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2014年3月29日 (土)

シンプルな作風だけども

Title:Morning Phase
Musician:BECK

2008年の「Mordern Guilt」以来、6年ぶりとなるBECKのニューアルバム。今回のアルバムの大きな特徴は、2002年のアルバム「Sea Change」に参加しているミュージシャンが集結しているところ。そのため、そのアルバム「Sea Change」と対になるアルバムだそうです。

そんな今回のアルバムの大きな特徴は、やはりその美しいメロディーラインでしょう。今回のアルバムは、サウンドはベーシックなアコースティック路線がメイン。比較的シンプルなサウンドに、これでもかというほど聴き入ってしまうような美しいメロディーが載っています。

特に前半に関していえば、比較的重厚なサウンドがあり、シンプルながらもスケール感のある作風に仕上がっています。「MORNING」などは、重厚なコーラスラインが実に美しいナンバーで、個人的にはこのアルバムの中で特に気に入ったナンバー。もうメロディーだけで胸がキュンと来るような楽曲に仕上がっています。

さらに中盤「UNFORGIVEN」「WAVE」あたりはこのアルバムのひとつのクライマックスでしょう。スケール感のある「UNFORGIVEN」から続く「WAVE」では、このアルバム唯一、オーケストレーションが楽曲を彩る荘厳な作品。このアルバムが一種の頂点に達します。

そしておもしろいのは、ここから後半、作風は一変、アコースティックギターを前に押し出したフォーキーな楽曲が続きます。「TURN AWAY」など、アコギのメロに美しいコーラスライン、さらにマイナーコードのメロディーは完全にサイモン&ガーファンクル(笑)。いや、この曲ももちろんメロディーは美しく、思わず聴き入ってしまう名曲に仕上がっています。

そして最後を締めくくる「WAKING LIGHT」は、どこか80年代のSSWを彷彿とさせるような、ちょっと都会的なナンバーで、ピアノやストリングスを用いたサウンドは、またスケール感を覚え、最後にふさわしい、まさにアルバムのクロージングらしいナンバーになっています。

今回のアルバム、ポップアルバムとしてメロディーと歌声を聴かせる比較的シンプルな作風であるにも関わらず、アルバム1枚通して様々なタイプの曲を組み合わせ、ひとつの物語を構成している作品になっていました。ある意味、これだけメロディーを主眼としたシンプルな作風で、ここまで音楽性を広げられるというのは、BECKの実力があってからでしょう。あらためて、BECKの力を感じさせられる傑作でした。

評価:★★★★★

BECK 過去の作品
The Information
Mordern Guilt

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