日本人なら味噌汁だろ
Title:ME SO SHE LOOSE
Musician:味噌汁's
今年5月突然のメジャーデビューを果たした、奇妙な鼻眼鏡がインパクトの新人バンドのデビューアルバム・・・・・・うーん、変なほのめかしは逆につまんないのでやめますね。はっきりいえば、RADWIMPSの別名バンド味噌汁'sが、なんとメジャーデビューしアルバムまでリリースしてしまいました。
もともとはRADWIMPSのイベントに「出演」していたり、RADWIMPSのカップリング曲に味噌汁's名義で楽曲を歌っていたりと、ちょくちょくとコンスタントに活動は進めていたようですが、ここに来て、なんとアルバムリリースまでこぎつけてしまいました。
鼻眼鏡をかけて演奏するスタイルといい、メンバーの名前がジョン、ポール、マッカー、トニーとして活動しているスタイルといい(ジョージとリンゴのファンは怒りそうだな)、一種の「ジョークバンド」的なイメージを持っていて、このアルバムもどちらかというとコミックソング的なイメージで聴いてみたのですが・・・これが予想以上に本格的なロックの傑作アルバムに仕上がっていました。
RADWIMPSというと、比較的独特のリズムを奏でていたり、あるいはちょっとひねったインパクトある歌詞が特徴的だったりします。それに対して味噌汁'sは非常にシンプルなサウンドや歌詞が大きな特徴となっていました。例えば先行シングルとなった「OKAN GOMEN」では、バンドを組んだ時の喜びをストレートでシンプルなパンクロックにのせて歌い上げています。たとえて言うならばロックの初期衝動的な、変なひねりや狙いのないシンプルな楽曲が味噌汁'sの大きな特徴となっており、それがまたRADWIMPSとしての曲とは大きな違いを感じました。
もっとも楽曲によってはRADWIMPSそのまま、という曲もあり、例えば「ジェニファー山田さん」などはギターロックのサウンドも、そして何よりその歌詞も、そのまんまRADWIMPSといった雰囲気の曲。そのままRADWIMPSとして発表してもおそらく誰も違和感を抱かないのではないでしょうか。そういう意味では、もうちょっとRADWIMPSと味噌汁'sの違いを明確にした方がいいのかな、と思う部分がないわけではありません。
ただ一方、味噌汁'sの歌詞にしても、「友達の友達」のようにコミカルな歌詞ながらもその実は世界中のあらゆる人がつながっているんだよ、というメッセージ性を感じる楽曲もあり、決してコミカルな作風だ、と馬鹿にすることはできません。むしろ、ここ最近、変に狙いすぎている部分もあるRADWIMPSに比べると、よりシンプルでかつ主張が明確な楽曲が並んでいたように感じます。
シンプルで、初期衝動的な楽曲は、部分的にはむしろRADWIMPSのアルバムよりも良いのでは?とすら感じたアルバム。RADWIMPSのファンはもちろん聴いているでしょうが、そうでなくても、「変名バンド」「サイドプロジェクト」「コミカルな雰囲気のお遊びバンド」みたいなイメージで聴かないのはもったいないアルバムだと思います。RADWIMPSの直近作がちょっと暴走気味に感じただけに、それに対するストッパーとしても味噌汁'sとしての活動がちょうどよく機能するかも?RADWIMPSとしての方向性との違いがよりはっきりすれば、ひょっとしたら今後もコンスタントに活動を続けたらおもしろいのでは?さてさて、2枚目はリリースされるのか??
評価:★★★★★
RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命
×と○と罰と
ほかに聴いたアルバム
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"/スキマスイッチ
「また出すの」感が否めないスキマスイッチのライブアルバム。ただ今回のアルバムは、日本武道館でオーケストラをバックに行われたライブの模様を収録したアルバム。そういう意味では「ライブ盤としてリリースする意味」はある作品、かもしれません。
ただ正直、オーケストラを導入した作品ながらも基本的には原曲に忠実なアレンジ。試みにちょっとオーケストラにアレンジをかえてみました、程度の内容で、「これ、オーケストラいる?」程度の内容になっているのが非常に残念。普通にスキマスイッチの曲を楽しむ、という感じならば申し分ないのですが、わざわざオーケストラを導入したライブアルバムとしてはもったいない感じのするアルバムでした。
評価:★★★
スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"
POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
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