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2014年8月17日 (日)

現在のブルース

Title:Bluesamericana
Musician:Keb' Mo'

いままで3度のグラミー賞を受賞している現在のアメリカの代表的なブルースミュージシャンKeb' Mo'のニューアルバム。意外なことに(?)このアルバムではじめてちゃんと彼のアルバムを聴いてみました。

今回のアルバムタイトルになった「アメリカーナ」という言葉、意味としては「アメリカの風物」「アメリカの文化」という意味。そのためでしょうか、アルバムの中に要所要所「アメリカっぽい」と感じさせる要素が多く感じられ、あくまでもイメージ論かもしれませんが、実にアメリカらしいアルバムになっていました。

具体的に言うとたとえば1曲目「The Worst Is yet to Come」はカントリーっぽいを楽曲に入れていますし、2曲目「Somebody Hurt You」はゴスペルっぽい要素が。さらに続く「Do It Right」のアコースティックなサウンドは実にアメリカンロックというテイスト。また後半ニューオーリンズ風の楽しい「Old Me Better」のようなナンバーもあります。このように「アメリカーナ」という言葉の通り、アメリカの文化を前面に押し出したようなアルバムに感じました。

ただその一方、アルバムを通じて感じられたのはちゃんとブルースに立脚して曲を奏でるスタイル。これらどの曲もアメリカの様々な文化要素を曲に織り交ぜながらも根底に流れているのは間違いなくブルース。特にカバー曲「That's Alright」はおなじみの楽曲のカバーですが、力強いブルージーなギターとその歌声が胸をうつカバーにしあげており、ブルースミュージシャンとしての力量を感じさせる内容となっています。

そしてそんなブルースの楽曲を、今風にまとめあげているのも彼の楽曲の大きな特徴に感じます。要するにブルースの正当な継承者である一方でそこに今風の解釈を加えてアップデートしている感じ。「I'm Gonna Be Your Man」ではブルージーなアコギの音からスタートする一方、楽曲は爽やかなシティーポップ的な要素を感じられ、ブルースを聴かないようなリスナー層にもアピールできるような作風になっていました。

まあそんな感じでまさにKeb' Mo'が体現しているのは「現在のブルース」とでも言うべき楽曲。昔の音をちゃんと継承しつつ、現在的に解釈しており、かといって必要以上にコンテンポラリーな内容にも陥っていない、そういう意味ではブルースリスナーもブルースを普段聴かないような方でも楽しめるような内容。まだまだブルースは今に生き続けている、ということを感じることの出来るアルバムです。

評価:★★★★★

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