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2014年7月 4日 (金)

心に突き刺さるような歌詞

Title:おかえりロンサムジョージ
Musician:井乃頭蓄音団

個人的に、今、もっとも注目しているバンドのひとつ、井乃頭蓄音団。先日、SAKAE SP-RINGではじめてそのライブを見てさらにはまってしまったのですが、ちょっと遅ればせながら先日発売されたニューアルバムを聴きました。

井乃頭蓄音団というバンドは、主に作詞作曲を手掛ける松尾遥一郎率いる4人組のバンド。楽曲的にはシンプルなフォークロックがメインであり、アコースティックテイストの強いサウンドに、ポップなメロディーとそして歌詞を主軸に据えた楽曲が特徴となっています。

さて、私が井乃頭蓄音団というバンドにはまった最大の理由はその歌詞でした。はじめて聴いたのは東日本大震災へのチャリティーアルバム「Play for Japan」の中の1曲でしたが、その後ちゃんとアルバム単位で聴いたのはおととし発売された「親が泣くLIVE at 下北沢GARDEN 29 Feb.2012」。例えばそこに収録されていた「親が泣く」では、いつまでたっても音楽で成功しない自分のことをそのまま歌った内容に、親でなくても涙がちょちょぎれますし、「帰れなくなるじゃないか」もおなじく、親の期待に添えない自分の情けなさをストレートに歌った内容。どちらも聴いていてとても胸につきささるような内容です。

今回リリースされたニューアルバムも、まさにそんなダメな自分をちょっとユーモラスな視点から描写する歌詞がとても心に響きます。例えば「昔はよかった」という曲では、タイトル通り昔を懐かしむ曲なのですが、かといって前向きな落ちがあるわけではなく「昔に戻ったら 帰れなくなるだろう」と最後まで基本的に後ろ向き。また、前述のライブ盤にも収録されていた「けんちゃん」では自分がいじめられないためにいじめられっこを一緒にいじめる話。こちらにも決して救いはありません。

もっともこの他にも、ノストラダムスの大予言をユーモラスにGS調のサウンドとメロにのせて歌った「アンゴルモア」や、彼氏との別れ話を、心底醒めた視点から描いた「この人は誰だろう」のようなユーモアテイストあふれる楽曲も並んでいます。どの曲もかなり癖がある、でも人によってはおそらく聴いていて胸につきささるような歌詞ばかり。ちょっと本作では、前述のライブ盤で感じた松尾遥一郎の私小説的な部分は薄れたように感じたのですが、それでもインパクト満載の内容になっていました。

楽曲は基本的にフォークロックやカントリーロック。ただ楽曲によってはブルースやハードロック的な要素も見え隠れしており、なにげに歌詞に注目がいきがちなのですが、音楽的な土壌もかなりしっかりした基礎を持ったバンドに感じました。そういうベースがしっかりしたバンドだからこそ、これからのさらなる活躍にも期待できそう。

以前聴いたライブアルバムに比べてちょっと癖は薄め。そういう意味では個人的にはライブアルバムの方が好きかなぁ、とは思うのですが、逆に井乃頭蓄音団の最初の一枚として、つかみとしてはこちらの方が最適なアルバムのようにも感じます。個人的に大注目のお勧めのバンド。是非是非、チェックしてみてください。

評価:★★★★★

井乃頭蓄音団 過去の作品
親が泣くLIVE at 下北沢GARDEN 29 Feb.2012


ほかに聴いたアルバム

Masterpeace/Koji Nakamura

元スーパーカーのボーカル、ナカコーこと中村弘二が、はじめて自らの名前名義でリリースしたオリジナルアルバム。基本的に後期のスパカを彷彿とさせるような楽曲が多く、その中にスパカとは異なる新機軸を入れている感じなので、スパカ好きなら気に入るかも。ただ一方、好きなことをやった結果、ちょっと楽曲が内向きになってしまっている印象があるのが気にかかるところ・・・。

評価:★★★★

THE BEST 2008-2014 MONUMENT/flumpool

flumpool初となるベストアルバム。基本的にオルタナ系のギターロックが主軸のバンドなのですが・・・うーん、なんというか、「普通・・・」という何とも言えない感想が浮かんでしまいました。もちろん、アルバムをリリースすればベスト10入りしてくる彼らなだけに、メロにしても歌詞にしてもインパクトはあります。ただ、メロディーにしても歌詞にしてもサウンドにしても、これだけで売りにするにはflumpoolだけが持っているような特色が薄いような印象が。良くも悪くもJ-POPの王道を行っている、という印象もあるのですが。

評価:★★★★

flumpool 過去の作品
What's flumpool?

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