ベテランらしい安定感とバラエティー
Title:KETSUNOPOLIS 9
Musician:ケツメイシ
前作からタイトルを「ケツノポリス」というカタカナ表記から「KETSUNOPOLIS」というローマ字表記に変更したケツメイシの新作。首里城の前の写真と統一されていたジャケット写真も前作から変更になっています。このスタイル、前作のみの変更かとも思えられたのですが今回も基本的に前作のスタイルを踏襲。写真は前作のタイバンコクでの写真から「ブラジル食堂」なる食堂(沖縄・名護市にあるらしい・・・)の前での写真となっています。
ただ、楽曲のスタイルとしてEDMを大胆に導入しその楽曲イメージを大きく一新した前作から一転、本作ではケツメイシらしいサマーチューンが飛び込んできます。タイトルそのまま「カリフォルニー」はまさに典型的なサマーソングですし、「FUTARIDAY」も彼ららしいさわやかなビーチソング。「RHYTHM OF THE SUN」などはまさにケツメイシらしい楽曲に仕上がっています。
本作は、そんな特に前半、ケツメイシらしい曲が並んでいた一方、アルバム全体としてはバラエティーに富んだ作風が魅力的な作品になっていました。郷愁あふれる「少年と花火」や、前作を引き継いだようなエレクトロナンバー「月と太陽」などサウンド面でもバラエティー富んだ作風になっています。
ただ今回それ以上に印象に残ったのは歌詞。かなりユーモラスでバリエーションに富んだ歌詞を聴かせてくれます。「リアリティー」は二次元萌えをユーモラスにちょっと皮肉を加えて題材とした作品ですし、「EMERGENCY」もダークな雰囲気の曲かと思えば、実はリスナーのミスリードを誘う歌詞がユニークなコミックソングになっています。
また最近の彼らの曲らしい、メンバー全員アラフォーという彼らならではの視点の曲もチラホラ。インターリュード的な「中年あるある」は中年の悲哀をコミカルに歌詞にしていますし、「それぞれのライフ」は日常を生きる普通の人々の様子を力強く歌詞にした内容はアラフォーならではの大人の視点を感じます。
そんなバラエティーあふれる曲を1枚のアルバムに入れることができるのはやはり彼らのベテランとしての安定感と余裕があるからではないでしょうか。今回のアルバムではそんな面を特に感じました。ただ一方で全体的に無難におさめた感じもすると言えば否定できない部分も。「親父のメール」とか感動的ではあるもののちょっと狙いすぎでベタな部分も感じてしまいますし。そういう意味では傑作、というよりも安心の佳作といった感じのアルバムでした。
評価:★★★★
ケツメイシ 過去の作品
ケツノポリス5
ケツノポリス6
ケツノポリス7
ケツの嵐~春BEST~
ケツの嵐~夏BEST~
ケツの嵐~秋BEST~
ケツの嵐~冬BEST~
KETSUNOPOLIS 8
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