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2014年5月20日 (火)

決して悪い出来ではないのですが・・・

Title:Indy Cindy
Musician:PIXIES

以前、PIXIESのEPでの感想でも書いたのですが、「複雑な気持ち」、PIXIESのニューアルバムについて思う気持ちはこれにつきてしまいます。

PIXIESは、1985年にアメリカで結成した、インディーのオルタナバンドの走りともいえるバンド。その熱を帯びたギターサウンドと、それと反して意外とポップなメロディーラインが魅力的で、その後のオルタナバンドにも大きな影響を与えています。

彼らはその後4枚のアルバムをリリースし、メンバー内の軋轢が原因で93年に解散を発表します。しかし、その時発表した4枚のアルバムのクオリティーの高さや、その後のオルタナシーンへの影響の大きさから、いわば「伝説のバンド」的な扱いで、高い評価を受け続けてきました。

そんな彼らが2004年に再結成を果たし大きな話題となりました。しかしその後は断続的にツアーは行うものの新作はリリースせず、そのうち2013年にはオリジナルメンバーのキム・ディールが脱退してしまいました。

しかし2013年以降「EP1」「EP2」「EP3」と名付けられた3枚のEPをリリース。そしてこのたび、なんと23年ぶりとなるニューアルバムがついにリリースされました。

アルバムに対して複雑な気持ちになるのはやはり再結成後の活動ゆえ。活動しているのかしていないのか中途半端な状況の中でキム・ディールが脱退。PIXIESが魅力的だったひとつの要因は、わずか4枚の傑作アルバムをリリースしただけで解散したという「短く太い活動」だったのですが、それとは反するのような今の活動には違和感を覚えずにはいられませんでした。

今回のアルバムも既発表の3枚のEPを並べなおしただけという内容。日本盤ではボーナストラックでライブ音源もついていますが、ここにもどうしても中途半端さを感じてしまいます。ブラック・フランシスはインタビューで、配信がメインとなったから、時間をおかずに曲をリリースした、みたいなことを言っていましたが、それならアルバムは不要だったのでは?

正直、アルバム自体は決して悪い内容ではありません。ノイジーなギターサウンドにポップで、時には切ない雰囲気すらあるメロディアスなメロディーライン。「Blue Eyed Hexe」で聴かせてくれるシャウトや「Another Toe In The Ocean」の哀愁を帯びたメロディーラインなど、実にPIXIESらしい要素を随所に感じられます。

ただ、そこには2014年のPIXIESとしての新しさは感じられません。いわばかつての彼らのイメージを引き継いだだけ。そしてこのアルバムに収録されている曲も確かにいい曲が多いのですが、聴くだけでワクワクして心ときめかしたあの頃の作品には残念ながら及びませんでした。

多分このアルバムをそこらへんのインディーバンドが作り上げたのならば、文句なく5つの傑作だったと思います。純粋にPIXIESのアルバムとしても4つくらいの出来で、ファンとしては少なくとも安心して楽しめる程度の内容にはなっていたと思います。ただ個人的にはその中途半端な活動とあわせて下のようになっちゃうのかなぁ。なんか本当に複雑な心境になってしまう、そんなアルバムでした。

評価:★★★

PIXIES 過去の作品
EP1
EP2

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