シンプルな作風だけども
Title:Morning Phase
Musician:BECK
2008年の「Mordern Guilt」以来、6年ぶりとなるBECKのニューアルバム。今回のアルバムの大きな特徴は、2002年のアルバム「Sea Change」に参加しているミュージシャンが集結しているところ。そのため、そのアルバム「Sea Change」と対になるアルバムだそうです。
そんな今回のアルバムの大きな特徴は、やはりその美しいメロディーラインでしょう。今回のアルバムは、サウンドはベーシックなアコースティック路線がメイン。比較的シンプルなサウンドに、これでもかというほど聴き入ってしまうような美しいメロディーが載っています。
特に前半に関していえば、比較的重厚なサウンドがあり、シンプルながらもスケール感のある作風に仕上がっています。「MORNING」などは、重厚なコーラスラインが実に美しいナンバーで、個人的にはこのアルバムの中で特に気に入ったナンバー。もうメロディーだけで胸がキュンと来るような楽曲に仕上がっています。
さらに中盤「UNFORGIVEN」「WAVE」あたりはこのアルバムのひとつのクライマックスでしょう。スケール感のある「UNFORGIVEN」から続く「WAVE」では、このアルバム唯一、オーケストレーションが楽曲を彩る荘厳な作品。このアルバムが一種の頂点に達します。
そしておもしろいのは、ここから後半、作風は一変、アコースティックギターを前に押し出したフォーキーな楽曲が続きます。「TURN AWAY」など、アコギのメロに美しいコーラスライン、さらにマイナーコードのメロディーは完全にサイモン&ガーファンクル(笑)。いや、この曲ももちろんメロディーは美しく、思わず聴き入ってしまう名曲に仕上がっています。
そして最後を締めくくる「WAKING LIGHT」は、どこか80年代のSSWを彷彿とさせるような、ちょっと都会的なナンバーで、ピアノやストリングスを用いたサウンドは、またスケール感を覚え、最後にふさわしい、まさにアルバムのクロージングらしいナンバーになっています。
今回のアルバム、ポップアルバムとしてメロディーと歌声を聴かせる比較的シンプルな作風であるにも関わらず、アルバム1枚通して様々なタイプの曲を組み合わせ、ひとつの物語を構成している作品になっていました。ある意味、これだけメロディーを主眼としたシンプルな作風で、ここまで音楽性を広げられるというのは、BECKの実力があってからでしょう。あらためて、BECKの力を感じさせられる傑作でした。
評価:★★★★★
BECK 過去の作品
The Information
Mordern Guilt
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2014年」カテゴリの記事
- ラストアルバム(2014.12.02)
- 女王、貫録のカバー(2014.11.28)
- ブルース入門に最適!(2014.11.16)
- 充実の40分(2014.11.07)
- やっぱりこれが好き!(2014.10.17)
コメント