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2014年5月24日 (土)

好き勝手に

Title:フィクション
Musician:堂島孝平

堂島孝平の前作「シリーガールは振り向かない」は、本人曰く「トンデモCD」と名付けた自由度の高いミニアルバムをリリースしてきました。それに続くニューアルバムである本作も、まさに「シリーガールはふり向かない」のハチャメチャ感をそのまま引き継いだ作品。彼自身が彼のやりたいように好き勝手に作成したアルバム、そんな印象を受けた作品でした。

1曲目を飾る「俺は、行く」はストリングスを入れて、とにかくスケール感の大きな作品。歌詞も自らの人生を振り返るような内容になっていて、堂島孝平版「マイ・ウェイ」だとか。とにかく歌詞からサウンドからスケール大きな作品にまずは圧倒されます。

続く「フィクションの主題歌」はミュージカル風な作品。1曲の中で様々に展開していく楽曲で、いわば「サビの連続」というスタイルが今風でしょうか?個人的にポップな作風とあわせてちょっと清竜人を思い出してしまいました。

その後も比較的、ダイナミックな展開の分厚いサウンドで構成された楽曲が続きます。ひとことで言うと本当に「ハチャメチャ」といった感じ。その後も女性ボーカルとのデュオで、ちょっとノスタルジックな雰囲気のある「誰のせいでもない」や、80年代風の「透明になりたい」、さらにはミニアルバムとしてリリースされた「シリーガールはふり向かない」が本作にも収録されています。

どの曲も雰囲気の異なる作品なのですが、一方でどの曲もとにかく楽しいポップスという点では共通。このアルバムのインタビューで、本人は「ワクワクしなくなることの恐怖」という話を出していましたが、まさにポップミュージックが本来持っているべき「ワクワク」感を前面に押し出した作品になっていました。

その一方でこってり風味のアレンジが多かっただけに、個人的には前半、楽しみつつもちょっとくどさも感じたのも事実。ただ後半に行くに従い、アレンジや構成のくどさは消えて、ポップなメロディーをちゃんと聴かせるような曲が並んでいました。

要するに、決してこのアルバムでもあくまでも主軸になるのは良質なメロディーということ。ど派手なアレンジが目立つ一方、それは決してメロディーをごまかしているわけではなく、いつもの堂島孝平のアルバムと同じく、良質でポップなメロディーがきちんとアルバムの根底に流れています。

だからこそ、こういうハチャメチャな展開の曲になってもアルバムとしての屋台骨は決してくずれず、堂島孝平らしいアルバムに仕上がっていたと思います。こういうアルバムをちゃんとリリースできるのは、既にベテランの域に達した彼だからこそできる技。ハチャメチャなようで、実は一本、筋は間違いなく通っています。

堂島孝平というポップミュージシャンの実力をあらためて感じさせたアルバムだったと思います。なんかここに来て、メロディーメイカーとしての勢いがさらに増しているような感すら覚える作品。まだまだ楽しいポップソングを私たちにたくさん届けてくれそうです。

評価:★★★★★

堂島孝平 過去の作品
UNIRVANA
VIVAP
Best of HARD CORE POP!
A.C.E.
A.C.E.2
シリーガールはふり向かない

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