「ブロックパーティー」がテーマ
Title:Konjac-tion
Musician:Buffalo Daughter
ベスト盤を挟んで4年ぶりとなるBuffalo Daughterのニューアルバムはもともと2011年4月に金沢21世紀美術館で行われたイギリスの現代アーティスト、ピーター・マクドナルドのエキシビジョンで演奏をしたことがきっかけにスタートした作品。今回のアルバムのテーマは「ブロックパーティー」。この「ブロックパーティー」、日本ではあまりなじみのない言葉(音楽ファンには同名のバンドの方が有名でしょうが)ですが、1970年代のアメリカではじまった、一つの街をあげて行われる大きなお祭りのことだそうです。タイトルの「Konjac-tion」も「コネクション」をもじってつけられたそうで、そのタイトルの通り、様々なミュージシャンがアルバムに参加。DISC1の本編では「Le Cheal Blanc」ではカヒミ・カリィが、「Love&Food」では坂本慎太郎がゲスとボーカルとして参加しているほか、DISC2では様々なミュージシャンたちが、このアルバムの楽曲をリミックスしているリミックス盤がついてきています。
そんなテーマ性をかかげた本作ですが、正直言うと、アルバムを聴いている最中にはそんなテーマ性はあまり気にかかりませんでした。基本的にはいつものBuffalo Daughter。ミニマルなトラックが中心の楽曲構成。音数は絞ってタイトに、それでいて楽曲によって様々な音を入れてきたりして楽曲の雰囲気を変えてきています。
今風のエレクトロサウンドの最先端を行く実験的な・・・という感じでもなく、かといってよくありがちな陳腐なサウンドといった感じでもない、ここらへんがBuffalo Daughterらしさといった感じでしょうか。リズミカルなサウンドはポピュラリティーも感じられ、聴きいってしまうような楽曲が並んでいます。
ただ、他のミュージシャンとのコラボ、という点でおもしろかったのが坂本慎太郎をゲストに迎えた「Love&Food」。リズミカルなトラックの向こう側で歌われているような坂本慎太郎のちょっと色っぽさも感じられるボーカルがとてもユニークでインパクトがあります。でもどこかダウナーな部分もあり、彼の最新のソロアルバム「ナマで踊ろう」に通じる部分も?
また前半はタイトでリズミカルな楽曲が並んでいたのに対して、後半はメロウでポップな作品が並んでいたのも特徴的。タイトル通り、ちょっと80年代っぽさを感じる「Bring Back 80's」からフランス語のラップが独特の雰囲気を醸し出す「Les Sirenes」、さらにポップなメロディーがメロウな「Don't Stop The Music」まで、特にポップス色が強い作品が並んでおり、爽やかな雰囲気でアルバムを聴き終えることが出来ます。
リミックスアルバムの方も基本的にはBuffalo Daughterの方向性を引き継ぐような雰囲気のリミックスが並んでいます。ビックリするような解釈のリミックスはないものの、ちゃんと彼らの世界を尊重した上でのリミックスといった印象でアルバム本編ともども、楽しめることの出来る内容でした。
いい意味でいつものBuffalo Daughterらしい名盤にきちんと仕上げてきているのはさすが。派手さや目新しさみたいなものはないものの、聴けば聴くほどはまってしまうような奥の深さも感じます。安定の傑作です。
評価:★★★★★
Buffalo Daughter 過去の作品
The Weapons Of Math Destruction
ReDiscoVer.Best,Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter
ほかに聴いたアルバム
THE END OF THE WORLD/ムック
ムックのアルバムはここ数作、ずっとチェックしてきたのですが、正直その中では一番の出来だったように思います。ちょっとシンセサウンドなどを導入したへヴィーなロックサウンドと、歌謡曲的要素の強い哀愁たっぷりのメロディーラインがマッチ。いままでと比べて歌い方がシンプルになり、ヴィジュアル系独特のネチッこさが薄れた感じがして、その結果、ちょっとくどさが勝っていたように感じたメロディーラインのいやらしさが薄れたように思います。逆に、ここらへんの特徴が好みだった、というファンにとっては薄味に感じられたかもしれませんが・・・。普段、ヴィジュアル系をあまり聴かないようなリスナー層には受けがよさそうなアルバムかも。
評価:★★★★
モーモールル・℃・ギャバーノ/モーモールルギャバン
突然のライブ活動休止を宣言したモーモールルギャバンが、ライブ活動休止直前にリリースしたミニアルバム。ただ1曲目「ハイヒールブルース」のみが新曲で、残りは過去の初期のアルバムの再録だそうです。モーモールルギャバンらしい変態性の高い歌詞は、初期のアルバムから健在。ギターロック主導にソウルっぽい雰囲気のエレピやピアノが加わる構成も当時から。初期作品の再録なので当たり前といえば当たり前なのですがモーモールルギャバンらしい曲が並んでいます。ライブ活動休止を宣言した直後のミニアルバムが初期作品の再録というのは、最初からやり直しということを意味しているのでしょうか?彼らのこれからはどこへ向かうのか??
評価:★★★★
モーモールルギャバン 過去の作品
クロなら結構です
BeVeci Calopueno
僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ
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