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2014年6月 8日 (日)

没後2作目の「新作」

Title:XCAPE
Musician:Michael Jackson

その突然の訃報から早くも5年近くが経とうとしているマイケル・ジャクソン。逝去後、未発表音源集のアルバム「MICHAEL」がリリースされましたが、またもや未発表音源集「XCAPE」がリリースされました。

今回のアルバムは、生前に残されたマイケルのボーナストラックに、ティンバランドやスターゲイトといったプロデューサー勢が現代風にアレンジしたアルバム。ちなみにデラックス・エディションでは原曲も同時に収録されており、聴き比べが出来る内容になっています。私は通常版を購入したので、今回の感想はあくまでもアレンジ後の作品についての感想ということで。

以前の「MICHAEL」の感想でも書いたのですが、この手の未発表曲集というのは一種のジレンマ的なものを感じます。要するに、本人がボツとした楽曲を後世の判断で勝手にリリースしてもいいものか、という。一方ではファンとしては未完成でも彼のつくった楽曲を、そのパーツでも聴きたい、と思うのは自然なことでしょう。

今回のアルバム、ファンキーなマイケルのシャウトとメロウで優しい歌のバランスがとても良く取れていて、いい意味でマイケルらしい作風になっていました。なによりも聴いていてワクワク楽しくなってくるようなポピュラリティーを持った作品ばかりで、そこらへんはさすが、といった感じでしょうか。

ただ正直傑作か、といわれるといまひとつインパクトという面では物足りなさも。シングルカットされる、とか、アルバムの代表的なナンバーになる、といった感じの曲ではなく、隠れた名曲的な立ち位置。アルバムの中で人気投票をすると、4番目とか5番目に来るのようなそんな曲ばかりに感じました。

アレンジに関しては原曲と聴きくらべていないのでなんともいえないのですが、いかにも現代風というよりも、マイケルらしさを尊重したようなアレンジになっています。必要以上に流行にのることなく、ただそれなりに今の耳で聴いて古臭さがないようなアレンジという感じでしょうか。そういう意味ではこちらもほどよくバランスが取れているように感じました。

全体としては良くできているアルバムだな、と思う反面、やはり傑作というにはかなりの物足りなさも感じたアルバム。そういう意味ではこういう形で世に出しちゃうのはどうなのかな、と思います。ただ、楽曲の出来は悪くないので、機会があれば本人もアルバムの1曲としてリリースするつもりだったのかもしれませんが。どちらかというとファンズアイテム的な要素も強いので、没後、彼に興味を持った方というよりも、昔からのファンなら手に取りたい作品といった感じでしょうか。

評価:★★★★

MICHAEL JACKSON 過去の作品
Thriller(25th Anniversary Edition)
MICHAEL JACKSON'S THIS IS IT
KING OF POP
MICHAEL

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