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2014年4月15日 (火)

さらに一回り成長

Title:RAY
Musician:BUMP OF CHICKEN

約3年3ヶ月ぶりとなるBUMP OF CHICKENの新作。その間、ベスト盤のリリースもありましたし、コンスタントにシングルがリリースされていたのですが、やはり待ちに待ったアルバムといった感じでしょう。

今回のアルバムでは、ベスト盤に引き続き、BOR-ARというアプリをダウンロードしてCDのジャケットや歌詞カードにかざすと、映像が飛び出してくる仕組み。↓こんな感じで

Bumpar_2

こちら、今回は山崎貴監督を迎えたストーリームービーになっています。ストーリー自体はさほど凝ったものじゃないのですが、バンプらしいファンタジックな内容が、ARの中で繰り広げられていて、単純にワクワクするような内容に。とても楽しい仕掛けになっていました。

さて、そんな久しぶりの新譜なのですが、待ちに待っただけの傑作に仕上がっていました。まずなにより名曲だったのがタイトルナンバー「RAY」。メロディーにしろサウンドにしろ実にBUMPらしさを感じる作品なのですが、電子音を軽く入れることによって、歌詞の世界にもつながるような明るさを感じさせます。かつ、いつものバンプなのですが、全体的にスケール感を覚える作品で、彼らが一回り大きくなったように感じました。

この「いつものバンプらしいギターロックなのにスケール感を覚える」という曲は「RAY」だけではありません。「虹を待つ人」や「ラストワン」といった曲でも同じようにスケール感を覚えます。J-POPでスケール感を出すために、最近、安直にストリングスを導入するバンドが多いのですが、彼らはいままでのバンドサウンドを奏でつつ、スケールの大きさを出すことに成功しています。そういう意味でも、彼らがさらなる成長を遂げたように感じます。

また、この「RAY」をはじめとして、アルバム全体としてとても明るい「光」のようなものを感じました。例えば「RAY」にはこんな歌詞が歌われています。

「○×△どれかなんて 皆とくらべてどうかなんて
確かめる間もない程 人生は最高だ」

(「RAY」より 作詞 Motoo Fujiwara)

人生にはいろいろとあるけれども、それも含めて人生は素晴らしい、今回のアルバムで彼らはそう声高に歌っているように感じました。実際、他にもこんな歌詞があります。

「色々と難しくて 続ける事以外で
生きている事 確かめられない
報われないままでも 感じなくなっても
決して消えない 光を知っている」

(「firefly」より 作詞 Motoo Fujiwara)

「信じたままで 会えないままで どんどん僕は大人になる
それでも君と 笑っているよ ずっと友達でしょう」

(「友達の唄」より 作詞 Motoo Fujiwara)

バンプっていうと、ファンタジックな作風のイメージもあって若者向けバンドというイメージも強いのですが、こういう内容の歌詞はともすればある程度年齢の行った人の方が心に来るものがあるように思います。そう思ってあらためて彼らのプロフィールを見ると、そうか、メンバー全員、今年もう35歳になるんですね・・・。確かにこういう歌詞って、30代半ばだからこそかける歌詞なのかもしれません。

でも昔のバンプのイメージをちゃんと残したまま、年齢なりの成長を遂げているという点に、彼らの実力を感じます。というのも、どうしても若者向けのイメージの強いミュージシャンはそれを引きずりすぎて、30代40代になると年齢と楽曲のイメージがチグハグになって「痛い」雰囲気になってしまうミュージシャンも少なくないから。しかしバンプは違いました。彼らは年齢ねりに、さらに一回り大きく成長を遂げたように感じます。

期待以上に素晴らしい傑作で、年間ベストレベルかも。正直、初期からのファンによくありがちなのですが、彼らの最高傑作はいまだに「THE LIVING DEAD」というイメージがあったのですが、本作はそれを超えたかも。いやBUMP OF CHICKENというバンドの素晴らしさを再認識させられたアルバムでした。

評価:★★★★★

BUMP OF CHICKEN 過去の作品
orbital period
COSMONAUT
BUMP OF CHICKEN Ⅰ[1999-2004]
BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]


ほかに聴いたアルバム

黒と影/黒夢

活動再開後2作目となる黒夢のニューアルバム。へヴィーでノイジーなギターロックに、実に個性的な清春のボーカルが展開。メロディーには歌謡曲っぽい雰囲気もあり、それも含めて、実に黒夢らしいアルバムに。ファンには満足行きそうな内容な半面、ファン以外にとっては波及しずらい雰囲気も。正直、少々内向きな雰囲気を感じてしまいました。

評価:★★★

黒夢 過去の作品
Headache and Dub Reel Inch

スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD" /スキマスイッチ

なんかツアーを行う毎に恒例になったスキマスイッチのライブアルバム。もちろん名曲そろいですし、ライブは楽しそうでその雰囲気も伝わってきます。ただライブ自体は安定感があり、ツアー毎にライブアルバムをリリースするほど、ライブ毎に違う顔を見せるようなタイプではないと思うのですが。ただ、ベスト盤リリース直後のツアーという意味でベスト盤的な選曲になっていて、そういう意味ではお勧めできるかも。

評価:★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"

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