よりバンド色が強く
Title:Live At 大牟田ふじ
Musician:ZAZEN BOYS
先日、急きょフリーダウンロードでリリースされたZAZEN BOYSのライブアルバム。8月23日に福岡は大牟田の「大牟田ふじ」で行われたライブの模様を収録した作品です。全21曲入り。(現時点での)最新アルバム「すとーりーず」を中心としたセットリストとなっています。
ここ最近の(といっても私が最後に見たのは昨年の「森、道、市場」でのステージですが)ZAZEN BOYSのライブの特徴として感じるのは、CDの印象とライブの印象が大きく異なる、という点です。CDでは向井秀徳のワンマン、という印象を強く受けるのに対して、ライブではバンドサウンドを前に押し出した、より「ロックバンド」らしいステージを見せてくれる、そんな印象を受けます。
このライブアルバムも、CD音源とは全く異なるZAZEN BOYSをパッケージした内容になっています。まさにライブのステージ上だけで繰り広げられるZAZEN BOYSの世界を切り取った「記録」。具体的に言えば、1曲目の「Honnoji」はジャム風の演奏からスタートしてバンドという側面を前面に押し出していますし、「The Days Of NEKOMACHI」や「天狗」などバンドサウンドを前面に押し出した作品が中盤以降も続きます。
そして本編ラストの「Riff Man」はハードロックなギターリフをカッコよくキメてくるナンバーで、まさにバンドサウンドからはじまるバンドサウンドに終わる構成になっています。そしてその後の「Asobi」がうってかわってエレクトロちっくなディスコ風のナンバー。本編とはちょっと異なる雰囲気のナンバーで会場を盛り上げ締めくくる構成も見事です。
全2時間弱の収録時間。途中、MCなども収録されており、おそらくほぼフルでの収録だと思われます。まさにライブの全貌を知ることが出来るアルバム。ダウンロードのページには「Sounds Quality: Raw」と記載されていて、確かに音質はあまりよくありませんが、それがまたライブの臨場感を醸し出している結果となっています。
ただ、このアルバムを聴いてひとつ気が付いたことがあります。それはライブの中のネタが、2年前に見たワンマンライブとほぼ同じという点。例えば向井秀徳がいきなりチャルメラのフレーズをひきながら即興で歌いだす部分とか、「泥沼」でのギターとのからみとか、最後に「Asobi」で締めくくる構成とか。アルバム「すとーりーず」リリース後、少々パターン化している、ということなのでしょうか。
そうだとすれば、今、このタイミングでライブ音源をリリースするというのは、「すとーりーず」以降のライブでのパターンが、2年という月日を経て、完成系になっているから、ということを意味しているのかもしれません。ZAZEN BOYSは以前、ダウンロードやライブでの販売で積極的にライブ音源をリリースしてきましたが、ここ最近はそういうリリースがありませんでした。そんな中、久々にライブアルバムをリリースしてきた、というのは、最近の彼らのライブが、ZAZEN BOYSの作品として残すだけの価値のあるレベルになってきた、という自信のあらわれのようにすら感じます。今回のライブ音源、確かに様々な構成はパターン化されているとはいえ、ゾクゾクっとくるようなカッコよさ、バンドとしての息の合った演奏を聴くことが出来ます。そして場所は向井秀徳のふるさとの福岡。まさにZAZEN BOYSのライブを収録する場所としてはピッタリ、ということでしょう。
そんな訳で、オリジナル音源と同じレベルで聴くべき作品。ダウンロードは公式サイトから。いつまでアップされているのかは不明なので、今のうちに急げ!
評価:★★★★★
ZAZEN BOYS 過去の作品
ZAZEN BOYS IV
すとーりーず
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