良質なポップソングが並ぶ
Title:大橋トリオ
Musician:大橋トリオ
トリオと名乗るもトリオじゃない。大橋好規のソロプロジェクト、大橋トリオの初となるベストアルバム。代表曲をまとめた「スタンダードベスト」1枚のみのリリースと、それにバラード曲をまとめた「バラードベスト」をつけた2枚組のリリースと、さらに「カバーベスト」をつけDVDもつけた「デラックスベスト」の3パターンでの発売。で、今回聴いてみたのは2枚組の「スタンダード&バラードベスト」です。
大橋トリオというと、前にもこのサイトで書いたと思うのですが、友達や恋人にもっともおすすめしやすいミュージシャンだと思っています。大学でジャズを専攻した彼の楽曲は、基本的にジャズベースのポップソングなのですが、そのため洒落た感覚が漂うポップソング。ただ決して難しいことをやっているわけではなく、メロディーはメロディアスでポップ。かといって、よくありがちなJ-POPみたいに非常にベタでわかりやすいメロディーでもなく、大人のリスナー層でもアピールできる音楽。そういう意味で、決して悪い意味ではなく、広いリスナー層にお勧めできる音楽を演奏しているミュージシャンだと思っています。
こんな書き方をしてしまうと、よく出来た曲を書くけど無難な優等生ミュージシャン、という思われ方をするかもしれません。事実、そういう側面もあることは否定できません。ただその一方でこのベスト盤を聴いて感じるのは、そういう「優等生」の一言では終わらないような凝った楽曲がちゃんと作ってきていることに気がつかされます。
「トリドリ」など、基本的にピアノ曲なのですが、どこか無機質な感じを覚えるピアノの演奏がとてもユニークですし、「KOE」などもエレクトリックな雰囲気のサウンドを入れることによって独特の雰囲気を出しています。
また、「マチルダ」ではストーンズばりのへヴィーなギターのイントロからスタートするなどロック色の強く作品をつくってきたり、「窓」では矢野顕子とコラボをするなど様々なタイプの楽曲にも挑戦しており、決してジャジーなポップソングを歌うシンガー、とひとくくりにはできない部分もあります。
暖かみのある彼の声もまた魅力的なんですよね。包容力があってやさしさを感じられるので、彼の曲にもピッタリマッチしています。
そんな魅力的な大橋トリオの曲が2枚組につまったベストアルバム。大橋トリオをはじめて聴く方でボリュームが多いな、と感じられる場合は1枚のみのスタンダードベストがお勧め。しかし、このベスト盤を聴くと、なぜいままで大橋トリオが大ブレイクできないのかちょっと不思議。確かにちょっと地味な部分はあるので、シングル単位で売れないのはなんとなくわかるのですが、アルバムならもっと売れてもいいと思うんだけどな。
評価:★★★★★
大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R
FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
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コメント
ゆういち様
こんばんは
大橋トリオは最初に英語詞中心で推していたのが、邦楽ファンに響かなかったというのがイマイチ売れない理由の一つとしてあると思います。
個性として地味かな、とも思いますがいいミュージシャンですよね。
投稿: GAOHEWGII | 2014年5月 4日 (日) 18時45分
>GAOHEWGIIさん
確かに最初のうち、英語詞中心だったのがなかなか浸透しなかった理由かもしれませんね。地味な点は否めないのですがいいミュージシャンなので、もっともっと売れてほしいなぁ、とは思うのですが。
投稿: ゆういち | 2014年5月 8日 (木) 00時34分