イメージそのまま
昨日紹介した映画「黄金のメロディー マッスル・ショールズ」を見に行ったところ、ちょうど同じ映画館でSEKAI NO OWARIを描いたドキュメンタリー映画「TOKYO FANTASY」を上映しました。ちょっと興味があったので一緒にチケットを購入。このドキュメンタリー映画も見てみることにしました。
で、開演前の入場列をみてちょっとビックリ。セカオワの客層ってこんなに若かったんですね(^^;;中高生がメインということは予想はしていたのですが、小中高生がメインといった感じ。好奇心からチケットを購入して若干後悔(笑)。もっと上の世代もいないわけじゃなかったけど・・・。まあ「中二病バンド」の代表格である彼らだからこそ、そういった客層は納得ではあったのですが。
そしてその肝心な中身なのですが、セカオワというバンドがどんなバンドなのかということを描いたドキュメンタリー・・・なのですが、SEAKAI NO OWARIというバンドに対して一般的に抱かれているようなイメージから1ミリもはずれていない内容になっています。
そのため、おそらくSEKAI NO OWARIの描く世界観についてまったく疑いなく受け入れているようなファンにとっては文句なしに楽しめる作品の反面、彼らについてどこか斜めから見ている部分がある人、私のように少々疑問を感じつつも興味を抱いている人にとっては、SEKAI NO OWARIというバンドに抱いている違和感を広げられる結果になるドキュメンタリーだと思います。そういう意味では完全にファン向けのファンズアイテム。ファンの方には無条件でお勧めできる内容の反面、そうでなければかなり辛い作品、と言えるかもしれません。
以下、ネタバレの感想
この映画の中ですごい違和感を覚えるシーンがあってそれが中盤。ライブの準備でメイクをしてもらっているメンバーの風景なのですが、メンバー全員が「大人に見えない何か」を見つけるのですが、メイクさんにはそれが見えない、という話。ボーカルの深瀬が「純粋な僕らには見えるけど、汚れた大人には見えない」みたいにメイクさんに振っているのですが・・・
これってジョークを捉えていいんですよね(^^;;
なんかネタ的にしてもありふれすぎている話ですし、もし真面目に描いているとしても、そろそろアラサーを迎えるメンバーが「純粋な僕ら」はちょっと痛すぎな感じも・・・。
また、同じくボーカルの深瀬が、「現実から逃避するために頭の中に鼓笛隊のリズムが鳴り響くことがある」という発言をして、その状況を絵的に描写したシーンがあるのですが、なんかこの話についてもありふれずきたネタのような・・・。確かに彼はパニック障害で病院にかかっていた、という話があるのですが、この症状ってむしろ統合失調症では?あと、セカオワの音楽って、かなりクリアに整った音楽で、そういう精神を病んだ人がつくったような感じには聴こえないんですよね。
ドキュメンタリーは全編的に、「みんなと違った純粋な僕たち」なセカオワを描いており、そんなセカオワの世界を無条件で信じているファンは受け入れられるかもしれませんが、そうでなかったとしたらかなり厳しい内容になっています。ライブ映像やライブの準備場面、またセカオワのファンのインタビューなどのシーンも中に入れていますが、決してライブドキュメンタリーではないためライブシーンは少な目。主眼はあくまでもSEKAI NO OWARIがどんなバンドか、というテーマであり、そこを楽しめないと厳しいな、という印象を受けました。
今回の映画、フランス在住の映画作家、ラファエル・フリードマンが監督をつとめています。これについて深瀬氏は日本の映画監督を使うと「特定の『あるべき姿』に撮られてしまうのが嫌」で、そういう先入観を持っていない監督に感じたままの姿を撮ってほしかった、と語っています。ただここで描かれているのはSEKAI NO OWARIのイメージそのまま。そういう先入観を持っていない監督が撮った、というメリットはほとんど感じられませんでした。だったらむしろ、SEKAI NO OWARIというバンドを良く知っているような映画監督に撮ってもらった方がよかったのでは?と思ってしまいました。
逆にSEKAI NO OWARIというバンドのイメージは(客観的にみると「痛い」シーンも多かったものの)良く描かれており、ファンズムービーとしてはよく出来た内容だったのではないでしょうか。また、そういうイメージを大切にしてイメージコントロールを十分に行っているという点、SEKAI NO OWARIというバンドの優れた部分のように思えます。あえてフランス人映像作家を監督に使用するというスタンスもまた、彼らのイメージコントロールの一種のように感じてしまいます。
そんな訳で最初にも書いた通り、SEKAI NO OWARIというバンドの世界観をそのまま受け入れられるファンにとってはお勧めできる内容である一方、そうでなければかなり厳しい内容のように感じました。私にとっては残念ながらSEKAI NO OWARIというバンドに感じた違和感をさらに広げるような映画になってしまいましたが・・・。
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コメント
ゆういちさんがこの映画を見に行ったことにビックリしています
感想を見た感じ、セカオワワールド全開って感じですね
最近のセカオワを考えると全く期待しませんでしたが
なぜ映画を作ったのかが謎です
映画といえば秋にはバクホンの映画も公開されるようです
何でも言葉や感情を音楽で表すとか
ミュージシャンの映画はそのアーティストの価値観がもろ反映されるんでしょうか?
※バクホンは以前から「共鳴」をテーマに活動しています
投稿: softman | 2014年8月25日 (月) 20時49分
>softmanさん
ちょうど「マスル・ショールズ」の映画と同じ映画館でやっていたので見てみました。まさにセカオワワールド全開といった感じでファン以外は厳しいですね。
バクホンも映画をつくるのですか・・・この手の映画はやはりミュージシャンの世界観をいかに映像に表現するということを主眼においているだけに、ファン以外には厳しいかもしれませんね。
投稿: ゆういち | 2014年8月31日 (日) 00時49分