青春の90年代
Title:青春の90'sベストヒッツ35曲!~Epic35~
EPICレコード35周年を記念してリリースされた配信限定のアルバム第2弾。「黄金の80年代」と銘打った前作に対して、90年代にリリースされた楽曲を収録された本作は「青春の90年代」と銘打っています。
そして個人的にも90年代のJ-POPはまさに青春(笑)。80年代の楽曲は、後追いで聴いた曲がほとんどなにに対して、私が中学生から大学生までを過ごした90年代は、リアルタイムで聴いた楽曲ばかり。そういう意味でも80年代以上に感涙モノのコンピレーションとなりました。
今回のコンピに収録された90年代の楽曲についてまず思うのは、この10年間のJ-POPシーンのすさまじい変化でした。このアルバムの序盤、例えばTM NETWORKの「Love Train」あたりが顕著なのですが、80年代テイストを色濃く感じます。特に打ち込みのサウンドのチープさが何ともいえず80年代。今となっては古さも感じてしまいます。
それがこの10年間に次々と新しいタイプの楽曲がシーンに登場してきます。EAST ENDのようなHIP HOPにドリカムのようなR&B、Charaのような新しいタイプの女性シンガーも登場してきますし、一回りしてTRICERATOPSのようなルーツオリエンテッドな若手バンドが登場してくるのも90年代。Crystal Kayの「Eternal Memories」に至っては、ドラムやベースを強調する、今風のアレンジ手法が入っており、今聴いてもあまり古さは感じません。
それだけこの10年の日本のヒットシーンでは新しいタイプの曲が次々と登場し活況を呈していたことがよくわかります。ただ、それは一方で80年代に新しいタイプの若者の音楽を次々と提示してきたEPICというレーベルの地位が、徐々に「普通のJ-POPレーベル」に落ちて行ってしまった10年にも思いました。
確かに90年代にもEPICからドリカムやジュディマリ、Charaといった次のシーンに大きな影響を残したミュージシャンたちも続々とデビューしています(ドリカムのデビューは80年代ですが)。ただし、今から90年代の音楽シーンを振り返ると、80年代ほど、シーンの中に占めるEPICの地位は大きくありません。
そしてこのコンピで象徴的だったのが、最後が大槻真希の「Memories」という、正直90年代までのEPICのセルフパロディー的な楽曲で締めくくられている点。コンピのタイトル通り、80年代はまさにEPICの黄金期。それに続く90年代は青春期だとすると、まさにその青春期の終わりを感じさせるようなコンピの終わり方でした。
あらためて聴きなおすと、やはり名曲も多いですし、懐かしさも感じさせるコンピ。もちろんそれは私自身がリアルタイムで聴いていたという経験もそうなのですが、やはりJ-POPにもっとも勢いがあった時代を反映したコンピとして、今の世代にもお勧めできるアルバムだと思います。お手軽にダウンロードできる作品なので、是非。
評価:★★★★★
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