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2014年4月29日 (火)

リセットせよ!!!

Title:RESET
Musician:ATARI TEENAGE RIOT

活動再開後2作目、3年ぶりとなるATARI TEENAGE RIOT。相変わらず世界に対して強烈なメッセージを発し続ける彼ら。今回、「RESET」というタイトルチューンでは

「そろそろお前はこう自問すべきだ
『お前の未来はまだ自分のものか』
時には最初からやり直したくならないか?
リセットせよ!!!」

(「Reset」より 訳詞 今井スミ)

という強烈なアジテーションをかましており、その勢いは全く衰えることがありません。

他にもこのアルバムのおそらく核となるであろう「J1M1」では

「奴らはけっと君を罰しようとする
君の良心を罪だと決めつけて
そうせずにはいられないの
そんな奴らに屈しないで!」

(「J1M1」より 訳詞 今井スミ)

というメッセージも。まさに全編、私たちを自分の思うがままに規制しようとする「勢力」に対してのアンチテーゼを、へヴィーなデジタルビートにのせて展開しています。

そんな今回のアルバムで個人的に一番印象に残ったメッセージが「Street Grime」の中の歌詞。

「憎悪に燃える者達はくだらない捏造をでっち上げ、自分の憎悪を正当化する」
(「Street Grime」より 訳詞 今井スミ)

残念ながら現在の日本で、特に韓国人に対してのいわゆるヘイトスピーチが少なからずみられるようになってしまいました。ヘイトスピーチを行っている本人たちは論外なのですが、驚くことに、特に保守勢力から韓国の反日政策や「在日特権」を盾に正当化する意見すら見受けられます。

このフレーズはそんな連中に対してにぶつけられているように感じました。彼らは差別感情という一種の憎悪を正当化しようとしています。しかし、古今東西、差別を行うものは必ず差別に対して何らかの正当性を与えようとします。例えば先日も取り上げた映画「それでも夜は明ける」では、奴隷主が聖書を片手に黒人差別を正当化するシーンが出てきます。例えば日本におけるいわゆる同和差別においても「穢れ」という概念で差別を正当化しようとします。差別主義者たちは必ず自分たちが行う差別を何らかの理屈をつけ正当化しようとする、自分たちが差別する側にまわらないためにもその事実は心に刻むべきだと、このフレーズを聴いて強く感じました。

ただ、そんな今の社会に対する強いメッセージを続々と繰り出している彼らのアルバムですが、正直アルバムの出来としては、ちょっと物足りなさも感じてしまいました。基本的にはいつも通りのへヴィーなデジタルビートにアジテーションのようなラップが載るスタイル。今回のアルバムはそんな中でへヴィーなサウンドがちょっと薄れ、良くも悪くも聴きやすくなったように感じます。

その結果、一度聴いただけで心臓を突かれるような強烈なインパクトを持つ楽曲は少なくなっていたかな、という印象を受けました。確かに「J1M1」のように心躍るナンバーも少なくなく、ライブは盛り上がるだろうな、という印象はあったのですが。その点、ちょっと残念に感じました。

もっとも、上にも書いた通りメッセージの強烈さは今回のアルバムにも変わりありません。世界に差別や貧困が残り、多くの弱者が一握りの強者に支配され続けるうちは彼らのその強烈なメッセージはまだまだ尽きることがなさそうです・・・・・・・残念ながら。

評価:★★★★

ATARI TEENAGE RIOT 過去の作品
ATARI TEENAGE RIOT 1992-2000
IS THIS HYPERREAL?
INTRODUCING DIGITAL HARDCORE

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