45年の歩み
Title:Good Times,Bad Times~Histroy of Carmen Maki~
Musician:カルメン・マキ
カルメン・マキのデビュー45周年を記念してリリースされたオールタイム・ベスト。選曲・監修が本人が行った、まさに彼女の歌手生活を振り返る集大成となっています。
カルメン・マキといえば1969年の大ヒット曲「時には母のない子のように」のイメージが強烈ではないでしょうか。あるいは、その後ロックに転向しリリースしたカルメン・マキ&OZ名義の作品も知られているかもしれません。正直言って私の知識もその程度。魅力的なボーカリストというイメージはあるものの、少々「古い」というイメージも持っていました。
しかし今回のベストで彼女の曲を網羅的に聴くと、確かに時代を感じる曲もチラホラあったものの、それ以上に彼女の楽曲の魅力が大きく上回るように感じました。なによりまず大きな魅力に感じたのはひとつのジャンルにとらわれず、その時代時代にマッチした様々な曲を歌う音楽性の幅広さでした。
そのため今回の3枚組となったアルバムも、1枚毎に楽曲の雰囲気が異なります。1枚目の「Blue Disc」は60年代終盤のフォーキーな作品、2枚目の「Red Disc」は70年代から80年代にかけてのロックな作品、3枚目の「Purple Disc」はそれ以降の作品がおさめられているのですが、こちらはフォークにロック、カントリーにソウルなど様々なジャンルの曲がごった煮になっています。
ただこれだけ楽曲のジャンルがバラバラでありながらも、アルバムを通して聴いてもさほどとっ散らかった感じはありません。それはジャンルこそ異なれ、彼女の音楽生活を通じて共通する柱があるからではないでしょうか。例えば彼女のボーカルも、間違いなくひとつの大きな柱。包容力あり力強く、そして曲によってはちょっとエロちっく。イメージ的には椎名林檎を思い出した部分もあるのですが、ただ良くも悪くも彼女ほどの癖がない点、様々な曲を無理なく歌いこなせるのでしょう。
また楽曲自体、邦楽的な哀愁感を漂わせながらも、一方では洋楽的なスタイリッシュな要素を加えた楽曲が多く、泥臭そうな楽曲でもどことなくいい意味でのバタ臭さも同時に感じるため、J-POP的なサウンドになじんだ耳でも十分楽しめる楽曲に感じました。そういう意味で、邦楽的な要素と洋楽的な要素がその強弱こそあれ、どこか共存しているという点も彼女の楽曲に共通する特徴のように感じました。彼女自体が追い求める音楽、あるいは彼女が求められる立ち位置が、どこか無国籍なものであるからなのでしょうか。それはアメリカ人と日本人のハーフという彼女の生い立ちも影響しているかもしれません。
3枚組のフルボリュームながらも、様々なタイプの曲が収録されているため、私のようなカルメン・マキ初心者でもほとんど飽きることなく最後まで聴きとおすことの出来るアルバムにもなっています。予想以上に魅力的で、彼女のボーカルに聴きほれたベスト盤でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
COME TOGETHER/The Birthday
The Birthdayの新作は、全体的にギターリフが主導となったナンバーがメイン。へヴィーなガレージロックチューンに、チバのあの独特のボーカルがピッタリはまって、曲によってはゾクゾクくるようなカッコよさがあります。ただ一方では、そこに流れているメロディーは意外なほどポップ。それはいいのですが、バンドのサウンドと比べるとちょっと軽すぎるようなメロもあり、そこがちょっと気になってしまいました。前作「VISION」も後半のメロディアスな路線でちょっとダレちゃったのですが、本作ではその部分がより前に出てしまったような感じが・・・。
評価:★★★★
The Birthday 過去の作品
TEAR DROP
MOTEL RADIO SiXTY SiX
NIGHT ON FOOL
WATCH YOUR BLINDSIDE
I'M JUST A DOG
VISION
KX/KREVA
KICK THE KAN CREWとしてデビューし、KICK活動休止後もソロラッパーとして確固たる人気を確保しているKREVA。そんな彼のソロデビュー10周年を記念してリリースされたベスト盤。私は通常盤の2枚組を聴いたのですが、さらにレア音源などを加えた4枚組+DVDという豪華なヴァージョンもあり、ボリューム満点のベスト盤になっています。
さてその通常盤の2枚組では、1枚目はエレクトロトラックなナンバーが、2枚目にはよりポップでメロディアスなナンバーがメイン。ただ楽曲全体的にポップなナンバーが多く、ラッパーでありながらもKREVAのその豊かなメロディーセンスを感じます。KREVAの実力とその魅力を存分に感じられるベスト盤でした。
評価:★★★★★
KREVA 過去の作品
心臓
OASYS
GO
BEST OF MIXCD NO.2
SPACE
SPACE TOUR
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2014年」カテゴリの記事
- まだまだ「実」だけど(2014.12.29)
- ロック入門...的な(2014.12.28)
- 踊れるロック(2014.12.27)
- レトロなガレージサウンドが心地よい(2014.12.26)
- 社会派三部作完結編(2014.12.23)
コメント