ノイジーなサウンドに懐かしさが
Title:SUN STRUCTURES
Musician:TEMPLES
イギリスからまたおもしろいバンドが出てきました。4人組ロックバンドTEMPLESのデビューアルバム。かのノエル・ギャラガーやジョニー・マーが大絶賛したということでも大きな話題に。昨年、「Hostess Club Weekender」への出演で来日し、話題にもなっています。
彼らの楽曲がとてもユニークなのは、アルバムを聴きはじめてすぐにわかります。全編にリヴァーヴがかかったようなノイジーなギターサウンドに、とてもキュートなポップス。「サイケデリックバンド」とカテゴライズされる彼らの音は、確かに「サイケ」なのですが、ただサイケデリックロックがもっともっとポップだった、60年代、例えればゾンビーズあたりの影響をストレートに感じさせるポップソングを奏でています。
そんな彼らの音は、新しさ以上に懐かしさを感じさせる音。そしてそれ以上にポップなメロディーと、そのメロを甘くデコレートするかのようなバンドサウンドがとてもキュートなサウンドを作り上げています。デビューシングルとなった「SHELTER SONG」などもまさにそんな魅力がギュッと凝縮された曲になっていますが、アルバムの前半、特にキュートに感じたのが「MESMERISE」あたりでしょうか。このアルバム、特に前半はそんな聴いているだけで楽しくなってくるポップスが並んでいます。
そんなポップソングは、60年代のギターポップが好きなら一発ではまってしまいそうですし、例えば「A QUESTION ISN'T ANSWERED」あたりのドリーミーな楽曲は、シューゲイザー系あたりにも通じるものがありそう。ただどの曲もノイジーなサウンドの中に誰でも楽しめるような暖かさと懐かしさがあり、そういう意味では幅広いリスナー層にアピールできそうなバンドのようにも感じました。
そんな訳で、ノエル・ギャラガーやジョニー・マー大絶賛も納得の1枚。こういうちょっと懐かしさを感じるギターポップというのも、ある種イギリスのお家芸のような感じもします。ただ一方で、後半になってくると、ちょっと飽きが来たようにも思います。特に後半、ポップなメロディーよりもサウンドを前に押し出しているような曲も多く、そうなると、楽曲としてちょっと単調さも感じました。「SAND DANCE」など、後半、バンドサウンドをしっかりと聴かせてくれますが、正直、長くてダレるだけ、という印象が・・・。そういう意味ではバンドの足腰の弱さも弱点として感じます。ここらへんは今後の課題ということでしょうか。
そういう気になる点もあるものの、アルバム全体としてはやはり十分に楽しめる傑作に仕上がっていたと思います。まだまだ課題はあるものの、これからが楽しみなバンドなのは間違いありません。イギリスギターロック好きは要チェックです。
評価:★★★★★
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