ニュージーランドから出てきた少女
Title:PURE HEROINE
Musican:LORDE
このアルバムにも収録されている「Royals」が、グラミー賞の最優秀楽曲賞を獲得し話題となったためご存じの方も多いでしょう。現在、若干17歳のニュージーランドのシンガーソングライター。「Royals」が母国ニュージーランドで大ヒットを記録した後、アメリカにも飛び火。ニュージーランドのミュージシャンとして史上初となる全米1位を獲得し、大きな話題となりました。
そして、そんな注目の中リリースされたのが今回のニューアルバムでしたが、楽曲は基本的に「Royals」のイメージの延長のような楽曲が並んでいました。シンプルなリズムを強調したミニマル的なサウンドに、音数を絞ったアレンジ。そこに彼女の、ちょっと神秘的にも感じる、ゆっくりと歌い上げる歌声がのります。ちょっと乱暴な表現をしてしまえば、ポップになったBjorkといった感じでしょうか?
そんな訳で基本的に楽曲のバリエーションはあまり多くありません。しかし、むしろバリエーションの少なさゆえに、彼女の魅力をしっかりと伝えていたのではないでしょうか。そのシンプルなサウンドにマッチするかのような彼女の力強いボーカル、そして派手さはないものの雄大な雰囲気を感じ心に響くそのメロディーライン。「Royals」で感じた感動を、アルバム全体を通じて感じることが出来る、そんなアルバムに仕上がっていました。
また彼女に関してはその歌詞もひとつの魅力だと思います。彼女の描く歌詞は、いわば田舎から都会に出てきたあか抜けない女の子が主人公。例えば大ヒットした「Royals」にしても
"I'm not proud of my address
in a torn up town no postcode envy"
(訳 住所だって胸を張って言える地域じゃない
荒れた町で、うらやましがられる郵便番号じゃない)
("Royals"より Written by Ella Yelich O'Connor/Joel Little 対訳 今井スミ)
なんて歌詞が出てきます。「PURE HEROINE」というタイトルもそうですし、どこかあか抜けなさが残るルックスもそうですし、そんな田舎から都会に出てきた無垢な少女というイメージもまた、彼女が大ブレイクした大きな要素だったのかもしれません。
そういう意味では、どうしてもあか抜けてしまう2作目以降どのように展開していくのか楽しみでもあり一方で不安でもあったりするのですが・・・。もっとも、基本的にはメロディーとボーカルという、今後も変わらない普遍性のある武器を持っている彼女にとっては杞憂なのかもしれません。ともかく、このアルバムに関しては彼女の魅力をアルバム全体で感じられる傑作でした。
評価:★★★★★
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