青春のナンバガ
Title:School Girl Distortional Addict 15th Anniversary Edition
Musician:NUMBER GIRL
NUMBER GIRLというバンド、今の若い方でもその名前くらいはどこかで聞いたことあるのではないでしょうか。いまはZAZEN BOYSとして活動している向井秀徳がかつて所属していたバンド。1999年にシングル「透明少女」でデビュー。その後活動期間はわずか3年程度、アルバムもメジャーからはわずか3枚のみもリリースでしたが、そのバンドとしての圧倒的な演奏力と強烈な個性が多くのロックリスナーの耳を惹きつけました。特にその後の音楽シーンへの影響力はすさまじく、アジカンやBase Ball Bearなど、多くのバンドがその影響とリスペクトを公言していますし、さらに海を越えて、台湾では「透明雑誌」なるバンド名からしてまんまナンバガなバンドまで登場しています。
今回リリースされたのは、その彼らのメジャーデビューアルバムの15周年記念盤。Marcury Revのメンバーであり、数多くのロックミュージシャンの作品のプロデュースを手掛けたデイヴ・フリッドマンによるリマスターが行われたアルバムと、さらに収録曲全曲のライブ音源を収録した2枚組。この手の「○周年記念盤」は、ここ最近、「名盤」と呼ばれる様々な作品においてリリースされていますが、ナンバガのデビューアルバムも名実ともに、邦楽の「名盤」の仲間入りをした、と言えるでしょう。
個人的にもNUMBER GIRLというバンドはとても思い入れの深いバンド。「透明少女」でデビューした頃、ネット界隈でも大きな評判となり、私も当サイトに来てくださっている方のお勧めで聴き始めたバンド。すっかりはまってしまい、デビュー当初はかなり足しげくライブにも足を運びました。ちなみにこのアルバムの次にリリースされ、こちらも名盤の誉れ高いライブ盤「シブヤROCKTRANSFORMED状態」が収録された渋谷クワトロでのライブを最前列で見ていたというのは、私の音楽に関する数少ない自慢のひとつです(笑)。
それだけにこのアルバムも何回も聴いて、とても思い入れの深いアルバムです。そして、久しぶりにこのアルバムを聴いて、やはり15年前の事をいろいろと思い出してしまいました。ただ、その反面、このアルバム、今聴いても全く色あせていないことにも気がつかされました。特にアルバムを聴き始めてすぐ飛び込んでくる迫力あるバンドサウンドは、久しぶりに聴いても、思わず鳥肌がたつほどの緊迫感あるものでした。
特に今回のリマスターで、より音が太く、迫力が増したように感じます。そのバンドサウンドが、今回のアルバムではより強調されたように感じました。
いまのZAZEN BOYSで聴くことができる向井秀徳の個性は、この頃から既に健在。ただその一方で、向井秀徳の事実上、ワンマンバンドとしての色合いが濃いZAZEN BOYSに比べて、NUMBER GIRLは明らかにほかのバンドメンバーが向井秀徳と同等の個性を持ってそのサウンドを生み出しています。おそらく、田渕ひさ子のギター、中尾憲太郎のベース、そしてアヒト・イナザワのドラムスがあってこそ、NUMBER GIRLだ、というのはファン誰もが共通する認識ではないでしょうか。ZAZEN BOYSでの向井秀徳の活動を経て、今あらためて聴くナンバガだからこそ、その認識をさらに強くしました。
また、同時に収録されているライブ音源がこれまた見事。この頃の活動にはどこか初々しさも感じます。特にライブ活動が中心だったナンバガにとって、むしろライブ盤こそがよりNUMBER GIRLというバンドを知るには重要なアイテム。そういう意味でも今回の記念盤にライブ音源がついた意味は大きいと思います。
初期の彼らのライブ音源らしく、曲の間に客いじりのMCが入るのもユニーク。その頃のライブの空気を伝えていますし、この頃、よくライブに足を運んでいた私にとっても、ちょっと懐かしさも感じました。
今後、これ以降の彼らの作品もリマスターされライブ盤もセットにして再発されるということ。これは楽しみ。今回の記念盤であらためてNUMBER GIRLというバンドの魅力を実感しました。リアルタイムでナンバガを知らない方は要チェック。アジカンやベボバのファンも一度聴いてみてください。間違いなく日本のロック史上に残る名盤だと思います。
評価:★★★★★
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