「踊ってはいけない国」で
Title:踊ってばかりの国
Musician:踊ってばかりの国
2012年、ベースの柴田雄貴脱退に伴い活動休止状態だった踊ってばかりの国。活動休止直後は、「もし今以上の化学変化が起きない場合は解散する」という発言もしており(参考サイト)、その行く末が心配されましたが、昨年4月に無事活動を再開。そして、待望となるニューアルバムがリリースされました。
そんな活動再開後初となるアルバムがセルフタイトル、というあたりに、彼らの新メンバーでの活動に対する自信を感じられます。そして、今回のアルバムで特に印象に残ったのが、そのメッセージ性あふれる歌詞。「東京」では「政治家のじじいが決めたことでまた子供が死ぬよ」なんて強烈な歌詞があらわれて、現代社会をおもいっきり皮肉っていますし、「セシウムブルース」はタイトルから想像できるように反原発のメッセージソング。さらにタイトルズバリ「踊ってはいけない国」では、踊ること自体を禁止した風営法を批判しています。
ただ、これらの社会派な歌詞も、これらの問題を真正面から切り込むというよりも、どこかユーモラスあるウィットな表現をしています。そのため、決して堅苦しい雰囲気にならずに、エンタテイメントとしてしっかり楽しめる内容にもなっているのが実に魅力的でした。
また、今回の彼らも、実に様々な音楽の要素を自身のものとして取り込んでいます。ギターロックやサイケ、ブルースにカントリー、モータウン、レゲエなどの要素を取り入れつつ、しっかりと彼らのものとしています。
そんな中で、今回のアルバムで特に感じたのは、彼らの楽曲から感じる歌謡曲的な要素でした。「Island Song」あたりが一番顕著だったでしょうか、歌謡曲といっても70年代80年代のムード歌謡曲やアイドル歌謡曲というよりも、もっと前、60年代あたりの雰囲気でしょうか、洋楽的な要素と和的な要素が融合した、どこか懐かしいメロディアスな、そしてどこかエロティックな音楽が実に魅力的です。
また、以前からの彼らの大きな魅力であった「浮遊感」は本作でももちろん健在。歌謡曲的なポピュラリティーあるメロディーを書きつつも、ボーカル下津光史の独特な声や歌い方、そしてどこかふわふわしたものを感じるバンドのサウンドによって、彼らしか作り出せないような、独特な音の世界を作り上げています。
前作「Flower」も傑作でしたが、一方ではまだ乗り越えるべき壁を感じたのも事実。そして、今回の作品では、新メンバーによって見事その壁を乗り越えたように感じます。まさにセルフタイトルになるのも納得の傑作でした。まだまだこれからの活躍に期待できそう。楽しみです!!
評価:★★★★★
踊ってばかりの国 過去の作品
グッバイ、ガールフレンド
世界が見たい
SEBULBA
FLOWER
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