バンドテイストは薄いけど
Title:Keeper Of The Flame
Musician:the HIATUS
約2年4ヶ月ぶりとなるthe HIATUSのニューアルバム。前作「A World Of Pandeonium」から、パンキッシュでハードな曲がなくなり、メロディアスなポップチューンがグッと増えた印象を持っていましたが、本作も引き続きその路線を貫いたアルバムになっていました。
基本的にまず感じるのは、アルバム全体としてバンド色が希薄になっていること。楽曲は細美武士がメインに、柏倉隆史も作曲を手掛けたうえで、メンバー全員で作り上げているようですが、シンセのエレクトロサウンドが全面に出たメロディーが主軸となった作風なだけに、どうしても細美武士のソロプロジェクト的な印象を強く感じてしまいます。
ただ一方では「Roller Coaster Ride Memories」のように今回のアルバムからメンバーに加わった伊澤一葉のピアノのメロディーに、柏倉隆史の複雑なリズムのドラムスが重なる楽曲が多く、そういう意味ではバンドのメンバーもきちんとアルバムの中のひとつの軸となっています。このピアノとドラムスが強調された作品が目立つ作品で、ドラムスのリズムが楽曲のメインという意味では、今風なアレンジの作品と言えるかもしれません。
それら作品も加え、アルバム全体としてはエレクトロサウンドを取り入れた幻想的な作風がメイン。決して斬新とか新鮮というタイプの作風ではないものの、美しいメロディーラインともピッタリマッチし、最後まで聴き入ってしまうようなサウンドを作り上げていました。
そしてやはりアルバムで最大の魅力は、彼らのメロディーラインの良さでしょう。今回の作品、ミディアムテンポの楽曲が多く、派手な曲は決して多くありません。ただ、「Horse Riding」「Sunset Off The Coastline」「Don't Follow The Crowd」など、決して派手でなくてもメロディーの良さがキラリと光る作品が並んでいました。
そんな訳で、これからのthe HIATUSの進む方向が明確になったアルバムのように感じた本作。メロディーの美しさと、それを引き立てるサウンドメイキングの妙に心惹かれるアルバムでした。ただ一方で個人的にはラストを締めくくる、このアルバムでは唯一、バンド色が強い「Burn To Shine」のようなシューゲイザーっぽいナンバーにも惹かれたりするんで、今後もこの方向性の曲も聴きたかったりするんですが(笑)。
評価:★★★★★
the HIATUS 過去の作品
Trash We'd Love
ANOMARY
A World Of Pandemonium
THE AFTERGLOW TOUR 2012
ほかに聴いたアルバム
DECORATOR EP/livetune feat.初音ミク
livetuneの新作は7曲入りのミニアルバム。全編、いまどきのEDMなアレンジで爽やかなメロディーラインが特徴的。アレンジと初音ミクの電子ボイスはなかなかマッチしており、7曲という短さもあったのですが、本作はあまり気になりませんでした(自分が慣れただけかも)。正直、EDMアレンジはよくありふれている感じで目新しさはありませんでしたが、アルバム毎に成長が感じられ、これからも楽しみになる1枚でした。
評価:★★★★
livetune feat.初音ミク 過去の作品
Re:package
Tell Your World EP
Acoustic Tempo Magic/安藤裕子
彼女の楽曲をアコースティックアレンジで歌い上げた、アコースティックアルバム。基本的に、ちょっとジャズの要素も加えたアレンジでしんみり歌い上げています。無難に良いアルバム。うーん、間違いなく彼女の歌声にしんみり聴き入り、満足感あるアルバムなんですが、無難にまとまっている、という印象も一方では否めないんだよなぁ。いいアルバムではあると思うのですが、インパクトという側面がちょっと弱いかも。
評価:★★★★
安藤裕子 過去の作品
クロニクル
THE BEST '03~'09
JAPANESE POP
大人のまじめなカバーシリーズ
勘違い
グッド・バイ
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