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2014年8月

2014年8月31日 (日)

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド2014 その4

その3から

Sukiyaki14_11

↑最終日の福野文化創造センター

そして最終日の14時半より、福野文化創造センターにて、このスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドのハイライトであるヘリオスステージがスタートしました。

トリ・アンサンブル

まず一番手を飾るのは韓国の4人組グループ、トリ・アンサンブルの演奏。日本でも人気の高い(らしい)打楽器奏者のミン・ヨンチ氏も参加するグループで、他は声明みたいな歌を奏でるボーカルにおそらく韓国の民俗楽器だと思うのですが、琴をバチみたいなもので力強く奏でる楽器、それに縦笛奏者も含めての4人組でした。メンバーそれぞれソロとしても活躍しているそうで、4人そろっての演奏は海外での公演のみということだそうです。

正直、ライブはさほど期待はしていなかったのですが、これが非常におもしろい演奏を聴かせてくれました。それぞれ最小限の音を奏でつつ、非常におごそかな演奏。時折奏でるトランシーな太鼓のリズムが心地よく、日本の琴とは全くことなる、非常に太い音でアグレッシブな演奏を奏でる琴(?)の演奏もとても印象的でした。

演奏は4人が舞台上に横に並んで座りながらそれぞれの楽器を奏でるスタイル。日本や中国の宮廷音楽にも通じるものを感じつつ、その一方でいい意味で粗野で力強い演奏に泥臭さも感じる印象。あえていえば洗練さと泥臭さをあわせもった音楽がどこかアジア的な雰囲気を覚えました。

ちなみに打楽器奏者のミン・ヨンチ氏が日本語をしゃべれるらしく、彼の簡単な解説を間に挟みながらライブは進んでいきました。「遭遇」「歩く」といったタイトルのナンバーを披露。ただ基本的に概ねの方向性のみを決め、基本的に即興演奏がメインだそうで、まさに一期一会のステージ。時々、太鼓の音でリズミカルなナンバーもあったのですが、全体的にその音数の少ないサウンドに聴き入ってしまうようなステージ。いや、圧巻という言葉がピッタリの素晴らしいステージでした。

BONGEZIWE & SUKIYAKI FRIENDS

続いては南アフリカのボンゲジウエというシンガーを中心に、モザンビークのミュージシャン、マチュメ、韓国のパーカッショニスト、チャン・ジェヒョ、日本の親指ピアノ奏者、サカキマンゴー、そしてキウイとパパイヤ、マンゴーズを率いる日本の廣瀬拓音の5人からなる、スキヤキのための結成されたSUKIYAKI FRIENDSのライブ。事前に福野で合宿を行いこの日のステージの準備を行ったそうです。

この様々な国のミュージシャンがスキヤキのためにユニットを結成し、事前の合宿でステージをつくりあげるという試み、毎年恒例になっています。違う文化的背景を持つミュージシャンがコラボを組みことによって新たな音を産みだそうとするこのイベントならではの試みなのですが、過去3回、このコラボを見た中で、今年のコラボが最も「異文化の融合」というこのコラボの目的を、見事に実現させていたように感じました。

例えばマチュメのアフリカらしいパーカッションと、チャン・ジェヒョの韓国らしい打楽器の演奏の共演があったり、同じくチャン・ジェヒョの奏でる韓国民謡に対して、電子三線を持ったサカキマンゴーが日本民謡風のメロで答えたり、まさに日本、韓国、そしてアフリカのリズムやメロディーが入り混じる、独特のステージを聴かせてくれました。途中、ボンゲジウエとマチュメ、そしてサカキマンゴーの3人でどじょうすくいを踊るなんてユーモラスなシーンも(笑)。

その中心にいたボンゲジウエは、ラテン風のド派手なスーツに山高帽をかぶってのなかなかおしゃれな井出達にアコギ1本かかえてのステージ。ちょっと意外なことにラテンフレーバーでちょっとフォーキーなメロディアスな曲をたっぷり聴かせてくれたステージ。同じアフリカ勢のマチュメとはまた異なる音楽背景を持っており、これもまたステージの幅を広げていました。

ちなみに忘れてはいけないのがベースを担当した廣瀬拓音で、熱心なドラゴンズファンの彼はこの日は平田のユニフォームにドラゴンズキャップという素晴らしい服装で登場(笑)。もともとレゲエベーシストの彼もまた、レゲエのリズムの入ったベースを聴かせつつ、しっかりとステージを支えていました。

様々な音楽を融合させた実に素晴らしいステージ。昨日のジュピターが今回のスキヤキのベストステージか、と思っていたのですが、それに勝るとも劣らない素晴らしいステージでした。ライブの後、実行委員長が「いままでで一番素晴らしいかも」みたいなことを言っていたのですが、私は3回しか見ていないのですが、それがお世辞とは思えない、本当に素晴らしいステージでした。

バッキバ

で、セットチェンジの休憩の間に外に出てみたのですが、ちょうどガーデンステージでバッキバのステージがスタートしていました。バッキバは東京・世田谷から来たブラジルのマラカトゥのビートを鳴り響かせる太鼓集団。メンバーみんな実に息の合った太鼓のリズムで非常にハイテンションなステージで思わず身体が踊りだしてしまうステージでした。ちなみにさきほどのスキヤキ・フレンズに参加していた廣瀬拓音氏はバッキバのリーダーでもあり、さきほどのステージから引き続きの参加。引き続き、熱いステージを見せてくれていました。活動的だ・・・。

MAYRA ANDRADE

バッキバのステージは残念ながら途中で引きあげ、続けてヘリオス・ステージで昨日、インタビューを聴かせてくれたマイラ・アンドーラのステージへ。このスキヤキ最後のステージとなります。しっとりとした服装だった前日と異なり、この日は胸元も大きく開いた、ちょっとチアリーダーみたいなステージ衣装で登場。セクシーな雰囲気の服装が目に焼き付きました(笑)。

彼女の歌はCDで聴くよりも力強く、より色っぽさも感じるボーカルで聴かせてくれます。アコースティックなラテンフレーバーのポップス。フォーキーなメロはヨーロピアンな雰囲気を感じます。一方では時々ならされるトライバルなリズムにアフリカ的な雰囲気も感じたりして・・・前日のインタビューで語ったアフリカとヨーロッパとブラジルからの影響を受けた彼女のふるさとカーボ・ヴェルデならではの音楽、といった雰囲気でした。

前半はふるさとのカーボ・ヴェルデ、サンティアゴ島のことを歌った「Ilha de Santiago」(邦題 麗しのサンティアゴ島)など聴かせるなど、しんみりしたナンバーが続き、会場にはメロウな空気が流れました。

中盤MCでは「こんばんは」という簡単な日本語と、その後「日本語はわからないから」ということで英語のMCに。ただ母国語ではない英語なので、日本人にも聴きやすくわかりやすい英語でした。このまましんみり聴かせるライブが続く・・・と思いきや、中盤「We used to call it love」(邦題 過ぎ去りし愛)では比較的アップテンポなナンバーで観客を立たせて一緒に踊らせるなど会場を盛り上げていました。

さらに「Rosa」ではサビのメロディーで観客を歌わせました。この時は2階席まで一緒の歌うようにマイクをむけたりして、会場全体で「Rosa」のサビのメロディーの合唱がおこります。正直、しんみりなメロディーラインで決して盛り上がるサビではないんですけどね(^^;;

そんな感じでしんみり聴かせる大人のステージをみせてくれつつ、ちゃんと会場を盛り上げるパフォーマンスをみせてくれた素晴らしいステージでした。残念ながらこの日のうちに名古屋に帰るため、最後まで見れず(おそらくあと1曲くらいだったと思うのですが)、途中で後ろ髪をひかれる思いで会場を後にしました・・・。

そんな訳で、毎年楽しみにしていたスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド。今年も数多くの素晴らしいステージを体験できました。予想通り、ジュピターのステージが素晴らしかったのですが、ボンゲジウエ&スキヤキ・フレンズのステージも想像以上のもの。もちろんトリ・アンサンブルやアニャンゴ、そして最後を飾ったマイラ・アンドラーデのステージも素晴らしく、あいかわらず質の高い、はずれのないイベントで、非常に満足な気分になりつつ会場を後にしました。

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド、毎年思いますが、本当に素晴らしい数多くのミュージシャンにあえる素晴らしいイベントです。来年も機会があれば、是非また足を運びたいです!

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2014年8月30日 (土)

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド2014 その3

その2から

Sukiyaki14_10

この日は砺波市内のホテルにとまって2日目の24日(日)。この日は朝一番でメイン会場である南砺市福野文化創造センターへ向かいます。

まず10時から福野文化創造センターの中のアートスペースで上映された映画「Jupiter's Dance」の上映に参加しました。この映画、昨日、素晴らしいライブを見せてくれたジュピターを中心に、コンゴの首都キンサシャでの音楽活動を中心に追ったドキュメンタリー映画。2007年に発表され、大きな注目を集めました。その後、日本でも話題となったスタッフ・ベンダ・ビリリは、この映画で取り上げられたことから知名度を一気にあげたそうです。

映画ではコンゴ・キンサシャのゲットーの現実をクローズアップしており、日々の生活、そしてその中での音楽が意味するものを詳しく描写していました。特にこのゲットーでの現実は非常にリアリティーあるもので、その状況が非常に印象に残ります。日々、たくましく生きる中でも非常に貧しい生活を強いられる人々。そしてそれに対して無策な政府。ジュピターの音楽は少しでも世の中をよくするため、人々を啓蒙するために音楽活動を続けています。日本にいると感じることがなかなかできないような、音楽で世の中を変えようとする意気込みを強く感じ、またなぜジュピターが音楽を通じて人々を啓蒙しようとするのか、その意味もよくわかる内容になっていました。

そこで思い出したのは、昨年、スキヤキに出演したオリヴァー・ムトゥクジ。彼もインタビューで音楽を通じて人々を「正しい道」に導くことを使命としている、という話をしていました。今回、映画の中で感じたジュピターの使命感にも同じものを感じます。どうしてもアフリカの貧困層はやはり十分な教育も受けておらず、貧しい生活をおくりながらもそれを改善するすべを知らない、そのためそんな人たちも耳をかたむけるような音楽でみんなを啓蒙していこうとする使命感を感じました。またそれだけアフリカでは音楽が人々の暮らしの中に根付いている、ということなのでしょう。「人々を啓蒙するために、音楽の中にユーモアが必要だ」という話をジュピターは映画の中で語っていましたが、全く同じことを昨年、オリヴァーもインタビューで答えていたことを思い出しました。それは決して偶然ではないのでしょう。

映画が終わった後はジュピター本人が登場しインタビューに答えてくれました。自分の音楽のルーツが祖母の奏でていたリズムや西洋音楽にあるという話。その後コンゴは人々の考えが徐々に変わり、いい方向に進んでいるという話、また、「コンゴでの演奏と外国での演奏はスタイルが違うのか」という質問にはコンゴでも外国でも演奏するスタイルは全く変わらないと答えも印象的でした。時間もなくインタビューはわずか30分程度の内容でちょっと物足りなさも感じたのですが、一方では彼のルーツや音楽に対する考え方にも触れた、貴重なインタビューを聴くことが出来ました。

さて、その後は文化創造センターの前のマーケットをブラブラ。ビールをのみながらおいしい食事を食べながら、のんびり次のヘリオスステージまでの時間を待ちます。そんな中、ガーデンステージでは様々なミュージシャンのステージが繰り広げられ、それを楽しんでみていました。

にぼし

まずはじまったのがにぼしという3人組バンド。地元のロックバンドのようです。楽曲はファンキーなロック。スクービードゥーとか在日ファンクみたいな雰囲気でしょうか。でもこれが予想していたよりもなかなかかっこよく、思わず見入ってしまいました。全く初耳で特に期待もしていなかっただけに意外なめっけもんで、ビール片手に、彼らのステージを楽しんでいました。

その後のステージに登場したのは、世界の打楽器ワークショップの発表。詳しい説明はなかったのですが、おそらくワークショップの発表会だったと思います。リズミカルな太鼓が気持ち良いステージだったのですが、「世界の打楽器」という割には打楽器についての説明がなかったのがちょっと残念でした。

トゥーマラッカ

そのステージが終わるとまるでフラッシュモブのように、太鼓をかかえたトゥーマラッカのメンバーがステージ前に集合し、いきなり演奏がスタート。タイムテーブルにも書いていなかったので、突然のライブにちょっとビックリ。ただ、昨日と同じくテンポのよいリズミカルなマラカトゥの演奏にステージ前は盛り上がり、楽しいひと時を過ごすことが出来ました。

その4

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (8/30)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。本格的なフェスシーズン到来し、続々と新情報が入ってきています。11月頃まで週1で更新予定です。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【Folk】【R&B/Soul】【Blues】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

8/30更新
<開催決定>
BON'S JAPAN GAIA、ZIP AUTUMN SQUARE
<出演者追加>
わちゃわちゃフェスタ2014、イナズマロックフェス2014、Russeluno 14STRINGS、M.O.S.H.2014、TOYOTA ROCK FESTIVAL 2014
<Area Map発表>
TREASURE05X
<Time Table発表>
Idol wave 2014夏、イナズマロックフェス2014、浜松ブルースフェスティバル2014
<終了>
まんまる音楽祭2014、篠島フェス2014、Re:mix2014、愛知REGGAE BREEZE2014、FREEDOM NAGOYA 2014

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2014年8月29日 (金)

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド2014 その2

その1より

Sukiyaki14_9

さてスキヤキ・パレードが終わると、南砺市園芸植物園「フローラルパーク」にてフローラルステージが開始。多くの観客が集まっていたのですが、例年のとおり、ワールドミュージックが好きそうなリスナー層から地元でふらっと遊びに来たようなおっちゃんおばさん、さらには外国人や子供たちの姿も目立ち、本当にいろいろな層の観客が参加していました。

毎年、「福野ビック夏の市」という屋台も一緒に並ぶのですが・・・今年に関しては残念ながらこの屋台の数があきらかに少ない・・・昨年の2/3くらいでしょうか。観客の数はそれほど変わらないと思ったのですが、どうしちゃったのでしょうか。とはいえ、おいしいお好み焼きややきそばなどをビールとともにおいしくいただきました。

スキヤキ・スティール・オーケストラ

まずは例年と同じくライブのスタートはこのイベントを契機に立ちあがった市民楽団、スキヤキ・スティール・オーケストラ。名前の通り、スティール・パンで、ソカをベースとした爽やかな音楽を聴かせてくれるグループです。

楽曲はおもにカバー曲をメインとした構成。途中、「ジャズに挑戦」ということでジャズのスタンダードナンバー「シングシングシング」をスティールパンで爽やかに、でもカッコよく決めてくれました。

毎年、このスキヤキに参加するミュージシャンとのコラボも披露するのですが、今年は翌日のヘリオスステージに出演予定のモザンビークのマチュメ・ザンゴとのコラボも披露してくれました。

後半は、トリニダードトバコのヒット曲という「ビックピープルパーティー」という曲を聴かせてくれたり、終始盛り上がる内容でステージ前は沸き上がっていました。最後にはまた観客にフラッグ(バンダナみたいなものでしたが)を配って、みんなでそのフラッグを大きく振りながら大盛り上がりのうちにライブが終了。フローラルステージのつかみとしてはピッタリなみんなで楽しめ、盛り上がり、そして爽快な気分になるステージでした。

アニャンゴ with 大西マサヤ

2番手はアニャンゴwith大西マサヤ。アニャンゴは日本人女性なのですが、アフリカ音楽に魅了され単身ケニアにわたり、ついには現地でも男性だけしか演奏が許されないというケニアのハープ「ニャティティ」の世界初の女性奏者となるというなにげにすごい経歴の持ち主であるミュージシャンです。

この日は同じくケニア在住のパーカッショニスト、大西マサヤと2人でのステージ。ハープでの演奏、ということでおとなしく座って聴くような音楽を想像していたのですが、これが意外とテンポのよい音楽。ニャティティの意外と力強い音色と、パーカッションのリズムでリズミカルな曲を聴かせてくれました。

途中で、こちらもスキヤキではおなじみ親指ピアノ奏者のサカキマンゴーも参加し3人でのコラボレーションライブに。軽快なリズムでとてもたのしいステージを聴かせてくれました。

アニャンゴのステージが終わると、パレードにも参加していたトゥーマラッカと、そしてモザンビーク巨大人形隊がステージ前に登場。セットチェンジの間に観客を盛り上げました。

JUPITER & OKWESS INTERNATIONAL

そしてこの日のステージの最後を飾るのはコンゴから来たJUPITER & OKWESS INTERNATIONALの面々。事前にCDを聴いていたのですが、ハイテンションなアフロビートがすっかり気に入り、今回、正直彼らのステージを一番楽しみにしていました。

メンバーはジュピター本人にギターが2人、ベース、ドラムス、サイドボーカルやいろいろな楽器を担当したり踊ったりしていたメンバーが1人という大所帯でのステージ。そんな中で非常に印象に残ったのがドラムス。かなりアグレッシブでリズミカルなサウンドがバンドの軸となっていました。本人はボーカルもとっていて、ジュピターと同じくらい目立っていたかも(笑)。

もうひとり、サイドボーカルの人も目立っていたなぁ(笑)。ダンスを踊ったり客を煽ったり、どこかユーモラスな動作もあって妙に目につきました。ジュピターのみならずバンドメンバー全員で盛り上げてくれたステージでした。

さてそのライブ自体ですが、予想以上に素晴らしいステージで、最高の一言。そのステージにすっかり魅了されました。基本的にトライバルなリズムが鳴り響くダンサナブルなステージだったのですが、ミニマルな軽くトリップできそうなサウンドが実に印象的。その合間合間に入るギターの音もどこかサイケ風で心地よさをアップさせてくれていました。

ジュピターのMCは英語でもなく(フランス語??)全く意味がわからなかったのですが(笑)、途中、数少ない日本語で「こんばんは、なんと~~!」と盛り上げていたのも好印象でした。

アンコールは最新アルバムから「MARGERITA」で締めくくってくれたのですが、これもまさにノリノリのサウンドで我を忘れて踊りまくりました(笑)。本当に楽しいステージで、今年のベストステージ候補かも。とても楽しみにしていたライブでしたが、その期待通り、いや、期待以上の素晴らしいステージでした。

その3

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2014年8月28日 (木)

日本の夏、スキヤキの夏

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド

会場:富山県南砺市ヘリオス/フローラルパーク 日時:2014年8月23日(土)、24日(日)

毎年、富山県南砺市で行われる日本最大級のワールドミュージックのフェス、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド。今年も夏の終わりに出かけてきました。これで3年連続の参加。なにげにかなりはまっています(笑)。折からの前線の影響で事前の予報ではずっと雨マークがついていた土曜日。しかし蓋を開ければ日が照っている!名古屋からはるばるしらさぎ号に乗って城端線は福野駅を目指します。

Sukiyaki14_1

今回、メイン会場の配置が少し異なっていました。昨年まで大きなテントの一角に小さく設置されていただけのガーデンステージが独立し、立派なステージに。また椅子とテーブルが置かれたテントが、昨年まで1つだったのが2つになり、中央に設置されていました。その分、屋台の数が気持ち減ったような気がします・・・。

まず23日の15時から南砺市福野文化創造センターで、翌日ライブが予定されているマイラ・アンドーラの公開インタビューがあったので、そこに参加してきました。時間になるとマイラが登場したのですが、う、美しい・・・・・(笑)。CDのジャケットや公式サイトでお顔は拝見していたのですが、とてもきれいな方で、おもわずうっとりしてしまいました(笑)。

インタビューは主に彼女の出身地であるアフリカ、カーボヴェルデの話。アフリカ西部に位置する島国であるこの国はもともと無人島だった島を1460年にポルトガル人によって発見し移住。1975年に独立したそうです。世界最初のクレオール(アフリカの黒人と白人の混血)国家だそうです。

カーボヴェルデは島国なのですが、とても開放的でいろいろな人を受け入れる国民性だそうで、また混血が多いため、魅力的な人が多いのも特徴だそうです。アフリカの国家ではあるものの、もともと無人島を白人が開発し、その後奴隷として黒人が生活しはじめたという国柄、他のアフリカとは雰囲気が違い、アフリカというイメージで来ると、むしろカリブ的と感じる国だそうです。実際、ブラジルとも交流が深いという話をしていました。

また、カーボヴェルデの人たちは自分たちの国がヨーロッパに近いと思っている人も多いそうですが、マイアの音楽は、アフリカ的な部分を否定するのではなく価値のあるものとみなして伝えていきたい、と語っていました。

音楽の話にもなったのですが、この国ではジャンルが実に多種多様で、すべての島で奏でられている曲もあれば1つの島のみで奏でられている曲もあるそうです。またカーボヴェルデを代表するミュージシャン、セザリア・エヴォラの話も。彼女とは12歳の時に会ったことあるそうなのですが、彼女に対しては深い感謝と感動の念を抱いているそうです。

インタビューの時間は1時間程度。ほとんどカーボヴェルデという国の紹介で残念ながら彼女の音楽の話はほとんどありませんでした。ひとつ話として出てきたのは最新アルバムのタイトル「Lovely Difficult」の意味。「愛すべき気難し屋さん」という意味だそうで、彼女が朝、機嫌が悪い時があって、その時に元カレに言われた言葉だそうです。個人的には音楽の話ももっと聴きたかったなぁ、と思ったのですが、でもカーボヴェルデという国については良く知れた、楽しい1時間でした。

インタビューが終わると今度は一度会場を後にして福野駅前に向かいました。

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2014年8月27日 (水)

両極端な販売戦略

今週もアルバムチャートは新譜が少な目のため、シングル・アルバム同時更新となります。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は1位と2位でその両極端な販売戦略をとるシングルが並んでいます。

まず1位はEXILEとその関連ユニットから結成されたEXILE TRIBE「THE REVOLUTION」が獲得。初動32万1千枚は前作EXILE TRIBE名義だった「BURNING UP」の26万3千枚(1位)よりアップ。歌詞に繰り返し出てくる「自分革命」という言葉がこっぱずかしくて仕方ありません(苦笑)。

そしてそれに続く2位はゴールデンボンバー「ローラの傷だらけ」が入ってきています。言うまでもなくタイトルは西城秀樹の1974年の大ヒット曲のパロディー。ただ楽曲自体はメロも歌詞も歌謡曲テイストの真面目(といっても終盤に「落ち」も・・・)な曲。初動4万2千枚は前作「101回目の呪い」の15万7千枚(1位)から大幅ダウンという結果になりました。

ただ今回話題になったのがその売り方。写真を一切載せない白いジャケットに、今時珍しい1種のみ発売。特典もなく純粋に「曲」だけで売りにいった戦略が話題となりました。ある意味、「曲」だけでシングルを売るというのはちょっと前まで当たり前の話だっただけに、こういうことが話題になることが逆に情けない話なのですが・・・。前回のシングルが4種発売だったので、初動大幅ダウンは仕方ないところでしょうか。

一方1位EXILE TRIBEは今回、CDにライブチケットをつけるという戦略で売上を伸ばしています。昨年、この方法でEXILEのシングル「EXILE PRIDE」が大きく売上を伸ばしましたが、その手法ということ。ある意味1位2位でシングルの売り方が両極端にわかれた結果となっています。

3位はL'Arc~en~CielのHYDEとOBLIVION DUSTのK.A.ZによるプロジェクトVAMPS「GET AWAY」がランクイン。疾走感あるロックサウンドはカッコいいんだけどちょっとありふれた感も・・・。初動売上3万5千枚は前作「AHEAD」の5万枚(3位)よりダウン。

続いて4位以下の初登場ですが、まず4位。タッキー&翼「抱夏-ダキナツ-」がこの位置。もろ昭和歌謡曲テイストが印象的なナンバー。初動2万9千枚は前作「僕のそばには星がある」の4万3千枚(2位)からダウン。発売形態が5形態から4形態という要因はあるものの、ちょっと厳しい結果となりました。

5位はハロプロ系アイドルスマイレージ「嗚呼 すすきの」がランクイン。こちらもアレンジは今風EDMだけどメロも歌詞もまんま昭和歌謡曲路線。初動2万8千枚は前作「ミステリーナイト!」の3万4千枚(2位)からダウン。

7位にももういっちょ女性アイドルグループ。PASSPO☆「向日葵」が入ってきています。前作に引き続きガールズロック風のナンバー。初動2万4千枚は前作「Perfect Sky」の2万1千枚(7位)からアップ。

8位は韓流。韓国の4人組バンドCNBLUE「Go your way」がランクイン。初動2万4千枚は前作「Truth」の3万5千枚からダウン。9月にこの曲も含むニューアルバムのリリースが予定しており、その影響でしょうか。

9位にはアニメやゲームソングを中心に歌う女性シンガー藍井エイル「IGNITE」がランクイン。こちらはアニメ「ソードアート・オンラインII」オープニング・テーマ。マイナーコード主体でドラマチックに盛り上げる手法はいかにもアニソンっぽい雰囲気。シングルでのベスト10入りは2012年の「INNOCENCE」以来4作ぶり。初動売上2万1千枚は前作「虹の音」の3千枚(31位)(ただし2週目に11位(5千枚)にランクアップ)から大きくアップしています。

最後10位には橘真琴(鈴木達央)「TVアニメ『Free!-Eternal Summer-』キャラクターソングシリーズ Vol.2 橘真琴(流線の行方)」がランクイン。タイトル通り、テレビアニメ「Free!」の登場人物によるキャラクターソング。いかにもなアイドルソングが多いキャラソンですが、この曲はメロディーが意外と聴かせるアイドルテイストは薄めなナンバーになっています。初動売上1万5千枚は、同じキャラクターの前作「TVアニメ『Free!』キャラクターソング Vol.2/未来へのストローク」の1万6千枚(17位)よりダウンながらも低水準のチャートに助けられてのベスト10入り。ちなみに今週はこの「Free!」のキャラクターソングがもう1枚、七瀬遙(島崎信長)名義の「TVアニメ『Free!-Eternal Summer-』キャラクターソングシリーズ Vol.1 七瀬遙(Deep Moment)」がランクインしていますが、こちらは惜しくも11位という結果となっています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週も新譜は少な目。初登場はわずか4枚でした。

そんな中1位を獲得したのはDreams Come True「ATTACK25」。デビュー25周年となる彼女たちが、それを記念してリリースしたニューアルバム。そりゃあ「25」といえば「アタック」だよね(笑)。初動9万枚は前作「LOVE CENTRAL」の9万2千枚(2位)から若干のダウン。

2位はジャニーズ系。山下智久「遊」がランクイン。完全生産限定によるアルバムで、ダンスナンバーを集めた7曲入りのミニアルバム。初動2万5千枚は前作「A NUDE」の6万3千枚(2位)から大幅ダウン。

3位はももくろの姉妹グループで名古屋在住のメンバーにより結成されたアイドルグループチームしゃちほこのデビューアルバム「ひまつぶし」がランクイン。初動売上は1万9千枚。直近のシングル「いいくらし」の3万4千枚(2位)からダウンしているのはアイドルならではな感じ。

続いて4位以下ですが、初登場はわずか1枚のみ。7位に女性シンガーソングライター阿部真央のシングルベスト「シングルコレクション19-24」がランクイン。タイトルの「19-24」の意味は、「19歳から24歳の時に作成したシングル」という意味らしいです。初動売上8千枚は前作「貴方を好きな私」の1万1千枚(7位)からダウン。ベスト盤が売上を落とすというのは浮動層を確保していないという意味で厳しい感じ。

一方、今週は返り咲きも1組。ダフトパンクのカバーが話題となったアメリカのアカペラグループPentatonix「PTX Vols.1&2」が先週の16位から6位にランクアップ。売上も4千枚から8千枚と伸ばしています。サマソニ出演のために来日し、テレビ番組にも出演するなど日本での露出アップがランクアップの大きな要因のよう。まだまだロングヒットも期待できそうなグループです。

今週のチャート評は以上。また来週の水曜日に!

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2014年8月26日 (火)

どこかで見たようなロゴの・・・

Title:SENDAI KAMOTSU
Musician:仙台貨物

2009年11月の日本武道館ライブを最後に「倒産」したバンド仙台貨物。その後、2011年のライブツアーで活動を再開し、このアルバムは活動再開後2枚目のミニアルバムだそうです。どこかで見たことあるようなロゴが印象的なのですが・・・(^^;;

ちなみに仙台貨物は「主に音楽関連の運送をする運送会社」という設定の6人組のバンド。まあ、ぶっちゃけ、ヴィジュアル系バンドナイトメアの変名コミックバンドなわけですが、仙台貨物としても活動歴10年を超え、余技とはいえないくらいのレベルになっています。

今回のアルバムのテーマは「メタル」。もっともかなり本格的なノリでメタルを奏でている、というよりも本人たち曰く「冷やし中華はじめました的なノリで」と歌う「メタルはじめました」なんて曲もあったりして、なんちゃってノリはこだわり派リスナーの多いメタラーには怒られそうかも??ただなんちゃって的なノリのため、ポップにまとまっていて聴きやすかったのも事実です。

正直、コミカルな曲をメタルにのせるというネタ自体はSEX MACHINEGUNSという先例があるため、そういう意味での意外性的なものはほとんどありません。またSEX MACHINEGUNSと比べると、リスナーを一気につかむようなインパクトのあるフレーズも少なく、「東北弁」という笑いの要素もあったのですが、聴く人にとっては少々くどさも感じられたかも・・・。「DEATH TRANSPORTER」とか、それなりにクスっと笑えたのですが、大笑いするような要素は残念ながらありませんでした。

ただ、「倒産」前最後のアルバム「凸~デコ~」は下ネタ満載でちょっとひいてしまったのですが、本作はそういった下ネタはひかえめ。むしろ「ひとりぼっちの手ぬぐい」のように年を取った男性の郷愁を歌ったような曲すらあり、親父世代にはしんみりするような歌詞すら。メンバー本人の正確な年齢は不明ですが、ナイトメアは結成から14年が経過しており、若くても30代半ばと思われる彼ら。そんな年齢なりの歌を聴かせてもくれますし、そこがまた仙台貨物のこれからの可能性も感じます。

まあ大笑いはできないものの、どの曲も変に肩肘がはらず、頭をからっぽにして聴けるポップスばかり。6曲入りのミニアルバムという短さも相まって、難しいこと抜きに気軽に聴けるアルバムだと思います。短い内容なだけに、とりあえず仙台貨物のお試しとしてもいいかも。まだまだこれからの活動も楽しみです。

評価:★★★★

仙台貨物 過去の作品
凸~デコ~

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2014年8月25日 (月)

デビュー30年目にしてのブレイク

Title:問答無用セレクション"金賞"
Musician:怒髪天

今年デビュー30周年を迎えた大ベテランバンド怒髪天。今年1月、デビュー30年にして初の武道館ライブを実現させました。30年かけてたどり着いた武道館のステージ。一説には「史上最遅」とも言われており、その道のりの長さがうかがえます。しかしこの武道館ライブのみならず、ここ最近、関ジャニ∞やももクロへの楽曲提供など話題となり、まさに30年目にしてバンドとして脂に乗ってきた、と言えるのではないでしょうか。

今回リリースされたのはそんな彼らのバンドキャリアの集大成ともいえる3枚組のベストアルバム。実は怒髪天の楽曲をちゃんと聴くのはこれがはじめて。彼らの曲の大きな特徴はその歌詞。タイトルそのまま「押忍讃歌」(おっさん歌)なんて曲もあるように、彼らと同世代のおっさん、中年男性を鼓舞するような曲が骨太のサウンドにのせて歌われています。アラフォーな自分にとってはまさに心にズシッと来るような曲も多く、そんな中年世代の応援歌という点が彼らの曲の大きな魅力となっています。

彼らは自らの曲のことを「R&E(リズム&演歌)」と呼んでいるようです。ただ正直この表現は若干誤解を招きかねないかな、という印象も受けました。というのは、歌謡曲、あるいは和風な要素は強く感じられるものの、基本は図太いバンドサウンドを聴かせるロックンロール。「演歌」は和風な曲調のイメージであるのでしょうが、本来の意味での「演歌」的な要素はほとんど感じられません。演歌と聴いて忌避するような方がいたとしたら少々もったいなく感じます。

さてデビュー30年ではじめてのブレイク期に到来している彼らですが、ベスト盤を聴いてみて、正直言って、いい意味でもあまりよくない意味でもその理由はわかるような気がしました。あまりよくない部分でいえば、リスナーの耳を一発でガツッと捉えるようなインパクト不足。同じ骨太なロックを奏でるというとエレカシやウルフルズあたりを思い出したのですが、エレカシほどの迫力は不足していますい、ウルフルズほどわかりやすいソウルフルなメロディーもありません。

ただここらへんってエレカシの佐久間正英、ウルフルズの伊藤銀次のような売れるための交通案内を出来るような役目のプロデューサーがいなかった、というのも大きな理由な感じがするんですよね。怒髪天の良い部分をわかりやすく世に届けることが出来るプロデューサーをうければ、もっともっとブレイクできるバンドのようにも感じました。もっとも、本人たち曰く「ほっとけ」といった感じかもしれませんが(^^;;

一方いい意味という点でいえば、じっくり聴いていけば怒髪天の良さが徐々にわかりますし、そうするとライブでは思いっきり楽しめそうな曲が多いな、ということに気が付くことが出来ます。実際私も先日のSAKAE SP-RINGではじめて彼らのステージを見たのですが、文句なしに楽しいステージでした。そういう魅力が徐々に多くのファンを惹きつけ、武道館ライブを成功させる大きな要因になったんだろうな、ということは楽曲を聴いてもよくわかりました。

そんな訳で、まずはゆっくりと腰を落ち着けて聴き、怒髪天の魅力に触れてほしいと感じたベスト盤。なんて偉そうなこと言っている私が、これがはじめての怒髪天なのですが(^^;;ただこの魅力が徐々に世間に伝わってきた今、さらなるブレイクもあるかも??デビュー40年50年にむけてますます大きくなりそうな予感のするベスト盤でした。

評価:★★★★★

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2014年8月24日 (日)

イメージそのまま

Tokyofantasy

昨日紹介した映画「黄金のメロディー マッスル・ショールズ」を見に行ったところ、ちょうど同じ映画館でSEKAI NO OWARIを描いたドキュメンタリー映画「TOKYO FANTASY」を上映しました。ちょっと興味があったので一緒にチケットを購入。このドキュメンタリー映画も見てみることにしました。

で、開演前の入場列をみてちょっとビックリ。セカオワの客層ってこんなに若かったんですね(^^;;中高生がメインということは予想はしていたのですが、生がメインといった感じ。好奇心からチケットを購入して若干後悔(笑)。もっと上の世代もいないわけじゃなかったけど・・・。まあ「中二病バンド」の代表格である彼らだからこそ、そういった客層は納得ではあったのですが。

そしてその肝心な中身なのですが、セカオワというバンドがどんなバンドなのかということを描いたドキュメンタリー・・・なのですが、SEAKAI NO OWARIというバンドに対して一般的に抱かれているようなイメージから1ミリもはずれていない内容になっています。

そのため、おそらくSEKAI NO OWARIの描く世界観についてまったく疑いなく受け入れているようなファンにとっては文句なしに楽しめる作品の反面、彼らについてどこか斜めから見ている部分がある人、私のように少々疑問を感じつつも興味を抱いている人にとっては、SEKAI NO OWARIというバンドに抱いている違和感を広げられる結果になるドキュメンタリーだと思います。そういう意味では完全にファン向けのファンズアイテム。ファンの方には無条件でお勧めできる内容の反面、そうでなければかなり辛い作品、と言えるかもしれません。

以下、ネタバレの感想

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2014年8月23日 (土)

名曲のふるさと

Muscleshoals

先日、映画「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」を見てきました。東京では7月上旬から公開されていましたが、名古屋では8月中旬になってようやく公開。待ちに待ったといった感じで見に行った映画館。やはり同じ思いの方は多かったのか、朝一番でのロードショーにもかかわらず映画館はほぼ満員という人の入りでした。

マッスル・ショールズはアメリカ・アラバマ州の小さな街。この街には小さなふたつのスタジオ、フェイム・スタジオとマッスル・ショールズ・スタジオがあり、60年代から70年代にかけて多くのソウル、ロックの名曲を産みだしてきたソウル、ロックファンにとってはまさに「聖地」ともいえるような場所。この映画では、そのフェイム・スタジオの創立者であるリック・ホールのインタビューを軸に、マッスル・ショールズの2つのスタジオの歴史を紐解いたドキュメンタリーです。

映画は、この手のドキュメンタリーによくありがちなのですが、主に関係者によるインタビューを軸に進んでいきます。ただ、基本的にマッスル・ショールズの歴史を振り返るような内容で、「基本的」ともいえる内容。おそらくここらへんの歴史に詳しい方なら普通に知っていそうな内容かもしれません。それを関係者のインタビューや当時の映像や写真、また今のスタジオの風景と重ねながら撮られている点が感動的な訳で・・・。一方で、そんな基本的な歴史をつづった内容なだけに、「マッスル・ショールズ」という言葉でピンとくる程度の初心者レベル(ていうか私もその程度の知識なのですが(^^;;)の方にとっても十二分に楽しめる内容になっていました。

以下ネタバレの感想

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (8/23)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。本格的なフェスシーズン到来し、続々と新情報が入ってきています。11月頃まで週1で更新予定です。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【Folk】【R&B/Soul】【Blues】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

8/23更新
<開催決定>
Russeluno 14STRINGS
<出演者追加>
食と器と音楽と
<Area Map発表>
篠島フェス2014
<Time Table発表>
IWATA MUSIC FES 2014、TREASURE05X
<終了>
聖地じゅんれい!夏期講習編

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2014年8月22日 (金)

ベテランらしい安定感とバラエティー

Title:KETSUNOPOLIS 9
Musician:ケツメイシ

前作からタイトルを「ケツノポリス」というカタカナ表記から「KETSUNOPOLIS」というローマ字表記に変更したケツメイシの新作。首里城の前の写真と統一されていたジャケット写真も前作から変更になっています。このスタイル、前作のみの変更かとも思えられたのですが今回も基本的に前作のスタイルを踏襲。写真は前作のタイバンコクでの写真から「ブラジル食堂」なる食堂(沖縄・名護市にあるらしい・・・)の前での写真となっています。

ただ、楽曲のスタイルとしてEDMを大胆に導入しその楽曲イメージを大きく一新した前作から一転、本作ではケツメイシらしいサマーチューンが飛び込んできます。タイトルそのまま「カリフォルニー」はまさに典型的なサマーソングですし、「FUTARIDAY」も彼ららしいさわやかなビーチソング。「RHYTHM OF THE SUN」などはまさにケツメイシらしい楽曲に仕上がっています。

本作は、そんな特に前半、ケツメイシらしい曲が並んでいた一方、アルバム全体としてはバラエティーに富んだ作風が魅力的な作品になっていました。郷愁あふれる「少年と花火」や、前作を引き継いだようなエレクトロナンバー「月と太陽」などサウンド面でもバラエティー富んだ作風になっています。

ただ今回それ以上に印象に残ったのは歌詞。かなりユーモラスでバリエーションに富んだ歌詞を聴かせてくれます。「リアリティー」は二次元萌えをユーモラスにちょっと皮肉を加えて題材とした作品ですし、「EMERGENCY」もダークな雰囲気の曲かと思えば、実はリスナーのミスリードを誘う歌詞がユニークなコミックソングになっています。

また最近の彼らの曲らしい、メンバー全員アラフォーという彼らならではの視点の曲もチラホラ。インターリュード的な「中年あるある」は中年の悲哀をコミカルに歌詞にしていますし、「それぞれのライフ」は日常を生きる普通の人々の様子を力強く歌詞にした内容はアラフォーならではの大人の視点を感じます。

そんなバラエティーあふれる曲を1枚のアルバムに入れることができるのはやはり彼らのベテランとしての安定感と余裕があるからではないでしょうか。今回のアルバムではそんな面を特に感じました。ただ一方で全体的に無難におさめた感じもすると言えば否定できない部分も。「親父のメール」とか感動的ではあるもののちょっと狙いすぎでベタな部分も感じてしまいますし。そういう意味では傑作、というよりも安心の佳作といった感じのアルバムでした。

評価:★★★★

ケツメイシ 過去の作品
ケツノポリス5
ケツノポリス6
ケツノポリス7
ケツの嵐~春BEST~
ケツの嵐~夏BEST~
ケツの嵐~秋BEST~
ケツの嵐~冬BEST~

KETSUNOPOLIS 8

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2014年8月21日 (木)

幻想的な世界観とポピュラリティーのバランスが絶妙

Title:THE BEST"Red"
Musician:Kalafina

Title:THE BEST"Blue"
Musician:Kalafina

アニソンやゲーム音楽などをメインに楽曲提供で活躍している梶浦由記が立ち上げたボーカルグループKalafina。主にアニソンを歌ういわばアニソン歌手なのですが、一方幻想的な世界観に独特なものがあり、以前からちょっと気になるグループではありました。今回、はじめてベスト盤が2枚同時にリリースされたことを機に、彼女たちの作品を聴いてみることにしました。

いままでシングル単位では試聴はしていたのですがアルバム単位でしっかりまとめて聴くのはこれがはじめて。それで聴いて感じた感想としては予想していたよりもよかった、ということでした。

ボーカル3人のコーラスラインが美しく絡みながら、ストリングスを使ったちょっとケルティックな雰囲気の幻想的なサウンドを魅力的に感じつつ、シングル単位で試聴していてちょっと気になる点もあったもの事実。ひとつは重厚なサウンドが魅力的ながらも少々仰々しくないか、という点。もうひとつはメロディーが、アニソンでよくありがちな、十年一日どころか三十年一日なマイナーコードのアップテンポなメロで、アガルといえばアガルものの単調で平凡なメロの曲がチラホラあった、という点。その2点が大きなマイナスポイントになっているのではないか、少々気がかりな点でした。

正直言ってしまえばそういう部分で気になる点もチラホラあったもの事実です。「Blue」収録の「満天」「to the beginning」は仰々しいトゥーマッチなサウンドが曲を殺しちゃっているなぁ、と感じましたし、同じ「Blue」収録の「heavenly blue」あたりはベタなメロがいかにもアニソンらしくてあまりおもしろくないと感じてしまいました。

そのほかにもそういうマイナスポイントはチラホラ見受けられたのも事実。ただその一方で、そこを補うだけの大きなプラスポイントも感じました。まずはコーラスラインの美しさ。3人のボーカルによるコーラスラインがこのユニットの大きな売りだと思うのですが、メンバー3人に変な癖がなく、美しいボーカルを素直に楽しむことが出来ます。また、ケルティッシュサウンドやヨーロピアンフォークなサウンドは幻想的な雰囲気を出しつつも、仰々しさを感じる一歩手前で止まっている曲が多く、ちゃんと魅力的な世界観を醸し出しています。メロもいかにもアニソンな曲も少なくない反面、「Red」収録の「Eden」みたいな爽やかなポップチューンもあり、バリエーションも感じられます。

また、楽曲も幻想的な雰囲気の曲だけではなく、オーケストラを用いたり、トライバルなサウンドを入れたり、打ち込みの音を入れたりとバリエーションがありますし、なにより魅力的と感じたのは、これらのサウンド的な要素、コーラスの要素と、メロの持つポピュラリティーが見事にバランスしているという点。決して幻想的なサウンドを前に押し出しすぎているわけではなく、逆にメロを前に出しすぎているわけではないほどよいバランスが絶妙でこのユニットの大きな魅力に感じました。

2枚のアルバムを比べると正直「Blue」はちょっとマイナス要素が強かったかな?と感じてしまったのですが、アニソン歌手というある種の枠組みにとらわれることなく楽しめるミュージシャンだと思います。世界観がファンタジックという点で抵抗感がある方もいるかもしれませんが、その点を除けばお勧めです。

評価:THE BEST"Red" ★★★★★
THE BEST"Blue" ★★★★


ほかに聴いたアルバム

フリー・ソウル・クレイジー・ケン・バンド/クレイジーケンバンド

主にレアグルーヴを見つけ出しリリースしているコンピレーション「フリー・ソウル」シリーズ。先日はキリンジ盤がリリースされましたが、今回はクレイジーケンバンド盤がリリース。彼らの名曲の数々の中から、「フリー・ソウル」のコンセプトに一致するようなメロウな楽曲が選曲され収録されています。

もちろんそんな彼らの曲は名曲ばかり・・・のはずなのですが、聴いていてちょっと物足りなさも感じたのも事実。その理由は・・・おそらく「いいね!」のアイキャッチがなかったから(笑)という理由もあるのかもしれませんが、彼らの曲を似たような側面から切り取った曲ばかりが並んでいたため、ちょっと飽きてしまったという面もあるのかも。クレイジーケンバンドはもともとごった煮的なバンドなだけにその中の一面というのでは物足りなかったのかな?もちろん決して悪い選曲とは思わないのですが・・・。

評価:★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN
FLYING SAUCER

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2014年8月20日 (水)

お盆中のヒットチャート

そのためアルバムチャートは新譜が少な目。シングルアルバム同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

まず1位は今週もジャニーズ系。Kis-My-Ft2「Another Future」が手堅く1位を獲得。テレビ朝日系ドラマ「信長のシェフ」主題歌。いかにもジャニーズ系の歌といった感じだが、内容的には可もなく不可もなくといったちょっと地味な印象・・・。初動21万4千枚で前作「光のシグナル」の20万2千枚(1位)からアップ。前作で26万7千枚から20万2千枚とガクッと初動が落ちてしまいましたが、本作ではなんとか下げ止まりました。

2位はL'Arc~en~Ciel「EVERLASTING」。3月に行った国立競技場でのライブ写真集がついた完全受注生産によるシングル。そのため初動5万4千枚は前作「CHASE」の8万1千枚(2位)よりダウンしましたが、4,000円という強気な値段設定から考えると大健闘といった感じでしょうか。

3位はSKE48「不器用太陽」が先週から順位キープでこの位置にランクインしています。

さて、3位はSKE48でしたが以下今週は女性アイドルグループの新譜が並びます。あくまでも印象論なのですが、このところ女性アイドルグループのシングルはまとまってランクインすることが多いような・・・。イベントとか打ちやすい時期を狙っているということでしょうか?

以下女性アイドルグループでは4位SUPER☆GiRLS「アッハッハ!~超絶爆笑音頭~」、5位E-Girls「おどるポンポコリン」、8位HIP ATTACK from アイドリング!!!「黄金蟲」がそれぞれ初登場でランクインしています。

SUPER☆GiRLSはAメロで一応音頭調な雰囲気を出しておきながらサビはアイドルソングから一歩もずれていないところが逆にすごい感じ。初動4万1千枚は前作「花道!!ア~ンビシャス」の3万3千枚(3位)からアップ。ここ最近、MUSIC CARD複数枚発売のドーピングをしてきましたが本作はそれが70種まで増加。もう売る方も、「音楽を売る」という感覚も麻痺している感じがします。

E-Girlsはご存じ「ちびまる子ちゃん」主題歌で大ヒットした曲のカバー。これを聴くとやはりこの曲はB.B.QUEENSが歌ったからヒットしたんだなぁ、ということがわかります。彼女たちは以前も「THE NEVER ENDING STORY」をカバーしており、こういうベタなヒット曲のカバーが多い印象が。初動売上3万1千枚は前作「E.G.Anthem -WE ARE VENUS-」の4万9千枚(2位)よりダウン。こちらもMUSIC CARD29種同時発売ですが、前作より数字を落としています。次回作あたり、100種同時発売とか、平気でやってきそう・・・。

そしてHIP ATTACK from アイドリング!!!はアイドルグループアイドリング!!!からの派生ユニット。火曜日発売にしてデイリー1位を獲得しようとする作戦。まあそれでも同時発売は3種類のみですし、他2曲に比べると全然まっとうな方針な感じはします。初動1万8千枚はアイドリング!!!としての直近作「キュピ」の2万7千枚(6位)からダウン。

他の新譜は・・・6位に西野カナ「Darling」がランクイン。フジテレビ系「めざましテレビ」主題歌となる軽快なラブソング。初動2万2千枚は前作「We Don't Stop」の2万枚(2位)より若干のアップ。

7位は765PRO ALLSTARS「劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』エンディング・テーマ 虹色ミラクル」。「THE IDOLM@STER」の登場キャラクターによるユニット。初動売上1万8千枚は前作「ラムネ色 青春」(4位)から横バイ。

最後10位にはモデル4人組によるアイドル色強いガールズバンドSilent Siren「BANG!BANG!BANG!」が入ってきています。一応ギターロックの形態だけど最近のへたなアイドルソングよりもアイドルソングっぽい曲調になっています。初動1万6千枚は前作「ラッキーガール」(6位)からこちらも横バイ。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

お盆最中のチャートということもあり、今週初登場の新譜はわずか3枚のみでした。

まず1位はAKBがらみ。NMB48「世界の中心は大阪や~なんば自治区~」がランクイン。はぁ、そうですか、といったタイトルがちょっと痛々しいですが・・・初動32万5千枚は前作「てっぺんとったんで!」の32万8千枚(1位)から若干のダウン。2作目としては健闘した結果でしょうか。

2位はSOL(from BIGBANG)「RISE[+SOLAR&HOT]」。韓流アイドルグループBIGBANGのメインボーカリストでこれが日本でのソロデビュー作だそうです。

3位には中森明菜「オールタイム・ベスト-オリジナル-」が先週から横バイでベスト3をキープ。ちなみにカバーベスト「オールタイム・ベスト-歌姫(カヴァー)-」も10位にランクインしており、2週連続中森明菜のアルバムが2作同時ランクインという結果となっています。

今週、初登場はもう1枚のみ。5位に東京スカパラダイスオーケストラ「SKA ME FOREVER」。デビュー25周年を記念してリリースしたオリジナルアルバム。スカパラのアルバムがベスト10入りするのは2010年にリリースした「WORLD SKA SYMPHONY」以来4作ぶり。初動売上1万2千枚も前作「Diamond In Your Heart」の9千枚(15位)からアップしています。10-FEET、MONGOL800、ASIAN KUNG-FU GENERATIONという人気3バンドとのコラボ作といった話題作が収録されていた点、売上が伸びた要因でしょうか。

今週のチャート評は以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年8月19日 (火)

歴史的意義のあるライブツアー

Title:A Matter of Trust: TheBridge to Russia
Musician:Billy Joel

このアルバムは今のロシアが「ソヴィエト連邦」と呼ばれていた時代、1987年の7月から8月にかけてモスクワとレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)で計6回おこなったライブの模様を収録したライブアルバム。もともと直後に「コンツェルト-ライヴ・イン・U.S.S.R.-」としてライブアルバムでリリースされたり、ビデオ作品としてリリースされたりもしたそうですが、今回はそれに新規の音源や映像も加え、当時放送されたドキュメンタリー番組も収録し、CD2枚組+DVD(もしくはBlu-ray)としてリリースされた作品です。

共産主義国家であったその当時のソヴィエトは資本主義国家のアメリカと冷戦状態にあり、ロックミュージックは資本主義国家の典型的な象徴として規制の対象となっていました。しかし1985年に共産党書記長に就任したミハイル・ゴルバチョフの主導の元に行われた政治体制の改革運動、ペレストロイカの中で同年の11月、米ソ首脳会談において文化交流に関する協定がかわされてビリー・ジョエルのソ連での公演が可能となったそうです。

そんなある種の歴史的な意義もあったこのライブツアー。そんなツアーにかける意気込みはDVDに収録されたドキュメンタリーでビリー本人も語っていましたし、また、ソヴィエトという国がいかに未知の国であるかということも語っています。当時のソヴィエトに対する印象はおそらく今の北朝鮮くらいの印象だったのでしょう。それだけ当時にとってこのライブツアーは「すごいこと」だったということがわかります。

ただ、そんなライブツアーなのですが、おそらくそんな予備知識なしで見ると、おそらくそんな特殊なツアーだ、ということに気が付かず、ビリー・ジョエルのライブアルバムとして純粋に楽しめるアルバムになっているのではないでしょうか。ライブ映像も含めて、今見ても共産圏の国といった違和感はありません。観客は普通に盛り上がっていますし(確かにアメリカとかのライブと比べると若干おとなしめなのかもしれませんが)、ビリーの演奏もソヴィエトのライブだから、といって大きく変化している部分は感じられません。未知のヴェールにつつまれた国も、その内実は西側諸国の人々と何ら変わらない人たちが暮らしていた国だった、という感じでしょうか。

選曲はビリー・ジョエルの代表曲がつまっており、ベスト的な内容。そういう意味でも歴史的な意義抜きとしてビリー・ジョエルのライブアルバムとして楽しめるアルバムになっていました。ただそんな中、ビートルズの「BACK IN THE U.S.S.R.」が選曲されているのはユニークですし、ベトナム戦争の兵士のことを歌った「GOODNIGHT SAIGON」が問題なく選曲され歌われているというのはちょっとビックリしました。

ちなみにまた例のごとく日本盤は8,600円という非常にお高い内容になっています。輸入盤だと4,000円ちょいで入手できたので今回はそちらで購入。もちろん日本語字幕はなく、ドキュメンタリーも英語字幕で楽しみました・・・・・・が、さすがに私のつたない英語力では英語字幕でも半分くらいしか意味が理解できなかった・・・(^^;;ただ正直、ライブ音源とライブ映像の部分は無理に日本盤でなくてもいいので、9,000円近く出すか4,000円程度でおさめるかは迷いどころですね。よっぽどのファンで、お金に余裕がある方でなければ輸入盤で十分かと・・・。

評価:★★★★★

BILLY JOEL 過去の作品
LIVE AT SHEA STADIUM
She's Always a Woman to Me:Lovesongs

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2014年8月18日 (月)

タイトルに偽りあり??

以前、書店に並んでいたのを見て、ちょっと気になっていたのですが、Kindleで電子版で発売されているのを見つけて購入した作品、「ニッポン・ポップス・クロニクル1969-1989」。作者である牧村憲一氏はシュガー・ベイブやセンチメンタル・シティ・ロマンスを世に送り出し、さらには山下達郎、大貫妙子、竹内まりやらのアルバムをプロデュース。さらにフリッパーズ・ギターを世に送り出したプロデューサーです。

本作はそんなキャリアを持つ彼によるタイトル通り、日本のポップス史の編年記。内容は大きく前半と後半にわかれており、前半では1969年から1989年までの20年間を1年毎に区切り、それぞれの年のキーパーソンとなる人物を迎えインタビューと、彼自身の体験談からそれぞれに年のおこった事象を綴っています。一方後半ではジャズ評論家の相倉久人氏を迎え、日本のポップス史や現状について、特に相倉氏の専門分野である日本におけるジャズの歴史を加えて対談しています。

ただこの本、本人曰く「ある意味で『日本のポップスの入門書』としての役割を果たすものにしたつもりだ」ということですが、正直、これを日本ポップス史の入門として読むとかなり辛いものがあります。基本的にこの本でつづられているのは牧村氏の個人史。そのため、はっぴいえんど系列から加藤和彦、YMOやナイアガラ、シュガーベイブがらみでつづられていて、登場人物にはかなりの偏りがあります。もちろんこのことは本人も重々承知の上で前書きにも書いてあるのですが、この本では日本のポップス史のあくまでもひとつの側面のみ切り取っていることを考慮にいれておかないと、入門書としてはかなり誤解を招きそうな内容のように感じます。

また綴ってあるエピソードにしても、牧村氏本人が体験したエピソードや、インタビューの中で登場するエピソードなど興味深いお話が数多く登場する反面、ファンならだれもが知っていると思われるエピソードを省略している箇所もあり、そういう意味でも入門書としてはちょっと辛いんじゃないかなぁ、という感じはしました。

ただもっとも、各年に登場するキーパーソンは主に裏方の人間が多く、その現場を知るリアリティーある証言やお話も数多く、そういう意味では非常に貴重な内容であるこをは間違いありません。おそらくこの本を100%満足して理解し楽しめるのは、ある程度日本のポップス史を把握した上で、かつYMOやはっぴいえんど近辺に詳しい方、という括りがあり(そのため私もそういう意味では100%満足して理解し楽しめた訳ではないのですが・・・)そういう意味ではむしろ「上級者向け」ですらあるように感じたのですが、それを理解した上で読めば、貴重なエピソードも多い、日本ポップス史のひとつの側面を描くのに非常に貴重な1冊であることは間違いないと思います。

ただ一方、最後の相倉氏との対談については興味深い指摘も多い反面、少々疑問に感じる点もありました。特に疑問に感じたのは今のCDが売れなくなってきた現状の理由に対する指摘の点。相倉氏曰く「一番の大きな原因はね、僕はリミックスだっていう考え方」と述べ「リミックスが流行りだしてからは、作るほうにとっても完成品じゃなくなっちゃった」として、そんな未完成なものに「誰がそんなものに3000円も出すか」という点がCDが売れなくなった理由と述べています。

いや、そりゃどう考えても違うでしょ(^^;;

確かに「リミックス」というのが一時期に比べ格段に増えたのは間違いありません。ただ正直CDを一番買うようなリスナー層にとってはリミックスなんてほとんど興味はなく、あくまでもアルバムやシングルでリリースされたバージョンが完成品。いろいろな曲のミックス違いを気にするのは一部の音楽マニアだけでしょ?ちょっとここらへん、一般のリスナー層と音楽マニア層の認識の大きなズレを感じてしまいます。

そういう気になる部分はいろいろあって、正直、「業界人」と「一般リスナー」のズレみたいなものも感じてしまった点がチラホラ。ここらへんのズレがCDが売れなくなった最大の理由では??なんてことも思ってしまったりもするのですが・・・。

そういう意味で全体的に読み手を選ぶ本だと思います。逆に、この本全体として、あくまでも牧村氏の個人史、個人的な見解として読めれば、非常に貴重な証言も多い一冊であることは間違いないと思います。その点、ご理解した上で興味ある方は是非。

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2014年8月17日 (日)

現在のブルース

Title:Bluesamericana
Musician:Keb' Mo'

いままで3度のグラミー賞を受賞している現在のアメリカの代表的なブルースミュージシャンKeb' Mo'のニューアルバム。意外なことに(?)このアルバムではじめてちゃんと彼のアルバムを聴いてみました。

今回のアルバムタイトルになった「アメリカーナ」という言葉、意味としては「アメリカの風物」「アメリカの文化」という意味。そのためでしょうか、アルバムの中に要所要所「アメリカっぽい」と感じさせる要素が多く感じられ、あくまでもイメージ論かもしれませんが、実にアメリカらしいアルバムになっていました。

具体的に言うとたとえば1曲目「The Worst Is yet to Come」はカントリーっぽいを楽曲に入れていますし、2曲目「Somebody Hurt You」はゴスペルっぽい要素が。さらに続く「Do It Right」のアコースティックなサウンドは実にアメリカンロックというテイスト。また後半ニューオーリンズ風の楽しい「Old Me Better」のようなナンバーもあります。このように「アメリカーナ」という言葉の通り、アメリカの文化を前面に押し出したようなアルバムに感じました。

ただその一方、アルバムを通じて感じられたのはちゃんとブルースに立脚して曲を奏でるスタイル。これらどの曲もアメリカの様々な文化要素を曲に織り交ぜながらも根底に流れているのは間違いなくブルース。特にカバー曲「That's Alright」はおなじみの楽曲のカバーですが、力強いブルージーなギターとその歌声が胸をうつカバーにしあげており、ブルースミュージシャンとしての力量を感じさせる内容となっています。

そしてそんなブルースの楽曲を、今風にまとめあげているのも彼の楽曲の大きな特徴に感じます。要するにブルースの正当な継承者である一方でそこに今風の解釈を加えてアップデートしている感じ。「I'm Gonna Be Your Man」ではブルージーなアコギの音からスタートする一方、楽曲は爽やかなシティーポップ的な要素を感じられ、ブルースを聴かないようなリスナー層にもアピールできるような作風になっていました。

まあそんな感じでまさにKeb' Mo'が体現しているのは「現在のブルース」とでも言うべき楽曲。昔の音をちゃんと継承しつつ、現在的に解釈しており、かといって必要以上にコンテンポラリーな内容にも陥っていない、そういう意味ではブルースリスナーもブルースを普段聴かないような方でも楽しめるような内容。まだまだブルースは今に生き続けている、ということを感じることの出来るアルバムです。

評価:★★★★★

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2014年8月16日 (土)

さらにポップに

Title:幕の内ISM
Musician:パスピエ

先日、SAKAE SP-RINGではじめてパスピエのライブを見ました。正直なところパスピエというバンドは「ポップスバンド」というイメージがありライブは必要以上の期待はしていませんでした。しかし、そのステージは自分の予想と大きく異なるもの。へヴィーなバンドサウンドを前面に押し出した「ロック」なステージで個人的にパスピエに対するイメージが大きく変わったステージでした。

その時もこのアルバムに収録されている曲が多く演奏されました。それだけにじゃあアルバム自体はライブみたいにバンドサウンドを前面に押し出したロックなアルバムになるのかなぁ・・・・・・・・という期待はほとんどしておらず(^^;;予想通り、いままでのアルバムと同様、シンセサウンドをメインに押し出したポップス色強いサウンド。いままでのパスピエのイメージ通りのアルバムになっていました。

そんなライブとアルバムのスタイルに大きな違いを感じる彼女たち。おそらくその原因のひとつはボーカルにあるような気がします。パスピエの大きな特徴がボーカル大胡田なつきの甲高いロリータボイス。ただ正直彼女のボーカルってちょっと声量が弱く、ライブでは完全にバックのバンドに負けていました。ライブならばそれ以上にバックバンドの音の迫力が勝るのでしょうが、CD音源ではちょっと辛い感じ。実際、CD音源ではあきらかにバックの音は抑えられ、ボーカルの声が前に押し出されているつくりになっています。

さて、そんなライブの時と比較しながら聴いたパスピエのニューアルバム。全体的な作風に関しては、前々作までのサブカル臭が本作でも薄まり、前作に引き続きポップでインパクトの強いメロディーが前面に感じられる作品になっていました。

ライブでも「トーキョーシティー・アンダーグラウンド」「MATATABI STEP」のようなこのアルバムに収録されている曲を演奏してくれました。基本的にその時にはじめて聴いたナンバーばかりなのですが、アルバムを聴いていると、ちゃんとメロディーラインを覚えているんですよね。それだけかなりインパクトの強いメロディーラインを書いているんだな、とあらためて実感しました。

ただそうすると前作と同様、いまひとつパスピエとしての癖が薄れて聴きやすくなった反面、個性もちょっと薄くなってしまった印象も。前作よりメロディーのインパクトは強まり、一歩成長している感は間違いないんですが・・・。そう考えると、個人的にはライブで聴かせてくれたパスピエの、ある種の「本性」がひとつの方向性になるようにも思うんですが・・・要するに、もうちょっとバンドサウンドを前に出してもおもしろいのでは?もうひとつ、ガツンと来る何かがほしいなぁ、と感じたアルバムでした。

評価:★★★★

パスピエ 過去の作品
ONOMIMONO
演出家出演

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (8/16)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。本格的なフェスシーズン到来し、続々と新情報が入ってきています。11月頃まで週1で更新予定です。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【Folk】【R&B/Soul】【Blues】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

8/16更新
<開催決定>
idol wave 2014夏、Eccentrip Journey-Open Air Party 2014-、リゾームビルディング
<出演者追加>
TOYOTA ROCK FESTIVAL 2014、seedleSs&range party 2014、浜松ブルースフェスティバル2014
<Time Table発表>
まんまる音楽祭2014、Re:mix2014
<終了>
伊吹の天窓2014(荒天中止)、森の音楽祭(荒天中止)、EAT THE ROCK 2014(荒天中止)

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報2014 (8/16)"

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2014年8月15日 (金)

ベテランの安定感

Title:或るいはアナーキー
Musician:BUCK-TICK

デビューから27年。すっかりベテランバンドの仲間入りをしたBUCK-TICK。「全盛期」と言えるのが私が中学生の頃だったのでちょっと懐かしさも感じるのですが、いまなおコンスタントに活動を続けています。本作はそんな彼らの約1年9ヵ月ぶりとなるアルバムです。

彼が30年近くキャリアを続けて、かついまだにベスト10入りしてくるだけの人気を保っている理由のひとつは、やはりアルバム毎にそのスタイルをちょっとずつ変えているという点も少なくないでしょう。一時期はインダストリアル方面に走っていた彼らですが、ここ最近はポップな作品が続いています。ただ、一口にポップ路線といっても前々作「RAZZLE DAZZLE」はニューウェーヴの雰囲気がありましたし、前作「夢見る宇宙」はビートロック風のアルバムになっていました。

例えれば「RAZZLE DAZZLE」が80年代、「夢見る宇宙」が90年代とすると、それに続く本作は00年代といった感じでしょうか?楽曲的には打ち込みのサウンドが多くつかわれており、まさにエレクトロロックテイスト。ダンサナブルな「Devil'N Angel」やタイトル通り(?)スペーシーな「形而上 流星-metaform-」などエレクトロサウンドが目立つ内容となっています。

ただその方向性以外にも本作は比較的バリエーション多い作風になっていました。1曲目の「DADA DISCO-GJTHBKHTD-」はダンサナブルなオルタナ系ギターロックで、ちょっとフランツ・フェルディナンドを思い起こさせるような路線ですし、「ボードレールで眠れない」はこちらも打ち込みを入れつつ、サーフソングっぽい雰囲気の歌謡曲路線。「SURVIVAL DANCE」はラテンの雰囲気となっています。

しかしそんな様々な楽曲の要素を取り入れながらもアルバム全体としてチグハグな雰囲気にはなっていません。やはりそこにはBUCK-TICKとして一本の柱があるからでしょう。またいい意味での安定感があり、どの曲もしっかり作りこまれていることを感じます。どんなタイプの曲だろうと聴いていて安心できる感じで、そういう意味でのベテランの安定感を強く感じたアルバムでした。

もっともこの安定感は逆にほどよい程度にまとまってしまっている、という側面も持っていてそういう意味ではマイナスも。安心できるかわりに、奇抜な、ぶっ飛んだような楽曲、新たな驚きみたいなものもなかったのは仕方ないのでしょうが・・・。とはいえファンなら安心して楽しめる作品ですし、そうでなくても間違いなく聴いて損のない作品だと思います。ベテランとしての実力を感じる作品でした。

評価:★★★★

BUCK-TICK 過去の作品
memento mori
RAZZLE DAZZLE
夢見る宇宙

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2014年8月14日 (木)

こちらもジャニーズが1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートもシングルチャート同様、ジャニーズ系が1位獲得。これがアルバムデビュー作となるジャニーズWEST「go WEST よーいドン!」が1位獲得となりました。初動売上8万2千枚。デビューシングル「ええじゃないか」が初動26万2千枚なので、それに比べるとかなりの減少となりました。

2位はGReeeeN「今から親指が消える手品しまーす。」が初登場。初動売上3万3千枚は前作「いいね!(´・ω・`)☆」の6万3千枚(3位)よりダウンで、下落傾向が止まりません。相変わらず「俺たちのアルバムタイトルユニークだろ」という自己主張ばかりが強いタイトルがたいしておもしろくもなく正直癇に障ります(苦笑)。

そして3位には中森明菜「オールタイム・ベスト-オリジナル-」が入ってきました。ご存じ80年代に一世を風靡した国民的アイドルのベスト盤。同時発売のカバー曲を集めた「オールタイム・ベスト-歌姫(カヴァー)-」も7位にランクインしています。2010年以降活動休止状況の彼女で、80年代に並び称された松田聖子がまだ最前線で活動しているのと比べると少々寂しさを感じさせる彼女ですが、この2作品のヒットで、まだまだ根強い人気を感じさせます。アルバムは2009年にリリースされた「DIVA」以来、ベスト10入りは2002年のセルフカバーアルバム「Akina Nakamori〜歌姫ダブル・ディケイド」以来となりました。

続いて4位以下の初登場ですが、4位初登場がトランシーなロックが人気を集めるFear, and loathing in Las Vegas「PHASE2」が入ってきました。初動売上2万1千枚は前作「All That We Have Now」の2万3千枚(4位)から若干のダウン。ただこれでミニアルバム含め3作連続のベスト10入りで、その人気を確固たるものとしています。

6位にはシンガーソングライター高橋優「今、そこにある明滅と群生」がランクイン。うん、すごいタイトルだ(笑)。初動売上1万4千枚は前作「BREAK MY SILENCE」の1万2千枚(9位)から若干のアップ。6位はシングルアルバム通じて自己最高位となります。

9位にはスターダスト・レビュー「SHOUT」が入ってきました。前作「B.O.N.D」に続くベスト10ヒット。派手な大ヒット作こそありませんが、着実に固定ファンを確保している感じのバンドです。初動売上8千枚は直近作のライブ盤「Stage Bright ~A Cappella&Acoustic Live~」の7千枚(20位)より若干のアップ、前作「B.O.N.D」の9千枚(9位)から若干のダウン。ただライブ盤でもオリジナルでも売上がほとんど変わらないあたり、根強い固定ファンの存在を感じます。

最後10位にはNothing's Carved In Stone「Strangers In Heaven」がランクインです。Nothing's Carved In Stoneは現在活動休止中のELLEGARDEN生形真一が、ストレイテナーなどで活躍している日向秀和らと組んだバンド。シングルでは「Out of Control」がアニメタイアップもありベスト10入りを記録していますが、アルバムでのベスト10入りはこれが初。ただ初動8千枚は前作「REVOLT」の9千枚(17位)から若干ダウンしており、低水準のチャートに助けられた結果となっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年8月13日 (水)

ジャニーズvs元ジャニーズ

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート。1位を獲得したのはジャニーズ系。関ジャニ∞のエイトレンジャー名義によるシングル「ER2」でした。映画「エイトレンジャー」主題歌。ONE OK ROCKあたりの今風のロックバンドっぽい作風になっています。初動20万8千枚は前作「オモイダマ」の16万8千枚(1位)からアップ。ただしエイトレンジャー名義の前作「ER」の33万枚(1位)からは大幅なダウンとなりました。

2位は赤西仁「Good Time」がランクイン。ご存じ元KAT-TUNのメンバーで、KAT-TUN脱退騒ぎの後ジャニーズ事務所を脱退しましたが本作はジャニーズ事務所脱退後初となるシングル。初動3万9千枚は前作「アイナルホウエ」の4万2千枚(3位)からダウン。ジャニーズ事務所脱退の影響は軽微だったようですが、今週、ジャニーズ系に1位を阻まれての2位となりました。これについて、ジャニーズ事務所が赤西仁の1位を阻止するためにあえてこの週にエイトレンジャーをぶつけた・・・なんて話もあり、確かにあの事務所ならやりかねないのですが、初動3万~4万という数値はいまでも1位獲得の数値としてはちょっと厳しい数字なので、それであえて1位獲得阻止のために誰かをぶつけるという推測は微妙な感じかなぁ。

3位は先週1位のSKE48「不器用太陽」がベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場ですが今週は比較的バラエティー富んだミュージシャンがベスト10入りしてきています。まずは4位。SUPER JUNIOR DONGHAE & EUNHYUK「SKELETON」。ミュージシャン名義通り、韓流のアイドルグループSUPER JUNIORのメンバー2人よるユニット。今風のエレクトロラップナンバー。初動売上3万6千枚は前作「I WANNA DANCE」の5万4千枚(3位)よりダウン。

5位はSTYLE FIVE「FUTURE FISH」がランクイン。アニメ「Free!」の登場キャラクターによるユニット。相変わらずこの手のキャラソンはいまどきのアイドルソング以上に王道のアイドルソングとなっています。初動3万2千枚は前作「SPLASH FREE」(8位)から横バイ。

6位には女性アイドルグループpredia「壊れた愛の果てに」が入ってきています。芸能事務所「プラチナム・パスポート」所属のアイドルグループでPASSPO☆の姉妹ユニット。本作がメジャーデビュー作で、作風はちょっと懐かしの小室系全盛期あたりのJ-POPを彷彿とさせる感じ。初動2万2千枚は前作「Hey Now!!!」の5千枚(24位)を大幅に上回り、初のベスト10ヒットとなりました。

7位ランクインは倖田來未「HOTEL」がこの位置。ちょっとドスを効かせたようなヤンキー風エレクトロポップ(笑)なのが彼女らしい感じ。初動1万9千枚は前作「Dreaming Now!」の2万1千枚(9位)から若干のダウン。

8位初登場はT.M.Revolution「突キ破レル-Time to SMASH!」。テレビ東京系アニメ「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」オープニング・テーマ。基本的にいつものTMR節ながらもファンキーなギターと跳ねるようなドラムを前に押し出したロックバンド色の強いアレンジになっていました。T.M.Revolution単独名義としては2011年の「FLAGS」以来約3年2ヶ月ぶりとなるシングルで初動売上1万3千枚はその「FLAGS」の3万8千枚(4位)より大幅ダウン。また直近作はSCANDALとのスピリットシングル「Count ZERO」で、こちらの初動3万枚(5位)よりもダウンしてしまいました。

そして9位には、最近話題の新人バンドゲスの極み乙女。「猟奇的なキスを私にして」が入ってきました。ゲスの極み乙女。はここでも何度か紹介していますが、ポップな楽曲にラップを取り入れた4人組バンド。シングルはこれがはじめてのリリースとなり、初動1万2千枚でアルバムを含めて初のベスト10入り。テレビ東京系ドラマ「アラサーちゃん 無修正」オープニングというタイアップがついていますが、直近のアルバム「みんなノーマル。」は初動1万1千枚(11位)だったので、純粋にファンが増えた結果といった感じでしょう。

最後10位にはシンガーソングライター秦基博「ひまわりの約束」が入ってきています。映画「STAND BY ME ドラえもん」主題歌。アコースティックでしんみり聴かせる彼らしいナンバー。初動1万1千枚は前作「ダイアローグ・モノローグ」の1万5千枚(9位)よりダウン。前作はCDにライブチケットをつけるなどの施策の結果で、今回の売上は前々作「言ノ葉」と同水準。ということは残念ながらあまりタイアップ効果は出ていない模様です・・・。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2014年8月12日 (火)

「ブロックパーティー」がテーマ

Title:Konjac-tion
Musician:Buffalo Daughter

ベスト盤を挟んで4年ぶりとなるBuffalo Daughterのニューアルバムはもともと2011年4月に金沢21世紀美術館で行われたイギリスの現代アーティスト、ピーター・マクドナルドのエキシビジョンで演奏をしたことがきっかけにスタートした作品。今回のアルバムのテーマは「ブロックパーティー」。この「ブロックパーティー」、日本ではあまりなじみのない言葉(音楽ファンには同名のバンドの方が有名でしょうが)ですが、1970年代のアメリカではじまった、一つの街をあげて行われる大きなお祭りのことだそうです。タイトルの「Konjac-tion」も「コネクション」をもじってつけられたそうで、そのタイトルの通り、様々なミュージシャンがアルバムに参加。DISC1の本編では「Le Cheal Blanc」ではカヒミ・カリィが、「Love&Food」では坂本慎太郎がゲスとボーカルとして参加しているほか、DISC2では様々なミュージシャンたちが、このアルバムの楽曲をリミックスしているリミックス盤がついてきています。

そんなテーマ性をかかげた本作ですが、正直言うと、アルバムを聴いている最中にはそんなテーマ性はあまり気にかかりませんでした。基本的にはいつものBuffalo Daughter。ミニマルなトラックが中心の楽曲構成。音数は絞ってタイトに、それでいて楽曲によって様々な音を入れてきたりして楽曲の雰囲気を変えてきています。

今風のエレクトロサウンドの最先端を行く実験的な・・・という感じでもなく、かといってよくありがちな陳腐なサウンドといった感じでもない、ここらへんがBuffalo Daughterらしさといった感じでしょうか。リズミカルなサウンドはポピュラリティーも感じられ、聴きいってしまうような楽曲が並んでいます。

ただ、他のミュージシャンとのコラボ、という点でおもしろかったのが坂本慎太郎をゲストに迎えた「Love&Food」。リズミカルなトラックの向こう側で歌われているような坂本慎太郎のちょっと色っぽさも感じられるボーカルがとてもユニークでインパクトがあります。でもどこかダウナーな部分もあり、彼の最新のソロアルバム「ナマで踊ろう」に通じる部分も?

また前半はタイトでリズミカルな楽曲が並んでいたのに対して、後半はメロウでポップな作品が並んでいたのも特徴的。タイトル通り、ちょっと80年代っぽさを感じる「Bring Back 80's」からフランス語のラップが独特の雰囲気を醸し出す「Les Sirenes」、さらにポップなメロディーがメロウな「Don't Stop The Music」まで、特にポップス色が強い作品が並んでおり、爽やかな雰囲気でアルバムを聴き終えることが出来ます。

リミックスアルバムの方も基本的にはBuffalo Daughterの方向性を引き継ぐような雰囲気のリミックスが並んでいます。ビックリするような解釈のリミックスはないものの、ちゃんと彼らの世界を尊重した上でのリミックスといった印象でアルバム本編ともども、楽しめることの出来る内容でした。

いい意味でいつものBuffalo Daughterらしい名盤にきちんと仕上げてきているのはさすが。派手さや目新しさみたいなものはないものの、聴けば聴くほどはまってしまうような奥の深さも感じます。安定の傑作です。

評価:★★★★★

Buffalo Daughter 過去の作品
The Weapons Of Math Destruction
ReDiscoVer.Best,Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter


ほかに聴いたアルバム

THE END OF THE WORLD/ムック

ムックのアルバムはここ数作、ずっとチェックしてきたのですが、正直その中では一番の出来だったように思います。ちょっとシンセサウンドなどを導入したへヴィーなロックサウンドと、歌謡曲的要素の強い哀愁たっぷりのメロディーラインがマッチ。いままでと比べて歌い方がシンプルになり、ヴィジュアル系独特のネチッこさが薄れた感じがして、その結果、ちょっとくどさが勝っていたように感じたメロディーラインのいやらしさが薄れたように思います。逆に、ここらへんの特徴が好みだった、というファンにとっては薄味に感じられたかもしれませんが・・・。普段、ヴィジュアル系をあまり聴かないようなリスナー層には受けがよさそうなアルバムかも。

評価:★★★★

ムック 過去の作品
志恩
球体
カルマ
シャングリラ

モーモールル・℃・ギャバーノ/モーモールルギャバン

突然のライブ活動休止を宣言したモーモールルギャバンが、ライブ活動休止直前にリリースしたミニアルバム。ただ1曲目「ハイヒールブルース」のみが新曲で、残りは過去の初期のアルバムの再録だそうです。モーモールルギャバンらしい変態性の高い歌詞は、初期のアルバムから健在。ギターロック主導にソウルっぽい雰囲気のエレピやピアノが加わる構成も当時から。初期作品の再録なので当たり前といえば当たり前なのですがモーモールルギャバンらしい曲が並んでいます。ライブ活動休止を宣言した直後のミニアルバムが初期作品の再録というのは、最初からやり直しということを意味しているのでしょうか?彼らのこれからはどこへ向かうのか??

評価:★★★★

モーモールルギャバン 過去の作品
クロなら結構です
BeVeci Calopueno
僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ

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2014年8月11日 (月)

ネタ切れ気味?

Title:ピカピカふぁんたじん
Musician:きゃりーぱみゅぱみゅ

きゃりーぱみゅぱみゅの曲については、前作「なんだこれくしょん」の時にも書いたのですが、サビ一発勝負の楽曲が少なくありません。特にその傾向を強く感じるのがシングル曲やCMタイアップ曲。強烈なインパクトあるサビのメロに、インパクトあるフレーズをくっつけて一度聴いたら忘れられないような曲に仕立てています。

その一方でサビ以外の部分についてはやっつけ気味の曲が多く、そういう意味できゃりーぱみゅぱみゅの曲って耳に残る楽曲が多い反面、メロディーラインが優れた名曲か、といわれると疑問符が残ります。例えば今回のアルバムに収録されている「ゆめのはじまりんりん」という曲。出だしがGAOの「サヨナラ」に似ているという指摘がありましたが、フレーズ自体は同じトーンの音符を二つ並べて、それを上下させただけの至極単純なメロディー。なんかこんな感じで妙に深読みしたような指摘も見つけたのですが、はっきりいっちゃえばパクるほどのメロディーラインじゃないだろう(苦笑)。正直誰でも思いつきそうなレベルのメロディーで偶然似ちゃったというのが本当のところでは?逆にサビにもってくためだけの単純なメロディーをやっつけでつくってしまったからこそ、こういうどこかで聴いたような、似たようなフレーズになったのではないか、と思います。

ただいままでのシングル曲やCMソングに関しては、「つけまつける」にしても「にんじゃりばんばん」にしても、そんなサビ以外の部分のやっつけが全く気にならないほどのインパクト強いサビが魅力的な曲が続いていました。しかし、残念ながら今回のアルバムに収録されている曲に関しては、一度聴いたら忘れられないようなインパクトあるサビを持った曲はありません。「きらきらキラー」にしても「もったいないとらんど」にしても、CMソングでインパクトあるサビを持ってきているはずなのですが、聴き終わった後思わず口ずさんでしまうようなこともなく、むしろ「あれ?どんな曲だったっけ?」と感じてしまうほどのインパクトしかありませんでした。

正直言ってそこで感じてしまったのは、ちょっとネタ切れ気味じゃない?ということ。前作もインパクト重視の楽曲がマンネリ気味で、今後長続きしないんじゃないの?という懸念を書いたのですが、その懸念が現実のものとなってしまった感じがします。シングルの売上がここ最近、明確に右肩下がりになっているのも、そのマンネリ気味をリスナーに見透かされた結果のようにも思います。「かわいい」という強いインパクトで売ってきたミュージシャンなだけにそのインパクトになれてしまうと、マンネリに陥ってしまうのが早いのは否めません。これからが正念場か、と思わせるアルバムでした。

評価は下のようですが、とはいってもポップでそれなりに楽しく、それなりに最後まで楽しめたのも事実。そういう意味ではちょっと厳しめの評価かもしれませんが・・・ただやはり前作で感じたワクワク感からはかなり遠ざかってしまって、今が旬、と感じさせる一瞬の輝きも消えかかっているんだよなぁ。次回作、持ちこたえてくれるか、それとも?

評価:★★★

きゃりーぱみゅぱみゅ 過去の作品
なんだこれくしょん


ほかに聴いたアルバム

Greatest Hits/9mm Parabellum Bullet

9mm Parabellum Bullet初となるベスト盤。正直、「9mm」というと比較的若手有望バンドの代表格的イメージがあったので、「もうベスト盤?」という感覚だったのですが、もう結成10周年なんですね。まあベスト盤のタイミングとしては妥当な感じも・・・。

楽曲は基本的にダイナミックなバンドサウンドに、歌謡曲っぽさすら彷彿とさせるマイナーコードのメロディアスで哀愁たっぷりのメロディーがメイン。正直、楽曲のバリエーションはちょっと乏しい感じはいなめないのですが、それ以上に迫力あるバンドサウンドが秀逸。メロディーもインパクトあるため、マンネリ感の飽きはきません。また、ベスト盤とはいえ、アルバム全体40分強という短さ。代表曲だけをグッと凝縮したような内容になっており、それだけで中身の濃さを感じます。その短さもあわせて入門版として文句なしの1枚だと思います。

評価:★★★★★

9mm Parabellum Bullet 過去の作品
Termination
VAMPIRE
Revolutionary
Movement
Dawning

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2014年8月10日 (日)

オリジナルもいいけどカバーもね!

Title:20周年ベスト
Musician:栗コーダーカルテット

リコーダーやウクレレをメインにシンプルで暖かい楽曲を奏でる4人組バンド栗コーダーカルテット。その彼らが結成20周年ということでリリースしたベスト盤です。非常にシンプルなメロディーとサウンドを奏でるバンドですが、リーダーの栗原正己はじめ、メンバーそれぞれがソロでも活動し(というかむしろそれぞれのソロがメイン?)、数多くのミュージシャンとのセッションや、他のバンドでの活動で活躍している彼ら。そんな実力派の彼らだからこそ、リコーダーとウクレレというシンプルなアレンジでも、実に味わい深い楽曲を聴かせてくれます。

今回のベスト盤は2枚組となっており、1枚目はオリジナル、2枚目はカバーという構成。オリジナルでおそらくよく知られているのは1曲目の「ピタゴラスイッチオープニングテーマ」でしょう。ご存じNHKで放送されている教育番組「ピタゴラスイッチ」のオープニングテーマ。その印象的なフレーズはどこかで聴いたことある方も多いはず?他の曲もシンプルでポップなナンバーがメインなのですが、インストの曲ながらも思わず口ずさんでしまうようなポピュラリティーとインパクトがあります。時々、テレビ番組のBGMとかで使われていたりするケースもあるので、どこかで聴いたことある曲もあるかも?

そんなオリジナルも魅力的ですが、個人的に彼らの真骨頂はむしろカバーの方に感じます。2枚目がそんなカバー曲をあつめた内容。こちらで有名なのは間違いなく「帝国のマーチ」。ご存じスターウォーズのダースベイダーのテーマなのですが、これをウクレレとリコーダーで脱力感たっぷりでカバーしており、昔、ネットで「やる気のないダースベーダーのテーマ」として話題となったのでご存じの方も多いはず。

ただこの曲に限らず邦洋問わず数々の名曲をウクレレとリコーダーをメインにカバーしているのですが、このアレンジぶりが見事。「ウルトラセブンの歌」「テクノポリス」なども原曲とは異なる脱力テイストたっぷりにカバーしていてとてもユニークなのですが、ちゃんと曲のコアになるような部分の魅力は残しているため、曲の良さはきちんと伝わってきます。一方では「やさしさに包まれたなら」「As Tears Go By」などは原曲に負けていないのでは?と思うほどの暖かい名カバーに仕上がっています。ここらへん、ちゃんと曲を自分たちなりに解釈し、しっかり自分たちの土俵に乗せてカバーできるというのは、栗コーダーの実力を感じさせます。

ちなみにここでは散々「ウクレレとリコーダー」という表現を使い、また、それは間違いではないのですが、彼らの曲は、決して単純にウクレレとリコーダーだけで構成されていない、という点もおもしろいところ。昔、彼らのライブに行った時にその楽器について詳しく説明してくれたのですが、このアルバムでも聴けば聴くほどシンプルながらも様々な味わいのある楽器がなっていることに気が付きます。シンプルなようでいろんな楽器により意外と複雑な構成になっているのも彼らの大きな魅力だと思います。

実は彼ら、5年前に「15周年ベスト」というベスト盤をリリースしており、わずか5年でのベスト盤。そういう意味ではちょっと時期尚早では?といった感もないわけではないのですが、ただその間、なにげにミニアルバムや企画盤も含めて何枚ものアルバムをリリースするなど精力的な活動を続けており、わずか5年とはいえ、あらたなベスト盤リリースも仕方ないことなのかも・・・。とりあえず間違いなく今の時点での栗コーダーの魅力がつまったベスト盤になっていると思います。シンプルなだけに幅広い層にお勧めできるアルバムです。

評価:★★★★★

栗コーダーカルテット 過去の作品
15周年ベスト
夏から秋へ渡る橋
渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)

遠くの友達
生渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)
羊どろぼう
ウクレレ栗コーダー2~UNIVERSAL 100th Anniversary~
あの歌 この歌


ほかに聴いたアルバム

二十九歳/Base Ball Bear

フルアルバムとしては約2年7ヶ月ぶりとなるベボベの新作。ポップでメロディアスなギターロックがとても心地よく、インパクトあるフレーズが耳を惹きます。いい意味でちょっとベタさを感じる楽曲はある種の「J-POP的」。ベボベとしての勢いも感じる作品になっています。ただ一方で全16曲70分強の内容はちょっと長すぎ・・・。「THE CUT」のようなRHYMESTERをフューチャーした曲もありますが、基本的にさほどバリエーションの多いバンドではないだけに、後半ちょっとダレてしまいました。もうちょっと曲数を絞って60分程度にまとめれば最高傑作なりえた作品だったのに・・・。

評価:★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸
初恋
バンドBのベスト
THE CUT

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2014年8月 9日 (土)

コンプレックスの塊

Title:Tsuyoshi Nagabuchi All Time Best 2014 傷つき打ちのめされても、長渕剛。
Musician:長渕剛

いままで、ここのサイトではほとんど取り上げてこなかったので意外に感じる方もいるかもしれませんが、個人的に長渕剛の書くメロディーは実は好みだったりします。彼の代表曲である「とんぼ」にしろ「乾杯」にしろ、思わず口づさめるようなポップなメロディーの中にどこか切なさと哀愁感がまざっていて、どうしようもなくグッとくる部分を感じます。今の彼のマッチョイムズを前面に押し出したスタイルは全く賛同できないのですが、それでも魅力を感じる彼の曲は少なくありません。

デビューから36年を迎えた彼の、本作は初となるオールタイムベスト。4枚組全58曲というフルボリュームな内容で、その4枚のCDはそれぞれテーマに沿った曲が選曲されています。いささかボリュームが多く初心者には手をつけずらいようなベスト盤ですが、長渕剛というミュージシャンを知るにはうってつけのベスト盤でしょう。

さて長渕剛といえば最近ではすっかりマッチョなイメージが定着しましたが、よく言及されるように、それはデビュー当初の虚弱な身体に対するコンプレックスから肉体改造に取り組んだ結果。しかし、彼が抱いているコンプレックスはおそらく身体に留まらないのではないでしょうか。彼の楽曲を聴いて人としての弱さ、寂しさを強く感じる曲が少なくありません。彼の代表曲でこのアルバムにももちろん収録されている「とんぼ」も上京後の寂しさが描写されていますし、デビュー曲「巡恋歌」も寂しさから恋に落ちた女性を描写しています。

もうひとつ、彼がかかえているコンプレックスとして、地方出身の彼だからこその東京に対するコンプレックスも強く感じます。その「とんぼ」も上京をテーマとしていますし、「東京青春朝焼物語」をはじめとして上京をテーマとした曲が少なくありません。地方出身のミュージシャンが、自分の楽曲で上京をテーマとすることは少なくありませんが、そんな中でも彼が上京をテーマとして取り上げる回数はやはり多いように感じました。

ある意味長渕剛って、とても弱さを持った人間で、コンプレックスの塊なんじゃないでしょうか。もちろんそれは決して悪い訳ではありません。誰もがなんらかのコンプレックスを抱えて生きていますし、またそんなコンプレックスを抱えた彼だからこそ、数多くの名曲を産みだしたように思います。少なくともこのアルバムにおさめられている曲には、そんな彼の弱さをそのままさらけだしたような曲も多く、それが心に突き刺さってきました。

しかしだからこそそんな弱さを認めるのではなく、逆に肉体改造に取り組んでマッチョイムズを前面に押し出した彼は、コンプレックスを乗り越えたというよりもむしろコンプレックスゆえの虚勢を感じてしまい、とても弱さを感じてしまいます。熱心なファンはひょっとしたらそういう「弱さ」も含めて支持しているのかもしれません。たださほど熱心なファンではない私から見たら、そこには余裕のなさも感じてしまい、やはり今の彼の姿には共感することが出来ません。

またこのベスト盤で彼のマイナス面としてもうひとつ感じたのは社会派の歌詞。いや、今の日本の現状に真っ向から立ち向かうその姿勢は立派だと思います。ただネタ的に「アメリカに追従する日本の批判」「拝金主義への批判」ばかり目立っていて、その考え方は決して否定はしないしある程度賛同もするのですが、どこか薄っぺらさも感じてしまいます。

しかし逆に内省的な歌詞に関しては、ドラマ性ある具体的な心理描写も含めて強く心に響く曲が多く、なんだかんだ言われつつもやはり30年以上第一線で活動をつづけるその実力は伊達じゃないな、ということも感じてしまいます。外見やパフォーマンス的にはマッチョ志向な彼ですが、内省的な楽曲に関してはそれほどマッチョイムズを感じる曲も少なく(もちろん一部「うーん」と思うような曲もありますが)、当初の予想以上に長渕剛というミュージシャンを魅力的に感じることが出来ました。

とはいえ、やはり今後もオリジナルアルバム単位で彼を追いかけるほどはまったかと言われると、やはりマッチョイムズなスタイルが気になってしまうのですが・・・。かなりボリュームが多いアルバムで普段彼を聴いていない方には抵抗あるかもしれませんが、やはり名曲が揃っているだけにだれずに4枚聴きとおせるだけの力のある作品が並んでいると思います。聴いてみて損はないベスト盤なのは間違いないでしょう。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

小田日和/小田和正

約3年2ヶ月ぶりとなるニューアルバム。御年66の彼曰く「最後から2番目のアルバム」だそうで、自分の年齢とリリースペースを考えると、オリジナルは本作も含めてあと2枚、というつもりで作成したとか。とかなんとか言う人に限って、あと4、5枚はつくりそうですが(^^;;

そんな彼のニューアルバムは、まさに小田節がさく裂といった感じ。大ベテランの彼だけあって、ちゃんと自分に求められる音楽をわかっていて、それに誠実に答えているといった印象。目新しさはありませんが、「小田和正を聴いたなぁ」と満足できるアルバムになっています。職人技って感じですね。

評価:★★★★

小田和正 過去の作品
自己ベスト2
どーも

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (8/9)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。本格的なフェスシーズン到来し、続々と新情報が入ってきています。11月頃まで週1で更新予定です。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【Folk】【R&B/Soul】【Blues】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

8/9更新
<開催決定>
大橋裕之ロックフェスティバル '14
<出演者追加>
篠島フェス2014、イナズマロックフェス2014
、第3回四日市JAZZフェスティバル、食と器と音楽と、OTONOTANI 2014
<Area Map発表>
FREEDOM NAGOYA 2014、第3回四日市JAZZフェスティバル、Mt.ENA ROCK FESTIVAL 2014
<Time Table発表>
篠島フェス2014、FREEDOM NAGOYA 2014、第3回四日市JAZZフェスティバル
<終了>
SUNSUN椛の湖コンサート2014、KAWANE夏祭り@BIG NATURE2014、iNTERACT2014

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2014年8月 8日 (金)

アフロビートが理屈抜きで楽しい

Title:HOTEL UNIVERS
Musician:JUPITER&OKWESS INTERNATIONAL

ここのサイトでも取り上げたことのあるコンゴ出身のバンド、スタッフ・ベンダ・ビリリ。日本にも来日して大きな話題となりましたが、そんな彼らが話題となったきっかけはドキュメンタリー映画「ベンダ・ビリリ」でした。この「ベンダ・ビリリ」を制作したルノー・バレ&フローラン・ドラテュライ監督が、「ベンダ・ビリリ」の前に撮影していたドキュメンタリー映画が「JUPITER'S DANCE」。この映画で取り上げられているミュージシャンこそ、このアルバムをリリースしたジュピターでした。

彼はもともとコンゴの首都キンシャサで20年以上活動を続けているミュージシャン。今年で49歳になる彼は、ブラーのデーモン・アルバーンが発起人となったアフリカ音楽のプロジェクトアルバム「キンシャサ・ワン・ツー」にも参加しているとか。本作は、そんな地道に活動を続けてきた彼にとって世界デビューとなるアルバム。昨年の12月に国内盤がリリースされましたが、今年8月、富山で行われるワールドミュージックのフェス「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」への出演のための来日も決定。そのため、ちょっと遅ればせながらですが、このアルバムを聴いてみました。

まず楽曲としてはかなりストレートなアフロビートといったイメージ。添付のライナーツノートによると1曲目「BAPASI」「コンゴ西部のバンドゥンドゥ州の伝統音楽のリフを盛り込んだ」ということですし、「BAKWAPANU」「カサイ州の伝統音楽=ムトゥアシを基調としたもの」だったり、「YAKA」「出身地である赤道州のフォルクロールをポリリズミックなハチロクのリズムを強調しながら取り上げたもの」だそうで、各地の伝統音楽を積極的に取り込んでいるようです。もっともそう言われても、どこかどう伝統音楽に沿っているのかは聴いていていまひとつピンと来ないのですが(^^;;

それ以上にそういった伝統音楽を取り上げながらもファンキーなリズムだったり、意外とメロディアスで哀愁を感じるメロなどを取り入れることによって、私たちにとっていい意味で聴きやすい音楽に仕上げているという点が印象に残ります。なんでも74年に外交官補佐である父親の仕事の関係で、旧東ドイツのベルリンに滞在したことがあり、そこでロックやファンクに傾倒した経験があるのだとか。そういう音楽的な素地がこのアルバムに深みを与えているのでしょう。単純に伝統的な音楽を引き継ぐだけではなく、西洋音楽の要素を混ぜることによる文化的な融合により、私たちでも難しいこと抜きに楽しめるこの作品が出来上がったのでしょう。

前半はハイテンポなスピード感が魅力的な楽曲が続き、その勢いはアルバム全体続いていくのですが、その中でも後半はミディアムテンポで聴かせるナンバーがチラホラ。ミディアムテンポのナンバーに関しては、上でも書いた、意外と哀愁の強いメロディアスなメロが楽しめる曲が並んでおり、こちらもまた魅力的でした。

歌詞は「BAPSI」ではキンシャサでの苦しい日常を描いていたり、「THE WORLD IS MY LAND」では差別について歌っていたり、社会派な主張の強い作品が並んでいるよう。残念ながら和訳の歌詞カードがなく、こちらもライナーツノートで概略を把握するのみなのですが、その主張は強烈なアフロのビートで私たちにも伝わってくるようでした。

ただ、タイトルにも書いた通り、難しいこと抜きにして、とにかくそのビートが心地よく、難しいこと抜きに踊りまくれそうな音楽。まさに難しい理屈抜きに楽しめる作品だったと思います。来日ライブも盛り上がりそうだなぁ。

評価:★★★★★

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2014年8月 7日 (木)

夏の夜のモノノケ

ソウル・フラワー・モノノケ・サミット BON-DANCE TOUR 2014 ~Summer of Queen mosquito Tour!

会場:名古屋TOKUZO 日時:2014年8月2日(土)19:00~

Mononoke2014

ご存じソウル・フラワー・ユニオンの別働部隊、モノノケ・サミットのライブに行ってきました。ワンマンライブで彼らを見るのは約3年ぶり。前回のクワトロは平日の開催ということもあってガラガラだったのですが、土曜の夜の開催となった今日はほぼ満員でした。しかし、そんな中会場に入って案内されたのが・・・なんと最前列!偶然席が空いていたのですが、予想外のことでビックリ。ドキドキワクワクしながら開演を待ちます。

定時10分くらい過ぎたところで登場したのがまずこの日のゲストLikkle Mai。元Dry&Heavyのボーカルとして活躍し、その後、ソロとしてキャリアを重ねている女性シンガー。彼女とギターリストのThe Kの2人からなるLikkle Mai&The K名義でのステージ。ゲストにモノノケのクラリネット、大熊ワタルも参加して3人でのステージとなりました。

ステージは最初、レゲエソングのカバーからスタートしたのですが、途中、ニューエストモデルの「報道機関が優しく君を包む」のカバーも披露。さらにその後、「秋田音頭」に「チャグチャグ馬コ」さらに「炭坑節」といった民謡カバーが続きます。モノノケのライブのゲストとはいえ、レゲエシンガーというイメージがあったのでこの民謡カバーの連続はちょっと意外。そしてそれがおもしろいことに微妙にレゲエ風の横ノリのアレンジになっていて、レゲエと民謡って意外と相性がいいじゃん!と感じさせるステージでした。

最後はオリジナル。Likkle Maiは東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県宮古市出身なのだそうですが、その震災について歌った「北国の春」。震災の話を具体的に描写した歌詞が胸をうちます。ステージは約45分。半数以上が民謡のカバーでちょっと予想していたのとは異なるステージでしたが、とても楽しめたライブでした。Likkle Maiはドラヘヴィのイメージがあったのでちょっとごっついお姉さん的なイメージがあったのですが、実際見てみると意外と小柄で華奢な感じでこちらもちょっと意外なイメージでした。

そして開演時間から50分程度を経過し、ついに待望のモノノケサミットが登場!最前列なのですぐ近くに中川さんが(笑)。座りながらのステージだったのですが、本当に目の前での演奏は大迫力。中川さんが持っていたセットリストが透けて見えたのですが(笑)、なるべく見ないようにしながらライブを楽しみました(笑)。

ライブは最初は「水平節」のカバーからスタート。その後メドレーでモノノケらしい昔の大衆歌が続いた後、添田唖蝉坊の「ああ金の世」。さらにソウルフラワーユニオンの「辺野古節」へと続きます。

MCでは、伊丹英子が沖縄からやってきたのですが台風に備えて4日前くらいにこちらへ来たそうですが、すでに満員で、なんとか確保したチケット代が4万にもなったという話(!)。さらに「沖縄より名古屋の方が暑いです」という話に会場がみんな「あ~(そうだろうなぁ)」となったのは、暑いことになれている名古屋人らしい反応(笑)。その後もモノノケではおなじみの「ああわからない」「アリラン」さらにソウルフラワーの代表曲「満月の夕」と続き、中川敬曰く「比較的最近のナンバー」で「お富さん」。「モノノケとしては最近のナンバーだろ?」というMCで会場を笑わせていました。

そして中盤からはLikkle MaiとThe Kが再びステージ上へ。モノノケとLikkle Mai&The Kのセッションとなりました。ここからステージではLikkle Maiがボーカルをとったナンバーと中川敬がボーカルをとったナンバーが交互に披露。Likkle Maiは民謡の「相馬盆唄」や岡林信康の「紅の舟唄」といったこれまたレゲエシンガーから考えるとちょっと意外なカバー。一方、中川ボーカルでは、震災後、東北に行った時、現地で受けまくったという「おいらの船は300とん」や、さらにその東北で歌碑を見つけたことからレパートリーとなった森進一の「港町ブルース」などを披露。「港町ブルース」では森進一のようなしゃがれ声での歌い方をしていたのですが、中川さん曰く「みんな歌ってみ?絶対こういう歌い方になるから」だそうです(笑)。

さらにLikkle Maiボーカルでこれまた添田唖蝉坊の「ノンキ節」、中川ボーカルで高田渡の「生活の柄」と続き、そしてLikkle Maiボーカルでの最後のカバーはレゲエの神様ボブ・マーリーの「One Love」。最後の最後にレゲエシンガーとしての本領発揮といった感じでした。ただ、バックはモノノケでの演奏なのでどこか民謡風な不思議なカバーなのがまた魅力的。そして最後は榎本健一の「これが自由というものか」のカバー。60年くらい前の曲なのですが、歌詞がまるで今の状況を描写しているかのような内容が一部で話題となったそうで、次のソウルフラワーのアルバムに収録する予定の曲だそうです。次のアルバムを先取りするかのようなちょっとお得な選曲で本編は終わりました。

もちろんその後は盛大なアンコールへ。再びLikkle Mai&The Kを含めたメンバー全員でステージ上に集まります。アンコール一発目はLikkle Maiボーカルで美空ひばりの「お祭りマンボ」へ。まさにアンコールを飾るにふさわしい大盛り上がりのナンバー。そしてさらに盛り上がったのはラスト、中川ボーカルで「アンパンマンのマーチ」。こちらも東日本大震災での被災者への支援ライブで「子供たちの誰もが知っている曲を」というリクエストにこたえてレパートリーになったナンバー。個人的にもとても聴きたかっただけに、ライブで聴けたのはとてもうれしかったです。

そしてこれで締めくくり、と思いきや、さらに再度のアンコールが。ここでは比較的すんなりメンバーが再登場して再度のアンコールになります。オーラスを飾るのは「さよなら港」。この日は観客は椅子に座っての観戦だったのですが、最後の最後でみんなでスタンドアップ。みんなで手をあげて、盛り上がりつつライブが終了となりました。

Likkle Mai&The Kのステージが45分程度、モノノケのステージが2時間程度、合計3時間弱のステージでした。最前列で見ていたのでメンバーそれぞれの動きもとてもよくわかって迫力あるステージ。しばしば中川さんと目があって、ちょっと恥ずかしかった感じも(笑)。楽曲はどれもユニークな曲ばかりで、あっという間の3時間弱でした。

今回も、若干MCで原発や消費税ネタもあったものの、Twitterなどとは異なり政治的なネタはほとんどなく、基本的に純粋にノリにノレて楽しい曲が続くステージ。昔の曲がメインなのに、今聴いても全く魅力を失っていない演奏を聴かせてくれました。モノノケのステージは何度見ても本当に楽しいなぁ。次のワンマンにも是非足を運びたいです!

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2014年8月 6日 (水)

女性アイドルvsゲーム/アニメソング

今週はアルバムチャート初登場が少な目だったので、シングル、アルバム同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は女性アイドルとゲーム/アニメソングが目立ったチャートとなりました。

まず1位は女性アイドル勢。SKE48「不器用太陽」がランクイン。初動売上32万4千枚は前作「未来とは?」の39万7千枚(1位)からダウン。ここ数作、51万枚→44万1千枚→39万7千枚→32万4千枚と下落傾向が続いています。

2位はロックバンドONE OK ROCK「Mighty Long Fall」が入ってきています。映画「るろうに剣心 京都大火編」主題歌.。ガツンと来るというよりもメロディアスに聴かせるナンバー。前作「Deeper Deeper」に続く2位獲得で初動売上も4万3千枚から5万枚とアップし、順調な人気のほどをみせています。

3位はもう一組女性アイドル勢。ももいろクローバーZ「MOON PRIDE」がこの位置。アニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」主題歌。作詞作曲をSound Horizonでの活動で知られるRevoが担当。ある意味、非常にアイドルソングらしいアイドルソングになっています。ただ初動5万枚は前作「泣いてもいいんだよ」の6万6千枚(1位)よりダウン。

そんな感じで今週ベスト3のうち2作が女性アイドル勢でしたが、以下も4位にハロプロ系女性アイドルグループJuice=Juice「ブラックバタフライ」、8位に福岡のローカルアイドルLinQ「ナツコイ」、10位にでんぱ組.inc「ちゅるりちゅるりら」がそれぞれランクインしています。

Juice=Juiceはタイトル通りちょっと妖艶なナンバー。初動3万7千枚は前作「裸の裸の裸のKISS」の3万8千枚(3位)から微減。LinQはスカ風のリズムのサマーチューン。初動2万4千枚は前作「カラフルデイズ」の2万2千枚からアップしていますが順位は2位から8位にダウン。まあ、前作があまりに低水準のチャートに助けられた結果だったということで。最後のでんぱ組.incは前山田健一らしい情報量を詰め込んだポップス。初動1万9千枚は前作「Dear☆Stageへようこそ~武道館LIVE記念限定盤~」の1万2千枚(9位)よりアップしていますが前作は限定盤だった影響。前々作「サクラあっぱれーしょん」の4万3千枚(3位)から大幅減ですが、こちらは前々作がメンバーそれぞれのソロCDを別バージョンとしてリリースするというドーピングがあった影響でしょう。

一方ゲーム/アニソン勢は6位はゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」よりTHE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS!!「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER We're the friends!」、9位は同じくゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪All Star After Secret」よりカミュ(前野智昭) 「うたの☆プリンスさまっ♪アイドルソング カミュ(純潔なる愛-Aspiration-)」と男性向け女性向けアイドルゲームのキャラソンがそれぞれ並んでいます。どちらもいい言い方をすれば奇をてらわなくわかりやすい、悪い言い方をすればありふれていて平凡なアイドルソング。この手のキャラソンは楽曲のおもしろさよりもわかりやすさ重視なんでしょうが。「うたの☆プリンスさまっ♪アイドルソング」は4月から7月の連続リリースとなっており、初動売上2万1千枚は前作美風藍名義「うたの☆プリンスさまっ♪アイドルソング 美風藍(A.I)」の2万6千枚(4位)からダウンです。

もう1曲アニソンが。人気声優鈴木達央が中心となった音楽プロジェクトOLDCODEX「Dried Up Youthful Fame」が7位にランクイン。今風のハードコアテイストの楽曲なのですが、メロは良くも悪くもポップなJ-POP風。アニメ「Free!-Eternal Summer-」オープニング曲。初動2万6千枚は前作「WALE」の1万2千枚(18位)から大きくアップし、前々作「Rage on」以来、2作目のベスト10ヒットとなりました。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は韓流が1位2位を獲得です。

まず1位は少女時代のベストアルバム「THE BEST」。今週は大型の新譜がなかった影響もあって、見事2週連続1位を獲得です。そして続く2位は、元東方神起のメンバーキム・ジュンス、キム・ジェジュン、パク・ユチョンによるユニットJYJの韓国でリリースされたアルバム「Just Us」がランクイン。初動売上1万6千枚は、前作「In Heaven」が2週目で記録した1万8千枚(8位)よりダウン。見事ベスト3入りを果たしたものの、かなり低水準でのランクインとなっています。また、3位には先週2位のケツメイシ「KETSUNOPOLIS9」がワンランクダウンで2週連続のベスト3キープとなりました。

続いて4位以下の初登場ですが、こちらも今週はゲーム/アニメのキャラソンが多くランクイン。5位にはテレビ東京系アニメ「新テニスの王子様」より「THE PRINCE OF TENNIS II SHITENHOJI SUPER STARS」がランクイン。こちらは「テニスの王子様」に登場する学校別にまとめたアルバムで5週連続シリーズのファイナルにして初のベスト10ヒットとなりました。ただし初動売上8,551枚は先週12位にランクインした「THE PRINVE OF TENNISⅡ RIKKAI SUPER STARS」の8,616枚よりちょっとだけダウン。低水準のチャートに助けられた結果のようです。

もうひとつはゲーム「アイドルマスターミリオンライブ!」のキャラクターによるユニットレジェンドデイズ「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY 01 アイドルマスター ミリオンライブ!」が6位、乙女ストーム「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY 02 アイドルマスター ミリオンライブ!」が7位に並んでランクインしています。

初登場はもう1枚。9位にPentatonix「PTX Vols.1&2」が入ってきています。Pentatonixはアメリカのアカペラオーディション番組「ザ・シング・オフ」で優勝して話題となったアカペラグループ。特にアカペラでカバーしたダフトパンクのヒット曲のメドレーがYou Tubeにアップされ大きな話題となりました。こちらはその日本デビュー盤。初動6千枚でのベスト10入りとかなり低水準でのランクインとはいえ、デビュー作で見事ベスト10入りという結果となっています。

今週のチャート評は以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年8月 5日 (火)

窮鼠の一撃

Title:チェンジ ザ ワールド
Musician:キュウソネコカミ

これがメジャーデビュー作となる、最近注目の5人組新人ロックバンド。「キュウソネコカミ」というバンド名もユニークですが、ガレージロックにシンセを入れたサウンドもポップでどこかユーモラス。バンド名とともに、強いインパクトを感じるバンドです。

ただ、それ以上に彼らの楽曲でインパクトを感じるのはその歌詞でした。その歌詞は、弱者の視点から世間を皮肉った内容・・・というか「弱者」というよりは「一市民」という言い方がいいかもしれません。タイトル通り、ルックスの良さ以外は何もとりえのない女の子を皮肉った「カワイイだけ」や何も予定がない休日を寂しく一人で暮らす状況を描写した「何も無い休日」など、どこかイタタタ感があふれる歌詞は実に身に沁みます。ラストに至っては「KMDT25」という謎なタイトルですが、こちら「生真面目童貞25」の略だそうです(^^;;

彼らのバンド名の元となった「窮鼠猫を噛む」という言葉は、ネズミでも追いつめられれば天敵である猫を噛む、転じて弱者の一撃を意味する言葉ですが、そのバンド名がこれほどピッタリくるバンドもないかもしれません。まさに、追いつめられた弱者が天敵である猫を噛むように、彼らの楽曲は、そんな弱者の一撃のようなインパクトを感じます。

またその一撃も決して生真面目に大上段にかまえて主張するのではなく、どこか斜めからの視点で皮肉めいて描写するあたりはいまどきのバンドといった感じでしょうか。いまどきといえば、「スベテヨシゼンカナヤバジュモン」では「サンダーボルトでドーン ファイアーボールでバーン」とゲームで出てきそうな魔法が登場したり、「何も無い休日」では「リア充」「ようつべ」なる言葉も飛び出したり、ここらへんも今時のバンドといった感じ。そもそもバンド名も、ことわざからダイレクトに引用したわけではなく、ファイナルファンタジーに登場する装備アイテムから来ているのだとか。

このバンド、もうひとつおもしろいのは、このユニークな歌詞とメロディーがちゃんとマッチしている点でしょう。上にも書いた「サンダーボルトで~」というフレーズもインパクトあるメロディーと重なって妙に耳に残りますし、「生真面目童貞25」というフレーズもちゃんとここだけメロディー構成として強調されており、耳に残ります。インパクトあるフレーズをちゃんとインパクトあるメロとサウンドで強調するというのは売れるバンドの重要な要素であり、彼らに関してはそこはキチンとクリアしていました。

そんな今時なバンドの彼らですが、その一方では「ビビった」では昨今の音楽業界を強烈に皮肉っており、ひとつ骨のある部分も感じられます。ここらへん、今後もどんな楽曲を書いてくるのか楽しみに感じます。

注目度の高いバンドということは知っていましたが、予想以上におもしろく、楽しめたアルバムでした。今後も楽しみ!これからの活躍からも目が離せなさそうです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

SONG COMPOSITE/中田裕二

元椿屋四重奏のボーカリスト中田裕二による初のカバーアルバム。カバーしている曲は「シルエット・ロマンス」のようなバリバリの歌謡曲から「Missing」のようなJ-POP路線、ちょっと変わったところではUAの「情熱」などもカバーしています。ただおもしろいのはどの曲もネチっとした歌謡曲風のカバーに仕上げている点。もともと椿屋四重奏自体、歌謡曲のテイストが強いバンドでしたが、それから考えるとこのカバーの路線は納得感があります。また、彼のちょっと色っぽいボーカルもまた、この歌謡曲風のカバーに実にマッチしていました。

うれしかったのは彼自身影響を受けたシンガーにあげるCHAGE&ASKAの「恋人はワイン色」のカバーが収録されている点。例の事件が起きた今だからこそ逆にこれを取り上げる意義がありそうですし、なにより変な自粛をせずにちゃんと収録してくれた本人やレコード会社にも拍手。てか、彼のアルバムには関係ない話かもしれませんが、いったい日本のレコード会社は、いつまで「ミュージシャンが逮捕されたら、その曲も発売停止」というくだらない自主規制を続けるんでしょうか・・・。

評価:★★★★★

中田裕二 過去の作品
ecole de romantisme

10years/木村カエラ

デビュー10周年となる木村カエラのベスト盤。ちょうど5年前に「5years」というベスト盤をリリースしており、これが2作目のベスト盤。ただこの5年の間に結婚・出産があり、オリジナルアルバムのリリースは2枚のみという状況で、もう1枚ベスト盤というのはちょっと辛くないかい、と思うのですが。

ただ、内容自体はやはり純粋に楽しさを感じます。なによりもいい意味で何も考えずに楽しめるギターロックといった感じ。純粋なエンタテイメント性を楽しめる楽曲はどれもとてもポップで楽しく、文句なしに楽しめます。

デビュー10年というのは早いなぁ、という印象と「まだ10年か」という印象が両方あります。彼女は、アイドル・・・ではないのですが、「若くて元気なかわいい女の子」というイメージがひとつの売りになっているだけに、失礼ながらもそれが徐々に売りにできなくなってくる次の10年にボーカリストとしてどんな成長を遂げるのか、楽しみでもあり不安でもあったりします。そういう意味では10年という区切りをこのベスト盤でつけて、次の一歩を踏み出すアルバム、と言えるかもしれません。木村カエラの次の一歩はどの方向に??

評価:★★★★★

木村カエラ 過去の作品
+1
HOCUS POCUS
5years
8EIGHT8
Sync
ROCK

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2014年8月 4日 (月)

思ったよりも「骨太」

Title:鬱くしい国
Musician:アーバンギャルド

正直言って、このバンドがこれだけ骨太なバンドだとは思いませんでした、アーバンギャルドのニューアルバム。いままでも現代日本をどこかシニカルに描いていた歌詞が特徴的なバンドでしたが、今回のテーマはそのままズバリ「日本」。それも今回のアルバムでは、特に日本のポップミュージシャンが避けて通りがちな政治の話もきちんと描いています。

特に強烈なのが終盤。「戦争を知りたい子供たち」ではあの大槻ケンジをフューチャーしているのですが、その歌詞がちょっとシニカルな視点が入っているもののかなりストレート。

「戦争はじまるよ 海の向こうで
カーブだ 右側に気をつけろ
戦争おしえてよ 痛みを知らない
弱い僕らに強い物語を」

「鬱くしい国など貴様の頭のなかにあるだけだ。」

「戦争知らないまま僕は死ぬのか
歴史教科書 書き換えてくれよ」

(「戦争を知りたい子供たち」より 作詞 松永天馬)

と、かなり強烈に戦争を賛美しかねいない最近の風潮を皮肉っていますし、さらに、これ、タイトルだけで右翼団体から抗議がこないか?レベルの「僕の世」でも

「あなたがいなければ
命を捨てるほどの
祖国はあるのか」

(「僕の世」より 作詞 松永天馬)

なんという歌詞も登場します。

その松永天馬本人もミュージックマガジンのインタビューで「今の時代の空気を、政治的なことを抜きとして語れる人がいたら、そいつらはなにを見ているんだろう、なにを聞いているんだろうって思いますよ」と答えています。ともすれば少々政治的なことを言っただけでネット上、炎上しかねない現在の風潮の中、そこから逃げることなく、ちゃんと自分たちの音楽の中で向き合っている彼らに非常に感銘を覚えました。また、アーバンギャルドの曲はシニカルな歌詞が特徴的だったのですが、このシニカルさが政治的な歌詞にもちょうどオブラートのように効いており、これだけ皮肉めいた歌詞でもちゃんと「ポップ」としてとどまっていたと思います。

ただ・・・今回のアルバムの彼らの姿勢については賞賛を惜しまないのですが、アルバム全体の出来としては悪くはないけど・・・というレベルだったように思います。一言でいえば、良くも悪くもいつものアーバンギャルド。チープでポップなエレクトロ路線は耳を惹くものの、聴きやすいチープさが売りなだけに、比較的早く飽きが来やすいタイプのサウンドで、そのため、マンネリさを感じてしまった点も否めません。

歌詞的にも、他にも日本のポップカルチャーを皮肉った「さくらメメント」や、ネット社会を皮肉った「自撮入門」などシニカルに現代社会を描いたスタイルのターゲットは本作でも政治にとどまりません。こちらもユニークなのは間違いないのですが、以前からの彼らの曲に感じていた、ちょっと理屈っぽいかなぁ、という点は残念ながら本作でも感じてしまいます。

そんな訳で、特にここ最近の音楽業界が逃げ回っている「日本の政治」をテーマとした曲をちゃんと向き合ってつくりあげたという点では非常に素晴らしいアルバムだと思いますし、その1点のみでも聴くべきアルバムだと思います。ただ、アルバム全体としてはやはりもうちょっとかな、と感じてしまう内容で・・・。彼らみたいな骨太なバンドにはもっともっとがんばってほしいのですが。

評価:★★★★

アーバンギャルド 過去の作品
少女の証明
メンタルヘルズ
ガイガーカウンターカルチャー
恋と革命とアーバンギャルド


ほかに聴いたアルバム

SUPER HIGH TENSION!!!/the telephones

約1年2ヵ月ぶりとなるニューアルバム。前作はギターロック的な要素が強くなった作品でしたが、今回はまた彼ららしいエレクトロなダンスナンバーが主体となった作品に。そのため、良くも悪くもthe telephonesらしい作品になっていました。ライブで聴いたら気持ちいいんだろうなぁ~。

評価:★★★★

the telephones 過去の作品
DANCE FLOOR MONSTER
A.B.C.D.e.p.
Oh My Telephones!!! e.p.

We Love Telephones!!!
100% DISCO HITS! SUMMER PACK
Rock Kingdom
D.E.N.W.A.e.p.
Laugh,Cry,Sing...And Dance!!!

Yes,We Love butchers~Tribute to bloodthirsty butchers~The Last Match

bloodthirsty butchersへのトリビュートアルバム第4弾。一組のミュージシャンへのトリビュートアルバムが4枚にも及ぶというのは前代未聞で、それだけブッチャーズというバンドが多くのミュージシャンへ影響を与えていたのがわかります。第4弾となる本作ではアジカンやTHE BACK HORNらが参加。+/-といった海外のバンドも参加しています。

今回もどのバンドも魅力的なカバーを聴かせてくれているのですが、全体的にはちょっとおとなしめで、予想通りの内容といった感じかな?ASA-CHANG&巡礼のような実験的なカバーもユニークだったのですが。とはいえ、それぞれミュージシャンの個性を出しつつブッチャーズの魅力も表現しているカバーなだけに、参加ミュージシャンのファンは要チェックでしょう。

評価:★★★★

Yes,We Love butchers~Tribute to bloodthirsty butchers~ 他の作品
Mumps
Abandoned Puppy

Night Walking

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2014年8月 3日 (日)

2人のOLが世間を「ディス」

Title:DIStopping
Musician:Charisma.com

最近話題となっている、現役OL2人組からなるHIP HOPデゥオ。いままでも名前は知っていたのですが、先日偶然インストアライブを目撃。そのリズミカルなトラックに惹かれ気になる存在となり、ちょっと遅ればせながらアルバムも聴いてみました。

現役のOLとして働きながら音楽活動を進める彼女たち。そんな一般社会との接点を持ちながら活動する彼女たちのラップの大きな特徴は、そんな彼女たちの立場だからこそ綴れるような社会に対する皮肉めいた視点でしょう。例えば「ジェンガジェンガ」では

「どれだけ世間になじめるかそれが一般常識あるかないか
言うとおりに動けば正解の世界がデカい
敵わぬ願いに目眩
害はないけど面白くもない
愛はないけど愛してほしい
心動かすやつ 組織で浮くやつ」

(「ジェンガジェンガ」より 作詞 いつか)

と組織の中でなじむことを強要される社会を皮肉っていますし、「Train HELL」はタイトル通り、通勤電車の混雑をディスったようなユニークな内容になっています。

そんな社会に対する「ディス」をひとつの売りにしているようで、このアルバムのタイトルもまさにそんな彼女たちの特徴からつけられたもの。ただ正直、社会に対して中指立てて、という雰囲気はあまり感じませんでした。楽曲によってはかなり内省的な歌詞も少なくなく、また女の子らしい恋愛感情を織り込んだ歌。どちらかというと、彼女たちの歌詞は社会に対して真っ向から対峙しているようなイメージを受けます。

また女性2人組というユニットながらも女の子らしいかわいらしさをあまり表に出していないのも特徴的。「女の子」という言い方よりも「女性」といった表現がピッタリきそうなユニット。意識しているかしていないのかはわかりませんが、男性社会の中、たくましく生きていこうとする姿をそこからは感じられます。

さらに彼女たち、その特徴的な歌詞が前面に取り上げられますが、それ以上に彼女たちのトラックメイキングにも惹きつけられました。基本的に彼女たちの曲の特徴はエレクトロトラック。リズミカルな打ち込みのサウンドが耳を惹かれます。

ただその一方、この手のエレクトロサウンドはインパクトがあるものの単調になりアルバム通して聴くと飽きが来やすい特徴があります。しかし彼女たちの曲に関しては、楽曲毎に作曲陣がかわっている影響もあるのでしょうか、かなりバリエーションがあって最後まで飽きが来ません。「sodaiゴミのkoi」のようなスペーシーでトランシーなナンバーや「チャンコイ」のようにポップ色の強いナンバー、「空色will」のようにちょっとエスニックな色合いの入ったナンバーなどなど。特に良かったのが「LOOKER」や「ジェンガジェンガ」のようなトライバルなビートを聴かせてくれるナンバー。彼女たちのイメージにもピッタリとマッチした迫力あるトラックに仕上がっています。

そしてこのビートの強いリズミカルなサウンドはアルバム全編を通じて流れており、聴いていておもわず身体が動き出しそうな楽しさがあります。リスナーを全く飽きさせない内容になっており、実に魅力的。歌詞という側面で語られがちな彼女たちですが、そこを差し引いても十分すぎるほどリスナーを惹きつけられる魅力を持ったミュージシャンだと思います。

とにかく、まだまだこれからが楽しみになってくる2人組ユニット。今後のキャリア次第ではさらなる歌詞の広がりもありそうな予感が、これからに要注目です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

KIDS RETURN/餓鬼レンジャー

Kidsreturn

前作から9年ぶりとなる熊本出身の3人組HIP HOPグループの待望の新作。特に目新しい感じはしないものの、エレクトロサウンドを中心としたリズミカルなトラックに、ユーモアセンスをまじえたリリックがとても心地よく、いい意味でのポップスさと、ハードコア風の「やばさ」を兼ね備えたラップが魅力的な作品。9年のブランクを感じさせないアルバムでした。

評価:★★★★

ディスコの神様/tofubeats

tofubeatsの2枚目となるEP。タイトルチューンは本作では藤井隆を起用。「ディスコ」という言葉自体もそうですし、ジャケットも「いかにも80年代」といった雰囲気ですが、楽曲自体はちゃんと今風にアップデートされたエレクトロポップチューン。前作と同様、良くも悪くも優等生的に感じる部分もありますが、基本的にクオリティーの高いポップチューンは聴いていて素直に気持ちよさを感じて楽しめる作品になっています。

評価:★★★★

tofubeats 過去の作品
Don't Stop The Music

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2014年8月 2日 (土)

2014年上半期 邦楽ベスト5

昨日に引き続き上半期ベストアルバム。今日は邦楽編です。

5位 SPICE/ZEPPET STORE

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2011年に再結成後、コンスタントな活動を開始したZEPPET STOREの再結成後2作目となるアルバム。残念ながら再結成後、あまり雑誌にも取り上げられず話題になることは少ないのですが、ただその活動は最盛期を彷彿とさせるほど充実しています。再結成後初となるアルバム「SHARE5」も傑作でしたが、続く本作も全盛期を思い起こすほどの傑作。へヴィーなギターロックにポップなメロがピッタリとマッチする、まさにZEPPET STOREらしい作品。以前聴いていた方は、また聴かないと損ですよ~。

4位 踊ってばかりの国/踊ってばかりの国

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こちらも2012年に活動を休止した後、再活動後初となるアルバム。そんな復帰作がセルフタイトルという時点で彼らの自信のほどがうかがわれます。独特の浮遊感そのままにギターロック、レゲエ、ブルース、カントリーなどの要素を入れつつ、メロにはどこか歌謡曲の雰囲気すら感じさせる独特の音楽が実に魅力的。本作ではさらに政治に対して皮肉な視線を加えた曲や反原発、風営法批判など、社会に対してもしっかりとむきあい、かつユーモラスあふれる歌詞でまとめた内容が見事。彼らの新しい、力強い一歩を感じるアルバムでした。

3位 RAY/BUMP OF CHICKEN

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約3年ぶりとなるバンプの新作は、待ちに待ったかいがあった傑作に仕上がっていました。なによりも彼ららしいギターロックに、さらに一段と大きくなったスケール感あるサウンドが気持ち良い内容。ファンタジックな歌詞はあいかわらずながら、その内容を紐解くと、30代半ばとなった彼ららしい、年相応、大人としてのメッセージ性もきちんと感じられます。拡張現実で楽しめる歌詞カードも、年甲斐もなくワクワク楽しめました。

2位 Page 2:Mind Over Matter/SIMI LAB

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神奈川の相模原を中心に活動を続ける話題のラップクルーの2作目。音数を絞ってタイトに聴かせるトラックがとにかくカッコいい作品。リズミカルなラップリレーもしっかり決まっていて、特に女性ラッパーMARIAのラップが大きなインパクトとなって耳をひきます。メンバーの多くが外国人とのハーフという、いわばマイノリティーによるユニットなのですが、そんな彼らだからこそ綴れるような、世の中を少々醒めたような視点から描いたリリックも印象に残ります。

1位 ナマで踊ろう/坂本慎太郎

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今年上半期はサッカーワールドカップが大きな話題となりました。国が一丸となって盛り上がる、というと響きがいいのですが、もちろんそれは全体主義とも容易にむすびつきがち。そんな中、全体主義に対して明確なアンチを示し、「音楽を通じた一体感」すら拒否した坂本慎太郎の新作はある意味衝撃的ですらありました。歌詞も今の社会に対する痛烈な皮肉がユニークに綴られてとても印象的。イージーリスニング的な音楽を目指しながら、強烈なインパクトを感じさせられる作品。まさに2014年という年を代表しそうなアルバムです。

今年の上半期、洋楽と異なり邦楽はかなり傑作が多くまさに豊作でした。特に1位に選んだ坂本慎太郎は、なんとなく嫌な雰囲気が漂う今の日本の社会を鋭く皮肉った作品。2位SIMI LABも今の日本社会を反映したようなユニットですし、踊ってばかりの国もまた、今の時代に向き合った作品になっています。良くも悪くも日本をとりまく状況、政治や日本の行く末が不安定な今、ヒットチャートではそんな不安な社会に背を向けるのようなアイドルソングが全盛ですが、ちゃんとそういう時代に向き合ったミュージシャンも数多く、そしてそんなミュージシャンたちがちゃんと傑作を産みだしてくれたな、と感じさせる今年の上半期でした。

他のベスト5候補は・・・

イーガジャケジョロ/UNICORN
愛の関係/Great3
ALIVE/上原ひろみ THE TRIO PROJECT
泡のような愛だった/aiko

とこちらも傑作揃い。下半期もくるりやソウル・フラワー・ユニオンのような楽しみなアルバムも待ち構えており、今年は例年以上に豊作な1年になるのか?

あらためてベスト5を振り返ると

1位 ナマで踊ろう/坂本慎太郎
2位 Page 2:Mind Over Matter/SIMI LAB
3位 RAY/BUMP OF CHICKEN
4位 踊ってばかりの国/踊ってばかりの国
5位 SPICE/ZEPPET STORE

下半期も上半期と同様、多くの傑作に出会えますように。

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (8/2)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。本格的なフェスシーズン到来し、続々と新情報が入ってきています。11月頃まで週1で更新予定です。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【Folk】【R&B/Soul】【Blues】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

8/2更新
<開催決定>
SUNSUN椛の湖コンサート2014、THE EARTH CAMP
<出演者追加>
TREASURE05X、第3回四日市JAZZフェスティバル
<Time Table発表>
わちゃわちゃフェスタ2014
<終了>
TOKAI SUMMIT '14、NAGOYA GROOVIN' SUMMER 2014

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2014年8月 1日 (金)

2014年上半期 洋楽ベスト3

既に今年も7ヶ月が経過しましたが・・・遅くなりましたが上半期アルバムベスト3です。

3位 Lazaretto/Jack White

聴いた当時の感想はこちら

もうそろそろ「元White Stripesの」という肩書は不要になってきているでしょうか。Jack Whiteのソロ2作目。最近、若手バンドではThe Strypesのようなルーツロック志向のバンドが人気を得ていますが、やはりJack Whiteを忘れるわけにはいかないでしょう。ただ、単純なガレージロックテイストの曲のみならず、美しいメロディーを聴かせるナンバーやカントリー風ナンバー、さらに日本の祭囃子を彷彿とさせるようなトライバルなナンバーまで実に多彩。その実力のほどを存分に感じられるアルバムでした。

2位 Into The Lime/The New Mendicants

聴いた当時の感想はこちら

Teenage Fanclubのノーマン・ブレイクと、Pernice Brothersのジョー・パーニスが組んだ新バンド。Teenage Fanclubのノーマン・ブレイクですが、以前、ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキと組んだバンドJonnyのアルバム「Jonny」が個人的に壺にはまり、2011年の個人の洋楽年間ベストアルバムに選んだこともありましたが、こちらのニューバンドもはまってしまいました!素朴でシンプルな美メロは派手さがなく、軽く聴き流してしまいそうですが、ちゃんと聴くと実に魅力的なメロディーラインに気が付かされます。本当に気持ちのよい傑作でした。

1位 Days Of Abandon/The Pains of Being Pure at Heart

聴いた当時の感想はこちら

前作「Belong」はマイブラ直系の王道シューゲイザーではまってしまいましたが、続く本作は、その前作に負けずとも劣らない傑作に仕上がっていました。前半はシューゲイザーというよりもネオアコテイスト。このアコースティックなサウンドもまた素晴らしい。そして後半は待ってましたとばかりのシューゲイザー路線にはまりまくり。アルバム全編とてもキュートでポップな作品に仕上がっており、なによりも「壺にはまった」という表現がピッタリくる作品でした。

さて、今年のベスト3は以上。どれも間違いなく傑作だと思うのですが・・・・・・・ただ、全体的には今年の上半期、ちょっと小粒感が否めなかったような感じもします。ColdplayやKASABIANのような大物ミュージシャンのリリースも続きましたが、正直、ベスト盤候補になるほどの傑作ではなく、不作気味に感じてしまった今年の上期ベスト3でした。

他の候補としては・・・

PURE HEROINE/LORDE
MUSIC FROM AND INSPIRED BY 12 YEARS A SLAVE
(邦題 「それでも夜は明ける」ミュージック・フロム&インスパイアド・バイ・ザ・フィルム)
A Long Way To The Beginning/SEUN KUTI&EGYPT80

あたりでしょうか。あらためてベスト3をまとめると

1位 Days Of Abandon/The Pains of Being Pure at Heart
2位 Into The Lime/The New Mendicants
3位 Lazaretto/Jack White

下期はこれ以上の傑作を期待したいところなのですが・・・。

ちなみに過去の洋楽ベストアルバムは・・・

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期

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