おもしろい曲もあるのですが
沖縄のロックバンド、HYが、ベストアルバムとオリジナルアルバムを同時にリリースしました。
Title:HY SUPER BEST
Musician:HY
このいかにもやっつけなジャケット写真とアルバムタイトルからもわかるように、例のごとく、移籍前のレコード会社が、本人たちに無断でリリースしたベスト盤。先日話題となったクリープハイプみたいにこれに関してバンド側からベスト盤を完全に否定するようなコメントはないものの、「聴きたい方は、是非、聴いて下さい。」という消極的なコメントがされています。
さて、HYの楽曲についてイメージする風景。それは公営の海水浴場の安いスピーカーから流れてきそうなそんな音楽(^^;;さわやかなサウンドは、まさに夏の海に流れるのがピッタリな一方で、良くも悪くも優等生的。メロディーは爽やかなポップだけども、良くも悪くも目新しさはありませんし、一応ラップを入れてミクスチャーロックの態をなしているものの、「ラップを入れるのがはやっているみたいなので、なんとなく入れました」程度の内容。このベスト盤にも収録されている「いちばん近くに」はNHKの朝の連ドラの主題歌に起用されていますが、良くも悪くもNHKの連ドラの主題歌のイメージもピッタリ来るような「爽やか好青年たち」というイメージがあります。
ただ一方では「よくあるJ-POP」で終わらせてしまうには惜しい名曲もチラホラあったりします。特に仲宗根泉がメインボーカルを取るバラード系ナンバーは、沖縄民謡の風味も加えてあって、個性的なバラードナンバーに仕上げてあって絶品。「あなた」などもなかなかの名バラードなのですが、「時をこえ」は、沖縄の歴史を背景にしたような歌詞も含めて、間違いなく名曲だと言えるナンバーになっています。
「是非とも聴いてほしい曲」も間違いなく含まれているベスト盤だと思うのですが、一方で、正直、メロにしても歌詞にしてもあまり面白みのないナンバーも少なくなく、そういう意味では惜しいバンドだな、という感じがします。個人的にはもっと沖縄音楽的な要素を強く打ち出した方がおもしろいのになぁ、と思ったのですが・・・。
評価:★★★
Title:GLOCAL
Musician:HY
で、こちらが同日発売のオリジナルアルバム。爽やかなポップソングが並んでおり、こちらも良くも悪くもHYらしい作品。正直、全体的にサラッと聴けてしまって、ひっかかりは少ないなぁ。今回も、「帰る場所」のような仲宗根泉ボーカルの沖縄民謡のテイストが入ったバラードナンバーがあって、こちらに関してはなかなかおもしろいな、と思ったのですが、物足りなさを感じてしまったオリジナルアルバムでした。
評価:★★★
ほかに聴いたアルバム
イマジナリー・モノフィクション/ヒトリエ
初音ミクを使用した、いわゆるボカロPとして人気を博し、「アンハッピーリフレイン」がオリコンチャート6位を記録するなど大ヒットしたwawoka率いるロックバンドのデビュー作。基本的にマイナーコード主体のギターロックなのですが、様々な音を取り入れて全体的にごっちゃになっているのが、いまどきのJ-POPらしい感じ。いまひとつ音楽的なルーツが見えにくいルーツレスな部分もJ-POPらしいところ。かなりハイテンポで、マシンガンのように繰り出される歌が、初音ミクに歌わせることを前提になっていそうな感じなのが、いかにもボカロP率いるバンドらしい感じが。良くも悪くも「いまどきのボカロP」が作りそうなアルバムになっているのがおもしろいところなのですが、こうやってネットコミュニティーから飛び出してくるようなミュージシャンが今度増えてきそう。まだまだボカロP出身の、もっともっとおもしろいミュージシャンも登場してきそう。
評価:★★★★
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