、アレサ・フランクリンって誰?アレサ・フランクリン、はじめて聴くけど・・・みたいな方ははじめて聴くアルバムとしてはちょっとお勧めできませんが・・・。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
Prism/Katy Perry
デビュー当初のイメージからはかなりおとなしくなった印象もありますが、相変わらず元気なガールズポップといった印象のアメリカのシンガーソングライターの3枚目。4つ打ちを使ったリズミカルな作品が多く、結果、インパクトはあるもののちょっと平坦な印象も。国内盤18曲入り70分強という内容は、さすがに長すぎでちょっとダレた・・・。
評価:★★★
Katy Perry 過去の作品
One Of The Boy
Teenage Dream
Wenu Wenu/Omar Souleyman
ちょっと怪しげなジャケが特徴的な彼は、シリアのテクノミュージシャン。「1994年に活動開始してからシリア特有の民族舞踊であるダブケをダンス・ミュージックに昇華させたシリア音楽界の伝説と呼ばれている。」(Wikipediaより)だそうです。中東風のメロに、非常に強いビートのテクノサウンドが載るのですが、この打ち込みのビートが非常にチープ。ただ、このチープさが妙に中毒性があって、何度も何度も聴きかえしたくなる不思議な魅力があります。一度体験してほしい、強烈なリズムです。
評価:★★★★★
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