9年ぶりのオリジナル
Title:光のなかに立っていてね
Musician:銀杏BOYZ
Title:BEACH
Musician:銀杏BOYZ
昨年11月、突如告知された9年ぶり(!)となるニューアルバムのリリース。そしてそれと同時に発表された安孫子真哉とチン中村の脱退が大きな衝撃を与えた銀杏BOYZ。さらに12月には村井守の脱退も発表。峯田和伸は今後も銀杏BOYZとしての活動を続けると公言していますが、オリジナル・メンバーでの最後のアルバムとなってしまいました。
ただ、今回の2枚のアルバムを聴いてまず感じたのは、確かにこんなアルバムをリリースしてしまったら、現在のメンバーではこれが最後なのは仕方ないよなぁ、ということでした。まずはオリジナルアルバム「光のなかに立っていてね」。アルバム全体を強烈なノイズで埋め尽くされています。例えば冒頭を飾る「17才」も、強烈なノイズからスタートしていますし、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」も、基本的にシングルを踏襲した内容になっているものの、間奏ではギターノイズを響かせています。
この9年間にリリースしたシングルも基本的に収録されているため(アルバムの先行シングルを含め)10曲中6曲が何らかの形で既発表という内容。ただそんな既発表曲も大幅なリアレンジが行われているために、よくありがちな「シングルを詰め込んだベスト盤的なアルバム」ではなく、しっかりと今の銀杏BOYZの主張を詰め込んだオリジナルアルバムになっていました。
そしてシングル曲も含めていじくるまわし、ノイズをいっぱい詰め込んだアルバムを聴いていると、まさに彼らが自らの毒も含めてすべて出し切ったアルバムのように感じました。銀杏BOYZというバンドの一番奥底にあるようなものを出してしまったような、そんなアルバムに感じます。だからこそ、このアルバムが現メンバーにとってラストでも仕方ない、そう感じたアルバムでした。
さらにそれ以上に強烈だったのが同時発売された「BEACH」。こちらはオリジナルアルバムではなく、過去のライブ音源をリミックスしたアルバム。ただそのリミックスがすごい(笑)。全編、思いっきりノイズに加工されており、元曲の雰囲気はほとんどありません。
「光のなかに立っていてね」はノイズなアルバムといっても基本的にメロディーと歌がちゃんと聴くことができて、一般的なポピュラーソングに使われるような「ノイジー」という表現ができるアルバムでしたが、こちらはむしろノイズ・ミュージックにカテゴライズされそうな音になっています。
それだけにかなり聴く人を選びそうな問題作。正直、ファンでも受け入れられないという方もいそうですし、私も何度か聴いたのですが・・・はまりませんでした。リスナー層を選びそうなのにamazonのレビューでは絶賛の嵐なのはちょっと疑問。まあ「光のなかに立っていてね」のレビュー数の4分の1程度なので、受け入れれらない人は最初から聴いていないということか・・・。
どちらも銀杏BOYZが暴走したようなアルバム。ただ同じ暴走といっても、「光のなかに立っていてね」はその暴走が楽しいのに対して、「BEACH」は一部のファンを連れて向うの方まで言ってしまって、ごめん・・・ついていけないかも・・・といった感じのアルバム。とはいえ、今の彼らがやりたいことをやって、そしてやりつくした、という意味ではどちらのアルバムも共通するかもしれません。峯田ひとりになった銀杏BOYZ、とりあえず次はどう進むのか、それも楽しみです。
評価:
光のなかに立っていてね ★★★★★
BEACH ★★★
銀杏BOYZ 過去の作品
SEX CITY~セックスしたい(銀杏BOYZと壊れたバイブレーターズ)
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