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2014年9月29日 (月)

変わるもの変わらないもの

Title:11
Musician:KIRINJI

キリンジから堀込泰行脱退!・・・このニュースは正直、かなり驚かされました。しかしその後、さらに驚くべきニュースが飛び込んできました。キリンジがメンバーを5人増やして6人組バンドとして活動再開。キリンジといえば堀込兄弟のポップデゥオというイメージが強く、バンドというイメージがほとんどないため、このニュースを聴いた時は、最初、冗談か?とすら疑いました。

そしてその6人組バンド結成のニュースから約1年を経て届けられたキリンジのニューアルバム。バンド編成となり、大きな変化を遂げた彼らですが、その新作からはこれまでのキリンジから続いている部分と、新しく変化した部分の両面が見て取れました。

まずいままでのキリンジから変わらない部分。それはまず「キリンジ」という名前を引き継いだ点、と言えるでしょう。さらに今回のアルバムタイトル「11」。これはキリンジとしての11枚目のアルバムを意味しており、あくまでも堀込兄弟2人組ユニットのキリンジからの延長線上にあるアルバムということを強調しています。

また、アルバム全曲堀込高樹が作詞作曲を手掛けています。そのため基本的にはキリンジとしての作風に大きな変化があった訳ではありません。例えば「だれかさんとだれかさんが」の歌詞。

「授業終わりの理科室に
お湯の沸く音シュルルルー
濾紙と漏斗とビーカーで
淹れたコーヒ 不思議な味」

(作詞 堀込高樹 「だれかさんとだれかさんが」より)

絵画のような風景描写ながらもどこかシュールさを感じる内容など、まさに堀込高樹ワールド。このスタンスは基本的にこのアルバムでもほとんど変わっていません。

ただ一方ではいままでのキリンジから大きく変わった部分も少なくありません。まずバンド名表記。いままでのカタカナの「キリンジ」からローマ字表記の「KIRINJI」へと変更。まずこのバンド名表記の変更がまっさきに目に入ります。

またアルバムの1曲目を飾る曲のタイトルが「進水式」。まさに新たなKIRINJI号の船出を感じさせる曲のタイトルで、そういう意味でもいままでのキリンジとは異なるんだ、というバンドの一種の決意を感じされます。

そしてやはり一番変わったのは楽曲の雰囲気。もちろん、上に書いた通り、基本的に堀込高樹が作詞作曲を手掛けているため、ソフトロックといういままでの路線からの変化はありません。ただ、バンド編成になって、楽曲のバリエーションがグッと増えたように感じました。

例えば楠均ボーカルのユーモラスな「ONNA DARAKE!」なんかは堀込高樹ボーカルの曲とはちょっと違った雰囲気が楽しめますし、コトリンゴがボーカルを取った「fugitive」なども、女性ボーカルらしいメロウな雰囲気がいままでのキリンジとは大きく異なるものを感じます。女性メンバー2人のツインボーカルによる「クリスマスソングを何か」なんかはとてもさわやかで軽快なポップチューンのクリスマスソングなのですが、この曲なんかは女性ボーカルがいる、このKIRINJIだからこそ歌えた楽曲と言えるでしょう。

そんな訳で、いままでのキリンジ堀込高樹の「良い」部分はそのままに、バンド編成となりミュージシャンとしての新たな世界の広がりを感じさせるアルバムでした。このバンドのはじまりをつげる曲が「進水式」でしたが、このタイトル通り、KIRINJIというバンドが広い音楽の海に乗り出していった、そんなアルバムに感じます。これからの彼らの活躍がとても楽しみになる新作。願わくば、どこかのバンドさんみたいに気が付いたら3人組になっていた、みたいなことになりませんように(笑)。

評価:★★★★★

キリンジ(KIRINJI) 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-
BUOYANCY
SONGBOOK
SUPERVIEW
Ten
フリーソウル・キリンジ

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