スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド2014 その4
その3から
↑最終日の福野文化創造センター
そして最終日の14時半より、福野文化創造センターにて、このスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドのハイライトであるヘリオスステージがスタートしました。
トリ・アンサンブル
まず一番手を飾るのは韓国の4人組グループ、トリ・アンサンブルの演奏。日本でも人気の高い(らしい)打楽器奏者のミン・ヨンチ氏も参加するグループで、他は声明みたいな歌を奏でるボーカルにおそらく韓国の民俗楽器だと思うのですが、琴をバチみたいなもので力強く奏でる楽器、それに縦笛奏者も含めての4人組でした。メンバーそれぞれソロとしても活躍しているそうで、4人そろっての演奏は海外での公演のみということだそうです。
正直、ライブはさほど期待はしていなかったのですが、これが非常におもしろい演奏を聴かせてくれました。それぞれ最小限の音を奏でつつ、非常におごそかな演奏。時折奏でるトランシーな太鼓のリズムが心地よく、日本の琴とは全くことなる、非常に太い音でアグレッシブな演奏を奏でる琴(?)の演奏もとても印象的でした。
演奏は4人が舞台上に横に並んで座りながらそれぞれの楽器を奏でるスタイル。日本や中国の宮廷音楽にも通じるものを感じつつ、その一方でいい意味で粗野で力強い演奏に泥臭さも感じる印象。あえていえば洗練さと泥臭さをあわせもった音楽がどこかアジア的な雰囲気を覚えました。
ちなみに打楽器奏者のミン・ヨンチ氏が日本語をしゃべれるらしく、彼の簡単な解説を間に挟みながらライブは進んでいきました。「遭遇」「歩く」といったタイトルのナンバーを披露。ただ基本的に概ねの方向性のみを決め、基本的に即興演奏がメインだそうで、まさに一期一会のステージ。時々、太鼓の音でリズミカルなナンバーもあったのですが、全体的にその音数の少ないサウンドに聴き入ってしまうようなステージ。いや、圧巻という言葉がピッタリの素晴らしいステージでした。
BONGEZIWE & SUKIYAKI FRIENDS
続いては南アフリカのボンゲジウエというシンガーを中心に、モザンビークのミュージシャン、マチュメ、韓国のパーカッショニスト、チャン・ジェヒョ、日本の親指ピアノ奏者、サカキマンゴー、そしてキウイとパパイヤ、マンゴーズを率いる日本の廣瀬拓音の5人からなる、スキヤキのための結成されたSUKIYAKI FRIENDSのライブ。事前に福野で合宿を行いこの日のステージの準備を行ったそうです。
この様々な国のミュージシャンがスキヤキのためにユニットを結成し、事前の合宿でステージをつくりあげるという試み、毎年恒例になっています。違う文化的背景を持つミュージシャンがコラボを組みことによって新たな音を産みだそうとするこのイベントならではの試みなのですが、過去3回、このコラボを見た中で、今年のコラボが最も「異文化の融合」というこのコラボの目的を、見事に実現させていたように感じました。
例えばマチュメのアフリカらしいパーカッションと、チャン・ジェヒョの韓国らしい打楽器の演奏の共演があったり、同じくチャン・ジェヒョの奏でる韓国民謡に対して、電子三線を持ったサカキマンゴーが日本民謡風のメロで答えたり、まさに日本、韓国、そしてアフリカのリズムやメロディーが入り混じる、独特のステージを聴かせてくれました。途中、ボンゲジウエとマチュメ、そしてサカキマンゴーの3人でどじょうすくいを踊るなんてユーモラスなシーンも(笑)。
その中心にいたボンゲジウエは、ラテン風のド派手なスーツに山高帽をかぶってのなかなかおしゃれな井出達にアコギ1本かかえてのステージ。ちょっと意外なことにラテンフレーバーでちょっとフォーキーなメロディアスな曲をたっぷり聴かせてくれたステージ。同じアフリカ勢のマチュメとはまた異なる音楽背景を持っており、これもまたステージの幅を広げていました。
ちなみに忘れてはいけないのがベースを担当した廣瀬拓音で、熱心なドラゴンズファンの彼はこの日は平田のユニフォームにドラゴンズキャップという素晴らしい服装で登場(笑)。もともとレゲエベーシストの彼もまた、レゲエのリズムの入ったベースを聴かせつつ、しっかりとステージを支えていました。
様々な音楽を融合させた実に素晴らしいステージ。昨日のジュピターが今回のスキヤキのベストステージか、と思っていたのですが、それに勝るとも劣らない素晴らしいステージでした。ライブの後、実行委員長が「いままでで一番素晴らしいかも」みたいなことを言っていたのですが、私は3回しか見ていないのですが、それがお世辞とは思えない、本当に素晴らしいステージでした。
バッキバ
で、セットチェンジの休憩の間に外に出てみたのですが、ちょうどガーデンステージでバッキバのステージがスタートしていました。バッキバは東京・世田谷から来たブラジルのマラカトゥのビートを鳴り響かせる太鼓集団。メンバーみんな実に息の合った太鼓のリズムで非常にハイテンションなステージで思わず身体が踊りだしてしまうステージでした。ちなみにさきほどのスキヤキ・フレンズに参加していた廣瀬拓音氏はバッキバのリーダーでもあり、さきほどのステージから引き続きの参加。引き続き、熱いステージを見せてくれていました。活動的だ・・・。
MAYRA ANDRADE
バッキバのステージは残念ながら途中で引きあげ、続けてヘリオス・ステージで昨日、インタビューを聴かせてくれたマイラ・アンドーラのステージへ。このスキヤキ最後のステージとなります。しっとりとした服装だった前日と異なり、この日は胸元も大きく開いた、ちょっとチアリーダーみたいなステージ衣装で登場。セクシーな雰囲気の服装が目に焼き付きました(笑)。
彼女の歌はCDで聴くよりも力強く、より色っぽさも感じるボーカルで聴かせてくれます。アコースティックなラテンフレーバーのポップス。フォーキーなメロはヨーロピアンな雰囲気を感じます。一方では時々ならされるトライバルなリズムにアフリカ的な雰囲気も感じたりして・・・前日のインタビューで語ったアフリカとヨーロッパとブラジルからの影響を受けた彼女のふるさとカーボ・ヴェルデならではの音楽、といった雰囲気でした。
前半はふるさとのカーボ・ヴェルデ、サンティアゴ島のことを歌った「Ilha de Santiago」(邦題 麗しのサンティアゴ島)など聴かせるなど、しんみりしたナンバーが続き、会場にはメロウな空気が流れました。
中盤MCでは「こんばんは」という簡単な日本語と、その後「日本語はわからないから」ということで英語のMCに。ただ母国語ではない英語なので、日本人にも聴きやすくわかりやすい英語でした。このまましんみり聴かせるライブが続く・・・と思いきや、中盤「We used to call it love」(邦題 過ぎ去りし愛)では比較的アップテンポなナンバーで観客を立たせて一緒に踊らせるなど会場を盛り上げていました。
さらに「Rosa」ではサビのメロディーで観客を歌わせました。この時は2階席まで一緒の歌うようにマイクをむけたりして、会場全体で「Rosa」のサビのメロディーの合唱がおこります。正直、しんみりなメロディーラインで決して盛り上がるサビではないんですけどね(^^;;
そんな感じでしんみり聴かせる大人のステージをみせてくれつつ、ちゃんと会場を盛り上げるパフォーマンスをみせてくれた素晴らしいステージでした。残念ながらこの日のうちに名古屋に帰るため、最後まで見れず(おそらくあと1曲くらいだったと思うのですが)、途中で後ろ髪をひかれる思いで会場を後にしました・・・。
そんな訳で、毎年楽しみにしていたスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド。今年も数多くの素晴らしいステージを体験できました。予想通り、ジュピターのステージが素晴らしかったのですが、ボンゲジウエ&スキヤキ・フレンズのステージも想像以上のもの。もちろんトリ・アンサンブルやアニャンゴ、そして最後を飾ったマイラ・アンドラーデのステージも素晴らしく、あいかわらず質の高い、はずれのないイベントで、非常に満足な気分になりつつ会場を後にしました。
スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド、毎年思いますが、本当に素晴らしい数多くのミュージシャンにあえる素晴らしいイベントです。来年も機会があれば、是非また足を運びたいです!
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