さらにポップに
Title:幕の内ISM
Musician:パスピエ
先日、SAKAE SP-RINGではじめてパスピエのライブを見ました。正直なところパスピエというバンドは「ポップスバンド」というイメージがありライブは必要以上の期待はしていませんでした。しかし、そのステージは自分の予想と大きく異なるもの。へヴィーなバンドサウンドを前面に押し出した「ロック」なステージで個人的にパスピエに対するイメージが大きく変わったステージでした。
その時もこのアルバムに収録されている曲が多く演奏されました。それだけにじゃあアルバム自体はライブみたいにバンドサウンドを前面に押し出したロックなアルバムになるのかなぁ・・・・・・・・という期待はほとんどしておらず(^^;;予想通り、いままでのアルバムと同様、シンセサウンドをメインに押し出したポップス色強いサウンド。いままでのパスピエのイメージ通りのアルバムになっていました。
そんなライブとアルバムのスタイルに大きな違いを感じる彼女たち。おそらくその原因のひとつはボーカルにあるような気がします。パスピエの大きな特徴がボーカル大胡田なつきの甲高いロリータボイス。ただ正直彼女のボーカルってちょっと声量が弱く、ライブでは完全にバックのバンドに負けていました。ライブならばそれ以上にバックバンドの音の迫力が勝るのでしょうが、CD音源ではちょっと辛い感じ。実際、CD音源ではあきらかにバックの音は抑えられ、ボーカルの声が前に押し出されているつくりになっています。
さて、そんなライブの時と比較しながら聴いたパスピエのニューアルバム。全体的な作風に関しては、前々作までのサブカル臭が本作でも薄まり、前作に引き続きポップでインパクトの強いメロディーが前面に感じられる作品になっていました。
ライブでも「トーキョーシティー・アンダーグラウンド」や「MATATABI STEP」のようなこのアルバムに収録されている曲を演奏してくれました。基本的にその時にはじめて聴いたナンバーばかりなのですが、アルバムを聴いていると、ちゃんとメロディーラインを覚えているんですよね。それだけかなりインパクトの強いメロディーラインを書いているんだな、とあらためて実感しました。
ただそうすると前作と同様、いまひとつパスピエとしての癖が薄れて聴きやすくなった反面、個性もちょっと薄くなってしまった印象も。前作よりメロディーのインパクトは強まり、一歩成長している感は間違いないんですが・・・。そう考えると、個人的にはライブで聴かせてくれたパスピエの、ある種の「本性」がひとつの方向性になるようにも思うんですが・・・要するに、もうちょっとバンドサウンドを前に出してもおもしろいのでは?もうひとつ、ガツンと来る何かがほしいなぁ、と感じたアルバムでした。
評価:★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2014年」カテゴリの記事
- まだまだ「実」だけど(2014.12.29)
- ロック入門...的な(2014.12.28)
- 踊れるロック(2014.12.27)
- レトロなガレージサウンドが心地よい(2014.12.26)
- 社会派三部作完結編(2014.12.23)
コメント