予想通り「バンドサウンドが前面」に
Title:FUTUROLOGY(邦楽 フューチャロロジー<未来派宣言>)
Musician:MANIC STREET PREACHERS
前作「Rewind The Film」から、わずか10ヵ月ぶりとなるマニックスのニューアルバム。前作はアコースティックテイストの強い内省的なアルバムになっていましたが、そのアルバムをリリースした段階で、「バンドサウンドを前面に押し出したアルバムを来年春にはリリースする」という話をしていただけに、期待して待っていた新作でした。「春」というにはちょっと暑くなりすぎてからのリリースでしたが・・・(^^;;
それだけにこのアルバムの冒頭「FUTUROLOGY」でガツンとギターサウンドが鳴り響いたところからやはりテンションはあがります。前作「Rewind The Film」もちゃんとマニックスの魅力を感じることが出来た傑作でしたが、やはりマニックスの魅力は、スタジアムバンドらしいスケール感あるバンドサウンドでしょう。その後も「WALK ME TO THE BRIDGE」や「SEX POWER LOVE AND MONEY」などパワフルでスケール感あるギターロックの連続にテンションがあがりまくります。
歌詞についても、本作はまた彼ららしい、社会に対して物申す姿勢が鮮明になっています。「LET'S GO TO WAR」なんていうかなりストレートな楽曲もありますし、「THE VIEW FROM STOW HILL」では「陳腐なツイートに哀しいフェイスブック/安っぽさが蔓延するが僕は見てられない」なんて歌詞も登場。さらに国内盤のみのボーナストラックになりますが、そのものズバリ「ANTISOCIALMANIFESTO」(邦題「僕らのアンチソーシャル宣言」)なんて曲まで登場しています。
ただ・・・そんな彼らのスケール感あるギターロックにワクワクして聴いていたのは前半のみ。中盤から後半にかけてはテンションが徐々に下がっていってしまいました。
特に中盤から後半にかけてはどうにも地味なインパクトに欠けるナンバーがチラホラ。メロディーにしても彼ららしいポピュラリティーに欠けていて、言っちゃ悪いが、ちょっとやっつけでは?なんてことも感じてしまいます。
パワフルなギターロック路線にしても中途半端なシンセの音が、それなりにスケール感を出している一方、少々古臭くないか?と感じてしまう側面も。うーん、悪くはないけど・・・といった印象を抱いてしまいました。
「Rewind The Film」と同時期に作成されたらしいのですが、「Rewind The Film」1枚におさまりきらなかったけど、2枚にするにはできた楽曲が少なすぎたので、むりやり水増しした感もなきにはあらず。インストの曲が2曲も収録されている点もそんな印象を増す大きな要因になってしまいます。
前半はそれなりに楽しめるアルバムですし、それなりにファンとしてはチェックして損のないアルバムだとは思うのですが・・・毎回ほぼはずれなしのマニックスのアルバムとしてはちょっと物足りない作品だったかも。どうせなら、「Rewind The Film」を2枚組にするか、曲を絞ってミニアルバムにするか、あるいはもうちょっと厳選して、「Rewind The Film」とまとめて1枚のアルバムにするかしてほしかったなぁ。いい曲もあっただけに、ちょっと残念なアルバムでした。
評価:★★★★
MANIC STREET PREACHERS 過去の作品
Journal For Plague Lovers
POSTCARDS FROM A YOUNG MAN
NATIONAL TREASURES-THE COMPLETE SINGLES
Rewind The Film
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