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2014年6月14日 (土)

緊迫感ある演奏

Title:ALIVE
Musician:上原ひろみ THE TRIO PROJECT

「VOICE」「MOVE」に続く、アンソニー・ジャクソン(ベース)とサイモン・フィリップス(ドラムス)と組んだトリオ・プロジェクトの最新アルバム。個人的に、このプロジェクト、「VOICE」ではまって「MOVE」もそれに続く傑作だったのですが、「ALIVE」もまた、この2作に続く傑作に仕上がっていました。

このトリオ・プロジェクトの大きな特徴としてはジャズと同じくくらいロック的な要素が強いという点。1曲目にいきなり表題曲の「ALIVE」からスタートするのですが、上原ひろみの爽やかなギターとバンドサウンドがからむスリリングな展開になっています。途中、ドラムスの複雑なリズムがからまり、非常に爽やかな雰囲気を保ちつつも、緊迫感ある演奏を楽しめます。

特にロック色を強く感じたのが「WARRIOR」。こちらもピアノとドラムスのからみが実にスリリングで、イメージ的にはジャズというよりもむしろプログレッシブ・ロック的な枠組みでも語れちゃいそうなナンバー。ジャズリスナー以上にロックリスナーが楽しめそうな楽曲になっています。

いままでのトリオ・プロジェクトのアルバムと同様、メンバー3人が同じ方向を向いて仲良く演奏する、というよりも、お互いに対峙してそれぞれの楽器で争っているようなそんな印象すら受ける演奏で、とてもヒリヒリした緊迫感あるサウンドが楽しめます。「ジャズ」というと特に日本では、「ゆっくり聴く大人の音楽」みたいな一般的イメージがありますが、このアルバムとはとてもゆっくり聴いてはいられない、そんな「大人の音楽」とはちょっと異なる雰囲気がとても魅力的です。

ただ一方でいままで2作と比べると、そういうパブリックイメージ的な「ジャズ」の要素が一番強かったように感じます。例えば「DREAMER」はメロディアスなピアノを聴かせてくれる、ジャジーな雰囲気のナンバーですし、「FIREFLY」もピアノソロなのですが、ゆっくりと聴かせるナンバーになっています。まあ、ジャズのアルバムの感想で「ジャジー」ってのも変な話なのですが(^^;;

そんなわけで、前2作に続く傑作。ジャズリスナー以上にロックリスナーにお勧めしたいアルバムだったと思います。そのスリリングな演奏からは終始、耳が離せません。これはライブも一度見てみたいなぁ。

評価:★★★★★

上原ひろみ 過去の作品
BEYOUND THE STANDARD(HIROMI'S SONICBLOOM)
Duet(Chick&Hiromi)
VOICE(上原ひろみ featuring Anthony Jackson and Simon Phillips)
MOVE(上原ひろみ featuring Anthony Jackson and Simon Phillips)
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)


ほかに聴いたアルバム

EACH TIME 30th Anniversary Edition/大滝詠一

昨年12月、突然の訃報に多くの音楽ファンがショックを受けた、稀代のポップスメイカー、大滝詠一の、1984年にリリースしたオリジナルアルバムを、本人がリマスターした30周年記念盤。珠玉のポップソングが揃っている、というのはいまさら言うまでもないこと。同じく名盤の「A LONG VACATION」と比べると、和的な要素が強くなっているような印象も?DISC2では、トラックのみを収録したインスト盤を収録。大滝詠一の魅力がよりわかる内容なのですが、基本的にはこちらはファンズアイテムかな。

評価:★★★★★

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