W杯開催国より
Title:MAGIC
Musician:Sergio Mendes
キャリア50年。ボサノヴァブームをけん引し、「マシュ・ケ・ナダ」の大ヒットなどでも知られるブラジル音楽の大御所中の大御所、セルジオ・メンデスの最新アルバムがリリースされました。ブラジル、といえば先日まで開催されていたサッカーワールドカップ。このアルバムには、その「FIFAワールドカップブラジル大会公式アルバム」に収録されている「One Nation」も収録されています。
そしてこの「One Nation」がとても楽しい!祝祭色の強いラテンなナンバーですが、スタジアムでみんなで盛り上がれそうなアゲアゲなナンバー。「One nation Love nation All nations」(ひとつの国よ 愛の国よ 世界の国よ)と歌うそのナンバーは、決してどこか一国を応援したものではなく、サッカーの楽しさ、そしてサッカーを通じて世界の国とつながることの出来るすばらしさを歌ったナンバーになっています。
それに続く「MY MY MY MY LOVE」もなかなかユニーク。Black Eye PeasのWill I Amと組んだこの曲は音数を絞ったタイトなトラックに、ラップの要素を入れたナンバーがどこか今風。御年73歳という年齢を感じさせないアグレッシブさを感じさせます。
ただ、それ以降のナンバーについては、基本的にメロウなAORがメイン。「Don't say goodbye」あたりがその典型的なナンバーでしょうか。他にも「Sou Eu」のようなラテンポップなナンバー、「When I Feel In Love」のようなボッサ風なナンバーなど、全体的には「量質なポップス」といった形容詞がつきそうな楽曲が並んでいます。
おもしろいのは楽曲によって英語詞とポルトガル語の歌詞が並んでいること。楽曲によってそれぞれマッチした言語を使用しているようなのですが、英語詞以上にポルトガル語のナンバーは日本人にとっては聴きなれない言語。そのため、ポルトガル語ゆえにどこか感じる異国情緒がまた、ひとつの魅力になっているように感じました。
個人的には「One Nation」や「MY MY MY MY LOVE」みたいなアグレッシヴなナンバーの方が好みで、中盤以降のおとなしめのメロウなポップスは、確かに良質なポップソングだとは思うんだけども・・・なんてことも感じてしまう部分も。特に表題曲にもなっている「Magic」に至っては、あまり良くない意味も含めてイージーリスニング風になってしまっているのでは?
もっとも、アルバムとしては決して悪くない内容なので、ブラジル音楽好きなら存分に楽しめるアルバムだったと思います。「One Nation」あたりはライブで聴いたら楽しいんだろうなぁ、なんておもいつつ、W杯の舞台を思い返す時のBGMとしても最適の1枚?
評価:★★★★
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