ダブとポップを見事に融合
Title:Strange Tomorrow
Musician:TAMTAM
ここ最近、注目を集めている5人組TAMTAMのメジャー初となるフルアルバム。ダブの手法を多用したロックなサウンドを演奏しながらも、メロディーは至ってポップというバランスが特徴的で、今、最も期待されている新人バンドの一組です。そんな彼女たちのニューアルバム。私は彼女たちのアルバムを聴くのは、前作のミニアルバム「For Bored Dancers」に続いて2枚目なのですが、まず一言、強く感じるのは「あ、一皮むけたな」ということでした。
前作「For Bored Dancers」もまた、ポップなメロにダビーなサウンドが特徴的なアルバムでした。ただ、アルバム全体としては、ダブなアルバムというよりもポップなアルバムにダブの要素をちょっと入れたかな、という程度の内容。メロディーもそこそこといった感じで、サウンドもメロもそれぞれを切り取るとインパクトは弱め。彼女たちの評判を知り、聴いてみたアルバムだったのですが、期待を上回るほどの出来ではありませんでした。
それと比べると今回のアルバムはサウンドもメロもグッと力を増してきました。それはアルバムの冒頭でまずはっきりと感じられます。1曲目「Babel」。まず、これでもかというほどリバーブのかかったサウンドに力強いバンドサウンド。あきらかにこのイントロだけでグッと私たちの耳をつかまされます。そしてメロディー。ボーカルKuroの歌声は端正で、それだけでポピュラリティーがあるのですが、メロディーも垢抜けたポップ。どこか切なさを感じられるメロが印象的。あきらかにサウンドもメロディーもそれぞれにインパクトがあり、かつ両者が見事に融合しあった楽曲に仕上がっていました。
基本的にメロディーはマイナーコード主体のポップで、ダビーなロックというスタイル。前半は正直似たようなタイプの曲が並んでいたのですが、その内容の出来の良さに加速度が増すのが、インターリュードを挟んだ後半以降。ピアノを取り入れた「Spica」はより幻想的な作風になっており、ダブとピアノとロックを融合させたサウンドが非常にインパクトありますし、続く「Nothing But a Girl」では今風のエレクトロサウンドを取り入れており、このサウンドもまたユニーク。さらに「Savon」では迫力あるジャムロック風の演奏をダイナミックに聴かせてくれ、ロックバンドとしての本領も発揮しています。
全体的にはダブのサウンドをより前面に押し出してきて、ダブバンドであることを主張するようなつくりになっていますし、そのダブのサウンドに負けないくらい、強度の強いバンドサウンド、そしてメロディーを聴かせてくれます。その結果、前作よりもダビーさが増しながらも、同時にポピュラリティーも増し、かつ両者がガッチリと組み合わさるという傑作アルバムが登場しました。まさしく、彼女たちにとって「一皮むけたアルバム」といって間違いないでしょう。これから、どんどんと傑作をリリースしていきそう・・・そんな予感のするアルバムでした。
評価:★★★★★
TAMTAM 過去の作品
For Bored Dancers
ほかに聴いたアルバム
Kiss/DEPAPEPE
2人組ギターインストユニットの2年ぶりとなるニューアルバム。毎回、単なるイージーリスニングの枠組みにおさまらない魅力的なギターインストの楽曲を聴かせてくれるのですが、本作に関しては、いつものようなアグレッシブさがちょっと抑え気味で、無難な内容になっていたような。ポップなメロディーラインは相変わらず魅力的なのですが、ちょっとイージーリスニング風なのは否定できず。悪いアルバムではないと思うのですが・・・。
評価:★★★
DEPAPEPE 過去の作品
デパクラ~DEPAPEPE PLAYS THE CLASSIC
HOP!SKIP!JUMP!
デパナツ~drive!drive!!drive!!!~
デパフユ~晴れ時どき雪~
Do!
デパクラII~DEPAPEPE PLAYS THE CLASSICS
ONE
Acoustic&Dining
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