大人の遊び
Title:イーガジャケジョロ
Musician:UNICORN
ここ最近、90年代のバンドが次々と活動再開していますが、その中でおそらくもっとも順調に活動を進めているのが彼らではないでしょうか。活動再開後もコンスタントにシングルやアルバムをリリースし、ツアーを行っており、彼らなりのマイペースさを保ちつつも、着々と活動を進めています。
彼らがマイペースながらも確実に活動を進められる理由はおそらくメンバーそれぞれのバンドや他のメンバーとの距離感がちょうどよいからのような気がします。メンバーそれぞれが、奥田民生や阿部義晴あらためABEDONはそれぞれソロ活動を進めながら、他のメンバーは電大としての活動を行うなど、バンドとは異なる活動を進めています。そのため、必要以上にバンドにこだわらず、良い関係を続けられる大きな理由のような印象を受けます。
今回のニューアルバムは、まさにそんな彼らが、ユニコーンというバンドで自由に遊んだ結果生まれたアルバムのように感じました。まさに「大人の遊び」。メンバーそれぞれがユニコーンというバンドで思いっきり遊んだ結果生まれたアルバムではないでしょうか。
そもそも「イーガジャケジョロ」というアルバムタイトル自体、意味のない言葉遊び。アルバムはそんなタイトル曲からスタートします。その後もパーティーチューン風(あくまでも「風」なところがユニークな)「夢見た男」、タイトルそのものがとぼけた雰囲気の「早口カレー」など、ユニークな楽曲が並んでいます。
後半も、タクシーに荷物を忘れた実話を歌った「俺のタクシー」やら、タイトル通りのデスメタル風ナンバー「ユトリDEATH」など、ユーモラスな楽曲が並んでいます。でも、「大人の遊び」が「大人」たるゆえんは、どの曲もベースはとてもしっかりとしたロックナンバーにしあがている点。「イーガジャケジョロ」は歌詞はユニークですが、本格的なブルースのサウンドがバックには流れていますし、「夢見た男」も、基本的にはオールドスタイルなロックンロールナンバー。ベースがしっかりとしており、締めているところは締めているからこそ、そのうえで自由に遊びまわれる・・・これぞ実力派の彼らだからこそ出来る「大人の遊び」だと思います。
ちなみに今回のアルバムは奥田民生ボーカルがアルバムの半分を下回っているところも特徴的。本人曰く「電大の3人(川西・EBI・手島)が自分たちで歌いたがって、みんな(歌を)振ってくれない」と語っているそうですが、ただ、それでも彼がさほどボーカルを取らなかったのは、やはりソロはソロで充実した活動を続けているからこそ生まれる余裕なのではないでしょうか。そういう点もまた、メンバーそれぞれバンドといい距離感を保っている証拠のように感じます。
「大人の遊び」で出来上がったアルバムなのですが、それでもこれだけの傑作をいともたやすくリリースしてしまうあたり、さすがといった感じ。いや、むしろ「大人の遊び」として自由に作ったからこそ、これだけの傑作になったのではないでしょうか。今後もマイペースな活動が期待でいる彼ら。そんなマイペースな彼らだからこそ、これからも傑作を期待できそうです。
評価:★★★★★
ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII
Quarter Century Single Best
Quarter Century Live Best
ほかに聴いたアルバム
TAPESTRY OF SONGS-THE BEST OF ANGELA AKI/アンジェラ・アキ
今年秋、アメリカの大学への音楽留学を決め、日本での音楽活動の無期限活動休止を宣言したアンジェラ・アキ。いままでの活動にひとつの区切りをつけるためでしょう、初となるベストアルバムがリリースされました。基本的にピアノの弾き語りで聴かせるミディアムテンポのナンバーが多く、良くも悪くも優等生的とは思うのですが、洋楽からの影響も強く感じる丁寧な曲づくりには好感が持てます。メロディアスなピアノポップはエルトン・ジョンやビリー・ジョエルなどのピアノポップ好きなら間違いなくはまりそう。
評価:★★★★★
アンジェラ・アキ 過去の作品
ANSWER
LIFE
WHITE
SONGBOOK
BLUE
フィードバックファイル2/ASIAN KUNG-FU GENERATION
シングルのカップリングや「NANO-MUGEN COMPILATION」にのみ収録されている、アルバム未収録音源をまとめたレア音源集の第2弾。そういういわば「寄せ集め」の音源集のため、アルバムとしてはまとまりがないのですが、バラバラな曲調がまたアジカンの音楽性が意外と幅広いんだな、と実感させられます。「夜を越えて」のようなシングル曲としても十分通用しそうなインパクトある曲もありますし、レア音源集として忌避しないでアジカンが好きなら聴くべきアルバム。
評価:★★★★★
ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク
BEST HIT AKG
ランドマーク
THE RECORDING at NHK CR-509 STUDIO
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