もう一癖ほしいような
Title:シングルコレクション19-24
Musician:阿部真央
シンガーソングライター阿部真央の初となるベストアルバム。今年24歳となった彼女ですが、このアルバムタイトル、彼女が19歳から24歳の時に書いたシングルを収録していることからこのようなタイトルとなったそうです。
阿部真央の作品については2010年にリリースされた「ポっぷ」を聴いたきりアルバム単位では聴いていません。「ポっぷ」以来聴いていない理由は言うまでもなくそのアルバムの出来がいまひとつと感じたから。ただその後のアルバムもコンスタントにチャートでベスト10入りするなど高い人気を維持しており、今回のベスト盤で久しぶりに彼女の作品をまとめて聴いてみました。
ちなみに私が「ポっぷ」をいまひとつだと思った最大の理由は、その音楽性にあまりに統一感がなかったから。エレクトロポップから弾き語り、ノイジーなギターロックなどなど、アルバム1枚聴いてもどこに阿部真央というミュージシャンがいるのか、感じ取れませんでした。
久しぶりに聴いたベストアルバム。このアルバムでも確かに様々なタイプの曲が収録されています。「伝えたいこと」は骨太な感じの作品ですし、「ロンリー」はちょっとチャットモンチー?といった雰囲気のギターロック、「側にいて」はピアノとストリングスでしんみり聴かせる作風となっています。
ただあまりにバラバラだった「ポっぷ」と比べると、シングルをあつめたベスト盤ではさすがにそれなりに阿部真央としての統一した方向性を感じました。基本的にはギターサウンド主体のポップスロックであること。また歌詞については等身大の女の子を描いた作品が多いこと。メロディーにしろ歌詞にしろそれなりにインパクトもあり、一定の人気を確保している理由もわかります。
その一方、その作風については良くも悪くもありがちな、無難なポップスロックといった印象も受けました。完成度が高い作品という言い方もできるのですが、良くも悪くも端正な作風に面白味が欠け、もう一癖ほしいようにも感じます。イメージとしてはYUIや家入レオとも似たタイプのように感じ、そういう意味でもここ最近よくありがちな、という印象も。ただYUIや家入レオほど一発で覚えられるようなキラーフレーズがない点、アルバムでそこそこのヒットを記録しても、シングルで大きなヒットがない理由のようにも思いました。
素直なポップスロックという意味では広い層の支持は受けそうなタイプの作品。そういう意味ではYUIや家入レオあたりが好きなら聴いて損はなさそう。またアルバム1枚におさめているので入門盤として本作は最適という感じもします。ただもうひとつ、壁を越えてほしい印象が。
評価:★★★★
阿部真央 過去の作品
ポっぷ
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2014年」カテゴリの記事
- まだまだ「実」だけど(2014.12.29)
- ロック入門...的な(2014.12.28)
- 踊れるロック(2014.12.27)
- レトロなガレージサウンドが心地よい(2014.12.26)
- 社会派三部作完結編(2014.12.23)
コメント