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2014年9月

2014年9月30日 (火)

スカよ、永遠に

Title:SKA ME FOREVER
Musician:東京スカパラダイスオーケストラ

今年デビュー25周年を記念してリリースされたスカパラのニューアルバム。「SKA ME FOREVER」=「スカよ、永遠に」というタイトルをアルバムにつけるあたり、彼らのこのアルバムにかける意気込みを感じます。また、そんな意気込みはこのアルバムの1曲目にもあらわれています。このアルバムの1曲目「ペドラーズ2014」は、スカパラのデビューアルバム「スカパラ登場」の1曲目に登場するロシア民謡のカバー。25年を経て、あらたな一歩を踏み出す、という一種の決意も感じます。

ただそんな25周年の記念盤は、原点回帰といった感じでも新たな一歩を踏み出しといった感じでもありません。基本的にはここ最近のスカパラの延長線上の作品。プロデューサーに亀田誠治を起用したこともあり、ポップで聴きやすく、まとまりを感じさせるアルバムになっています。

そんな中、ひとつ大きな特徴だったのが今回のアルバム、ロックテイストの強い作品だった、という点。今回の作品では、10-FEET、MONGOL800、ASIAN KUNG-FU GERENATIONとのコラボ作を収録しています。それがまたロックを感じさせる大きな要因。さらにスカパラ単独の作品でも「One Way Punk」のようなパンキッシュな作品も収録されています。

ロッキンな楽曲がアルバムの主軸となっていたこともあり今回の作品、非常にライブ映えしそうな作品にも感じました。ロックな作品のほかにもFPMをフューチャーした「Damned」も打ち込みのリズムのダンスチューンが楽しめますし、「For the GOAL」などもラテン調の軽快なナンバーでライブで盛り上がりそう。さらに「Can't Take Me Eyes Off Of You」のカバーなども(ちょっとベタな選曲だとも思うのですが)、軽快でポップなナンバーが楽しめます。

ライブに定評のある彼らですが、そんなライブの楽しさをそのままパッケージしたアルバムのようにも感じた本作。その一方では「Horizon」などちょっとジャジーに聴かせるナンバーなども収録されており、その面でも卒がありません。25周年のベテランバンドらしいある種の安定感もこのアルバムからは感じることが出来ました。

個人的にはここ何作のアルバムの中でもっとも勢いと感じ、ライブ感を楽しめたアルバムでした。まさにスカパラの楽しさ、ひいてはスカという音楽の楽しさを存分に味わえるアルバム。まさにタイトル通り「スカよ、永遠に」、そう感じられる作品でした。

評価:★★★★★

東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart

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2014年9月29日 (月)

変わるもの変わらないもの

Title:11
Musician:KIRINJI

キリンジから堀込泰行脱退!・・・このニュースは正直、かなり驚かされました。しかしその後、さらに驚くべきニュースが飛び込んできました。キリンジがメンバーを5人増やして6人組バンドとして活動再開。キリンジといえば堀込兄弟のポップデゥオというイメージが強く、バンドというイメージがほとんどないため、このニュースを聴いた時は、最初、冗談か?とすら疑いました。

そしてその6人組バンド結成のニュースから約1年を経て届けられたキリンジのニューアルバム。バンド編成となり、大きな変化を遂げた彼らですが、その新作からはこれまでのキリンジから続いている部分と、新しく変化した部分の両面が見て取れました。

まずいままでのキリンジから変わらない部分。それはまず「キリンジ」という名前を引き継いだ点、と言えるでしょう。さらに今回のアルバムタイトル「11」。これはキリンジとしての11枚目のアルバムを意味しており、あくまでも堀込兄弟2人組ユニットのキリンジからの延長線上にあるアルバムということを強調しています。

また、アルバム全曲堀込高樹が作詞作曲を手掛けています。そのため基本的にはキリンジとしての作風に大きな変化があった訳ではありません。例えば「だれかさんとだれかさんが」の歌詞。

「授業終わりの理科室に
お湯の沸く音シュルルルー
濾紙と漏斗とビーカーで
淹れたコーヒ 不思議な味」

(作詞 堀込高樹 「だれかさんとだれかさんが」より)

絵画のような風景描写ながらもどこかシュールさを感じる内容など、まさに堀込高樹ワールド。このスタンスは基本的にこのアルバムでもほとんど変わっていません。

ただ一方ではいままでのキリンジから大きく変わった部分も少なくありません。まずバンド名表記。いままでのカタカナの「キリンジ」からローマ字表記の「KIRINJI」へと変更。まずこのバンド名表記の変更がまっさきに目に入ります。

またアルバムの1曲目を飾る曲のタイトルが「進水式」。まさに新たなKIRINJI号の船出を感じさせる曲のタイトルで、そういう意味でもいままでのキリンジとは異なるんだ、というバンドの一種の決意を感じされます。

そしてやはり一番変わったのは楽曲の雰囲気。もちろん、上に書いた通り、基本的に堀込高樹が作詞作曲を手掛けているため、ソフトロックといういままでの路線からの変化はありません。ただ、バンド編成になって、楽曲のバリエーションがグッと増えたように感じました。

例えば楠均ボーカルのユーモラスな「ONNA DARAKE!」なんかは堀込高樹ボーカルの曲とはちょっと違った雰囲気が楽しめますし、コトリンゴがボーカルを取った「fugitive」なども、女性ボーカルらしいメロウな雰囲気がいままでのキリンジとは大きく異なるものを感じます。女性メンバー2人のツインボーカルによる「クリスマスソングを何か」なんかはとてもさわやかで軽快なポップチューンのクリスマスソングなのですが、この曲なんかは女性ボーカルがいる、このKIRINJIだからこそ歌えた楽曲と言えるでしょう。

そんな訳で、いままでのキリンジ堀込高樹の「良い」部分はそのままに、バンド編成となりミュージシャンとしての新たな世界の広がりを感じさせるアルバムでした。このバンドのはじまりをつげる曲が「進水式」でしたが、このタイトル通り、KIRINJIというバンドが広い音楽の海に乗り出していった、そんなアルバムに感じます。これからの彼らの活躍がとても楽しみになる新作。願わくば、どこかのバンドさんみたいに気が付いたら3人組になっていた、みたいなことになりませんように(笑)。

評価:★★★★★

キリンジ(KIRINJI) 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-
BUOYANCY
SONGBOOK
SUPERVIEW
Ten
フリーソウル・キリンジ

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2014年9月28日 (日)

バランス良く楽しめる

Title:Strangers In Heaven
Musician:Nothing's Carved In Stone

今回はじめて聴いてみたNothing's Carved In Stoneのアルバム。正直言ってしまえば、さほど期待を持って聴いてみたアルバム・・・といった感じではありません。名前だけは一応知っていて、先日のSAKAE SP-RINGでボーカルの村松拓のライブを見たことがある、程度の認識。このアルバムがアルバムとしては初のベスト10ヒットを認識し、ELLEGARDENの生形真一に日向秀和が参加しているバンドなだけに、「じゃあ、ちょっと聴いてみようか」程度の感じで聴いてみたアルバムです。

ところがこれが予想以上に素晴らしいアルバムではまってしまいました。ノイジーなギターサウンドにポップなメロディーという、オルタナ系ギターロックの基本路線を守りながらも、様々なバリエーションを展開するスタイルがインパクトがあります。なによりも、非常にバランスが取れた音楽を奏でるバンドだ、という印象を受けました。

バランスがいい、というのは例えば「ツバメクリムゾン」のようなポップ色の強いギターロックがあったかと思えば「What's My Satisfaction」のようなミクスチャーロックテイストのへヴィーな作品があったり、基本的にバンドサウンドがメインの構成ながらも「Idols」のような打ち込みをつかったダンサナブルな作品があったり、「キマイラの夜」のようにホワイトノイズにファルセットボイスというシューゲイザーちっくなインディーバンドっぽい作品があるかと思えば「雪渓にて」のようなスケール感ある作品があったりと、様々なタイプの作品が揃っています。

要するに、ポップスさとへヴィネス、バンドサウンドと打ち込み、インディーっぽさとスタジアムバンドっぽさといった相対する雰囲気を楽曲にうまく取り入れつつ、ちょうどよくバランスさせているという印象を受けました。

メロディーにはちゃんとインパクトあるポピュラリティーもあり、バランスの良さもさることながらも、アルバム全体として変な癖がなく、素直に難しいことを考える楽曲を楽しめるアルバムになっていて、そういう意味でも非常に聴きやすい作品だったと思います。確かに、この「癖のない聴きやすさ」というポイントと、楽曲毎に様々な作風が展開という意味で、若干、Nothing's Carved In Stoneだけが持っているような個性はちょっと薄いような感じがしました。そういう意味で似たタイプのアルバムを今後もリリースされると飽きは早いかも、という印象も受けます。ただ、それはこのアルバムの価値には直接影響はありません。本作はギターロック好きなら間違いなく、無条件で楽しめるポップなアルバムだと思います。いままでほとんどノーチェックでしたが、個人的にはもっともっと売れるタイプのミュージシャン、そんな印象をうけた1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Falsetto/山本精一

前作から約2年半ぶりとなる山本精一ソロでのニューアルバム。本作はフォーキーな作風が主軸となる、いわば「歌モノ」。そこにサイケなギターサウンドがかさなるスタイルで、ある意味、実に山本精一らしいといえる作品。静かで地味な作風ながらも、幻想的なサウンドに徐々にはまっていきそうな作品です。

評価:★★★★

山本精一 過去の作品
PLAYGROUND
PLAYGROUND acoustic+
ラプソディア

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2014年9月27日 (土)

アフリカ音楽への招待

ここ最近、アフリカ音楽に関するガイドブックが2冊ほぼ同時期に発売され、一部で話題となっています。

まず1冊がシンコーミュージックから発刊された「アフロ・ポップ・ディスク・ガイド」。ロック系がメインの出版社からこういうワールドミュージックのディスクガイドが出されたのはちょっと驚きました。

もう1冊が「ポップ・アフリカ800」。こちらは5年前に出版された「ポップ・アフリカ700」の改訂版。「ポップ・アフリカ700」もその当時、本格的なアフリカ音楽のディスクガイドということで大きな話題となりましたが、それから紹介するアルバムをさらに100増やし、バージョンアップし、リニューアルとなりました。

このサイトでもよく取り上げているように、私はアフリカの音楽を比較的好んで聴いています。アフリカ音楽と一言で言ってもいろいろなタイプがあり一概には言えないのですが、その大きな魅力は、粗野ではありものの、人間の奥深くに眠るなにかに直接訴えかけるようなサウンドを奏でること、のように思います。例えばアフロビートなどの独特のビートは無条件で身体を踊らせるようなパワーがありますし、アフリカの代表的な楽器、親指ピアノの音色は、私たちにとってもとても心やすらぐもののように感じます。

そんなアフリカ音楽への入門書としてもピッタリ、と言えるこの2冊なのですが、おもしろいことに同じアフリカ音楽のディスクガイドながらその方向性は大きく異なります。「アフロ・ポップ・ディスク・ガイド」はあくまでも欧米のロック、ポップスを基軸として、アフロポップに影響を受けたアルバム、ミュージシャンを紹介した上で、その影響の源としてのアフリカ音楽のディスクを紹介しています。一方「ポップ・アフリカ800」はまさにアフリカ音楽の教科書といっていい内容。アフリカの音楽が国ごとにまとめられ、コラムでは代表的な国についての音楽文化が紹介され、かつ、代表的なミュージシャンはひとつのコーナーが設けられて大きく紹介されています。

「アフロ・ポップ~」がロック、ポップスリスナー相手に、アフリカ音楽へ興味を持ってもらうためのきっかけづくりに焦点を置いているのに対して、「ポップ・アフリカ~」は、そもそもアフリカ音楽に興味を持っている人が、その世界に入るための道しるべのために書かれたガイドブックと言えるでしょう。

その方向性はアフリカ音楽のアルバムの選び方にも影響しています。「アフロ・ポップ~」は今のリスナーにまず聴いてもらうことが焦点であるため、選ばれているアルバムは、ほとんどがここ最近の作品がメイン。70年代や60年代あたりの作品はほとんどありません。一方「ポップ・アフリカ~」はアフリカ音楽を概括的に紹介しているため、昔のアルバムから今のアルバムまで網羅的に収録されています。「ポップ・アフリカ~」を読むと、アフロ・ポップが花開いていたのは、むしろ60年代や70年代あたりということに気が付かされます。

また「アフロ・ポップ~」ではアフリカ音楽とともに、アフリカ音楽から強い影響を受けたロックのアルバムも数多く収録されており、アフリカ音楽と欧米のロックのつながりを知ることが出来るという点はおもしろいところ。コラムでもアフリカ音楽について音楽的な要素や、最近話題のムーブメントなどを突っ込んだコラムが掲載されていて、とても興味深く読むことが出来ました。ちょっと残念だったのは、せっかくだからJ-POPとの関連性ももっと深く突っ込んでほしかったかも。なぜか「東アフリカ」の欄でチラッとだけ紹介されているのはちょっと残念でした。

「ポップ・アフリカ~」についてはそういう「今の流れ」を知れるニュース的な要素や欧米ポップとの関連付けについては追及されていませんでしたが、それだけ「アフリカ音楽の教科書」として普遍的な内容を心がけたのでしょうか。一方では紹介したアルバムの中で、「特に聴くべき」とした50枚のアルバムを選出しており、この点はアフリカ音楽の初心者にとってはとてもありがたい構成となっていました。

そんな訳で、どちらが優れている、とかではなく、同じアフリカ音楽を取り扱っていながらも、その方向性の違いがおもしろい、どちらも非常に魅力的なガイドブックでした。「アフリカ音楽はさほど興味ないけど、Vampire Weekendとか好きかも・・・」みたいな方は「アフロ・ポップ~」をまず読んでみてください。おそらく、アフリカ音楽の魅力に触れることが出来るかも。アフリカ音楽に興味がある方は文句なく両方とも要チェック。どちらもかなりお勧めな内容。私も、この2冊で、もっともっといろいろなアフリカ音楽の世界に踏み入っていきたいと思います。

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (9/27)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。本格的なフェスシーズン到来し、続々と新情報が入ってきています。11月頃まで週1で更新予定です。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【Folk】【R&B/Soul】【Blues】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

9/27更新
<出演者追加>
国際陶磁器フェスティバル美濃「食と器と音楽と」、OTONOTANI2014、ZIP AUTUMN SQUARE、円頓寺秋のパリ祭
<AreaMap公開>
TOYOTA ROCK FESTIVAL2014
<Timetable公開>
OTONOTANI2014、ZIP AUTUMN SQUARE、Mt.ENA ROCK FESTIVAL 2014
<終了>
BON'S JAPAN GAIA、CHITAHANROCK R247 2014 MOSH PIT

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報2014 (9/27)"

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2014年9月26日 (金)

3人組になって

Title:THE PIER
Musician:くるり

2011年にいままでの2人組バンドからいきなり5人組に大増員したかと思いきや、1人減り2人減り、あっという間に3人組バンドとなったくるり。まあ、こうなることはあらかた予想はしていたし、いつも通りのくるりなのですが(笑)。そんな彼らのちょうど2年ぶりとなるニューアルバムが発売されました。

今回のニューアルバム、雑誌などでよくみかける評判としては、岸田繁が様々な音楽性に挑戦した実験的なアルバムという評価でした。特に事前に発表された新曲「Liberty&Gravity」ではギターロックながらもラップが顔を見せたり、和風な合いの手が入ったりする「変な曲」として話題となりましたが、他にも様々なアイディアのつまった実に実験的、というよりも挑戦的なアルバムになっていました。

例えば「日本海」では強いリズムビートがなりつつも、その一方ではストリングスの音色が奏でられるサウンドながらもメロや歌詞は純和風な歌謡曲風というつくりですし、「Brose&Butter」もシンプルでアコースティック風な作品・・・かと思いきや、バックでは様々な音が鳴り響く、不思議でどこかユーモラスな世界が展開しています。

他にもタイトルに反してシティーポップ風の「ロックンロール・ハネムーン」やハードロックな「しゃぼんがぽんぽん」などおそらく岸田繁のやりたいことがアルバム全体に炸裂した内容になっています。そしてそんな岸田繁の方針につれてか、佐藤征史が唯一曲を書いた「Amamoyo」はファンキーでグルーヴィーな楽曲を書いてきていますし(これがなにげにかなりの名曲!)、ファンファンもユーモラスな小品「メェメェ」なんて曲を書いたりしています。

ただ個人的には今回のアルバム、実験的なアルバムという印象より先に岸田繁の宅録みたいなアルバムだ、という印象を受けました。バンドという色合いを強く感じた前作「坩堝の電圧」と比べて非常に対照的なアルバムと言えるかもしれません。メンバーが抜けて3人組となってしまったため、こういうアルバムになったのか、それともこのアルバムのような音楽性を志向したため、3人組になってしまったのか・・・その経緯は不明ですが、良くも悪くも2人組だった時代のくるりからの流れを感じる、岸田繁ワンマン色の強い作風に感じました。

もちろん本作、こんなユーモラスなアイディアを詰め込んだ作品なだけに傑作には間違いありません。ただちょっとひっかかったのはあまりにアイディアが多すぎて、ちょっと詰め込みすぎな感じがした点、そして、アルバム全体としていまひとつ統一感がない点。くるりの作品としては個人的にはバンドとしての今後のさらなる可能性も感じられた前作の方が好きだったかなぁ、とも思います。

ただ、そんなともすればバラバラになりそうなアルバムが、ひとつにまとめられた楔のような役割をしたと思うのが岸田繁の書くメロディーラインの素晴らしさ。これこそまさに「良くも悪くも2人組だった時代のくるりからの流れ」のうち良い部分。特に先行シングルでもある「最後のメリークリスマス」みたいなシンプルな曲こそ、この部分が光りますし、挑戦的とされる楽曲がちゃんとポップにまとまっているのも、このメロディーラインの良さがあるからこそだと思います。正直「挑戦的」「実験的」な部分に焦点があたりすぎている感のあるこのアルバムですが、その試みがちゃんと成功しているのは、このメロディーの良さであることを忘れてはいけないのではないでしょうか。

そんな訳で一言で言ってしまうとやはり「すごいぞ、くるり」(古い)なわけですが。いろいろな意味でくるり岸田繁の才能を感じられるアルバムでした。で、次回作はやはり佐藤君との2人組に戻っていたりして・・・(^^;;

評価:★★★★★

くるり 過去の作品
Philharmonic or die
魂のゆくえ
僕の住んでいた街
言葉にならない、笑顔を見せてくれよ
ベスト オブ くるり TOWER OF MUSIC LOVER 2
奇跡 オリジナルサウンドトラック
坩堝の電圧
くるりの一回転

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2014年9月25日 (木)

ベテランが2週連続の1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週はベスト10のうち6枚が初登場でしたが、1位は2週連続となりました。

今週の1位は竹内まりや「TRAD」が2週連続の1位獲得。売上は11万8千枚から4万8千枚への大幅減でしたが、根強い人気のほどを見せつけた結果となりました。まだまだロングヒットになりそうな予感がします。

2位は初登場。YUKI「FLY」。3rdアルバム「joy」以降、アルバムの連続1位記録が続いていましたが、残念ながら4作でストップ。本作は2位止まりとなりました。まだ初動4万4千枚も前作「megaphonic」の7万6千枚からダウン。ここ数作、22万→10万2千→7万6千と急落傾向が続いているのが気になります。ま、初動22万売り上げた「Wave」は2006年の作品なので、CDの市場動向自体が大きく変化した影響も大きいのですが。

3位は韓国の4人組バンドCNBLUE「WAVE」がランクイン。日本でのメジャー3枚目となるアルバムで、初動売上3万4千枚は前作「What turns you on?」の4万3千枚(2位)よりダウンです。

続いて4位以下初登場ですが、まず4位にくるりのニューアルバム「THE PIER」がランクインです。一時期は5人組となったくるりですが、1人抜け2人抜け、いつのまにか3人組となったくるりの新作。ただ初動売上1万9千枚は、前作「坩堝の電圧」の2万9千枚(5位)からダウン。

6位初登場はゴスペラーズ「The Gospellers Now」。デビュー20周年を迎えた彼らが、20年を記念してリリースした新作。初動売上は1万6千枚。前作はカバーアルバム「ハモ騒動~The Gospellers Covers~」で、こちらの初動2万枚(3位)よりダウン。またオリジナルとしての前作「STEP FOR FIVE」の1万8千枚(8位)よりもダウン。

7位にはレゲエパンクバンドSiMのミニアルバム「i AGAINST i」が入ってきました。初動1万5千枚は前作「PANDORA」の2万2千枚(5位)よりダウン。さすがにミニアルバムだとフルアルバムほどは売上が伸ばせなかった模様。

初登場最後は9位。「TVアニメ Free!-Eternal Summer-ドラマCD 岩鳶・鮫柄水泳部 合同活動日誌 1」がランクイン。初動売上は1万枚。タイトル通り、テレビアニメ「Free!」のドラマCDアルバム。ドラマCDでは、前作が昨年にリリースされた「TVアニメ『Free!』ドラマCD 岩鳶高校水泳部 活動日誌2」。こちらの初動売上1万8千枚(5位)よりはダウンしてしまいました。

さて、今週はこの他に返り咲き組が2枚ランクインしています。それが先週32位から5位にランクアップしたNMB48「世界の中心は大阪や~なんば自治区~」と、11位から10位にランクアップしたMAROON5「V」の2枚。NMB48はおそらく通販の追加出荷分か何かと思われますが、売上も2千枚から1万8千枚に大幅増。MAROON5は8千7百枚から8千3百枚と微減という健闘した結果となりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年9月24日 (水)

これが「今週一番のヒット」と言えるのか?

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は、EXILE TRIBE「THE REVOLUTION」が先週のベスト10圏外から、4週ぶりに1位返り咲きとなりました。

このCD、ライブチケットにCDをつける商法が話題となりましたが、今回1位返り咲きとなったのは、9月16日に追加公演分のチケットの引き渡しがあったためと思われます。その結果で1位を獲得できるこのチャートは、はたして「ヒットチャート」と言えるでしょうか?最近、彼らに限らず、通販分のCDの追加出荷などによりチャートをかけあがるケースが少なくありません。CDの売上=ヒットとはならなくなった現在、日本の事実上のナショナルチャートであるオリコンは、いい加減、ヒットチャートにCDの売上以外の要素も反映すべきだと思うのですが・・・。

ちなみに、既にCDの売上以外をチャートに反映しているビルボードというチャートが日本にもあるのですが、こちらはただ順位しか公表されていないので、チャート評するにはちょっとデータ不足という欠点があるんですよね・・・。

2位は韓流男性アイドルグループ2PM「ミダレテミナ」がランクインです。軽快なEDMナンバーなのですが、どこか80年代ディスコ的な雰囲気がちょっとだけ懐かしさも感じさせるナンバー。初動9万5千枚は前作「Winter Games」の10万8千枚(1位)よりダウン。

3位初登場は氷川きよし「ちょいときまぐれ渡り鳥」。あいかわらずのド演歌路線で何らおもしろみもありません。初動売上5万3千枚は前作「大利根ながれ月」の4万6千枚(2位)よりアップ。カップリングのバージョン違いを2種類から3種類に増やしたのが売上にダイレクトに反映された結果のようです。

続いて4位以下初登場です。まず4位初登場は男性アイドルグループLead「想い出ブレーカー」。アレンジはEDM風なのですが、楽曲はもろ70年代の歌謡曲風。初動売上4万3千枚は前作「サクラ」の4万1千枚(3位)から若干のアップ。

5位はavexの男女混合ダンスグループAAA「さよならの前に」。今回はメロディアスに聴かせるナンバー。初動2万5千枚は前作「Wake Up!」の4万枚(3位)よりダウン。ただしこれは10月に本作を収録したアルバム「GOLD SYMPHONY」のリリースが予定されている影響でしょう。

7位には女性シンガーJUJU「ラストシーン」がランクインです。ベスト10ヒットは2012年の「ありがとう」から5作ぶり。初動売上1万枚も、前作「Door」の5千枚(25位)から倍増。NHKドラマ「聖女」のテーマ曲というタイアップ効果か?

8位は主にアニソンやゲームソングを歌っている女性シンガーLiSA「BRiGHT FLiGHT」が入ってきました。ただし軽快で明るいポップチューンとなった本作はノンタイアップでのシングル。初動売上1万枚は、アニメタイアップのついた前作「Rising Hope」の2万9千枚(4位)より大幅ダウンながらもノンタイアップでのベスト10入りは確実にファンを確保しているという意味で誇ってもいい結果でしょう。

9位初登場はavex傘下の芸能事務所エイベックス・ヴァンガード所属の男性アイドルグループSOLIDEMO「Heroine」がランクイン。フジテレビ系ドラマ「ファースト・クラス」テーマソング。これがメジャー2作目にして初のベスト10ヒット。今風のエレクトロアレンジの平凡なポップで、特に特色のない楽曲なのですが・・・。初動売上1万枚は前作「THE ONE」の7千枚(13位)よりアップ。

そして最後10位は今週唯一の女性アイドルグループALLOVER「友情エクスプレス」がランクインです。秋葉原を中心に活動をしている様々なアイドルグループから選抜したメンバーによるグループで、これが2作目のベスト10ヒット。ただし初動売上1万枚は前作「桜BaByラブ」の1万3千枚(9位)よりダウンです。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日!

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2014年9月23日 (火)

最初期のくるり

Title:くるりの一回転
Musician:くるり

先日、待望のニューアルバム「THE PIER」をリリースしたくるり。そのアルバムリリースに先駆け、「note」というSNSサイトの中の公式ファンクラブページにおいて、彼らが一番はじめにリリースしたカセットテープ「くるりの一回転」が配信により発売されました。

参考:くるり、デビュー前音源をnoteで販売

この作品は1996年、まだ大学1年生だった岸田繁、佐藤征史、そしてオリジナルメンバーだった森信行の3人によって録音された作品。まだデビューなど全く考えられていない、大学生の「素人」だった時代の作品です。

いままでもその存在は知られていたものの、入手が極めて困難だった、「幻の作品」ともいえるこの作品が、いきなり配信でリリースされたというのはファンにとっては非常にうれしいニュース。私もさっそくダウンロードしてきました。

さて、そんな本作を聴いてまず感じたのは、まだ結成間もない素人バンドながらも、既に確固たる個性と才能を強く感じさせるという点でした。「完成度」という話になると確かにさほど高くはないかもしれません。音質は決してよくありませんし、バンドサウンドも非常に荒削りなものを感じます。

ただ一方で派手さはないもののしっかりと心に残るメロディーラインと、オルタナ系のギターロックながらも一方ではどこか和風のにおいを感じさせるサウンドには、強烈な個性を感じさせます。「虹」「マイオールドタイマー」といったデビュー後に発表された曲が既に収録されていますが、この時点でくるりとしての個性をちゃんと発揮していた、という証拠でしょう。

アルバム全体の雰囲気としては、今から考えるとかなりロックテイストの強い作風になっています。「夜行列車と烏瓜」ではもっくんのへヴィーなドラミングが耳を惹きますし、「家族の肖像」のように、サイケなサウンドを押し出した、ちょっと不気味な楽曲も収録されていたりします。また「雫が咲いたら」では、後のくるりの作品に頻発する3拍子の曲になっており、この頃から既に「くるりらしさ」が形になっていたことを感じます。

ロックテイストの強い作風に荒々しいバンドサウンドという意味では、アルバム全体の雰囲気としては彼らの2作目のアルバム「図鑑」に近い雰囲気を感じさせる作品でした。確かに音質が悪いサウンドや荒削りさを感じるバンドサウンドはまだ「プロ」と言えるレベルではないかもしれません。ただ間違いなくくるりが好きなら十分すぎるほど楽しめる作品だと思います。

ダウンロードは1曲100円×7曲=700円に、「note」上の公式ファンクラブ「純情息子」の入会料が300円、計1,000円でこの作品を聴けますが、間違いなく1,000円の価値のあるアルバムだと思います。ファンクラブに入会しなくても試聴はできるので、まずそこでチェックしてみるのも手かも。試聴サイトだと、「note」上でしか聴けないように感じるかもしれませんが、ファンクラブのサイトだと、ちゃんとm4a形式でダウンロードも可能なのでご安心を。ファンなら間違いなくチェックすべき作品だと思います。いつまで配信販売が続くかわからないので、いまのうちに急げ!

くるりofficial note
https://note.mu/quruli

評価:★★★★★

くるり 過去の作品
Philharmonic or die
魂のゆくえ
僕の住んでいた街
言葉にならない、笑顔を見せてくれよ
ベスト オブ くるり TOWER OF MUSIC LOVER 2
奇跡 オリジナルサウンドトラック
坩堝の電圧

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2014年9月22日 (月)

往年のヒット曲が並ぶ

Title:ゴールデン☆アイドル アナログタロウ・セレクション

今年、レコード会社の枠を超えて、往年のアイドルソングをアイドル毎にベスト盤としてセレクトした「ゴールデン☆アイドル」というシリーズが発売されました。本作は、そのガイド盤的な役割を果たすオムニバスアルバム。70年代から80年代にかけてのアイドルソングのヒット曲がズラリと並んでおり、手早くその時代のアイドルソングを聴けるということもあり興味を持ち聴いてみました。

「アナログタロウ・セレクション」ということですが、この「アナログタロウ」という方、個人的に全く存じ上げませんでした(^^;;80年代の歌謡曲を用いてネタを披露する芸人さんだそうで、歌謡曲の知識も豊富ということなんでしょう。ただ、今回の選曲はとてもバランスがよく、考えられているな、ということを感じました。

おなじみのヒット曲がほどよく並んでいる選曲になっていて、選曲者の主張ばかりが激しいようなセレクトになっていません。「スマイル・フォー・ミー」「夏色のナンシー」のような、爽やかで元気印のいかにもなアイドルソングが配置されている一方で、「リ・ボ・ン」のようなGSっぽい雰囲気の楽曲が入っていたり、「タッチ」のようにアイドルソングというよりもアニメソングとして知られている楽曲が入っていたり、基本的にはアイドルソングらしいアイドルソングを主軸としながらも、ほどよいバランス感覚を感じます。

曲順も基本的には発売順に並んでいるため70年代から80年代のアイドルソングへの変遷を知ることが出来ますし、それ以上におもしろかったのが1曲目の「水色の恋」は、70年代以前の昭和歌謡曲の色合いの強い曲を持ってきている一方、最後を飾る「Oneway Generation」は90年代以降のJ-POPの色合いが強く、70年代80年代アイドルソングとその前後の時代のつながりを強く意識したような選曲になっています。

ちょっと残念なのは70年代より80年代に比重を置かれていて、70年代のアイドルソングが少なめになっている点。こちらはアナログタロウ本人の好みの問題でしょうか?また、やはり大物の松田聖子や中森明菜の曲がない点も・・・こちらはおそらく「大人の事情」なんでしょうね。ただ、そこらへんのマイナスポイントを差し引いても、この時代の空気をすばやくつかむためには最適なオムニバスアルバムだと思います。

さてその上で感じた個人的な感想なんですが、まずこれは先日の中森明菜のベスト盤でも感じたのですが、80年代の曲のアレンジについて音がしょぼい・・・(苦笑)。ここらへんはもう「時代性」なんでしょうね。ただ、今のサウンドで聴けたら、ということをちょっと感じてしまいます。

またこの時代の曲は素直に口ずさめるシンプルでポップな楽曲が多い、ということをあらためて感じます。最近のアイドルソングはコア層サブカル層を狙ったような複雑で内容を詰め込んだような「一部のリスナー受け」するような内向きの曲がもてはやされていて、個人的に疑問を感じています。その点、70年代80年代のアイドルソングはあくまでも外向きのつくりをしており、好感が持てました。

そして個人的にここ最近のアイドルソングに興味を抱けない理由のひとつがその均質的で無個性なボーカルにある点、以前ここでも書いたと思います。この点についてはこの時代はやはりアイドル本人の個性にあったボーカルと、それにあった曲が多いように感じました。例えば「夏のお嬢さん」なんて榊原郁恵のあの声があってからだと思いますし(というか、榊原郁恵の声を聴くと、今現在のおばちゃんになった彼女を思い出してしまって違和感があるのですが(笑))、「卒業」なんかは斉藤由貴のあの優しく切ないボーカルがあったからこそ、この曲が生きているように感じます。

ただ残念ながら最近になるにつれ、特に80年代以降の楽曲については、今につながるような均質で無個性なボーカルの曲が徐々に増えてきているように感じます。このアルバムに関しても中盤以降はそういう曲がチラホラ見受けられ、そこらへんの曲については正直あまり楽しめませんでした。80年代以降のアイドルソングが無個性になってくる理由は私には知識がなくわかりません。あくまでも推測になるのですが、レコード市場が大きくなるにつれ、より大きなリスナー層を想定した結果、無難に癖のないボーカルがもてはやされるようになってきた、という流れがあるのかなぁ。この傾向が現在に至るまでさらに加速してしまっているのが非常に残念です。

そんな気になる部分はあるのですが、それは選曲者のせいではなく、アイドルシーン全体の問題であるため、このオムニバスにとってはマイナスポイントではないでしょう。リアルタイムで聴いていて懐かしさを感じつつ聴くもよし、過去のヒット曲を興味から聴くもよし、どちらにしても最適なオムニバス盤だと思います。

評価:★★★★

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2014年9月21日 (日)

まさかの無料配信

Title:Songs of Innocence
Musician:U2

先日、U2に関して驚きのニュースがかけめぐりました。U2のニューアルバムがiTunesユーザー限定で無料配信されるというニュース。それもiPhoneやiTunesに勝手にアルバムが登録されているというサービス付・・・これはちょっとおせっかい機能だと思いますが(苦笑)。ただ2009年の「No Line on the Horizon」以来となるU2のニューアルバムがAppleとのタイアップにより無料で配られるというニュースは多くの音楽ファンにとって驚きをもって迎え入れられました。

そんな「無料リリース」となったニューアルバムですが、ただ無料だから、といって決して手抜きだったりアコースティックバージョンだったりそんな訳ではありません。このアルバムも列記としたU2のニューアルバム。いうまでもなく本格的なサウンドプロデュースによるダイナミックなU2のサウンドが全面的に展開しています。

ここ最近のU2のアルバムは、いわば原点回帰的。U2の王道ともいうべき作風のアルバムになっていました。本作に関してもその方向性は継続しています。このアルバムの冒頭を飾る「The Miracle (Of Joey Ramone)」はThe Ramonesのジョーイ・ラモーンに捧げられた楽曲。ノイジーなギターサウンドこそちょっとガレージっぽい雰囲気はありますが、基本的にはスケール感のあるU2らしい楽曲になっていますし、続く「Every Breaking Wave」は伸びやかな抜けのあるメロディーラインはまさにU2の王道。楽曲を聴いていて広大に広がってくるスケール感は彼らならではの楽曲と言えるでしょう。

続く「California(There Is No End to Love)」は前半のハイライト。テンポよく爽やかながらもちょっと切なさを感じるメロディーラインが実に絶妙。サウンドは彼ららしいスケール感も伴っており、U2を聴いているなぁ、という満足感を覚える作品です。

そんな爽やかでスケール感ある前半と比べて、後半はマイナーコード主体のちょっとダークな雰囲気の作品が並んでいました。「Cedarwood Road」「Sleep Like a Baby Tonight」などちょっとダークなサウンドと哀愁あるメロディーが印象的ですし、「This Is Where You Can Reach Me Now」もちょっとメランコリックさのあるメロディーながらもリズミカルなダンス風ナンバーというのがユニーク。最初から最後までサウンドもメロディーもきっちり作りこみ、リスナーをきっちり楽しませる作品になっています。

なによりも今回のアルバムで感じたのはベテランバンドU2の安定感。しっかりリスナーの壺をつくようなメロディーと、スタジアムバンドらしいスケール感を保ちつつ、ロックバンドとしてのダイナミズムも同居させた楽曲が並んでおり、ちゃんとU2としてファンが要求するものに応え、安心して聴ける楽曲は、ベテランバンドの彼らならでは、といった感触を抱きました。もしお手元のiPhoneやiTunesのライブラリに入っていながらもまだ聴いていない方がいたらとてももったいない!iTunesも無料でダウンロードできるだけに、是非是非、チェックしてみてください。ちなみに無料でダウンロードできるのは10月13日までということなので、今のうちに急げ!

評価:★★★★★

U2 過去の作品
No Line on the Horizon


ほかに聴いたアルバム

Fatboy Slim Recorded Live at Mambo 04.08.14/Fatboy Slim

Fatboyslim_live

Fatboy Slimが8月4日にスペイン、イビサ島のCafe Mamboで行ったライブ音源が無料ダウンロードでリリースされました。

参考サイト
ファットボーイ・スリムが最新ライヴ音源(約2時間)を無料DL配信中♪(RO69)
http://ro69.jp/blog/kojima/108922

ダウンロードはこちらから
http://labs.topspin.net/daphne/confirm.php?sessionid=452baf4ba6a2e3f866d8ea16e580b63f&fb=3

音源は2時間にわたってご機嫌なリズムが鳴り響く構成。目新しさのようなものはありませんが、無条件にダンスを楽しめそうな、壺をついたサウンドとリズムがとても魅力的。テンポよいテクノな楽曲の中にラテンのリズムが混じったりして、とても心地よい作品になっています。ちょっと音質は悪いですが、その分、会場の歓声なども交じり、その場の空気感もつたわる内容になっていました。

評価:★★★★

Fatboy Slim 過去の作品
I Think We're Gonna Need A Bigger Boat(THE BPA)
Here Lies Love(David Byrne&Fatboy Slim)

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2014年9月20日 (土)

鍵盤楽器を大胆に導入

Title:Wall,Window
Musician:People In The Box

アルバム毎にその姿を変えつつも、毎回、その奥深い音楽性が魅力的なPeople In The Boxの新作。前作「Weather Report」では、楽曲毎にCDのトラックをかえず、全71分1トラックというアルバムをリリースし、配信により1曲毎ばら売りになっている今の音楽シーンにある種の「挑戦」を挑んだ彼ら。本作もまた、いままでの彼らと異なる新たな挑戦を感じるアルバムになっています。

今回のアルバムの大きな特徴は鍵盤楽器を導入してきたという点。アルバムの冒頭を飾る「翻訳機」では、ピアノの美しい旋律とPeople In The Boxらしいノイジーなギターが融合した、実に美しい作品に仕上がっています。

他にも「おいでよ」「月」などピアノの音色を効果的に用いた曲が目立った今回の作品。全体的に爽やかな雰囲気の作品が多く、アルバム全体的には明るい雰囲気が目立ちます。このピアノの音色と彼らが書くメロディー、そしてボーカル波多野裕文のボーカルがピッタリとマッチ。あまりにも鍵盤楽器の音色が彼らの音に自然に溶け込んでいるのが、とても意外に感じました。

ただ、そんなアルバム全体を貫くトーンの中、アルバムの中1曲1曲、様々なタイプの曲が並んでいて、聴く者を飽きさせません。骨太なバンドサウンドを聴かせてくれる「影」や、軽快でファンタジックな雰囲気が魅力な「手紙」「花」、文語体の歌詞とソフトロック風なサウンドがちょっとキリンジっぽく感じられた「馬」などなど、楽曲の幅広さはいつも通り。そんな中でも歌詞やサウンドから感じられるファンタジックな雰囲気はいつものPeople In The Box。そういう意味では新たな作風に挑戦しつつも、バンドとしての芯の部分には変わらないものを感じました。

また今回のアルバム、サウンド的には明るい雰囲気を感じつつも、「もう大丈夫」では、「大丈夫」という歌に対して、不気味なギターノイズが重なっていたりする、どこか影を感じる作品もあったりするのがユニーク。あるインタビューでメンバー本人が「人によっていろいろな意見がありすぎる」と語っていましたが、どの曲をどの角度から解釈するかでいろいろな顔が見えてくるアルバムのようにも感じました。そういう意味ではこれからさらに何度か聴くうちに、さらに感じ方が変わってきそうな予感もします。

アルバム毎に様々な顔を見せ、リスナーを楽しませてくれる彼らの、新たに生み出された傑作。本作もまた、聴けば聴くほど新たな発見があってはまっていきそうなアルバム。とりあえず数回聴いただけなのですが、まだまだこのアルバム、長く楽しめそうです。

評価:★★★★★

People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul
Ave Materia
Weather Report

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (9/20)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。本格的なフェスシーズン到来し、続々と新情報が入ってきています。11月頃まで週1で更新予定です。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【Folk】【R&B/Soul】【Blues】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

9/20更新
<出演者追加>
OTONOTANI2014、21st ANNIVERSARY ZIP AUTUMN SQUARE、TOYOTA PUNK CARNIVAL、リゾームビルディング
<終了>
イナズマロックフェス2014、第3回四日市JAZZフェスティバル、Russeluno 14STRINGS

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報2014 (9/20)"

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2014年9月19日 (金)

久々の新作もスタンスは不変

Title:Where The Light Remains
Musician:HAWAIIAN6

哀愁あふれるメロディーラインが人気を集めるメロコアバンドHAWAIIAN6のニューアルバム。ちょっと意外なことに、フルアルバムとしては前作「BONDS」から約5年ぶり、ミニアルバムでも前作「The Grails」より約1年8か月ぶりという、久々の新作。その間、ベーシストのRYOSUKEが脱退し、新ベーシストのGUREが加入するなど、バンドの体制にも大きな変化がありました。

そんなバンドの体制を変え、新たな一歩をスタートさせた彼らの新作。ただ、特設サイトの映像の中でYUTAが「バンドをはじめた時からテーマを一度も変えていない」と語っていますが、その言葉の通り、今回の新作でも基本的に彼らのスタンスは不変。歌詞にしてもメロディーにしてもHAWAIIAN6のスタンスに大きな変化はありません。

PVが作成された「Wisdom Tree」でも基本的にいままでの彼らと同じく、歌謡曲の影響すら感じられるような哀愁感たっぷりのメロディーが大きなインパクトとなっています。若干一本調子な部分とある種のベタな部分は感じるのですが、やはり日本人の壺をついてくるようなそのメロディーラインは耳をひくものがあります。その魅力は久しぶりの新譜でも変わっていません。

ただ一方でPVを作成されたもう1作である「Forever Young」ではメジャーコードのメロディアスな作風になっており、こちらはHAWAIIAN6らしいというよりも、いかにもメロコアといった雰囲気のポップなメロディーが特徴となっています。今回のアルバム、他にも「Break Your Fate,Make Your Way」のようなポップなメロが特徴的な作品も多く、アルバムの中でのひとつのインパクトとなっています。

全英語詞の歌詞の世界も基本的にいままでと同じスタンス。現実を直視した上で前向きのメッセージを発する彼らの歌詞にも変化はありません。思えばメロコアというジャンルのバンド、彼らがデビューしたころは数多く活動をしていました。ここ最近、確かにハードなロックバンドは多大な人気を博していますが、その多くはマキシマム・ザ・ホルモンにしろFACTにしろへヴィーなハードコア系のバンドがメイン。彼らのようなパンク色の強いメロコアバンドは一時期に比べて数が少なくなってしまったようにも感じます。

彼らの今回のアルバムも、ベスト10入りを続けていたいままでのフルアルバムと比べて最高位14位と残念ながらベスト10入りは果たせなかったように、一時期に比べれば若干人気は下向きになっている点は否定できません。ただそんな状況の中、そのスタンスを変えず活動を続ける彼らの姿には自分たちの活動に対する確固たる自信を感じさせます。今回のアルバムはある意味実に彼ららしい作品になっており、若干のマンネリ地味も否定はできません。ただそれでもそんな中で彼らの作品に対する自信を感じさせる内容になっているように感じました。

評価:★★★★

HAWAIIAN6 過去の作品
BONDS
The Grails

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2014年9月18日 (木)

大人のミュージシャンが1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートはサザンが1位でしたが、アルバムチャートも「大人」なミュージシャンが1位獲得です。

アルバムチャートで1位は竹内まりや「TRAD」。女性に対して年齢の話は失礼かもしれませんが、今年59歳となる彼女は、これが女性では史上最年長の1位獲得。まだ、80年代90年代00年代に続き2010年代の「4年代」1位獲得は史上初の快挙だそうです。

参考サイト 【オリコン】竹内まりや、女性最年長59歳で1位 史上初「4年代連続」首位も達成

ちなみにオリジナルアルバムでは2007年の「Denim」以来7年ぶり。初動売上11万8千枚は、さすがにその「Denim」の22万枚(1位)よりダウン。ここらへんはCD自体の売上の縮小という要因も大きそう。直近作は2008年のベスト盤「Expressions」で、こちらの初動30万5千枚(1位)からもダウン。

2位はK-POPの新人男性アイドルグループWINNER「2014 S/S -Japan Collection-」がランクイン。オーディション番組「WIN:Who Is Next」だそうで、BIGBANGが所属するYG ENTERTAINMENTが満を持して送り出したグループだとか。それだけ力の入ったグループらしく、そのかいもあって、いきなりの2位初登場という結果となりました。

3位初登場は人気女性声優南條愛乃とミュージシャン八木沼悟志のユニット、fripSide「infinite synthesis 2」。シングルではコンスタントにヒットを飛ばし、1位も獲得したことある彼らですが、アルバムチャートでは初のベスト3ヒット。初動売上1万9千枚は前作「Decade」の9千枚(16位)より大きくアップ。

続いて4位以下の初登場。まず5位に「アルドノア・ゼロ オリジナル・サウンドトラック」がランクイン。TOKYO MX他で放送中の「ALDNOAH.ZERO」のサントラ。今週のシングルチャートでは、同番組のエンディングSawanoHiroyuki[nZk]「A/Z|aLIEz」がベスト10入りしましたが、本作はその澤野弘之が手掛けたサントラとなります。

7位にはさだまさし「第二楽章」が入ってきました。初動1万1千枚はオリジナルとしての前作「もう来る頃。」の1万枚(9位)より微増。直近のベスト盤「天晴~オール・タイム・ベスト~」の3万7千枚(7位)よりはダウン。ちなみにジャケット写真は若い日のさだまさしをイメージした俳優高杉真宙の写真が起用されていますが、100枚に1枚の割合でさだまさし本人の今の写真が使用されているとか。かなりレアなジャケ写になりそうです。さすがにこれ目当てに100枚買うファンはいないとは思いますが(笑)。

9位には、人気女性声優茅原実里のベスト盤「SANCTUARY ~Minori Chihara Best Album~」がランクインです。昨年、B面ベストはリリースしていましたが、本格的なベスト盤としては本作が初。ただ初動売上9千枚は直近のオリジナル「NEO FANTASIA」の1万枚(10位)よりダウン。コアなファン以外への訴求力の弱さを示す結果となりました。

そして最後、10位には清木場俊介「MY SOUNDS」がランクイン。初動8千枚は、直近作の再録ベスト「唄い屋・BEST Vol.1」の2万1千枚(5位)よりダウン。オリジナルとしての前作「FIGHTING MEN」の9千枚(12位)より微減。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年9月17日 (水)

やはりサザン強し!・・・だが

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週はベスト10総入れ替えのチャートとなりました。

そんな中、強いのはやはり彼ら!サザンオールスターズの新曲「東京VICTORY」が見事1位獲得です。復帰後初となる前作「ピースとハイライト」は彼らの主張が前に出たような社会派な歌詞が印象的なナンバーでしたが、新作は爽やかなポップチューンである意味売れ線路線。ただし、初動売上は前作の20万7千枚(1位)から9万2千枚と大きくダウン。前作は復帰後初シングルということで話題性も大きかったとはいえ、今回の大幅ダウンはちょっと厳しい結果かもしれません。

2位はEXILE所属事務所の女性アイドルグループE-Girls「Highschool love」。初動6万1千枚は前作「おどるポンポコリン」の3万1千枚(5位)よりアップ。MUSIC CARD28種のドーピング付は前作の29種と同様ですが売上を伸ばしてきました。キャバ嬢みたいなこのグループと「ちびまる子ちゃん」の相性が悪かったのか?

3位は韓流。男性アイドルグループB1A4「SOLO DAY-Japanese ver.-」。カントリー風ポップスはちょっと韓流のイメージとは違った雰囲気も?前作「イゲ ムスン イリヤ ~なんで?どうして?」から順位、初動枚数(4万7千枚)ともに横バイ。

4位以下も初登場がズラリ。4位にはジャニーズ系。中山優馬「Get Up!」がランクイン。ビートの強い今風のEDMのアレンジですが、メロは聴きやすいアイドルポップになっています。初動3万4千枚は前作「High Five」(3位)より、こちらも横バイ。

5位は女性アイドルグループ夢みるアドレセンス「証明ティンエイジャー」。これが2作目のベスト10ヒット。前作「マワルセカイ」に続いての2作目のベスト10入り。初動1万9千枚は前作の1万3千枚(10位)からアップ。火曜日発売でのデイリー1位狙いが功を奏したか?

6位初登場はMAY J.「本当の恋」。アナ雪の「Let It Go~ありのままで~」のヒットや、「関ジャニの仕分け∞」でのカラオケ女王などで話題を博し、カバーアルバムもヒットを記録していますが、意外なことにシングルではこれがはじめてのベスト10入り。TBSテレビ系ドラマ「同窓生~人は、三度、恋をする~」挿入歌。そのボーカルを存分に聴かせるバラードナンバー。カバー曲ばかりが話題となった影響か、ネット上ではバッシングの対象になりがちな彼女ですが、見事オリジナル曲でのベスト10ヒット。初動1万6千枚は前作「Rewind」の2千枚(30位)から大きくアップし、カバー曲に頼らずとものブレイクとなりました。

7位もこれが初のシングルベスト10ヒットとなる男性アイドルグループPrizmaX「REBORN」。ももクロなどでおなじみのスターダストプロモーション所属のユニットですが、楽曲自体はよくありがちなEDMチューン。初動売上1万5千枚は前作「take me」の5千枚(14位)より大幅アップ。

初動売上8位には女性アイドルグループCLEAR'S「ビ・ビ・ビ・ビューティー!!!」がランクイン。お掃除ユニットをコンセプトとしたアイドルグループらしく、東京を活動主体とするこのCLEAR'S以外に名古屋や川越、熊本などを拠点とするグループがいるそうです。こちらも初のベスト10ヒット。

9位にはSawanoHiroyuki[nZk]「A/Z|aLIEz」が初登場。アニメ「アルドノア・ゼロ」エンディング・テーマ。数々のドラマや映画、アニメなどの音楽を担当している音楽家澤野弘之が、ボーカルをメインに押し出したプロジェクト。アルバムでのベスト10入りはあったのですが、これがはじめてのシングルでいきなりのベスト10ヒット。のびやかなボーカルと打ち込みのアレンジが特徴的な爽やかなポップス。斬新さみたいなものはありませんが、アニソン独特の雰囲気はなく、アニソンとしてヒットはしているものの、広い層に支持を受けそうなポップスに仕上がっています。

そしてシングルチャート最後10位にはDAIGO「CHANGE!!」がランクイン。BREAKERZのボーカルとしても活躍中のDAIGOのソロシングル。90年代風の爽快なビートロックのナンバー。初動売上1万4千枚は前作「BUTTERFLY」の1万6千枚(7位)よりダウンです。

ベスト10総とっかえだった今週のシングルチャートは以上。今週は6位から9位までシングルでは初のベスト10ヒットとなるシングルが並びました。アルバムチャートはまた明日に。

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2014年9月16日 (火)

もう一癖ほしいような

Title:シングルコレクション19-24
Musician:阿部真央

シンガーソングライター阿部真央の初となるベストアルバム。今年24歳となった彼女ですが、このアルバムタイトル、彼女が19歳から24歳の時に書いたシングルを収録していることからこのようなタイトルとなったそうです。

阿部真央の作品については2010年にリリースされた「ポっぷ」を聴いたきりアルバム単位では聴いていません。「ポっぷ」以来聴いていない理由は言うまでもなくそのアルバムの出来がいまひとつと感じたから。ただその後のアルバムもコンスタントにチャートでベスト10入りするなど高い人気を維持しており、今回のベスト盤で久しぶりに彼女の作品をまとめて聴いてみました。

ちなみに私が「ポっぷ」をいまひとつだと思った最大の理由は、その音楽性にあまりに統一感がなかったから。エレクトロポップから弾き語り、ノイジーなギターロックなどなど、アルバム1枚聴いてもどこに阿部真央というミュージシャンがいるのか、感じ取れませんでした。

久しぶりに聴いたベストアルバム。このアルバムでも確かに様々なタイプの曲が収録されています。「伝えたいこと」は骨太な感じの作品ですし、「ロンリー」はちょっとチャットモンチー?といった雰囲気のギターロック、「側にいて」はピアノとストリングスでしんみり聴かせる作風となっています。

ただあまりにバラバラだった「ポっぷ」と比べると、シングルをあつめたベスト盤ではさすがにそれなりに阿部真央としての統一した方向性を感じました。基本的にはギターサウンド主体のポップスロックであること。また歌詞については等身大の女の子を描いた作品が多いこと。メロディーにしろ歌詞にしろそれなりにインパクトもあり、一定の人気を確保している理由もわかります。

その一方、その作風については良くも悪くもありがちな、無難なポップスロックといった印象も受けました。完成度が高い作品という言い方もできるのですが、良くも悪くも端正な作風に面白味が欠け、もう一癖ほしいようにも感じます。イメージとしてはYUIや家入レオとも似たタイプのように感じ、そういう意味でもここ最近よくありがちな、という印象も。ただYUIや家入レオほど一発で覚えられるようなキラーフレーズがない点、アルバムでそこそこのヒットを記録しても、シングルで大きなヒットがない理由のようにも思いました。

素直なポップスロックという意味では広い層の支持は受けそうなタイプの作品。そういう意味ではYUIや家入レオあたりが好きなら聴いて損はなさそう。またアルバム1枚におさめているので入門盤として本作は最適という感じもします。ただもうひとつ、壁を越えてほしい印象が。

評価:★★★★

阿部真央 過去の作品
ポっぷ

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2014年9月15日 (月)

25年目の区切りと挑戦

Title:ATTACK25
Musician:Dreams Come True

タイトル通り、デビュー25周年を迎えるドリカムのニューアルバム。タイトルはどこかで聞いたことあるようなタイトルなのですが・・・そりゃあ「25」といったら「アタック」だよね(笑)。

そんなユーモアさを含んだ今回のアルバムなのですが、デビュー25周年ということでいままでの活動を振り返ったような楽曲が目立つ内容になっています。「あなたにサラダ以外も」はタイトルからして「あなたにサラダ」の続編ですし、「MONKEY GIRL -懺鉄拳-(懺鉄拳の懺は懺悔の懺)」はいままでの彼女たちの作品にたびたび登場している「モンキーガール」シリーズの続編。「愛がたどりつく場所」は中村正人曰く「新しい『うれしい!楽しい!大好き!』」ということですし、「愛して笑ってうれしくて涙して」というタイトルも「うれしい!楽しい!大好き!」がさらに一歩感情として成長したようなタイトルに感じます。

特に感慨深いのが「あなたにサラダ以外も」の歌詞で、

「横入りするおばちゃまにも負けず
切って盛っていたら いつのまにか
わたしもそんな年になりました」

(「あなたにサラダ以外も」より 作詞 吉田美和)

なんて歌詞は「MILLION KISSIES」をリアルタイムで聴いていた世代としては、自分も歳をとったなぁ、と感じ入るものがあります。この曲以外に関しても、男女の関係が「恋人同士」から「夫婦」にかわり、「恋」が「愛」に変わり、「大好き」が「愛してる」に変わり、年齢とともに成熟していく様子が感じられ、そういう意味ではまさに25年のキャリアが反映された内容になっているように感じました。

しかし、一方で目立ったのはあらたな挑戦という側面。例えばこの「あなたにサラダ以外も」では多重録音でのアカペラに挑戦していたり、「ONE LAST DANCE,STILL IN A TRANCE」のギターはよりファンキーさが増したサウンドを響かせてくれていたり、「I WAS BORN READY!!」では強いビートの打ち込みを大胆に導入してきたりと、25年目にしてマンネリに陥らず、あらたな一歩を進もうとする彼女たちの姿を感じます。

このアルバムの前半は、そんな挑戦的な作品が並んでいます。いまだに音楽に対する旺盛な好奇心と、そしてミュージシャンとしての勢いを感じさせる展開は、25年目というベテランらしさをいい意味で感じさせない内容。正直、やりたいことを詰め込みすぎている部分も否めず、特に「あなたにサラダ以外も」は、個人的には「あなたにサラダ」のようなシンプルなアカペラ路線の方が好みなのですが、そんなマイナス部分以上にプラスの部分を強く感じさせる内容になっていました。

そしてうってかわって後半はドリカムの王道路線ともいえる内容。ここ最近リリースされたシングル曲がズラリと並び、ベスト盤的な様相もみせる構成になっています。スケール感たっぷりで盛り上がる「さぁ鐘を鳴らせ」や、CMで聴き馴染みあるフレーズをうまく取り込んだ哀愁路線の「MADE OF GOLD -featuring DABADA-」などなど、様々な方向性のドリカムらしさを感じさせる曲が並んでいます。ファンが期待するような作品も、いまなお決して衰えることない魅力たっぷりの楽曲を作ることが出来る、そういう彼女たちの自信を感じることができる内容になっています。

ドリカムというミュージシャンの実力と奥深さをあらためて実感できた傑作。25年、トップを走りつづけるその実力は伊達ではありません。そんなことを嫌というほど実感できた作品でした。

評価:★★★★★

Dreams Come True 過去の作品
AND I LOVE YOU
DO YOU DREAMS COME TRUE?
LOVE CENTRAL
THE SOUL FOR THE PEOPLE~東日本大震災支援ベストアルバム~


ほかに聴いたアルバム

one/FIRE BALL

完全にポップ路線に移行したFIRE BALLの新作。夏の海辺で爽やかに流れてきそうなラテンなパーティーチューンの連続。メロディアスな楽曲はそれなりに楽しめるし、エレクトロ路線からアコギ1本での曲までバラエティーはあるのですが、もうひとつガツンと来るパンチがないような印象が否めません。ポップ路線になってからずっと感じているのですが・・・。

評価:★★★

FIRE BALL 過去の作品
DON'T LOOK BACK
ZERO
NEW ERA~Call This Love~

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2014年9月14日 (日)

最後までNIRGILISらしく?

Title:チュクリ
Musician:NIRGILIS

今年8月、メンバー全員の脱退という形をもって、事実上の解散となったバンドNIRGILISのラストアルバム。2005年にリリースした「コモンガール」が、渡辺美里の「My Revolution」をマッシュアップした曲ということで話題になったり、「sakura」がアニメ「交響詩篇エウレカセブン」のテーマ曲となりスマッシュヒットを記録したりもしましたが、その後はすっかり活動が停滞気味になってしまった彼女たち。オリジナルアルバムの前作も2009年。ちょっと寂しい最期になったかもしれません。

そんな彼女たちのラストアルバムは2枚組。1枚目は様々なミュージシャンとのコラボ曲を収録した新作コラボレーションアルバム。2枚目はインディーズ時代の曲も含む彼女たちのシングル曲をリリース順に収録したシングルコレクションです。

今回、事実上の解散を「全員の脱退」という形をとった理由としてインタビュー等で、NIRGILISには既にオリジナルメンバーは誰もおらず、誰のものでもないため、とメンバーは語っています。そしてこのNIRGILISは誰のものでもない、という感覚、良くも悪くもこのバンドの音楽性に反映しているように感じます。

それはシングルコレクションを聴いて強く感じるのですが、NIRGILIS全体を通じて一本通ったような音楽性は感じることが出来ません。インディーズ時代はポストロックあるいはサイケ風の路線を強く感じますし、初期の作品にはブラックミュージック的な要素も感じます。それが「コモンガール」ではマッシュアップという手法を取り入れたかと思えば、アニメタイアップもついた「sakura」や「SNOW KISS」では一気にポップの要素が強くなり、悪くいってしまえば「売れ線」路線に感じます。

そして「kiseki」やラストシングルになった「SHINY SHINY」ではエレクトロ路線に走り、それが最後のコラボアルバムにも大きく反映しています。良く言えばその時々にメンバーがいいと思ったジャンルを柔軟に取り入れて音楽性を変化させるバンド。でも悪く言ってしまえば、バンドとしての核がない、とも感じてしまいます。NIRGILISはDefSTAR RECORDS移籍後、一気に売れ線ポップバンド路線に走り、それが一部で話題にもなりました。インディーズ時代の楽曲から、メロディーが意外とポップという点に目をつけられたための路線変更だったのかもしれませんが、バンドとしての核のなさゆえに「売れ線ポップバンドとして売っていける」とレコード会社側に感じさせてしまったようにも思われます。

これでメロディーに圧倒的なポピュラリティーがあったらよかったのかもしれませんが、残念ながらポップなメロディーはそれなりに耳を惹くのですが、一度聴いたら忘れられないようなインパクトは薄く、結果、アニメタイアップの影響もありそれなりのヒットとはなりましたが、ブレイクには至りませんでした。そしてその理由が、今回のシングルコレクションでは痛いほどよくわかったように思います。

新作コラボアルバムの方は、全編、今風のEDM路線がさく裂しているアルバム。ここらへんも今の彼女たちの興味のありかということでしょう。「SHINY SHINY」はエレクトロ路線よりでしたが、さらにEDM路線に走ったラスト作でまたしても音楽性を変貌させた彼女たち。最後の最後までNIRGILISらしいといった感じでしょうか。トラック重視の作風はメロディーなしでも十分成り立ちそうな曲ばかりで、ライブで聴いたら楽しそう。ただ正直なところ、ちょっと新鮮味はなかったかな、という感じも否めませんが・・・。

まあ、最後の最後もNIRGILISらしく終わったのかな?社交辞令的に言えば、「これで最後というのはとても残念です」ということになるのでしょうが、ただNIRGILISとしての活動ももう限界が来ていたのかなぁ、という感じも。メンバーそれぞれのこれからの活躍に期待したいところです。

評価:★★★★

NIRGILIS 過去の作品
RGB


ほかに聴いたアルバム

MANTLE/Czecho No Republic

最近、その名前をよく聴く新人バンドの一組、Czecho No Republic。これで「チェコノーリパブリック」と読むそうで、その名前もインパクトがあります。こちらの作品はメジャー2枚目となる作品。男性4人+女性1人という布陣で、楽曲のジャンルはロックというよりもむしろポップといった印象。シンセを積極的に使用したサウンドは祝祭色の強い雰囲気を出しており、また唯一の女性メンバータカハシマイのボーカルもうまく使用しており、素直に楽しいポップソングを聴かせてくれます。シンセ主体のサウンドにはちょっとチープさを感じてしまう部分もあるのですが、これからの活躍にも期待したいところ。

評価:★★★★

Big Wave (30th Anniversary Edition)/山下達郎

1984年にリリースされた山下達郎のアルバムの30周年記念盤。ウォルター・マルコネリー監督のドキュメンタリー映画のサントラとして作成されたそうですが、前半(A面)は書下ろし、後半(B面)はビーチボーイズのカバーを中心とした構成。全英語詞によるアルバムで、サントラ盤とはいえ、かなり挑戦的なアルバムになっています。原盤を持っていないので、オリジナルとの聴きくらべはしていないのですが、重厚なアカペラの音が実に気持ちよさを感じるアルバムに。リマスナーの内容について熱心なファンには賛否両論のようですが、個人的には素直に気持ちよく楽しむことが出来たアルバムでした。

評価:★★★★★

山下達郎 過去の作品
Ray of Hope
OPUS~ALL TIME BEST 1975-2012~
MELODIES(30th Anniversary Edition)
SEASON'S GREETINGS(20th Anniversary Edition)

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2014年9月13日 (土)

純和製のグルーヴ

Title:ぞめき伍 個性派 徳島 高円寺 阿波おどり個性派

今回紹介する「ぞめき」シリーズは、徳島の阿波踊り、そしてそこから伝播した高円寺の阿波踊りを録音した作品。もともと、ミュージシャンで音楽プロデューサーの久保田麻琴が高円寺の阿波踊りにふれ、そのリズムと歌に感銘し、録音におさめた「ぞめき」がリリースされたのが2010年。その内容は多くの音楽ファン、特にワールドミュージックのリスナーを魅了し大きな話題となりました。ちなみに「ぞめき」とは「騒ぐこと、にぎわうこと」。阿波おどりでは街に繰り出し音楽にのることを言うそうです。

その後高円寺のみならず本場徳島の阿波踊りの模様を録音し、リミックス盤もふくめて4枚のアルバムをリリース。どれも話題になりましたが、本作はその5作目。今作ではタイトル通り、個性的な「連」(踊り手の集団)の録音を収録。また、5作目にしてはじめて、徳島と高円寺の共演となっています。

その「ぞめき」シリーズ、今回5作目にしてはじめて聴いてみました。そこで流れてきたのは太鼓と鉦のリズムに笛の旋律がなるサウンド。阿波踊りを実際に見たことのあるなしに関わらず、おそらく日本人にとっては多かれ少なかれなじみのある「音」。そのため、チラッと聴いただけだと「ああ、よくありがちなお祭りの音ね」なんて聞流してしまいそうになります。

が、徐々に聴きすすめていくと、私たちにとって耳なじみあるはずのサウンドが実は非常にどす太いグルーヴに支えられていることに気が付きます。重低音の太鼓の音は実に迫力があり、その重低音のリズムと高音の鉦の鳴り響くリズムの組み合わせはリスナーを軽くトリップさせられるほどの威力があります。特に笛のメロディーとあわせてミニマル的に繰り返すリズムとメロディーによって、そのトリップ感は威力を増し、リスナーをグイグイと惹きこんでいきます。

そんな中でもおもしろいのは、聴き進めるうちに「連」ごとに微妙にリズムが異なるということに気が付きました。「花菱連」はちょっと裏が入ったようなファンキーなリズムがむしろどす黒さすら感じられますし、「武秀連」はハイテンポな太鼓のビートが心地よく、途中からリズムの軽快さが増すのも惹きこまれます。「華純連」は細かく刻んだビートが独特で、これもトライバルな響を感じさせます。

まさに「純和製のグルーヴ」と言えるこれらのサウンドは、日本とは遠い存在のように感じられるアフリカのグルーヴを彷彿とさせるような部分もあるのでは?時として「リズム感がない」と言われる日本人ですが、そんな日本でこんなビートが産みだされているという事実が、「リズム感がない」という認識をあらためる必要があるかもしれません。

ただひとつだけ、個人的に気になっている部分があります。それは私がいままで「ぞめき」シリーズを話題になっているのを知りながらも5作目までなんとなく聴いていなかった理由なのですが、阿波踊りのような土着文化にからんだ伝統芸能を、徳島以外で演るってのはどうなんだろう?という疑問。久保田麻琴はこれをレゲエに例えて「徳島がジャマイカなら、高円寺はイギリス」と言っているそうなのですが、ポピュラーミュージックのレゲエと伝統芸能の阿波踊りではちょっと違うような・・・いや、高円寺の阿波踊りを否定するわけではなく、このアルバムでも素晴らしいグルーヴを聴かせてくれているのは間違いないのですが・・・この疑問は残念ながら、このアルバムを聴いても消えませんでした。

もっともそんな疑問を差し引いても、このアルバムから鳴り響くグルーヴにすっかりはまってしまいました。つーか、純粋に阿波踊りを見てみたくもありましたし(笑)。CDの帯に、「平板な8ビート・ロックや4つ打ち・ビートに少しでも疑問を持つなら聞くべし。」と書かれています。個人的に8ビート・ロックや4つ打ち・ビートも好きなんですが(笑)確かにこのグルーヴ感は圧巻。疑問を持っていなくても聞くべし。

評価:★★★★★


今、そこにある明滅と群生/高橋優

シンガーソングライター高橋優の最新作。現代風俗を、ありのままの姿で鋭く描写した内容の歌詞がインパクトのあるシンガー。本作でも「ニコ生」やら「LINE」やら「今」な言葉をこれでもかというほど詰め込んだ歌詞がインパクト大。基本的には「いろいろある世の中だけど、そんな中で自分を失わず前に進もうよ」というスタンス。ただ、アルバム全体として本作ではその主張が激しすぎ、かつ、内容を詰め込みすぎな印象を受けました。この傾向は正直いままでの作品にもあって、気になる部分ではあったのですが、本作についてはそれがより強くなってしまった感じが。もうちょっと「引いた」部分や余裕を持ったようなお遊びに部分があればより良いと思うんだけど。

評価:★★★★

高橋優 過去の作品
リアルタイム・シンガーソングライター
この声
僕らの平成ロックンロール(2)
BREAK MY SILENCE

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (9/13)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。本格的なフェスシーズン到来し、続々と新情報が入ってきています。11月頃まで週1で更新予定です。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【Folk】【R&B/Soul】【Blues】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

9/13更新
<開催決定>
NAGO-STEP 2014、TOYOTA PUNK CARNIVAL、Merry ROCK PARADE
<出演者追加>
Russeluno 14STRINGS
<Time Table発表>
CHITAHANROCK R247 2014 MOSH PIT
<終了>
UTSUMI MUSIC FESTIVAL Summer Land 2014、TREASURE05X

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報2014 (9/13)"

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2014年9月12日 (金)

ブルースに真摯に向き合う

Title:Step Back
Musician:Johnny Winter

今年7月、70歳でこの世を去ったギタリスト、ジョニー・ウィンター。CBSからデビューした際の契約金が多額であったことから「100万ドルのギタリスト」の異名を持ち、その名前にたがわぬ実力から数多くのミュージシャンたちを魅了してきました。しかし長らく日本に来日しておらず、「来日していない最後の大物」と呼ばれてきましたが2011年、ついに初来日公演。その後、よっぽど日本を気に入ったのか2012年にも来日し、さらに2014年にも来日公演を行っています。それだけに7月の急逝のニュースは多くのファンを驚かせました。

そんな彼が生涯にわたりプレイしてきたのは黒人のブルース。このアルバムはそんな彼のルーツであるブルースの曲を数多くカバーしたカバーアルバム。2011年にそのものズバリ「Roots」という名前で同じくカバーアルバムをリリースしていますが、本作はそれに続く第2弾ということになります。

選曲は、そんなブルースの名曲がズラリ。Howlin' Wolfの「Killing Floor」やLightin' Hopkinsの「Mojo Hand」などなどの有名曲が並んでおり、ブルースに対する深い憧憬を感じさせる一方、1曲目を飾るのがRay Charlesの「Unchain My Heart」だったりLittle Richardの「Long Tall Sally」をカバーしていたりとロックという枠組みにとらわれない、ルーツミュージックに対する愛情を感じさせてくれます。

私自身、4月の来日公演にかけつけ、はじめて彼のライブを見ました。正直な感想としては、やはり声の衰えはいなめず、ギタープレイにしてもやはり、おそらく往年に比べると・・・といった感じで、ちょっと控えめな演奏に物足りなさも感じました。一方ではアンコールでは本編から一変し、ギュンギュンとパワフルなギタープレイを聴かせてくれ、「100万ドルのギタリスト」の片りんを感じさせるプレイも聴かせてくれました。

今回のアルバムに関していえば、確かにライブで見た時と同じく、ギタープレイにしても声にしても、どこか衰えという部分は隠せません。ただ、やはりスタジオ録音ということもあるのでしょうが、ライブで見た時よりもパワフルな演奏を聴かせてくれています。なによりルーツミュージックを1曲1曲丁寧にカバーしていくスタイルには、自身のルーツに対する愛情を強く感じます。

なによりもブルースという音楽は、必ずしも歳をとるということが音楽に対するマイナスに作用しない音楽。このアルバムの中でも特にSon Houseの「Death Letter」はアコギ一本で絞り出すような声で聴かせるプレイが心をうちます。この曲に関しては70歳の彼だからこそ演奏できた曲のように感じました。

結果として遺作となってしまった本作。ファンにとっては、それだけに思い入れなしには聴けないアルバムだと思います。また、その最後のアルバムが、彼のルーツをカバーしたアルバムだったというのも、彼らしい、と言えるのかもしれません。最後の最後まで素晴らしい演奏を聴かせてくれた彼。あらためてご冥福をお祈りします。

評価:★★★★

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2014年9月11日 (木)

こちらも男性グループが上位に

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートでは男性陣が上位を占めましたが、アルバムチャートも上位は男性陣が並びました。

そんな中、アルバムチャートも1位はやはりジャニーズ系。SMAP「Mr.S」が1位獲得です。今作も豪華な作家陣を起用していますが、目立つのはゲスの極み乙女。の川谷絵音が2曲も楽曲提供しているところ。こういう話題のミュージシャンを即起用するところが最近のSMAPの傾向に思えます。ただ初動18万4千枚は前作「GIFT of SMAP」の21万枚(1位)からはダウンしています。

2位は先週1位EXILE TRIBE「EXILE TRIBE REVOLUTION」がワンランクダウンで2位をキープしています。

3位にはファンキー加藤「ONE」がランクイン。元FUNKY MONKEY BABYSのボーカリストによるソロデビュー作。初動売上は3万4千枚。FUNKY MONKEY BABYSの最後のオリジナルアルバム「ファンキーモンキーベイビーズ5」の初動売上は8万2千枚(2位)だったので、そこから半減以下という厳しい結果に。ソロとしては少々厳しい船出となりました。

続いて4位以下の初登場です。まず4位には洋楽。日本でも人気の、アメリカのポップスロックバンドMAROON5「V」が入ってきています。初動売上1万9千枚は前作「Overexposed」の2万4千枚(5位)からダウン。

7位にはちょっと懐かしい名前が。元祖韓流とでも言うべきでしょうか、韓国の女性アイドルシンガーBoA「Who's Back?」がランクインしています。オリジナルとしては約4年7ヶ月ぶりとなる新作。ただし、内容はほとんどが既発表のシングル曲とカップリングで、事実上のベスト盤となっています。初動売上1万1千枚は前作「IDENTITY」の3万7千枚(4位)の3分の1というかなり厳しい結果に。やはり4年半の月日は長かった?

8位初登場は徳永英明「STATEMENT TOUR FINAL at NAGOYA CENTURY HALL」。タイトル通りのライブ盤で、彼にとってはこれが3作目のライブ盤だそうです。初動売上1万1千枚は直近作のオリジナルアルバム「STATEMENT」の2万枚(4位)から半減。まあライブ盤ということを考えると健闘した方かな?ちなみに前作のライブ盤は1994年にリリースした「Live1994」でこちらは初動7万9千枚(4位)を記録。さすがに時代が違う、ということで・・・。

9位にはクレイジーケンバンド「Spark Plug」が入ってきています。ご存じ横山剣率いる歌謡曲テイストの強い独特のロックを奏で、根強い人気を誇るバンド。初動売上9千枚は前作「FLYING SAUCER」の1万1千枚(6位)からダウン。

最後10位には「艦隊これくしょん -艦これ- KanColle Original Sound Track 暁」がランクイン。今人気のゲーム「艦隊これくしょん」のサントラ盤です。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年9月10日 (水)

男性グループが上位

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートの上位は男性陣が締める結果となっています。

そんな中1位はジャニーズ系。Hey!Say!JUMP「ウィークエンダー」が獲得しました。日テレ系ドラマ「金田一少年の事件簿N」主題歌。出だしの部分にちょっと大人っぽさを感じるナンバー。初動18万4千枚は前作「AinoArika」の20万7千枚(1位)よりダウン。

2位は韓流。男性アイドルグループB.A.P.「EXCUSE ME」が入ってきています。デビュー以来ハードコア風のラップを入れてきている彼ら。本作もまたハードコア風なラップが入っていますが、メロウなR&Bのメロディーが目立つナンバーに。初動売上5万枚は前作「NO MERCY」の4万枚(2位)よりアップ。人気上昇中。

そして3位はEXILE系。GENERATIONS from EXILE TRIBE「Always with you」。メロウなコーラスラインを聴かせるナンバーですが、上位3作の中では一番「無難なヒット曲」といった感じかも。日テレ系ドラマ「獣医さん、事件ですよ。」主題歌。初動売上4万4千枚は前作「NEVER LET YOU GO」の8万6千枚(2位)より大幅減。ミュージックカード8種のドーピング仕様でしたが、ドーピング効果が切れてきているのか?

続いて4位以下初登場ですが、男性グループはまだ続きます。4位初登場にポルノグラフィティ「俺たちのセレブレーション」。彼ららしいラテンっぽい雰囲気も含んだ歌謡ロック。初動売上2万4千枚は前作「東京デスティニー」(5位)から横バイ。

今週はまた、アニメのキャラソンがまとめてリリースされ、ベスト10圏内に並びました。

6位 TVアニメ「Free!-Eternal Summer-」キャラクターソング 03 松岡凛(Over the Dream)/松岡凛(宮野真守)
9位 TVアニメ「Free!-Eternal Summer-」キャラクターソング 05 竜ヶ崎怜(Coming Soooon!!)/竜ヶ崎怜(平川大輔)
10位 TVアニメ「Free!-Eternal Summer-」キャラクターソング 04 葉月渚(ボクカクメイ)/葉月渚(代永翼)

テレビアニメ「Free!-Eternal Summer-」のキャラソンシリーズ。初動売上は上位から1万7千枚、1万4千枚、1万4千枚。先々週に「01」「02」がランクインしており、橘真琴(鈴木達央)「TVアニメ『Free!-Eternal Summer-』キャラクターソングシリーズ Vol.2 橘真琴(流線の行方)」が10位にランクイン。その時の初動売上は1万5千枚だったのでほぼ同水準という結果に。ちなみに昨年の同時期に同じキャラクターによるキャラソンがランクインしており、昨年の松岡凛「Break our balance」は1万8千枚(7位)、竜ヶ崎怜「DIVE&FLY」は1万6千枚(8位)、葉月渚「FUN!!」は1万4千枚(10位)という結果。並び順はかわりませんでしたが、初動売上は微妙に減少(葉月渚のみ、14,283→14,732と微増)しています。

キャラソン含めて男性陣ばかりの中、唯一女性アイドルグループ初登場は7位NEO from アイドリング!!! 「キミといたナツ」。80年代あたりから使い古されたタイトルですね。女性アイドルグループアイドリング!!!の派生ユニット。初動売上1万6千枚は、先日の同じくアイドリング!!!からの派生ユニットHIP ATTACK from アイドリング!!!「黄金蟲」の1万8千枚(8位)を若干下回りました。

またベスト10返り咲きが1枚。SKE48「不器用太陽」が先週の21位から8位にランクアップ。8月25日付チャートより3週ぶりのベスト10返り咲き。例のごとく、通販発売分がまとめて集計された結果と思われます。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2014年9月 9日 (火)

歌声にゾクゾク

Title:オールタイム・ベスト-オリジナル-
Musician:中森明菜

80年代に松田聖子と並び称され一世を風靡した国民的アイドル中森明菜。現在、活動休止中ですが、レコード会社の枠を超えたベスト盤がリリースし大きな話題を呼んでいます。売上もオリコン上位に食い込んでくるなど大ヒットを記録。いまなお根強い人気を感じさせてくれる結果となりました。

ここでも何度か書いていますが、私が最近のアイドルに興味がなく惹かれない大きな理由のひとつが「声」だと思っています。いかにもアイドルらしい「私ってかわいいよね」みたいな声も苦手なのですが、それ以上にここ最近のアイドルは、誰もかれも声が平坦で無個性。おそらくグループの中で必要以上にひとりが目立たない「配慮」なのでしょうが、何人もいるグループのはずなのに、誰が歌っても一緒のような特色のない「声」ばかりが目立ちます。

最近のアイドルを評価する方が、なぜこの「声」の要素を見事なまでにスルーしているのか少々不思議なのですが、今、アイドルグループがたくさん出てきているのに「かわいい路線」「無個性で平坦なユニゾンボーカル」なグループばかり。そういう意味では個人的にはAKB48もももクロも大差がないと思っています。逆にこの「無個性」を逆手にとったPerfumeはおもしろいなぁ、と思っているのですが。

中森明菜のこのベスト盤を聴いてまず感じたのは、彼女はアイドルという以前にボーカリストとして実に魅力的だ、という点でした。デビュー曲の「スローモーション」こそまだ初々しさを感じられるのですが、その後はどんどんドスの効いたボーカルで凄みが出てきます。特にこのボーカルが一番生きていると感じたのは「十戒」から「飾りじゃないのよ涙は」「ミ・アモーレ」「DESIRE-情熱-」あたりではないでしょうか。ちょっとラテン風な曲調も彼女のボーカルに見事にマッチしていますし、迫力があって、それでいて色っぽいボーカルには思わずゾクゾクっとくるようなカッコよさがあります。

ただちょっと気になったのは今回のアルバムのDisc1に収録されている80年代の楽曲については、時代的なものは間違いなくあったと思うのですが、音がすごいチープだ、ということを感じました。打ち込みがメインのいかにも80年代的なサウンドで、今聴くと少々キツイな、と思う部分も。それだけに彼女の声がより魅力的に感じるのかもしれませんが、ちょっともったいない印象も受けました。

しかし、これらの曲をiPodに入れて街中で聴くと、意外とこのチープさが気にならなくなるから不思議。ひょっとしたらなんですが、80年代といえばテレビの歌番組の全盛期。これらの曲のアレンジって、テレビみたいに音響がかなり厳しい媒体を通じて聴くとちょうど良いように調整されている・・・ってことは考えすぎかなぁ。昔、モータウンの楽曲はあえてチープなラジカセで聴くとちょうどよいようなバランスで録音されていたように・・・。

Disc2に関しては90年代から2000年代に関してのシングルが収録。この時期の楽曲に関しては決して売上も芳しくなく、一般に知られているような曲もあまりありません。アレンジに関してはさすがにこの時期の曲にチープさは感じられないのですが、確かに楽曲的にも80年代の曲に比べるといまひとつ。全盛期よもう一度、的な中森明菜をひとつの型にはめてパターン化したように感じられる曲も多く、アイドル受難の時代と言われた時期なのですが、それを差し引いてもこれじゃあ売れないよな、と感じてしまいます。

ただそんな中、小室哲哉作曲による「愛撫」「MOONLIGHT SHADOW-月に吠えろ」の出来がずば抜けているように感じます。どちらも典型的な小室ソングなのですが、これが中森明菜の声にピッタリ。なにげに両者の相性の良さをうかがわせます。もし今後、中森明菜復活ということがあったら、小室哲哉作曲で、ということはいかがでしょうか。

そんな訳で、中森明菜のボーカリストとしての実力を感じさせ、ゾクゾクするような曲もある反面、ちょっと物足りなさを感じる部分もチラホラあったのもちょっと残念な感じ。ただそれを差し引いても、全盛期の彼女をリアルタイムで知らなくても間違いなく聴く価値あり!な作品です。でも、今の時代、アイドルグループばかり雨後の竹の子のようにあらわれてるのに、彼女みたいな「ボーカリスト」としての魅力的なアイドルってのは産まれないんでしょうかね。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

NEW YANKEE/ANARCHY

まさかのメジャーデビュー作となるANARCHYのニューアルバム。正直言えば、悪い意味でメジャー化しちゃったなぁ、といった印象。前半は明るいパーティーチューン主体で「ワルイ俺らの日常」を描き、自分たちの世界のプラスの局面を描きながら、中盤「MOON CHILD」では下流社会の現実を描いて、自分たちの世界のマイナスの局面を描く構成は見事・・・ながらもネタとしてはちょっと出尽くしちゃっている感じ。後半「CRY」ではラップ+サビは女性ボーカルによるポップという、こちらも今更感のある着うたヒット狙い?な曲が入っていたりして・・・。聴きやすいといえば聴きやすいけど、メジャーリリースによる「売り」狙いが露骨に見えているのがキツイ。前作でフリーダウンロードによる「DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)」が素晴らしい出来だっただけにかなり残念な印象。これで、もっとへヴィーな内容の作品をいきなりフリーダウンロードでリリースしてきたらおもしろいんだけど・・・。

評価:★★★

Anarchy 過去の作品
Dream and Drama
Diggin' Anarchy
DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)

witness/FACT

FACTの新作は、相変わらずハードコア路線が主体ながらも、メタルからパンク、オルタナ系ギターロックまで幅広い音楽性を取り入れながらも、基本的にはへヴィーなバンドサウンドでガツンと来るようなサウンドを聴かせてくれています。勢いがなくちょっと散漫に感じられた前作から、同じ幅広い音楽性ながらも勢いが戻ってきた感じが。ただまだ感じられる散漫さはインパクトを弱めている印象も。

評価:★★★★

FACT 過去の作品
FACT
In the blink of an eye
burundanga

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2014年9月 8日 (月)

よりバンド色が強く

Title:Live At 大牟田ふじ
Musician:ZAZEN BOYS

Live_at_fuji

先日、急きょフリーダウンロードでリリースされたZAZEN BOYSのライブアルバム。8月23日に福岡は大牟田の「大牟田ふじ」で行われたライブの模様を収録した作品です。全21曲入り。(現時点での)最新アルバム「すとーりーず」を中心としたセットリストとなっています。

ここ最近の(といっても私が最後に見たのは昨年の「森、道、市場」でのステージですが)ZAZEN BOYSのライブの特徴として感じるのは、CDの印象とライブの印象が大きく異なる、という点です。CDでは向井秀徳のワンマン、という印象を強く受けるのに対して、ライブではバンドサウンドを前に押し出した、より「ロックバンド」らしいステージを見せてくれる、そんな印象を受けます。

このライブアルバムも、CD音源とは全く異なるZAZEN BOYSをパッケージした内容になっています。まさにライブのステージ上だけで繰り広げられるZAZEN BOYSの世界を切り取った「記録」。具体的に言えば、1曲目の「Honnoji」はジャム風の演奏からスタートしてバンドという側面を前面に押し出していますし、「The Days Of NEKOMACHI」「天狗」などバンドサウンドを前面に押し出した作品が中盤以降も続きます。

そして本編ラストの「Riff Man」はハードロックなギターリフをカッコよくキメてくるナンバーで、まさにバンドサウンドからはじまるバンドサウンドに終わる構成になっています。そしてその後の「Asobi」がうってかわってエレクトロちっくなディスコ風のナンバー。本編とはちょっと異なる雰囲気のナンバーで会場を盛り上げ締めくくる構成も見事です。

全2時間弱の収録時間。途中、MCなども収録されており、おそらくほぼフルでの収録だと思われます。まさにライブの全貌を知ることが出来るアルバム。ダウンロードのページには「Sounds Quality: Raw」と記載されていて、確かに音質はあまりよくありませんが、それがまたライブの臨場感を醸し出している結果となっています。

ただ、このアルバムを聴いてひとつ気が付いたことがあります。それはライブの中のネタが、2年前に見たワンマンライブとほぼ同じという点。例えば向井秀徳がいきなりチャルメラのフレーズをひきながら即興で歌いだす部分とか、「泥沼」でのギターとのからみとか、最後に「Asobi」で締めくくる構成とか。アルバム「すとーりーず」リリース後、少々パターン化している、ということなのでしょうか。

そうだとすれば、今、このタイミングでライブ音源をリリースするというのは、「すとーりーず」以降のライブでのパターンが、2年という月日を経て、完成系になっているから、ということを意味しているのかもしれません。ZAZEN BOYSは以前、ダウンロードやライブでの販売で積極的にライブ音源をリリースしてきましたが、ここ最近はそういうリリースがありませんでした。そんな中、久々にライブアルバムをリリースしてきた、というのは、最近の彼らのライブが、ZAZEN BOYSの作品として残すだけの価値のあるレベルになってきた、という自信のあらわれのようにすら感じます。今回のライブ音源、確かに様々な構成はパターン化されているとはいえ、ゾクゾクっとくるようなカッコよさ、バンドとしての息の合った演奏を聴くことが出来ます。そして場所は向井秀徳のふるさとの福岡。まさにZAZEN BOYSのライブを収録する場所としてはピッタリ、ということでしょう。

そんな訳で、オリジナル音源と同じレベルで聴くべき作品。ダウンロードは公式サイトから。いつまでアップされているのかは不明なので、今のうちに急げ!

評価:★★★★★

ZAZEN BOYS 過去の作品
ZAZEN BOYS IV
すとーりーず

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2014年9月 7日 (日)

久々の復帰作

Title:THE SWINGIN’ SIXTIES
Muscian:the brilliant green

最近はすっかりTommy february6とTommy heavenly6がメインになってしまい、すっかり「忘れられた」存在になりかけているthe brilliant green。2010年にアルバムをリリースした後、音沙汰がありませんでしたが、このたび活動を再開。4年ぶりとなるニューアルバムは過去の彼女たちのヒット曲を網羅したセルフカバーアルバムとなりました。

今回のアルバムをセルフカバーアルバムにした理由というのは、活動再開にあたって、トミフェブ、トミヘブからファンになったリスナー層にブリグリというミュージシャンを知ってもらう、という意図があったとか。そのため、セルフカバーアルバムながらもベスト盤のような様相になっています。

アレンジの内容もそう。一応タイトル通り、「60年代ロック」をイメージしたアレンジがされており、原曲に比べてアコースティックテイストが増したようなアレンジになっています。トミフェブやトミヘブはいずれもデコレーションケーキのようなコテコテのアレンジになっていただけに、ブリグリについては逆の方向性を向いたというのちょっと意外な印象を受けました。ただ個人的にはトミフェブやトミヘブのアレンジには完全に飽きが来ていただけに、シンプルなサウンドにブリグリの魅力を再認識できました。

ただ、60年代ロックをテーマとはいえ、基本的には原曲を大きく変えたようなアレンジはありません。「ああ、そう言われれば」程度の変更の曲がほとんど。おそらくセルフカバーの主眼がトミフェブ、トミヘブから入ったファンに向けて、というところにあるためでしょう。そのため、ベスト盤のような感覚で楽しむことが出来ます。

そうするとあらためて感じるのはthe brilliant greenというミュージシャンの魅力。90年代のオルタナ系ギターロック直系のサウンドに川瀬智子のキュートなボーカルが強いインパクトを産んでいます。彼女たちがデビューしたころ、この手の音を出すギターロックバンドは比較的数多くいたのですが、気が付いたらほとんどが消えてしまいましたね。それだけに、今となってはthe brillian greenの存在の貴重性が、より増したように思います。

残念ながら活動再開後のブリグリは作曲を担当する奥田俊作はバックでサポート的な位置にまわり、表に出てくるのは川瀬智子ひとりになるということ。どちらかというとブリグリはバンドスタイルの方がそのサウンドにマッチしているだけに、事実上の川瀬智子ソロプロジェクトになるのはちょっと残念。ただ、今回のアルバムを聴いて、これからのthe brilliant greenとしての活動が楽しみになってきました。というよりもぶっちゃけ、トミフェブとトミヘブは飽きた(^^;;次は純粋な新譜になるのでしょうか?楽しみです。

評価:★★★★★

the brilliant green 過去の作品
the brilliant green complete single collection’97-’08
BLACKOUT

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2014年9月 6日 (土)

みんなLINDBERGが好きだった

Title:LINDBERG TRIBUTE~みんなのリンドバーグ~

90年にシングル「今すぐKiss Me」が大ヒットし、その後も「BELIEVE IN LOVE」「恋をしようよYeah!Yeah!」など数々の曲をヒットさせ一世を風靡したロックバンドLINDBERG。今回、なんとそのトリビュートアルバムがリリースされました。

LINDBERGは個人的に中学から高校にかけて大ファンだったグループなのですが、正直、LINDBERGは「売れ筋のポップスバンド」というイメージが強く、決して「音楽ファン」からの評価が高いグループといった感じではなく、また「LINDBERGに影響されて」というミュージシャンにもあまりお目にかかったことがありません。それだけに(ファンだった人がこういうことを言うのもなんなんですが)トリビュートアルバムというのはかなり意外に感じました。

しかし、そこに集まったミュージシャンたちは実力派揃い。トリビュートアルバムと名乗るアルバムに時々ある、売るために有名どころを参加させました、みたいな「お前、そもそもカバー元のミュージシャンを知っているの?」的なミュージシャンはあまりおらず、なにげに「みんなLINDBERGが好きだったのね」と感じる参加メンバーになっています。

ただそんな中でも、特にLINDBERGに対する愛情を感じさせるカバーとそうでないカバーがわかれた内容になっています。「愛情を感じさせるカバー」の代表格がN'夙川BOYSの「DESTINATION」。選曲からして、LINDBERGの曲の中でもあまり「ベスト盤」にも収録されたことのない「知る人ぞ知る」的な曲なのですが、カバーも、原曲の雰囲気、良さをしっかり残しつつもN'夙川BOYSらしい味付けがしっかりされている名カバーになっています。ボーカルリンダdadaの節回しは全盛期の渡瀬マキそのままで、おそらくファンなんだろうなぁ、ということを感じられます。

同じく名カバーだったのが花*花の「LOOKING FOR A RAINBOW」。こちらはファンにはおなじみなのですが、シングルカットされていない曲からの選曲。これをブルージーにカバーしており、原曲の意外な良さをうまく引き出していますし、個人的には花*花のブラックミュージックからの影響を感じられるのもおもしろいカバーでした。

他にもガガガSPの「大キライ!」も、パンキッシュでユニークなカバーが、原曲の良さを残しつつ、ガガガSPの曲になっていましたし、バンドじゃないもん!の「もっと愛しあいましょ」も完全なアイドルソングになっており、こちらも非常にユニークに仕上げていました。

一方でちょっと残念だったのは岸谷香の「今すぐKiss Me」。プリンセスプリンセスとして同時期(プリプリの方がちょっと先輩格ですが)に人気を博していたボーカリストによるカバーですが、アコースティックなアレンジがちょっとチグハグな印象。参加者の中で一番意外だった矢野顕子も、子供たちが聴いていた、ということでの参加なのですが、「GLORY DAY」のカバーは矢野顕子のパターンにあてはめただけ、といった感じのカバーで、数々の名曲の素晴らしいカバーを聴かせてくれてきた彼女にしてはいまひとつの出来だったように感じます。

ただ、アルバム全体としては、原曲そのままの10-FEET「LITTLE WING」、同じLINDBERGと同世代、森高千里「BELIEVE IN LOVE」、アコースティックなアレンジが意外と原曲とマッチした近藤夏子「GAMBAらなくちゃね」などちゃんと壺を押さえたカバーが多く、アルバム全体としてはLINDBERGファンにとっても納得の仕上がりになっていたのではないでしょうか。

私が中高生の頃は、中高生にとっては当時人気だったB'zやチャゲアスと同じくらいの人気を得ていたバンドでしたが、やはり昔はみんなLINDBERGが好きだったんだね、ということを感じられるトリビュートアルバム。本当の意味で「トリビュート」されていることを感じる内容でした。今年、再結成し継続的な活動を再開することを発表したLINDBERG。正直、このことについては微妙な感想を持ってしまうのですが・・・また、全盛期のような名曲を聴くことが出来ればうれしいのですが・・・。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Nancy/浅井健一

前作「PIL」から1年半ぶりとなる浅井健一ソロ名義による新作。一時期よりは作品発表のペースが落ちており、落ち着いた曲づくりに取り掛かっているように感じます。ただ、全体的に静かに聴かせる曲の多い本作も、アルバム全体としては良くも悪くも浅井健一らしい曲が並んでおり、インパクトあってリスナーを惹きつけるようなナンバーがなく、物足りなさを感じます。パターン化されちゃっているような印象も。前作「PIL」のような、「これは」と期待できるようなカッコいい曲もなかったのも残念・・・。

評価:★★★

浅井健一 過去の作品
Sphinx Rose
PIL

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (9/6)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。本格的なフェスシーズン到来し、続々と新情報が入ってきています。11月頃まで週1で更新予定です。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【Folk】【R&B/Soul】【Blues】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

9/6更新
<出演者追加>
OTONOTANI 2014、Russeluno 14STRINGS、M.O.S.H.2014、大橋裕之ロックフェスティバル '14、岡崎ジャズストリート2014、リゾームビルディング
<Area Map発表>
イナズマロックフェス2014、中津川THE SOLAR BUDOKAN 2014
<Time Table発表>
UTSUMI MUSIC FESTIVAL Summer Land 2014、中津川THE SOLAR BUDOKAN 2014、岡崎ジャズストリート2014
<終了>
IWATA MUSIC FES 2014、音もダチ!フェスタ2014.、WINDBLOW'14、わちゃわちゃフェスタ2014、RISE UP 2014、Idol wave 2014夏

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報2014 (9/6)"

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2014年9月 5日 (金)

タイトルに反しておとなしい論調

以前から一部で話題になっていたお笑い芸人マキタスポーツのJ-POP評「すべてのJ-POPはパクリである~現代ポップス論考」を読んでみました。マキタスポーツはミュージシャンのものまねを売りとしている芸人のようですが、単なる形態模写ではなく、そのミュージシャンの思考自体をまねて、いかにもそのミュージシャンが歌いそうな曲を歌うというスタイルが、お笑いという枠組みを超えて評価されているそうです。

そんな音楽、特にポップスに深い造詣を持つ彼が書いたポップス評。かなり刺激的なタイトルもあり話題になりました。以前から気になっていた本ですが、このたびKindle版も発売となったためちょっと遅ればせながら読んでみました。

ただ挑発的なタイトルとは裏腹に、論考自体は比較的「大人な結論」に落ち着いています。例えばタイトルの論考も要するに今の音楽に完全なオリジナルはなく、必ず影響を受けた「元ネタ」がある、という話に落ち着いているのですが、正直言えば、それってパクリ議論をはじめると誰かが言い出す「メロディーのパターンなんてバッハの時代に出尽くした」的な意見と同じに感じます。正論ではあるけど、ちょっと焦点がズレている感じがします。

本人も「(パクリの)批判をするならば、その『引用・解釈の仕方』のセンスや質を議論してくようなものにならなければ」ならないという話をしていますが、結局、ネット上でよくB'zやオレンジレンジのパクリが叩かれて議論になるっていうのも、表面的にはパクリの議論をしているようでも実際には「引用・解釈の仕方」のセンスの話をしているように思います。実際、おなじパクリネタが多い奥田民生とかはあまり叩かれない訳で。そういう意味でこの本の論考は、よくネット上で見られる「パクリ」議論に対する回答であるのならば、ちょっと論点がズレているように感じました。

この「パクリ」論考もそうですが「ポップス論」については正直ちょっと物足りなさを感じました。「今のCDが売れなくなった理由」にしろ「アイドル論」にしろ、ネットや雑誌上でよく見かける論調の枠組みを超えておらず、もうちょっとつっこんでほしかったな、という印象を強く持ちました。あくまでも本人の「知識」の枠におさまっていて、この本のために突っ込んだ調査をおこなっていない点も物足りなさを感じた要因かもしれません。また、「J-POP」全体を網羅しようとして、広く浅くになってしまった点も感じました。

一方でおもしろかったのが楽曲のパターン分析に関する考察。抽象的な話にとどまりがちな楽曲のパターンを、コード進行なども含めた具体的な話にまでブレイクダウンして解読している手法は見事。特に「アニメソングの『様式美』度チェックシート」なんか、ここのチャート評でも利用したいくらいな素晴らしい分析(笑)。他も「メロ癖」や「歌詞癖」など、非常に興味深い分析がなされています。

こちらについても、もうちょっと突っ込んで、さらにいろいろなミュージシャンについて知りたかったなぁ、ということも感じてしまうのですが、ここの分析は彼にとっても「飯のネタ」であって、詳しい部分は「企業秘密」なのかもしれませんね。仕方ないことかもしれませんが、ちょっと残念です。

そういうことから、この本の冒頭を飾る「ヒット曲の法則」もヒット曲のパターンをうまく分析してまとめているように思いました。ただひとつ、「ヒット曲の法則」として指摘していない部分で、私が多くのヒット曲にあてはまっているパターンがありました。それは「サビの一番最初にはインパクトのある歌詞を持ってくる」という点。特に一番多いのはサビの一番最初に曲のタイトルを持ってくるというパターンです。例えば90年代のビーイング系のヒット曲はほぼ100%、サビの最初の歌詞がタイトルになっていますし、最近ではAKB48の「恋するフォーチューンクッキー」みたいにサビの冒頭に曲のタイトルを持ってくるパターンが見かけます。この本の中でヒット曲の法則にのっとってつくられた「十年目のプロポーズ」はサビの最初が「ラーラーラーラー」となっていますが、ヒットを意識した曲でこういう歌詞のパターンはあまりないような・・・いや実は1曲だけ「ラーラーラー」からはじまるヒット曲があるんですが、その曲のタイトルは「ら・ら・ら」(by大黒摩季)なんですよね(^^;;

書籍全体的にはちょっと手を広げすぎた感もなきにしろあらず。ただ一方では、あくまでも普段漠然とポップスを聴いていて、あまりそれに対して「論考」をしてみたことのないようなライトリスナー層向けなのかも。もうちょっとひとつひとつの論考について、今度はもっと突っ込んで話を聴いてみたいな、そう感じる作品でした。

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2014年9月 4日 (木)

新譜ラッシュ!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

夏休みも終わり今週は新譜ラッシュ。ベスト10のうち8枚が新譜となりました。

そんな中1位を獲得したのは、先週のシングルチャートで1位を獲得したEXILE TRIBEの、同名義としては初となるアルバム「EXILE TRIBE REVOLUTION」。EXILE TRIBEはEXILEや同じ事務所のミュージシャン、グループの総称だそうです。初動は25万1千枚。ちなみにEXILEの直近作「EXILE JAPAN」は初動35万枚(1位)で、さすがにこれには大きく及びませんでした。

2位は先週1位のDreams Come True「ATTACK25」がワンランクダウンでこの位置をキープ。新譜ラッシュの中、健闘した結果でしょう。

3位はアメリカの女性ミュージシャンAriana Grande「My Everything」が入ってきています。キュートなルックスが日本でも人気を集めた彼女。最高位3位だった前作「Yours Truly」に続いてのベスト3ヒットとなりました。

4位以下初登場は、まずは4位。人気男性声優神谷浩史のミニアルバム「ハレヨン」がランクイン。初動1万9千枚は前作「ハレイロ」の1万8千枚(5位)から若干のアップ。

5位にはロックバンドUNISON SQUARE GARDEN「Catcher In The Spy」が入ってきています。前作「CIDER ROAD」に続くベスト10ヒットで、初動売上1万6千枚はその前作の初動1万1千枚(9位)よりアップして、5位はシングルアルバム通じて自己最高位。シングルも「リニアブルーを聴きながら」以来、ベスト10ヒットが続いていますが、いずれもアニメタイアップがついており、本当にバンドとして人気を獲得しているのか気になる状況でしたが、アルバム2作連続ヒットで、確実にバンドとしての人気を獲得してきている模様です。

6位7位はアニメ番組からのアルバムが並びました。6位は「ソードアート・オンライン ソングコレクション」、7位は「TVアニメ ラブライブ! 2期 オリジナルサウンドトラック Notes of School idol days~Glory~」がそれぞれランクイン。「ソードアート・オンライン~」はTOKYOMX他で放送されたアニメで使用された曲を収録したベスト。一方「ラブライブ!」もTOKYO MX他で放送されたアニメのサントラ。同じアニメの第1期のサントラ「TVアニメ『ラブライブ!』 オリジナルサウンドトラック Notes of school idol days」は初動8千枚(10位)だったのに対して、初動1万2千枚にアップ。

そして8位にはSyrup16g「Hurt」がランクインしてきました。Syrup16gは1999年にアルバム「Free Throw」でデビューしたロックバンド。2002年のメジャーデビューアルバム「coup d'Etat」が大きな評判となり一躍注目を集めました。その後、同作も含めメジャーからオリジナルアルバム8枚をリリースしましたが2008年、惜しまれつつも解散してしまいました。しかし、このほどなんと再結成!本作はその彼らの約6年7ヶ月ぶりとなるニューアルバムです。その新作が見事ベスト10入りとなったのですが、意外なことにベスト10入りは本作がはじめて。初動売上1万2千枚こそ、解散前のラストアルバム「Syrup16g」の1万4千枚(13位)を下回りましたが、6年のインターバルの結果、この数値は立派。いかに多くのファンが待ちわびていたかがよくわかる結果となっています。

初登場最後は9位にAqua Timez「エルフの涙」がランクインです。初動9千枚は前作「because you are you」の1万4千枚(5位)からダウン。ここ数作、5万9千枚→2万枚→1万4千枚→9千枚と下落傾向をたどっており、本作も厳しい結果となっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年9月 3日 (水)

ギリギリミリオン

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週1位はAKB48のニューシングル「心のプラカード」が獲得しました。

いわゆる「総選挙」で売上をドーピングした次のシングル。昨年、同じ時期にリリースした「恋するフォーチュン・クッキー」は特典DVDに振付の動画を収録し、いろいろな団体、企業がそれぞれこの曲にのせて踊る動画をアップし話題となり、結果ヒットにつながりました。本作も全く同じように特典DVDに振付動画を収録し、2匹目のどじょうを狙ったのですが、これが二番煎じということで評判が悪かったようで・・・当然ですね。初動売上100万5千枚は「ラブラドール・レトリバー」の166万2千枚(1位)から大きくダウン。なんとかミリオンは達成したものの、かなり厳しい結果になっています。

2位はV6「涙のアトが消える頃」がランクイン。テレビ朝日系ドラマ「警視庁捜査一課9係」主題歌というのは毎回恒例ですね。初動6万1千枚は前作「君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか」の5万4千枚(3位)よりアップ。

3位はゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪All Star After Secret」からのキャラクターソング、寿嶺二(森久保祥太郎),黒崎蘭丸(鈴木達央),美風藍(蒼井翔太),カミュ(前野智昭)名義「うたの☆プリンスさまっ♪ カルテットアイドルソング(マリアージュ/You’re my life)」。相変わらずファン以外を全くターゲットにしていなさそうなベタベタなアイドルソング。初動3万3千枚。おなじく「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズの直近作、カミュ(前野智昭) 「うたの☆プリンスさまっ♪アイドルソング カミュ(純潔なる愛-Aspiration-)」の2万1千枚(9位)からアップしています。

続いて4位以下初登場ですが、まずは4位にTHE ALFEE「英雄の詩」がランクイン。40年前(!)の8月25日にシングル「夏しぐれ」でデビューした彼らが、デビュー41年目の最初の日、8月26日にリリースしたシングル。25日にリリースしなかったのは、25日が月曜日で、ここでリリースするとフライング販売の影響でベスト10入りできなくなるおそれがあったからかと思われます(^^;;テレビ東京系アニメ「新ウルトラマン列伝」主題歌。初動3万2千枚は前作「GLORIOUS」の2万2千枚(7位)からアップ。これで連続ベスト10記録を49作に伸ばしました。

5位は倉木麻衣「無敵なハート」。日テレ系アニメ「名探偵コナン」エンディングテーマ。初動2万5千枚は前作「TRY AGAIN」の1万3千枚(7位)より大きくアップしていますが、これはおそらくハイタッチ会参加権という特典の影響かと思われます。アイドルみたいなんですが・・・まあ事実上アイドルみたいなもんか・・・。

6位には韓流女性アイドルグループKARA「マンマミーア!」がランクイン。ちょっと懐かしさも感じられる爽やかなディスコチューン。前作、前々作といかにもなアイドルチューンが続いていましたが、今回はKARAらしいダンサナブルなナンバーになっています。ただし初動2万5千枚は前作「フレンチキス」の3万2千枚(7位)からダウン。前々作「サンキュー サマーラブ」は初動6万9千枚だっただけに、厳しい状況が続いています。

7位はビジュアル系バンドシド「ENAMEL」が入ってきています。TBS系アニメ「黒執事 Book of Circus」オープニング・テーマ。アニメの内容はよく知らないのですが、なんとなく曲とアニメの雰囲気がマッチしてそう・・・タイトルだけのイメージですが。初動2万5千枚は前作「hug」の2万枚(6位)よりアップ。販売形態が5種から4種に減っての売上アップは見事。タイアップ効果か?

8位初登場は男性アイドルグループDa-iCE「ハッシュ ハッシュ」。前作同様、K-POP風のエレクトロなダンスナンバー。初動2万3千枚は前作「TOKI」の1万5千枚(5位)よりアップ。

最後、9位10位には女性アイドルグループが並んでいます。9位はpalet「VICTORY」、10位バクステ外神田一丁目「青春クロニクル」が並んで入ってきています。どちらも特に特色のないアイドルソング。初動売上はpaletが2万1千枚で、「Keep on Lovin' You」(6位)から横バイ。これで3作連続同水準。バクステは1万6千枚で前作「Oh my destiny」の1万7千枚(11位)よりダウンしたものの、2作ぶりのベスト10ヒットとなりました。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートは明日に!

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2014年9月 2日 (火)

様々な文化が混じり合う

Title:Lovely Difficult(邦題 緑の風、愛の言葉)
Musician:MAYRA ANDRADE

先日のスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドに出演し初来日を果たしたカーボ・ヴェルデの歌姫、マイラ・アンドラーデ。本作は、その来日直前にリリースされた4枚目となるアルバムです。スキヤキ参戦の前に彼女のアルバムも聴いてみました。

先日のスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドでその彼女のインタビューも行われました。先日のライブレポでもアップしたように話の内容は主に彼女の故郷カーボ・ヴェルデの話でした。カーボ・ヴェルデはアフリカ大陸の西約375kmに位置する島国。もともとは無人島でポルトガル人が発見し移り住み、その後、その奴隷としてアフリカ黒人が連れてこられたそうです。

そういう歴史的経緯があるためこの国は世界ではじめてのクレオール(混血)国家と言われているそうで、アフリカに位置しながらもヨーロッパ的な要素の強い国だそうです。また、ヨーロッパ文化とアフリカ文化が入り込んだこの国では、島ごとに違うタイプの音楽が発展するなど、音楽的文化も豊かな国。また、大西洋を挟んだ向かい側のブラジルとの交流も盛んということだそうです。

そういった話を聴いたうえで彼女のアルバムを聴くと、彼女の音楽は実にカーボ・ヴェルデのお国柄が反映されているな、ということを強く感じます。カーボ・ヴェルデはアフリカにカテゴライズされる国であるため彼女の音楽はよく「アフリカ音楽」として紹介されます。しかしこのアルバムを「アフリカ音楽」というイメージで聴くとかなり驚かされるのではないでしょうか。アコースティックテイストのサウンドに爽やかなメロディーは一般的にイメージされるアフリカ音楽というよりも、むしろヨーロッパ的なものを感じさせます。

また、様々な音楽的な要素が混ざり合っているという点にもカーボ・ヴェルデというお国柄に重なる部分を感じます。「96 days」あたりはフォーキーな雰囲気でしんみり聴かせてくれますし、「Le jour se leve」にはジャズの要素も感じられる大人のポップスに仕上げています。

一方ではラテン風な「Ilha de Santiage」やボッサなテイストも感じる「A-mi n kre-u txeu」などブラジル音楽的な要素も感じましたが、これもカーボ・ヴェルデがブラジルとの交流が強いからでしょうか。直接は関係ないとは思うのですが、「Les mots d'amour」は哀愁あふれるラテン風のメロディーがむしろ歌謡曲的なテイストさえ感じられました。

そんな訳でアフリカ音楽というよりもジャジーなポップ、あるいはメロウなブラジル音楽的な感覚で楽しめるアルバムだと思います。まさに「大人のポップ」といった表現もピッタリな作品になっています。しかし、ではこのアルバムに「アフリカ」な要素がないか、と言われるとそうでもありません。例えば「Build it up」で感じられるちょっとへヴィーなリズムにはどこか「アフリカ」的な要素を感じました。スキヤキでのインタビューでは「自分の中のアフリカ的な要素も大切にしたい」と語っていましたが、このアルバムでは間違いなくアフリカ的な要素も流れていました。

様々な文化が混ざりあう、まさにカーボ・ヴェルデ出身の彼女だからこそ生み出すことのできたアルバムだと感じました。先日のステージも素晴らしいライブでした。このアルバムも、是非とも多くの方に聴いてほしい、そう感じる傑作でした。

評価:★★★★★

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2014年9月 1日 (月)

約15年ぶり!

Title:LOST IN ALPHAVILLE
Musician:THE RENTALS

今年のNANO-MUGEN FES.への出演も話題となった元Weezerのオリジナルベーシスト、マット・シャープのTHE RENTALS。Weezer同様、日本でも熱烈な支持を得ているTHE RENTALSですが、このほどなんと15年ぶりとなる待望のニューアルバムがリリースとなりました。

THE RENTALSといえば切ない美メロにノイジーなギターサウンドが多くのリスナーを魅了したバンド。15年ぶりとなった新作でも、そんな魅力が満載。個人的に美メロ+ノイジーギターというスタイルは壺なのですが、まさにそんな私の壺にピッタリはまった楽曲が並んでいます。

特に素晴らしい内容だったのが前半。アップテンポでノイズを効かせたサウンドに女性メンバーLauren Chipmanのコーラスが魅力的な「Traces Of Our Tears」。シューゲイザー系からの影響も感じるドリーミーなサウンドの「Stardust」、さらにはポップなメロディーラインが実に心地よい「1000 Seasons」など実に魅力的な楽曲が並んでいます。

THE RENTALSの作品で特に魅力的と感じたのは、この女性コーラスの使い方。もともとドリーミーなサウンドにキュートなメロディーが魅力的なTHE RENTALSですが、その中に一服の清涼剤のような女性コーラスが実に効果的かつ魅力的に使われています。

またほどよいへヴィネスもまた大きな魅力。これはマット・シャープがかつて在籍したWeezerにも感じるのですが、このアルバムで言えば「Thought Of Sound」のようなほどよくへヴィーなサウンドがロックのダイナミズムを感じられる一方、決してマッチョイムズに走ることなく、むしろちょっと情けなさすら感じられるバンドサウンドが大きな魅力に感じました。

そんな訳で、THE RENTALSとしての魅力がしっかりつまった、15年待ったかいのある傑作だったと思います。美メロのギターロック好きは是非!・・・という前にすでに聴いていそうですが(笑)。個人的には壺に入りまくりの傑作でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Innocents/Moby

1999年にアルバム「Play」が大ヒットして一躍注目を集めたテクノ、ハウス系ミュージシャンMobyの最新作。スペーシーでアンビエント風なサウンドながらも、女性ボーカルを用いてポップな楽曲にまとめあげているスタイルは、その大ヒットした「Play」を彷彿とさせる部分も。ただ全体的にインパクトに欠ける部分もあり、悪くはないんだけど・・・と思ってしまいます。むしろ2枚組として同時に収録された「everyone is gone」EPの方がアンビエント風がより前面に出ていてよかったように思います。この路線でアルバム1枚つくれば傑作だったのに・・・。Mobyらしさはよく出ている作品には間違いありませんが。

評価:★★★★

MOBY 過去の作品
Go:The Very Best Of Moby

Last Night
Wait for me
Destroyed

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