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2014年3月15日 (土)

突然のリリースが話題に

Title:Beyonce
Musician:Beyonce

昨年の音楽業界の重大ニュースのうちのひとつが、間違いなくこのアルバムリリースのニュースでしょう。昨年12月13日、事前の広告などまったくなしに、突如配信限定でこのアルバムがリリースされました。彼女ほどの大物ミュージシャンが、新譜リリースをまったくリークされることなく、アルバムをリリースできたということが驚きであり、また、事前の広告をまったく行わないという販売戦略もまた話題となりました。

結果、発売から3日間で61万7千ダウンロードを売り上げ、前作「B'Dat」の初動売上(54万1千枚)を上回っただけに、「突然のリリース」という販売戦略はまさに大成功だったわけです。その後、輸入盤ではCDの販売もあったのですが、なかなか国内盤がリリースされず。今年2月に入りようやく国内盤がリリースされたため、遅ればせながら本作を聴いてみました。

楽曲は、ここ最近のBeyonceらしい、エレクトロサウンドを取り入れた、セクシーなボーカルが魅力的なポップス路線。楽曲には旦那であるJAY-Zや、新進気鋭のR&Bシンガー、FRANK OCEAN、さらには愛娘のBLUE IVYも参加しています。

その一方では、トライバルなリズムを取り入れた「PARTITION」では力強いリズムを聴かせますし、やはり圧巻だったのは「HEAVEN」のようなバラードナンバー。彼女のパワフルなボーカルを楽しむことができます。ラストを飾る、その愛娘が参加した「BLUE」では、メロディアスのメロディーな中、サウンドが次々と変化し、なおかつスケール感あるエレクトロサウンドを楽しむことができるナンバーになっていました。

そんな訳で、Beyonceらしさが十分に発揮されたアルバムになっているのは間違いありません。が、今回のアルバム、作品全体としてはちょっと地味だったかなぁ、という印象を受けました。アルバムの中ではこれといったキラーチューンもなければ、目新しさを感じさせるタイプの曲もありません。そういう意味ではアルバムだけを聴いた印象としてはちょっと物足りなさを感じてしまいました。

しかし、そんな本作に対する印象が変わったのは、やはりDVDを見てから。今回のアルバム、「ビジュアルアルバム」をコンセプトにしており、DVDを含めての作品ということ。そのため全14曲すべてに対してPVがつくられたのですが、これがすごい。1曲1曲ちゃんと曲のコンセプトにあわせたように作りこまれ、例えばライブ映像でお茶を濁すとか、同じセットで似たような映像のPVをとる、みたいな手抜きはありません。「DRUNK IN LOVE」では旦那JAY-Zと、「BLUE」では愛娘BLUE IVYとも共演。夫婦、親子の仲良き姿が見ることができます。

PVを含めて、それなりの数の人が集まり、エキストラなんかも参加しているのですが、よく事前にその情報が漏れなかったよなぁ、という点も関心したりして。PVは、Beyonceのセクシーなダンスも見られるので眼福です(笑)。そしてなによりうれしかったのは、国内盤ではちゃんと日本語の歌詞字幕が出る点。この1点だけで、国内盤を待っていてよかったぁ!まだこのアルバムを未聴なら、国内盤がおすすめです。

そんな訳で、CDオンリーだとちょっと物足りなかったのですが、力作なDVDに関心してしまったアルバムでした。しかし、本当にこれを誰にも知られずにリリースできた、というのはすごいなぁ。今後はこういう「突然リリース」が増えるかもしれませんね。

評価:★★★★★

BEYONCE 過去の作品
I Am...Sasha Fierce

I AM...WORLD TOUR

で、ちょっと前の作品になってしまうのですが、彼女が以前所属していたガールズ・グループ、Destiny's Childが突然の新譜リリースということで話題となりました。

Title:Love Songs
Musician:Destiny's Child

いまとなってデスチャ時代の曲を聴くと、今風の音を積極的に取り入れ、様々なスタイルに挑戦するBeyonceと比べて(活動当時としてはかなり今風の音を取り入れていたという印象はあるのですが)、彼女たちの楽曲はあくまでもメロディーや歌主体。ただそれだけに美しいメロディーラインは今聴いても十分魅力的ですし、なによりも3人のコーラスラインの美しさは、Beyonceのソロでは得難い魅力があります。

久しぶりの新曲で話題となった「Nuclear」なんかも、ちゃんとデスチャの魅力が今も健在であることを伝えてくれますし、Beyonceのソロがちゃんと軌道にのって、Beyonceのミュージシャンとしての個性が確立した今だからこそ、Beyonceソロとは異なった魅力、という意味でデスチャ復活もありでは?もちろん、ソロがうまくいっているからこそ、1曲限定とはいえ、デスチャを復活させたのでしょうが。

個人的には、この1曲のみならず、継続的にデスチャとしての活動も続けてほしいとこのアルバムを聴いて思ってしまったのですが、でもスケジュール的な側面も含めて難しいんだろうなぁ。あらためてDestiny's Childというグループの魅力を実感できた作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Settle/DIsclosure

昨年のベストアルバムでよく名前を見かけた1枚。ロンドン出身の兄弟ユニットによる作品。テクノにハウスにバラエティーあるダンスミュージックをポップにまとめあげています。ダンスミュージックとしてもポップのアルバムとしてもとても聴きやすい1枚でした。

評価:★★★★★

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