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2014年8月23日 (土)

名曲のふるさと

Muscleshoals

先日、映画「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」を見てきました。東京では7月上旬から公開されていましたが、名古屋では8月中旬になってようやく公開。待ちに待ったといった感じで見に行った映画館。やはり同じ思いの方は多かったのか、朝一番でのロードショーにもかかわらず映画館はほぼ満員という人の入りでした。

マッスル・ショールズはアメリカ・アラバマ州の小さな街。この街には小さなふたつのスタジオ、フェイム・スタジオとマッスル・ショールズ・スタジオがあり、60年代から70年代にかけて多くのソウル、ロックの名曲を産みだしてきたソウル、ロックファンにとってはまさに「聖地」ともいえるような場所。この映画では、そのフェイム・スタジオの創立者であるリック・ホールのインタビューを軸に、マッスル・ショールズの2つのスタジオの歴史を紐解いたドキュメンタリーです。

映画は、この手のドキュメンタリーによくありがちなのですが、主に関係者によるインタビューを軸に進んでいきます。ただ、基本的にマッスル・ショールズの歴史を振り返るような内容で、「基本的」ともいえる内容。おそらくここらへんの歴史に詳しい方なら普通に知っていそうな内容かもしれません。それを関係者のインタビューや当時の映像や写真、また今のスタジオの風景と重ねながら撮られている点が感動的な訳で・・・。一方で、そんな基本的な歴史をつづった内容なだけに、「マッスル・ショールズ」という言葉でピンとくる程度の初心者レベル(ていうか私もその程度の知識なのですが(^^;;)の方にとっても十二分に楽しめる内容になっていました。

以下ネタバレの感想

インタビューは基本的にリック・ホールのインタビューを軸に、フェイム・スタジオで名曲を録音したパーシー・スレッジやクラレンス・カーター、またアレサ・フランクリンのインタビュー、一方でそんなマッスル・ショールズのミュージシャンたちにあこがれたローリング・ストーンズのミック・ジャガーにキース・リチャーズ、さらにはU2のボノのインタビューをまじえて進んでいきます。

ただビックリしたのはウイルソン・ピケットやエタ・ジェイムス、さらにはジェリー・ウェクスラーのような鬼籍に入ってしまったような人たちのインタビューも組み合わさっていること。インタビューが間に合ったのか、それとも他のドキュメンタリーのインタビューから抜粋したのかはわかりませんが、重要な関係者から様々な証言を得られたという意味では、ドキュメンタリーとして間違いなく深みが増していたように感じます。

要所要所にリック・ホールの生い立ちを織り交ぜつつ、フェイム・スタジオやマッスル・ショールズ・スタジオの歴史を基本的に時系列に沿って描かれているため内容も理解しやすく、そういう意味でもネタバレなしの感想で書いた通り、初心者にも問題なくお勧めできる内容(ただし、本当の初歩中の初歩の内容はさすがに割愛していますが・・・)。マッスル・ショールズという場所がなぜあれだけ素晴らしいのか、なぜ「聖地」と言われるのかもよく理解できる構成になっていたと思います。

途中、現在のキャンディ・ステイトンがリック・ホールとともに録音にのぞむ場面があるのですが、リック・ホールの音へのこだわりが今も変わらない姿がちゃんと描かれていてこの場面も印象的でした。一方では最後の最後にリック・ホールが語った言葉も非常に印象的。それは「人間は不完全だからこそ素晴らしいんだ」という言葉。音楽には完璧主義を求める彼ですが、ただその反面、人間に対しての深い愛情があるからこそ、あれだけの名曲を世に送り出したんだなぁ、ということがよくわかる発言でした。

また、マッスル・ショールズでは黒人ミュージシャンと白人ミュージシャンが対等に音楽をつくっていたという点もこのドキュメンタリーの中ではかなり強調して描かれています。この事実も比較的有名なエピソードだと思うのですが、このドキュメンタリーであらためてその事実に触れると、人種を超えたミュージシャンの交流という事実もまた、あれだけの名曲を世に送り出した大きな要因のひとつじゃないかなぁ、と思いました。

そんな訳でマッスル・ショールズの歴史がほどよくまとめられた良質のドキュメンタリー。ロック好き、ソウル好きならまずみておくべき映画だと思います。文句なしにお勧めです。

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