染み入る歌とギター
Title:In My Soul
Musician:Robert Cray Band
齢60を過ぎても精力的な活動を続けるロバート・クレイの2年ぶりのニューアルバム。ロバート・クレイは、前作ではじめてその作品を聴きました。すぐれた作品だと思った反面、コンテンポラリーな内容は正直ちょっと好みからはずれているように感じました。
今回のアルバムに関しても基本的にその方向性は変わりません。ただ、ちょっと好みから外れた前作に関して、本作はその内容にすっかりはまってしまいました!その大きな理由のひとつはそのメロディーの良さ。ミディアムテンポのバラードナンバーがメインなのですが、時には優しく、そして時には力強く歌いあげるその歌の力に大きく惹かれた作品でした。
彼は基本的にブルースギタリストという枠組みで語られますが、楽曲自体はブルースよりもソウル的な色合いが濃いのが特徴的。前作はその中でもロックな曲も少なくなったのですが、本作ではよりメロウなソウルのナンバーがメイン。その楽曲のところどころに、彼の哀愁たっぷりのブルージーなギターが絡むという構成になっています。
そんな楽曲の中でも特に染み入るようなメロディーが印象的だったのがピアノの音色も印象的な「Fine Yesterday」。さらに6曲目から7曲目への流れは、絶品。ソウルテイストにメロウに聴かせる「Hold on」から哀愁あふれるギターとメロディアスなメロが印象的な「What Would You Say」は、どちらも心からそのメロディーやサウンドに聴き入ってしまう、とても魅力的なものでした。
またタイトルの元となった「Deep in My Soul」をはじめそのブルージーなギタープレイもしっかりと披露してくれていますし、「Your Good Thing Is About to End」のように、歌い上げそのボーカルを聴かせるナンバーも魅力的でした。
アルバム全体としては決して派手さはありません。むしろ「渋い」という表現が妥当でしょう。音楽的にも決して目新しい訳ではありません。ただ、ソウルやブルースを基調とし、楽曲によってはジャズなどの要素も入った楽曲は、ちゃんと現役感もあります。
齢60歳にして、まだまだ第一線での活躍を感じさせる作品。そのギターの音色とボーカルに強く惹かれた素晴らしいアルバムでした。ブルースリスナー以上にソウル好きにお勧めな1枚です。
評価:★★★★★
Robert Cray 過去の作品
NOTHIN BUT LOVE
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