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2014年3月

2014年3月31日 (月)

青春の90年代

Title:青春の90'sベストヒッツ35曲!~Epic35~

Epic35_90

EPICレコード35周年を記念してリリースされた配信限定のアルバム第2弾。「黄金の80年代」と銘打った前作に対して、90年代にリリースされた楽曲を収録された本作は「青春の90年代」と銘打っています。

そして個人的にも90年代のJ-POPはまさに青春(笑)。80年代の楽曲は、後追いで聴いた曲がほとんどなにに対して、私が中学生から大学生までを過ごした90年代は、リアルタイムで聴いた楽曲ばかり。そういう意味でも80年代以上に感涙モノのコンピレーションとなりました。

今回のコンピに収録された90年代の楽曲についてまず思うのは、この10年間のJ-POPシーンのすさまじい変化でした。このアルバムの序盤、例えばTM NETWORKの「Love Train」あたりが顕著なのですが、80年代テイストを色濃く感じます。特に打ち込みのサウンドのチープさが何ともいえず80年代。今となっては古さも感じてしまいます。

それがこの10年間に次々と新しいタイプの楽曲がシーンに登場してきます。EAST ENDのようなHIP HOPにドリカムのようなR&B、Charaのような新しいタイプの女性シンガーも登場してきますし、一回りしてTRICERATOPSのようなルーツオリエンテッドな若手バンドが登場してくるのも90年代。Crystal Kayの「Eternal Memories」に至っては、ドラムやベースを強調する、今風のアレンジ手法が入っており、今聴いてもあまり古さは感じません。

それだけこの10年の日本のヒットシーンでは新しいタイプの曲が次々と登場し活況を呈していたことがよくわかります。ただ、それは一方で80年代に新しいタイプの若者の音楽を次々と提示してきたEPICというレーベルの地位が、徐々に「普通のJ-POPレーベル」に落ちて行ってしまった10年にも思いました。

確かに90年代にもEPICからドリカムやジュディマリ、Charaといった次のシーンに大きな影響を残したミュージシャンたちも続々とデビューしています(ドリカムのデビューは80年代ですが)。ただし、今から90年代の音楽シーンを振り返ると、80年代ほど、シーンの中に占めるEPICの地位は大きくありません。

そしてこのコンピで象徴的だったのが、最後が大槻真希の「Memories」という、正直90年代までのEPICのセルフパロディー的な楽曲で締めくくられている点。コンピのタイトル通り、80年代はまさにEPICの黄金期。それに続く90年代は青春期だとすると、まさにその青春期の終わりを感じさせるようなコンピの終わり方でした。

あらためて聴きなおすと、やはり名曲も多いですし、懐かしさも感じさせるコンピ。もちろんそれは私自身がリアルタイムで聴いていたという経験もそうなのですが、やはりJ-POPにもっとも勢いがあった時代を反映したコンピとして、今の世代にもお勧めできるアルバムだと思います。お手軽にダウンロードできる作品なので、是非。

評価:★★★★★

黄金の80'sベストヒッツ35曲!~Epic35~

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2014年3月30日 (日)

ほんわかな中に毒も一滴

Title:SAKEROCKの季節 BEST2000‐2013
Musician:SAKEROCK

ここ最近は、SAKEROCKよりも個々での活動の方が有名になってしまった感のある彼ら。特に星野源に至ってはミュージシャンに俳優に、すっかりメジャーな存在となっていまい、SAKEROCKの星野源というよりも、あの星野源が所属しているバンド、ということで最近は注目を集めている感すらあります。

SAKEROCKとしての活動は2010年のアルバム「MUDA」以来ちょっとご無沙汰になっていますが、そんなSAKEROCKファンの心の隙間を埋めるように(?)リリースされたのが初となるベストアルバム。ただし、彼らにとっては初のベスト10ヒットとなり、むしろ星野源のファンが逆流してきたような(?)結果になっています。

以前からSAKEROCKのアルバムはもちろん聴いていたのですが、今回ベスト盤であらためて彼らの曲を聴くと、やはりいいなぁ、とほんわかした気分になります。基本的に楽曲のタイプは、星野源の作品にも通じるようなほんわかとした脱力ポップ。ほとんどがインストのナンバーなのですが、暖かいポップなメロが流れており、おそらく星野源から逆流してきたファンにも文句なしに楽しめそう。

ただやはりSAKEROCKの楽曲を聴いていて耳を惹くのがハマケンのトロンボーン。どこかユーモラスに歌っているようなホーンの音色がとても独特。時には笑っているような音を出しつつ、聴かせるところではちゃんとぬくもりのある音色になっている彼が生み出すトロンボーンの音色が、SAKEROCKの楽曲の、大きなひとつのキーポイントになっているように感じました。

また、彼らの曲も「Matakitene」みたいなノベルティー風ながらも、ちょっと毒の要素も含んだ曲がとてもユニーク。ユーモラスな要素を感じつつも、その中に一滴だけ、毒の要素を忍ばせているような楽曲が多く、その毒の要素が、単なるイージーリスニングとは異なるスパイスになっています。カバー曲も収録されていますが、「スーダラ節」のカバーは絶妙。原曲のような高度経済成長期の若者ではなく、今の時代の若者を感じるような作風に仕上げています。

SAKEROCKの魅力があらためて実感できたベスト盤でした。星野源によると、今年はアルバムをリリースしたい、と言っているので、その言葉を信じて楽しみにしていたいところなのですが・・・はたして?

評価:★★★★★

SAKEROCK 過去の作品
ホニャララ
MUDA


ほかに聴いたアルバム

THE SINGLE of mihimaru GT/mihimaru GT

2006年2007年と2年連続紅白出場経験も持ち、昨年、無期限の活動休止を発表した女性ボーカリスト+男性ラッパーによるポップデゥオ。いかにもavexっぽい売れ線ポップデゥオ(ただしレコード会社はavexではないみたいなのですが)という印象を持っていたのですが、2011年リリースの「エボ★レボリューション」が結構良かったので、「おや、聴かず嫌いで、実はおもしろい曲を書いているのか?」とシングルベストを聴いてみました。

で、結果としては、やはりいかにもavexっぽい売れ線のポップデゥオ。要するに当初のイメージはそのまんま(笑)。もちろん、売れるポテンシャルを持ったポップソングなだけに、インパクトのあるポップなメロを書いており、決して悪い訳ではありませんが。

ただ、その「エボ★レボリューション」や、「H.P.S.J.」みたいなノベルティー色が強いユーモラスな雰囲気の曲については結構おもしろい曲もあって、そういう意味ではこの方向性をもっとのばせばおもしろいユニットになっていたポテンシャルはあったのかも、という印象も。また、女性ボーカル+ラッパーという、着メロ系ヒットに良く見られた組み合わせながらも、そういう「着メロヒット」狙いのラブソングが皆無という点も、彼らなりのプライドなのかも、と感心しました。

評価:★★★

GOOD BYE TRAIN~ALL TIME BEST 2000-2013/鬼束ちひろ

どうも迷走気味な状態が続いている鬼束ちひろのオールタイムベスト。2010年にベスト盤はリリースしたばかりなのですが・・・。前回のベスト盤は1枚にまとめられていたのですが、本作は2枚組。これだけボリュームが多いと、前回のベストでは感じられなかった「月光」や「私とワルツを」などの「似たタイプの曲が多いなぁ」という印象が、今回は強く感じてしまいました。このタイプの曲に行き詰まり、迷走しているというのも、さすがに彼女自身、もうちょっと違うタイプの曲が歌いたくなったんだろうな、ということがこのベストだと感じてしまいます。

もっとも、1曲1曲に関しては十分名曲ばかりですし、比較的最近の曲でも「帰り路をなくして」や「陽炎」のような、昔の彼女をちゃんと継承しているような曲もリリースしているだけに、全盛期の彼女しか知らない人や、最近の迷走状況のみネットや各種報道で知っている方にはあらためて聴いてほしいベストではあると思うのですが。ただ、最後を飾る「あなたとSciencE」はやはり珍曲だよなぁ・・・。

評価:★★★★

鬼束ちひろ 過去の作品
LAS VEGAS
DOROTHY
ONE OF PILLARS~BEST OF CHIHIRO ONITSUKA 2000-2010
剣と楓
FAMOUS MICROPHONE

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2014年3月29日 (土)

シンプルな作風だけども

Title:Morning Phase
Musician:BECK

2008年の「Mordern Guilt」以来、6年ぶりとなるBECKのニューアルバム。今回のアルバムの大きな特徴は、2002年のアルバム「Sea Change」に参加しているミュージシャンが集結しているところ。そのため、そのアルバム「Sea Change」と対になるアルバムだそうです。

そんな今回のアルバムの大きな特徴は、やはりその美しいメロディーラインでしょう。今回のアルバムは、サウンドはベーシックなアコースティック路線がメイン。比較的シンプルなサウンドに、これでもかというほど聴き入ってしまうような美しいメロディーが載っています。

特に前半に関していえば、比較的重厚なサウンドがあり、シンプルながらもスケール感のある作風に仕上がっています。「MORNING」などは、重厚なコーラスラインが実に美しいナンバーで、個人的にはこのアルバムの中で特に気に入ったナンバー。もうメロディーだけで胸がキュンと来るような楽曲に仕上がっています。

さらに中盤「UNFORGIVEN」「WAVE」あたりはこのアルバムのひとつのクライマックスでしょう。スケール感のある「UNFORGIVEN」から続く「WAVE」では、このアルバム唯一、オーケストレーションが楽曲を彩る荘厳な作品。このアルバムが一種の頂点に達します。

そしておもしろいのは、ここから後半、作風は一変、アコースティックギターを前に押し出したフォーキーな楽曲が続きます。「TURN AWAY」など、アコギのメロに美しいコーラスライン、さらにマイナーコードのメロディーは完全にサイモン&ガーファンクル(笑)。いや、この曲ももちろんメロディーは美しく、思わず聴き入ってしまう名曲に仕上がっています。

そして最後を締めくくる「WAKING LIGHT」は、どこか80年代のSSWを彷彿とさせるような、ちょっと都会的なナンバーで、ピアノやストリングスを用いたサウンドは、またスケール感を覚え、最後にふさわしい、まさにアルバムのクロージングらしいナンバーになっています。

今回のアルバム、ポップアルバムとしてメロディーと歌声を聴かせる比較的シンプルな作風であるにも関わらず、アルバム1枚通して様々なタイプの曲を組み合わせ、ひとつの物語を構成している作品になっていました。ある意味、これだけメロディーを主眼としたシンプルな作風で、ここまで音楽性を広げられるというのは、BECKの実力があってからでしょう。あらためて、BECKの力を感じさせられる傑作でした。

評価:★★★★★

BECK 過去の作品
The Information
Mordern Guilt

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2014年3月28日 (金)

10年前と変わらない魅力

Title:THE NOISE,THE DANCE
Musician:Hermann H.&The Pacemakers

2000年代前半に活躍し、一部で熱烈な支持を得ていたものの、2005年に活動を休止したHermann H.&The Pacemakers。それが、2012年に活動を再開。昨年はベスト盤がリリースされましたが、このたびついに、10年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

久しぶりのニューアルバムということでそのインターバルの影響が気にかかりましたが、正直、10年の空白が嘘のように、ヘルマン節が今回のアルバムではきちんと展開されていました。活動再開後のアルバムとしては、ビックリするような傑作アルバムだったと思います。

Hermann H.&The Pacemakersのサウンドは、ベスト盤の時にも書いたのですが、懐かしさや哀愁の感じられるメロディーに微妙にひねくれたメロディーラインが大きな特徴。さらに彼らの大きな魅力といえば、オルタナ系ギターロックを主軸にしながら、様々な楽曲の要素を取り入れているその雑食性でしょう。

今回のアルバムでもそんな彼らの雑食性がきちんと発揮されています。「San Joce」あたりが、いわば王道ともいえるオルタナギターロック路線だとすると、「Dance,don't run!」はスカ風のリズムを、「THE COMPOUNDER」では80年代風のディスコミュージックの要素を取り入れています。

その特徴が一番顕著だったのが「The Big Upset」で、最初はちょっと佐野元春あたりも彷彿とさせる爽やかなギターロックからスタートしたかと思えば、中盤にメタル風な展開になり、かと思えばジャジーな雰囲気に変わる、と1曲の中に複雑に展開していました。

この曲に限らず、雑食的な彼らの傾向を反映させるかのような、様々な曲調が展開していく曲も大きな魅力。もっとも、彼らの場合は、無理に複雑に展開させてインパクトをつける、というよりも、様々な音楽を自由に演奏している、といった感じ。それだけに、ちゃんとポップにまとまっているのが見事。かつ、聴き終わった後、妙に耳に残る楽曲になっています。

また、今回のアルバムで大きな魅力に感じたのはアルバム全体の構成でした。この作品、アルバム全体でひとつのライブが展開するような流れになっています。ダンサナブルな「Welcome Home Heroes」からはじまり、「San Joce」もライブで盛り上がりそう。前半は、最高潮になっていくライブ会場の雰囲気が伝わってきそう。中盤には様々なタイプの曲で聴かせ、最後を締めくくる「Wake up&go」はカントリー調で盛り上がり、会場全体が一体になれるような曲。まさにヘルマンのライブを体験しているかのようなアルバムになっていました。

彼らみたいなタイプの中堅どころのバンドは、どうしても一般的に注目度が低くなってしまうのですが、もっともっと聴いてほしい傑作だと思います。これがはじめてのヘルマンでも十分楽しめる作品だと思います。

評価:★★★★★

Hermann.H&The Pacemakers 過去の作品
The Best Of Hermann H.&The Pacemakers

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2014年3月27日 (木)

日本ポップス史の「年表」

1966年から1989年までに、日本でリリースされたアルバムを、ジャンルとわず「名鑑」という形でまとめた「日本ロック&ポップスアルバム名鑑」を読みました。

音楽評論家の湯浅学氏監修による2冊組。ロック、ポップス、歌謡曲、演歌、アイドルポップスの枠組みが一切なく、日本の音楽史において意味のある作品を並べた「名鑑」で、取り上げたアルバムは必ずしも名盤という訳でもなく、また、大枠小枠という違いもあるものの、その違いは語るべき事項の多少の差であり、決して大枠だから聴くべきアルバム、という訳でもないそうです。

正直、日本の音楽史や、その中における各アルバムの位置づけ及びそのミュージシャンについての詳しい説明が必ずあるわけではないので、日本のポップスミュージックの歴史をまったく知らない、という方にとってはちょっと厳しい内容かもしれません。ただそこはさすがに執筆された方の腕前でしょうか、読み進めていけば、ポップス史の概略や、その中でのアルバムの位置づけなどがぼんやりと見えてくる構造になっていました。

読み進めていくと、なんとなく日本史における年表を眺めているような感覚に陥りました。簡単な説明の加わったいろいろなアルバムが次々と紹介され、自分のまったく知らないアルバムやミュージシャンたちがたくさんいたんだなぁ、と事実を知ること自体が楽しく感じられます。説明は最小限なので、詳しく知りたいミュージシャンやアルバムに出くわした時にはその都度ネットで情報を探索したりしながら、楽しく読み進むことが出来ました。

この名鑑を読み進めて、特に興味をひかれたのがノヴェルティー的なアルバム。正直、ここらへんのアルバムはいわゆる名盤集で紹介されることはありません。また、言葉と文化の壁に阻まれて、決して海外のこの手のアルバムが日本で紹介されることもありません。ただ一方でそれだからこそ、とても日本的で、その時代時代の空気を反映したもの。そういうノヴェルティー的なアルバムが、過去から現在まで日本でも数多くリリースされており、このアルバムでも何作か紹介されています。この名鑑を読み進めてとても興味がひかれたのが、そんな時代文化をストレートに反映したような、ノヴェルティーな作品たちでした。

また、当時はそれなりの人気を獲得したものの、今となっては、ほとんど知られなくなってしまったミュージシャンたち、あるいは当時もアングラでの活躍で、一部の熱烈な支持を得たものの、今となっては全貌がわからなくなってしまったミュージシャンたちなども紹介されており、こちらも興味をひかれます。売上やアルバムの良否を問わず、またジャンルも問わず、数多くのアルバムを紹介している「名鑑」だからこそ、こういう普通の名盤集では知ることのできないミュージシャンやアルバムも知ることが出来、それがこの本の大きな魅力のように感じました。

ただ一方で、それでも、これから日本のポップス史を探索する道しるべとして、「聴くべき名盤」みたいなのをどこかで紹介してほしかったなぁ、とも思います。例えば、そういうアルバムには、アルバム紹介の欄に、何らかのマークを付すとか・・・・。もっとも、そんなことをしては、著者の本来の意図に背いたことになるんでしょうけどね。

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2014年3月26日 (水)

春らしいさわやかなヒット曲が並ぶ??

今週はアルバムチャートは新譜少なめなので、シングルアルバム同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

シングルチャートは10曲中9曲が初登場。

まず1位は先週に続きAKB48関係。SKE48「未来とは」が獲得。初動売上39万7千枚で、前作「賛成カワイイ!」の44万1千枚(1位)からダウン。ここ数作、51万枚→44万1千枚→39万7千枚と急落傾向が続いています。ここらへんで何らかの施策をうってきそうですが。

2位はジャニーズ系。タッキー&翼「僕のそばには星がある」がランクイン。「まだ活動していたの?」という印象が強いのですが、シングルとしては実に2年4か月ぶりというリリースとなりました。サビはちょっと懐かしい90年代ビーイング系っぽい雰囲気が。初動売上4万3千枚は、前作「Heartful Voice」の4万2千枚(6位)から若干アップと根強い人気を印象づけました。

で、3位はハロプロ系女性アイドルグループJuice=Juice「裸の裸の裸のKISS」。ちょっと大人っぽいラテン系のナンバー。初動3万8千枚は前作「イジワルしないで 抱きしめてよ」の3万9千枚(4位)から微減。

続いて4位以下初登場ですが、まず4位初登場がヴィジュアル系バンドBugLug「骨」。前作「HICCHAKA×MECCHAKA」に続くベスト10入り。ちょっとメタリックな要素が入りながらも、基本ナルシスティックな雰囲気の作風は、いわゆるヴィジュアル系の王道パターン。初動1万4千枚は、その前作の1万2千枚(4位)から若干のアップ。

5位には七瀬遙(島崎信長)&松岡凛(宮野真守)名義「TVアニメ『Free!』キャラクターソング デュエットシリーズ 004 七瀬遙&松岡凛(REAL WAVE)」がランクイン。タイトル通り、テレビアニメ「Free!」のキャラソン。B'zをエレクトロアレンジにして100倍に希釈したような曲。初動売上1万2千枚は、同じく「デゥエットシリーズ」の第3弾松岡凛(宮野真守),竜ヶ崎怜(平川大輔) 「TVアニメ『Free!』キャラクターソング デュエットシリーズ 003 松岡凛,竜ヶ崎怜(VISION)」の1万枚(14位)よりアップ。

7位は伊勢大貴「烈車戦隊トッキュウジャー」。タイトル通りテレビ朝日系の特撮戦隊モノ「烈車戦隊トッキュウジャー」オープニング・テーマ。パンクロックっぽいアレンジですが、楽曲は基本的にいつもの戦隊モノらしいメロでちょっと安心(?)。初動売上9千枚。同じ戦隊モノの前作の主題歌「VAMOLA!キョウリュウジャー」は8千枚(12位)だったので若干のアップ。

8位初登場はGReeeeN「愛すべき明日、一瞬と一生を」。前向きの力強いナンバーですが、歌詞はいつもの彼ららしい応援歌ソング。初動売上9千枚は前作「僕らの物語」の9千枚(16位)から横バイながらも、低水準のチャートに助けられ、昨年4月の「イカロス」以来4作ぶりのベスト10ヒット。

9位には、ミディアムテンポで暖かい雰囲気の聴かせる楽曲が特徴的なロックバンドback number「繋いだ手から」が入ってきました。本作も、そんな彼ららしい楽曲。これで2作目のベスト10ヒットですが、初動8千枚は前作「fish」の1万7千枚(4位)からダウン。ただし、26日にこの曲も収録されたアルバム「ラブストーリー」がリリースされており、その影響が大きいものと思われます。

そして最後は、また初のベスト10ヒットとなった女性アイドルグループ。ももクロや私立恵比寿中学を生み出したスターダストプロモーションの新人アイドルグループたこやきレインボー「なにわのはにわ」。前作「オーバー・ザ・たこやきレインボー」の2千枚(31位)からアップし初動7千枚でベスト10入り。あいかわらず奇抜な構成の楽曲は、ももクロの焼き直しといった感じ。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

新譜は少な目。

まず1位はE-girls「COLORFUL POP」が獲得。EXILEの事務所所属の女性アイドルグループ。これが2作目のアルバムで、2作連続の1位獲得。初動8万9千枚は、前作「Lesson 1」の5万7千枚(1位)からアップ。

2位は先週1位BUMP OF CHICKEN「RAY」が、3位には先週2位EXILE ATSUSHI「Music」がそれぞれワンランクずつダウンしています。

4位以下初登場はまず4位。遊助「あの・・旅の途中なんですケド。」。初動売上2万3千枚は前作「あの・・出会っちゃってるんですケド。」の2万9千枚からダウン。

6位には、ニコニコ動画「歌ってみた」コーナーで人気を博した歌い手、ぐるたみん「EXIT TUNES PRESENTS た ~そんなふいんきで歌ってみた~」。3枚目のアルバムで3作連続でベスト10入り。初動売上1万9千枚は前作「EXIT TUNES PRESENTS る ~そんなふいんきで歌ってみた~」の2万9千枚(5位)よりダウン。

7位初登場はChris Hart「Song for you」。昨年、J-POPをカバーしたアルバム「Heart Song」が大ヒットを記録し、年末の紅白へも初出場を果たしたアフリカ系アメリカ人の男性シンガー。このアルバムはカバーではなく純然たるオリジナルアルバムなのですが、見事ベスト10ヒットを記録。単なる「カバー歌手」ではない人気を獲得したことになります。初動売上1万7千枚は、その「Heart Song」の初動1万3千枚(3位)よりアップしています。

初登場最後。9位に韓国の男性アイドルグループB1A4「2」がランクインしてきました。タイトル通り、日本でのリリースでは2作目となるアルバム。初動売上1万3千枚は、日本での前作「1」の2万枚(5位)からダウンしてしまいました。

今週のチャート評は以上。ヒットチャートはまた来週の水曜日に!

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2014年3月25日 (火)

アメリカで録音された「砂漠のブルース」

Title:EMMAAR
Musician:TINARIWEN

「砂漠のブルース」と呼ばれるトゥアレグ族の民俗音楽を奏でるマリのミュージシャン、TINARIWENのニューアルバム。アフリカ音楽の中では、おそらくもっとも知名度が高く、世界中で人気のある彼ら。しかし今回のアルバムをリリースするにあたっては、政治的な理由からマリを離れ、アメリカはカリフォルニア、モハーヴェ砂漠につくられたセットにおいて録音されたそうです。

前作「Tassili」では多くのアメリカのミュージシャンが参加していましたが、今回もアメリカのミュージシャンが録音に参加。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのギタリスト、ジョシュ・クリングホッファーもゲストとして参加しています。

ただ、前作「Tassili」も、そんな中で悪い意味で垢抜けることなく、TINARIWENらしいサウンドを作り上げていましたが、今回のアルバム、アメリカという前作までとは異なる環境下でも制作にも関わらず、彼らのサウンドに、その環境ゆえの大きな影響は見受けられませんでした。

聴く者がトリップ感を味わうミニマルなサウンドにうねるようなメロディー。アフリカらしさを感じるコール・アンド・レスポンスという彼らの楽曲の雰囲気は今作も同一。かつ、本作では、特にアルバムの前半「TOUMAST TINCHA」「CHAGHAYBOU」では、バンドサウンドが、そのリズムを前面に押し出したグルーヴィーな演奏を聴かせてくれており、非常にダイナミックな雰囲気を感じました。

「TAHALAMOYT」では、メロディアスなギターサウンドを聴かせてくれていたりして、あえていえばここらへんはひょっとしてジョシュ・クリングホッファー参加の影響でしょうか?確かに、バンドサウンドの録音状況は良く、音はよりクリアに聴こえるのも事実。そういう面では、アメリカでの録音の影響もある、かもしれません。

また、マリから追われアメリカにやってきた彼らの新作では、いつも以上に強烈なメッセージも特徴的でした。例えば「TOUMAST TINCHA」では

「権力で支配された平和はいつしか失敗する
そして憎しみを誘う」

というあまりにストレートなメッセージが歌われていますし、邦題が「サハラの若者達」となっている「TIMADRIT IN SAHARA」では

「先祖が伝えてきてくれた武器より
違うものを今使えるようになったのだ」

というメッセージを、タイトル通りサハラの若者たちに伝えています。音楽的にはいつもの彼らでも、より強いメッセージ性を感じさせる作品になっていました。

もちろん「砂漠のブルース」というだけあり、哀愁ある雰囲気も漂う作品は、ワールドミュージックを普段聴かない方でも比較的聴きやすいかも?本作も「砂漠のブルース」の魅力を存分に感じられる傑作でした。

評価:★★★★★

TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
TASSILI

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2014年3月24日 (月)

3年8か月ぶり

Title:us
Musician:小谷美紗子

約3年8か月ぶりとなる小谷美紗子のニューアルバム。3年8か月・・・先日、東日本大震災から3年という月日を迎えました。要するに、今回のアルバム、彼女にとっては大震災の後、初となる作品、という訳です。

そのため今回のアルバムは、東日本大震災に彼女なりに向き合った作品がおさめられています。例えば「東へ」という作品。おそらく東日本大震災直後のことだと思います。救援に向かう自衛隊の部隊が東に向かう中、ライブのために西へ向かわざるを得ない彼女の葛藤が歌にされています。

また、「enter」という作品に関しては、かなりストレートな反原発ソング。

「NO NUKES NO NUKES
叫び続けた 学者さん
NO NUKES NO NUKES
変人扱いされて 死んで行った」

(「enter」より 作詞 Odani Misako)

というかなり強烈な一文からこの曲が、というよりもこの歌がはじまります。

さらに今回の作品は東日本大震災だけではありません。「正体」では

「ただそこに 生まれたんだ
海の向こうや 山の向こう
それだけで 浴びせ合うのか
汚いスピーチ 拡声器に任せ」

(「正体」より 作詞 Odani Misako)

と、まさにヘイトスピーチをテーマとしています。

要するに、アルバムのリリースのなかった3年8か月の間、確実に変わりつつある日本を、正面から受け止めた、そんなアルバムになっていました。

そのため、アルバム全体としても重いものを感じます。そんな雰囲気が反映されたかのようなのが今回のアルバムのアレンジ。本作でも基本的に彼女のピアノを中心に、玉田豊夢、山口寛雄の3人からなる小谷美紗子Trioによる演奏なのですが、ピアノの音にベースを重ねるようなアレンジが多く、そのためサウンドがとても重厚になっていました。

そんなズシリと重い内容になった今回のアルバムですが、そのアルバムの「救い」かのように配置されているのがラスト2曲前の「すだちの花」で、やさしくメロディアスに聴かせるピアノ曲。

「どうしてこんなに 人は 生きるんだろう
愛する苦しみ 知ったよ 幸せだね」

(「すだちの花」より 作詞 Odani Misako)

という最後にはどこか救いとやさしさを感じる楽曲になっていました。

さて、ある意味とてもへヴィーな内容のアルバムで、今の日本を受け止めて曲を作り出すために、3年8か月という月日を要してようやく作り出すことが出来たアルバムなのでしょう。ただちょっと気になったのは、全体的にちょっと真面目すぎ、という印象も受けました。

先日紹介した踊ってばかりの国も、同じく今の日本社会をとらえたアルバムをリリースしていますが、彼らはそれをユーモアあふれる視点で描いているのに対して、彼女の歌の視点はちょっとストレートにとらえすぎて、リスナーにとっては不必要な重さも感じます。

うーん、これはデビュー当初からの彼女の傾向なので仕方ないのかもしれないけど・・・これが、恋愛をテーマにすると、この真面目な重さも、「情熱的なラブソング」という大きなメリットになってくるのですが、社会派をテーマにすると、真正面から真面目に捉えすぎるため、その考え方がリスナーとちょっとでもズレると、聴いていて違和感を覚える結果になってしまいがちです。

今回のアルバムは、間違いなく彼女にとって重要なアルバムだと思います。ただ一方で、真面目すぎるという良くも悪くも彼女の特徴から少々聴く人にとっては重いアルバムになっていました。ある意味、聴くのに「覚悟」がいるアルバムかもしれません。

評価:★★★★

小谷美紗子 過去の作品
Odani Misako Trio
ことの は

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2014年3月23日 (日)

「踊ってはいけない国」で

Title:踊ってばかりの国
Musician:踊ってばかりの国

2012年、ベースの柴田雄貴脱退に伴い活動休止状態だった踊ってばかりの国。活動休止直後は、「もし今以上の化学変化が起きない場合は解散する」という発言もしており(参考サイト)、その行く末が心配されましたが、昨年4月に無事活動を再開。そして、待望となるニューアルバムがリリースされました。

そんな活動再開後初となるアルバムがセルフタイトル、というあたりに、彼らの新メンバーでの活動に対する自信を感じられます。そして、今回のアルバムで特に印象に残ったのが、そのメッセージ性あふれる歌詞。「東京」では「政治家のじじいが決めたことでまた子供が死ぬよ」なんて強烈な歌詞があらわれて、現代社会をおもいっきり皮肉っていますし、「セシウムブルース」はタイトルから想像できるように反原発のメッセージソング。さらにタイトルズバリ「踊ってはいけない国」では、踊ること自体を禁止した風営法を批判しています。

ただ、これらの社会派な歌詞も、これらの問題を真正面から切り込むというよりも、どこかユーモラスあるウィットな表現をしています。そのため、決して堅苦しい雰囲気にならずに、エンタテイメントとしてしっかり楽しめる内容にもなっているのが実に魅力的でした。

また、今回の彼らも、実に様々な音楽の要素を自身のものとして取り込んでいます。ギターロックやサイケ、ブルースにカントリー、モータウン、レゲエなどの要素を取り入れつつ、しっかりと彼らのものとしています。

そんな中で、今回のアルバムで特に感じたのは、彼らの楽曲から感じる歌謡曲的な要素でした。「Island Song」あたりが一番顕著だったでしょうか、歌謡曲といっても70年代80年代のムード歌謡曲やアイドル歌謡曲というよりも、もっと前、60年代あたりの雰囲気でしょうか、洋楽的な要素と和的な要素が融合した、どこか懐かしいメロディアスな、そしてどこかエロティックな音楽が実に魅力的です。

また、以前からの彼らの大きな魅力であった「浮遊感」は本作でももちろん健在。歌謡曲的なポピュラリティーあるメロディーを書きつつも、ボーカル下津光史の独特な声や歌い方、そしてどこかふわふわしたものを感じるバンドのサウンドによって、彼らしか作り出せないような、独特な音の世界を作り上げています。

前作「Flower」も傑作でしたが、一方ではまだ乗り越えるべき壁を感じたのも事実。そして、今回の作品では、新メンバーによって見事その壁を乗り越えたように感じます。まさにセルフタイトルになるのも納得の傑作でした。まだまだこれからの活躍に期待できそう。楽しみです!!

評価:★★★★★

踊ってばかりの国 過去の作品
グッバイ、ガールフレンド
世界が見たい
SEBULBA
FLOWER

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2014年3月22日 (土)

とにかく勢いのある新人バンド

Title:ウィーアーザワールド
Musician:快速東京

おもしろい新人バンドがあらわれました。その名も「快速東京」。2008年に結成し、フジロックのROKIES A GO-GOに出演するなど徐々に注目を集めた彼ら。これがその3枚目となるアルバムだそうです。

「ウィーアーザワールド」というタイトルも大概ですが、デビューアルバムは「ミュージックステーション」、2枚目は「ロックインジャパン」という人を食ったようなタイトル。まずこのアルバムタイトルだけでインパクトありまくりです。

楽曲は基本的にパンクといったスタイル。このアルバムも14曲入りながらもわずか24分という、1曲あたり2分弱という楽曲が並んでいます。ただ、音楽的にはパンクというよりもハードロックの影響が強く、さらには「ハグレティックトーキョー」のようなラップメタルや、「メタルマン2」といったギターソロまで入った(タイトル通り)メタルな曲まで並んでいます。

ただ、彼らのスタイルはパンクにしろハードロックにしろメタルにしろ、難しいこと抜きにして、純粋に「ロックを演奏する」ということを楽しんでいるように感じます。そんな彼らのスタンスが特徴的にあらわれているのが歌詞でしょう。タイトルからして「どーなっつ」「カバ」「ごはん」「ヤダ」など、歌詞のタイトルとしてはあんまりなもの。とにかく歌詞云々よりも曲のノリが重視、そういう彼らのスタンスを感じます。

ただこのバカバカしくもシンプルな歌詞でノリのよいロックというスタイルって、「ロックンロール」の本来の姿だと思いますし、また、例えば最近ではクロマニヨンズあたりに通じる部分も持っていると思います。

そういう意味では彼らのロックのジャンルに対するスタンスにも自由さを感じます。パンク、ハードロック、メタル、ラップメタル。これら似ているようで時として対立するロックのジャンルを、全く分け隔てなく楽曲に取り入れています。ここもジャンルではなく、純粋にロックを演奏することを楽しんでいるという彼らの姿を感じます。

ある種、実にロックバンドらしいロックバンドといえるかもしれない彼ら。楽曲もポップでインパクトあり、妙に耳に残ります。正直、勢い先行な部分もあり、そういう意味ではデビュー直後のPOLYSICSみたいに、このままだと遅かれ早かれ飽きられちゃうかも・・・という危惧もあるのですが、でも、「すぐに飽きる」と言われたPOLYSICSが15年以上活動を続けているもんなぁ~(笑)。

そんな訳で、もっとも注目している新人バンドの一組。これからの活躍に要注目です!

評価:★★★★★

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2014年3月21日 (金)

ニコはミスチルに似ているのか?

Title:ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト
Musician:NICO touches the walls

以前から、何度かこのサイトで彼らを取り上げる時に、「ミスチルに似てる」という感想を書いたことがあります。ただこの「ミスチルに似てる」という感想は楽曲を聴いて全体から感じる印象論でした。

ただ、ちょうど先日、KANのライブに行った時、彼がミスチル風の新曲を披露した時に、ミスチルの曲の特徴について説明していました。彼曰く「低いキーから、サビに向かってどんどん盛り上がる」「サビ前には一音だけのファルセットボイス」「サビは複雑なメロをポップに聴かせる」「そして大サビ」、これがミスチルの音楽(特に90年代から2000年初頭の)大きな特徴だそうです。

で、そのポイントからあらためて今回のニコのベスト盤を聴いたのですが、あ、確かにこの特徴があるわ、と思いました。特に一番顕著だったのが新曲の「ローハイド」。まさに低いキーからサビに向かって高いキーに盛り上がり、サビでは1音だけのファルセットボイス。サビは比較的メロディーが複雑に展開し、そして大サビ・・・うーん、確かにこういう要素を切り取って考えると、彼らの曲を聴いてミスチルっぽいなぁ、と思った理由がはっきりしました。

実際、他の曲に関しても、特に低いキーからサビにむけて高いキーに展開していくパターンや、さらにボーカル光村龍哉のボーカル技法として、サビあるいはサビ近辺の1音だけファルセット寸前の高音に持っていく歌い方をよく行っていて、この歌い方もまた、彼らの曲をミスチルっぽく感じてしまう大きな要素になっているように感じます。

ただ一点、彼らの曲の特徴としてミスチルと大きく異なるのがサビのメロディー。「夏の大三角形」あたりで特徴的なのですが長い音符を多用したサビが多くみられます。ここらへんは「複雑なサビのメロ」というミスチルの特徴とはちょっと異なるかもしれません。ただ、逆に、長い音符を並べただけのサビは若干単調気味というマイナス点もあるのですが。

さてここまでニコがなぜミスチルみたいに聴こえるのか、ということを延々と書いてきました。それだけに、このアルバムに関しては酷評みたいに感じる方も多いかもしれません。ところがどっこい、このベスト盤に関しては思いのほか、かなり楽しめる内容になっていました。

ミスチルに似た雰囲気ということを散々書いてきましたが、ここでいうミスチルっぽい音というは一昔前のミスチルの話。今ではストリングスを多用したスケール感を出した曲を多くリリースしていますが、その反面、シンプルなギターロックからは遠ざかってしまっているように感じます。

あえて言えば今のニコは、そんなミスチルが捨て去ってしまったシンプルでメロディアスなギターロックをきちんと歌っているバンド、と言えるのかもしれません。非常にメロディアスなメロや、昂揚感あるサビの盛り上がりなど、実に魅力的で聴かせる力を持ったバンドなのは間違いありません。

特に全17曲80分弱に及ぶベスト盤で、かつ正直楽曲のバリエーションもそんなに多いわけではないのに、最後までまったく飽きることなくアルバムを聴くことが出来ました。それも要所要所で、メロがキラリと光ってインパクトのある名曲が配置されているから。なんだかんだいっても、このベスト盤もベスト10ヒットを記録していますし、数多くのギターロックバンドの中で人気を確保している理由は、そのメロディーセンスの良さにあるのでしょう。ポップバンドとしての実力をこのベスト盤からは十分に感じることが出来ました。

「サビでの長音符の多用」という点のみではなく、もうちょっとニコだけの個性を出すのと、楽曲のバリエーションを増やすという点が今後の課題のようにも感じるのですが、それはさておき、このベスト盤に関しては間違いなく傑作と言える内容だったと思います。ポップなメロを存分に楽しむことが出来る作品でした。

評価:★★★★★

NICO Touches the Walls 過去の作品
Who are you?
オーロラ
PASSENGER
HUMANIA
Shout to the Walls!

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2014年3月20日 (木)

僅差の1位2位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週に続き新譜ラッシュとなったアルバムチャート。1位2位は僅差でした。

まず見事1位を獲得したのがBUMP OF CHICKEN3年4か月ぶりとなるニューアルバム「RAY」でした。初動売上は18万2千枚。間にベスト盤2枚のリリースを挟みましたが、久々のアルバムリリースとなりました。ちなみに前作「COSMONAUT」は初動20万7千枚(1位)でこちらからはダウンという結果になっています。

そして、そのバンプにわずか8千2百枚差で2位となったのはEXILE ATSUSHI「MUSIC」。前作「Solo」は、EXILEのアルバム「EXILE JAPAN」に同時収録という形でしたので、単独での発売はこれが初となります。初動売上は17万3千枚。直近のシングル「青い龍」が初動3万5千枚なので、健闘といった感じでしょうか。

3位もロックバンド、MAN WITH A MISSION「Tales of Purefly」が入ってきました。先月、ベスト盤「Beef Chicken Pork」をリリースしたばかりですが、初動売上は6万1千枚で、そのベスト盤の1万8千枚(2位)から大幅アップ。オリジナルとしての前作「MASH UP THE WORLD」の2万4千枚(4位)からも大幅アップで、その人気を見せつける結果となりました。

続いて4位以下の初登場。4位にはA.B.C.-Z「from A.B.C to Z」が入ってきています。こちら、ジャニーズ系のアイドルグループ。2012年に「Za ABC~5stars~」というDVDでデビューしていますが、CDリリースはこれがはじめて。ジャニーズ系としてはかなり地味なスタートになりました。

5位にはビジュアル系バンドシド「OUTSIDER」がランクイン。初動売上3万2千枚。直近は2枚組のB面ベストで、そのうち上位の「Side B complete collection~e.B 2~」の1万1千枚(6位)からはもちろんアップ。ただし、オリジナルとしての前作「M&W」の4万5千枚(3位)からはダウンしています。

7位初登場は中島美嘉「ずっと好きだった~ALL MY COVERS~」。タイトル通り、自身初となるカバーソングでドリカムの「やさしいキスをして」や尾崎豊の「I LOVE YOU」、さらに洋楽からはBETTE MIDLERの「THE ROSE」など、比較的カバーの定番が多いような印象が。初動売上1万4千枚は、直近のオリジナル「REAL」の4万9千枚(1位)よりダウン。

9位には現在、絶賛公開中のディズニー映画「アナと雪の女王」のサントラ盤「アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック」が入ってきました。

そして最後、10位には、華原朋美「MEMORIES-KAHARA COVERS-」がランクインです。タイトル通り、こちらもカバーアルバム。元彼氏の小室哲哉の、現在の奥さん、KEIKOが所属しているglobeの「DEPARTURES」をカバーすることでも話題になりました。ベスト10入りは、1999年の「One Fine Day」からなんと13年4か月ぶり。初動売上1万2千枚は前作「DREAM-Self Cover Best-」の1万1千枚(15位)からアップ。最近、いろいろとワイドショーの話題となることも多い彼女ですが、なりふりかまわない戦略が良とでた模様。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年3月19日 (水)

「桜」ソングが上位に

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングル上位には、いわゆる「桜」ソングが並びました。

1位はAKB系。博多を活動の拠点とするHKT48「桜、みんなで食べた」が獲得。まあ、AKB系らしいさわやかな王道アイドルソング。初動27万6千枚は、前作「メロンジュース」の26万枚(1位)から微増となりました。

そして3位にはおなじくアイドルグループでんぱ組.inc「サクラあっぱれーしょん」がランクイン。初動売上4万3千枚は前作「W.W.D II」の1万8千枚(8位)より大幅増ですが、こちら全9種類という販売形態で、さらに6種類についてはメンバーそれぞれのソロ曲が別々に収録されているという凶悪使用。実際、種類別に集計しているサウンドスキャンでは最高位12位(6千枚)という体たらくとなっています。

ちなみに今週はまた女性アイドル系のチャートインが多く、4位には9nine「With You」がランクイン。TBS系アニメ「マギ」エンディングテーマ。ちょっと小室系の雰囲気もある正統派なJ-POPナンバー。初動売上2万7千枚は前作「Re:」の3万枚(6位)よりダウン。7位は青山☆聖ハチャメチャハイスクール「STARTING OVER」。ニコニコ動画の公式チャンネルから誕生した7人組アイドルグループで、これが3枚目のシングル。こちらはアニメ系の雰囲気もまじあった秋葉系狙いが売り?初動1万2千枚は前作「サマー・オブ・ラブ」の6千枚(23位)からアップで初のベスト10入り。

チャート上位に戻ります。2位はAcid Black Cherry「君がいない、あの日から・・・」。哀愁たっぷりの歌謡ロックなバラードナンバー。初動売上5万7千枚は前作「黒猫~Adult Black Cat~」の5万9千枚(3位)から若干ダウン。ただ前々作「Greed Greed Greed」の5万8千枚よりはアップしていて、安定した人気が伺われます。

4位以下初登場はあと3曲。6位にはケツメイシ「カリフォルニー」が入ってきています。彼ららしい、ちょっと夏っぽいミディアムチューン。ベスト10入りは、前々作「moyamoya」以来2作ぶり。ただ、初動売上1万3千枚は前作「月と太陽」の1万7千枚(13位)よりダウンして、低水準のチャートに助けられた結果に。まあ、どちらかというと、今時1万7千枚でベスト10入りできなかった前作の方が運が悪かったのかも。

9位には人気女性声優堀江由衣「The World's End」がランクイン。ファンタジックな雰囲気のポップチューン。ベスト10入りは2011年の「PRESENTER」以来4作ぶり。ただ、初動売上は8千枚で、前作「Golden Time」の1万2千枚(19位)よりダウン。

最後10位には4人組ロックバンドKEYTALK「パラレル」がランクインしてきました。これがメジャーでは2枚目のシングルとなるギターロックバンド。ツインボーカルで、妙に癖のあるメロディー展開が耳に残ります。初動売上7千枚は前作「コースター」の6千枚(21位)から若干のアップ。どちらかというと、低水準のチャートに助けられた結果になっています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2014年3月18日 (火)

「デモ音源」だけど・・・。

Title:Think Your Cool Kick Yell Demo!
Musician:KAN

今日紹介するCDは、先月20日に行ってきたKANのライブ会場で発売されていたCDです。ジャケットはこんな感じ↓

Kan_demo1

タイトル通り、デモ音源を収録したアルバムで「逆ボーナストラック」を含めての5曲入り20分強の内容。ちなみに中はこんな感じ↓

Kan_demo2

中はなんとKANちゃんの生写真入り(笑)。「生写真シリーズ」で5種類あるそうですが、入っている写真はランダム。全部そろえるには5枚以上買わなければいけないいじわるな仕様になっています(笑)。

このCDに収録されたデモ音源4曲は、なんといずれも純然たる新曲!どれもメロディーもアレンジも完成しているものの歌詞が思い浮かばず、発表されるかどうか未定の曲ばかりだそうで、ファンにとっては超貴重なたまらない音源集になっています。

内容も歌詞こそついておらず、ハミングのように歌っているだけですが、それを除くとKANちゃんらしさが満載された、発表されている曲と比べてまったく遜色ない曲ばかり。「AItoSEItoSI」は、ちょっと切ないメロの爽やかな楽曲で、タイプ的には「Songwriter」の系統でしょうか?続く「Stevie_2013」は、「50年後も」を彷彿とさせるピアノバラードで、もし完成されれば、彼の代表曲に連なりそう。「H&O_2013_B」は彼らしい軽快なポップソング。最後の「BozBalla」も、タイトル通りボズ・スギャッグス風バラードなのですが、どこかBilly Joel風な空気も漂うのが彼らしい感じ。

そして「逆ボーナストラック」として収録されているのが「カンチガイもハナハダしい私の人生」に収録されている「小学三年生」の、管楽器のアレンジを入れる前にシンセで録音されたデモ音源。一般的に「デモ音源」というとファンにとっては楽しみな「聴き比べ」が出来る内容になっています。

聴き比べといってもシンセとビッグジャズセッションの生音なので差は歴然なわけで、そういう意味で聴き比べしやすい曲を選んだのでしょうか。ただ、デモ音源を聴いてから完成音源を聴くと、あまりの差にちょっとビックリしちゃったりして。

そんな感じで、あくまでもファンズアイテム。正直、歌詞のない楽曲なだけにファン以外にとっては辛い内容かもしれません。ただし、ファンなら入手の価値ありまくりの1枚。ツアーグッズは一応公式サイトで販売されるみたいなので、ひょっとしたらツアー終了後、購入できる・・・かも??

評価:★★★

KAN 過去の作品
IDEAS~the very best of KAN~
LIVE弾き語りばったり#7~ウルトラタブン~
カンチガイもハナハダしい私の人生
Songs Out of Bounds
何の変哲もないLove Songs(木村和)

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2014年3月17日 (月)

ニュージーランドから出てきた少女

Title:PURE HEROINE
Musican:LORDE

このアルバムにも収録されている「Royals」が、グラミー賞の最優秀楽曲賞を獲得し話題となったためご存じの方も多いでしょう。現在、若干17歳のニュージーランドのシンガーソングライター。「Royals」が母国ニュージーランドで大ヒットを記録した後、アメリカにも飛び火。ニュージーランドのミュージシャンとして史上初となる全米1位を獲得し、大きな話題となりました。

そして、そんな注目の中リリースされたのが今回のニューアルバムでしたが、楽曲は基本的に「Royals」のイメージの延長のような楽曲が並んでいました。シンプルなリズムを強調したミニマル的なサウンドに、音数を絞ったアレンジ。そこに彼女の、ちょっと神秘的にも感じる、ゆっくりと歌い上げる歌声がのります。ちょっと乱暴な表現をしてしまえば、ポップになったBjorkといった感じでしょうか?

そんな訳で基本的に楽曲のバリエーションはあまり多くありません。しかし、むしろバリエーションの少なさゆえに、彼女の魅力をしっかりと伝えていたのではないでしょうか。そのシンプルなサウンドにマッチするかのような彼女の力強いボーカル、そして派手さはないものの雄大な雰囲気を感じ心に響くそのメロディーライン。「Royals」で感じた感動を、アルバム全体を通じて感じることが出来る、そんなアルバムに仕上がっていました。

また彼女に関してはその歌詞もひとつの魅力だと思います。彼女の描く歌詞は、いわば田舎から都会に出てきたあか抜けない女の子が主人公。例えば大ヒットした「Royals」にしても

"I'm not proud of my address
in a torn up town no postcode envy"

(訳 住所だって胸を張って言える地域じゃない
荒れた町で、うらやましがられる郵便番号じゃない)

("Royals"より Written by Ella Yelich O'Connor/Joel Little 対訳 今井スミ)

なんて歌詞が出てきます。「PURE HEROINE」というタイトルもそうですし、どこかあか抜けなさが残るルックスもそうですし、そんな田舎から都会に出てきた無垢な少女というイメージもまた、彼女が大ブレイクした大きな要素だったのかもしれません。

そういう意味では、どうしてもあか抜けてしまう2作目以降どのように展開していくのか楽しみでもあり一方で不安でもあったりするのですが・・・。もっとも、基本的にはメロディーとボーカルという、今後も変わらない普遍性のある武器を持っている彼女にとっては杞憂なのかもしれません。ともかく、このアルバムに関しては彼女の魅力をアルバム全体で感じられる傑作でした。

評価:★★★★★

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宇宙まおインストアミニレポ

宇宙まおインストアライブ

会場 名古屋パルコ1階イベントスペース 日時 2014年3月15日(土) 14:00~

先日、名古屋パルコへ買い物に行ったところ、入り口付近でライブが。誰のライブだろう、と思って近づくと、なんと宇宙まお!ライブは既に終盤近く、結局聴けたのは2曲だけだったのですが、せっかくなので簡単にミニレポを。

正直言うと、ステージ前のファンの数はちょっと寂しかったです。ライブの終盤でも、無理すればほとんど最前列近くまで行けそうなほどの人。ロッキンオンで煽っているので、それなりの知名度かと思っていたのですが、ちょっと残念な感じ・・・。

ただ、実物の宇宙まおは、ショートカットで思ったよりもキュートな雰囲気。そのため結構、アイドルノリ的なファンっぽい方も見受けられました。

私が聴けたのは最後2曲。最初は「あの子がすき」。テンポのよいポップスで、途中、サビの部分ではファンとのコールアンドレスポンズも。数は少ないものの、それなりに反応があり、意外(?)と盛り上がっていました。この曲は彼女と、バンドメンバー2人でのステージ。その後、メンバー紹介のあとバンドメンバー2人は退場。最後は、宇宙まお一人で、アコギ弾き語り、アルバム収録の「ドアー」という曲を聴かせてくれました。

そんな訳で聴けたのは最後の2曲のみ。どちらもポップな作風で幅広く受けそうな感じ。ただ、ステージも楽曲も可もなく不可もなくといったところでしょうか。もっともまだデビュー直後の彼女。まだまだこれから、といった雰囲気のステージでした。

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2014年3月16日 (日)

あいかわらず

Title:くだまき男の飽き足らん生活
Musician:ガガガSP

ガガガSPのニューアルバム。正直、久しぶりに聴いた作品なんですが、変わっていないなぁ、と安心しました(笑)。以前と同じく、もてるわけではないどこにでもいる普通の若者の、恋愛や社会に対する鬱屈した気持ちを、そのまんまストレートに載せた歌詞。そして、ある種ひねりのないストレートなパンクロック。デビュー以来変わらないガガガSPの姿がこのアルバムにもありました。

でも、それって必ずしも褒め言葉ではないんですけどね(笑)。良くも悪くもマンネリ。「時代はまわる」ように、最初トークからはじまり楽曲に入るというスタイルも、「ああ、またか」と正直思ってしまいました。

とはいえ、このアルバム、決してつまらないアルバムといった印象はありません。30分強というアルバムの短さもあるものの、全くダレることなく最後まで楽しめることができました。やはり大きな理由としてはフォークソングの影響を受けたメロディアスなメロディーライン。決して勢いだけではないインパクトのあるメロディーラインが楽曲の主軸にきちんと備わっているため、基本的に少々マンネリになっても聴いていてダレることはありません。

また歌詞にしても、確かに方向性としては以前と同じなのですが、それなりに手を変え品を変え、いろいろなネタがあるな、と感心します。今回のアルバムにしても「書き込み男と自画撮り女」のような痛烈なネット批判や、リア充を皮肉った「はきだめぶぎ」など、今時のネタをフォローしつつ、いままでの彼ら通りのストレートな物言いで楽しませてくれます。

特に久しぶりに彼らのアルバムを聴いてちょっとビックリしたのが、作詞作曲をコザック前田ではなく、ギターの山本聡やベースの桑原康伸が多く手掛けていた点でした。おもしろいのはそれらの楽曲もまた、コザック前田のスタンスをそのまま引き継いで、ちゃんとガガガSPらしい曲に仕上がっていること。むしろ山本聡の作品については、例えば「カゲロウ橋」のように叙情感ある歌詞など、むしろコザック前田よりも上では??なんてことも思ってしまいます。

楽曲にしても本作では「どんでん返し」でちょっとレゲエの要素が入っていたりして、ちょっと変化も感じます。もっとも、基本的にはいつも通りのガガガSPなのですが。

そんな訳で基本的にいつものガガガSPだったのですが、その一方、ひょっとしたらちょっと違う方向にも歩みだした?なんて期待もできるアルバム。ただ基本的には一本調子な部分は否定できないので、もろ手あげて傑作といった感じではないのですが。

評価:★★★★

で、最近、レンタル限定でベスト盤がリリースされたみたいなので、こちらもレンタルで聴いてみました。

Title:自信満々良曲集
Musician:ガガガSP

Gagagabest_2

ガガガSPって、一般的にそんなに高い評価を得ているミュージシャンではありません。確かに曲は一本調子であることは否めませんし、歌詞にしても比較的ストレートな内容で決して凝ったものではありません。

でも、そんな中ガガガSPに感じる魅力はやはりストレートなその歌詞にあります。基本的にもてなくて、いつまでもうじうじと昔好きだった人に未練がある、そんな情けない男の心情を飾ることなくストレートに歌い上げるその歌詞には、正直、共感してしまうんですよね・・・。

このベスト盤に収録されている「国道二号線」「続・京子ちゃん」あたりはまさにそんなガガガSPの本筋ともいえる歌詞。ある意味、文字通りの片思いで、基本的に自分の心境ばかり歌っていて、そこに相手はいません。ま、要するに恋に恋しているわけですが、でも、そんな今から考えれると青臭いそんな心境は、学生時代、あまりもてなかった男子諸君ならば(笑)誰にでも思い当たる部分があるんじゃないでしょうか。そんな思いをそのまま変に装飾することなく歌い上げる彼らの歌には、どこか心響くものがあります。

良くも悪くもストレートな曲ばかりなのでうけつけない方にはうけつけないかも。それでもやはり彼らの歌うストレートな楽曲は好きなんだよなぁ。タイトルも「自信満々」としながらも「傑作」ではなく「良曲」と一歩ひいちゃうのが彼ららしい感じがします(笑)。レンタルなので、お気軽に聴いてみてください。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ACTION!!!/POLYSICS

前作「MEGA OVER DRIVE」からわずか3か月のスパンでリリースされたPOLYSICSのニューアルバム。全体的に軽快なテクノポップといった感じの曲が多く、「発見動物探検隊」のようなタイトルそのままユーモラスを感じさせる曲も。POLYSICSのポップな側面が強く出たアルバムで聴きやすかった反面、パンキッシュさという面からはちょっと物足りなさも。

評価:★★★★

POLYSICS 過去の作品
We ate the machine
We ate the show!!
Absolute POLYSICS
BESTOISU!!!
eee-P!!!
Oh!No!It's Heavy Polysick!!!
15th P
Weeeeeeeeee!!!
MEGA OVER DRIVE

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (3/16)

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。3月頃再スタートを予定していましたが、年が明け、次々とフェス開催のニュースが入ってきているため、はやくもスタートです。ただし、4月までは更新は月1回の予定。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

3/16更新
<開催決定>
ZIP SPRING SQUARE、SOUL BEAT ASIS 橋の下世界音楽祭、FRESH AIR 2014、、Amuse Fes 2014 BBQ in つま恋、まんまる音楽祭2014、第3回四日市JAZZフェスティバル、中津川THE SOLAR BUDOKAN2014
<出演者追加>
PUNKSPRING2014、ベルギービールウィークエンド2014名古屋、kuragari sound fes 2014、リゾームライブラリーIII、森道市場2014~フランシスコの海へ~、TAICOCLUB'14、SAKAE SP-RING 2014
<終了>
東濃フェス2014春

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報2014 (3/16)"

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2014年3月15日 (土)

突然のリリースが話題に

Title:Beyonce
Musician:Beyonce

昨年の音楽業界の重大ニュースのうちのひとつが、間違いなくこのアルバムリリースのニュースでしょう。昨年12月13日、事前の広告などまったくなしに、突如配信限定でこのアルバムがリリースされました。彼女ほどの大物ミュージシャンが、新譜リリースをまったくリークされることなく、アルバムをリリースできたということが驚きであり、また、事前の広告をまったく行わないという販売戦略もまた話題となりました。

結果、発売から3日間で61万7千ダウンロードを売り上げ、前作「B'Dat」の初動売上(54万1千枚)を上回っただけに、「突然のリリース」という販売戦略はまさに大成功だったわけです。その後、輸入盤ではCDの販売もあったのですが、なかなか国内盤がリリースされず。今年2月に入りようやく国内盤がリリースされたため、遅ればせながら本作を聴いてみました。

楽曲は、ここ最近のBeyonceらしい、エレクトロサウンドを取り入れた、セクシーなボーカルが魅力的なポップス路線。楽曲には旦那であるJAY-Zや、新進気鋭のR&Bシンガー、FRANK OCEAN、さらには愛娘のBLUE IVYも参加しています。

その一方では、トライバルなリズムを取り入れた「PARTITION」では力強いリズムを聴かせますし、やはり圧巻だったのは「HEAVEN」のようなバラードナンバー。彼女のパワフルなボーカルを楽しむことができます。ラストを飾る、その愛娘が参加した「BLUE」では、メロディアスのメロディーな中、サウンドが次々と変化し、なおかつスケール感あるエレクトロサウンドを楽しむことができるナンバーになっていました。

そんな訳で、Beyonceらしさが十分に発揮されたアルバムになっているのは間違いありません。が、今回のアルバム、作品全体としてはちょっと地味だったかなぁ、という印象を受けました。アルバムの中ではこれといったキラーチューンもなければ、目新しさを感じさせるタイプの曲もありません。そういう意味ではアルバムだけを聴いた印象としてはちょっと物足りなさを感じてしまいました。

しかし、そんな本作に対する印象が変わったのは、やはりDVDを見てから。今回のアルバム、「ビジュアルアルバム」をコンセプトにしており、DVDを含めての作品ということ。そのため全14曲すべてに対してPVがつくられたのですが、これがすごい。1曲1曲ちゃんと曲のコンセプトにあわせたように作りこまれ、例えばライブ映像でお茶を濁すとか、同じセットで似たような映像のPVをとる、みたいな手抜きはありません。「DRUNK IN LOVE」では旦那JAY-Zと、「BLUE」では愛娘BLUE IVYとも共演。夫婦、親子の仲良き姿が見ることができます。

PVを含めて、それなりの数の人が集まり、エキストラなんかも参加しているのですが、よく事前にその情報が漏れなかったよなぁ、という点も関心したりして。PVは、Beyonceのセクシーなダンスも見られるので眼福です(笑)。そしてなによりうれしかったのは、国内盤ではちゃんと日本語の歌詞字幕が出る点。この1点だけで、国内盤を待っていてよかったぁ!まだこのアルバムを未聴なら、国内盤がおすすめです。

そんな訳で、CDオンリーだとちょっと物足りなかったのですが、力作なDVDに関心してしまったアルバムでした。しかし、本当にこれを誰にも知られずにリリースできた、というのはすごいなぁ。今後はこういう「突然リリース」が増えるかもしれませんね。

評価:★★★★★

BEYONCE 過去の作品
I Am...Sasha Fierce

I AM...WORLD TOUR

で、ちょっと前の作品になってしまうのですが、彼女が以前所属していたガールズ・グループ、Destiny's Childが突然の新譜リリースということで話題となりました。

Title:Love Songs
Musician:Destiny's Child

いまとなってデスチャ時代の曲を聴くと、今風の音を積極的に取り入れ、様々なスタイルに挑戦するBeyonceと比べて(活動当時としてはかなり今風の音を取り入れていたという印象はあるのですが)、彼女たちの楽曲はあくまでもメロディーや歌主体。ただそれだけに美しいメロディーラインは今聴いても十分魅力的ですし、なによりも3人のコーラスラインの美しさは、Beyonceのソロでは得難い魅力があります。

久しぶりの新曲で話題となった「Nuclear」なんかも、ちゃんとデスチャの魅力が今も健在であることを伝えてくれますし、Beyonceのソロがちゃんと軌道にのって、Beyonceのミュージシャンとしての個性が確立した今だからこそ、Beyonceソロとは異なった魅力、という意味でデスチャ復活もありでは?もちろん、ソロがうまくいっているからこそ、1曲限定とはいえ、デスチャを復活させたのでしょうが。

個人的には、この1曲のみならず、継続的にデスチャとしての活動も続けてほしいとこのアルバムを聴いて思ってしまったのですが、でもスケジュール的な側面も含めて難しいんだろうなぁ。あらためてDestiny's Childというグループの魅力を実感できた作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Settle/DIsclosure

昨年のベストアルバムでよく名前を見かけた1枚。ロンドン出身の兄弟ユニットによる作品。テクノにハウスにバラエティーあるダンスミュージックをポップにまとめあげています。ダンスミュージックとしてもポップのアルバムとしてもとても聴きやすい1枚でした。

評価:★★★★★

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2014年3月14日 (金)

9年ぶりのオリジナル

Title:光のなかに立っていてね
Musician:銀杏BOYZ

Title:BEACH
Musician:銀杏BOYZ

昨年11月、突如告知された9年ぶり(!)となるニューアルバムのリリース。そしてそれと同時に発表された安孫子真哉とチン中村の脱退が大きな衝撃を与えた銀杏BOYZ。さらに12月には村井守の脱退も発表。峯田和伸は今後も銀杏BOYZとしての活動を続けると公言していますが、オリジナル・メンバーでの最後のアルバムとなってしまいました。

ただ、今回の2枚のアルバムを聴いてまず感じたのは、確かにこんなアルバムをリリースしてしまったら、現在のメンバーではこれが最後なのは仕方ないよなぁ、ということでした。まずはオリジナルアルバム「光のなかに立っていてね」。アルバム全体を強烈なノイズで埋め尽くされています。例えば冒頭を飾る「17才」も、強烈なノイズからスタートしていますし、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」も、基本的にシングルを踏襲した内容になっているものの、間奏ではギターノイズを響かせています。

この9年間にリリースしたシングルも基本的に収録されているため(アルバムの先行シングルを含め)10曲中6曲が何らかの形で既発表という内容。ただそんな既発表曲も大幅なリアレンジが行われているために、よくありがちな「シングルを詰め込んだベスト盤的なアルバム」ではなく、しっかりと今の銀杏BOYZの主張を詰め込んだオリジナルアルバムになっていました。

そしてシングル曲も含めていじくるまわし、ノイズをいっぱい詰め込んだアルバムを聴いていると、まさに彼らが自らの毒も含めてすべて出し切ったアルバムのように感じました。銀杏BOYZというバンドの一番奥底にあるようなものを出してしまったような、そんなアルバムに感じます。だからこそ、このアルバムが現メンバーにとってラストでも仕方ない、そう感じたアルバムでした。

さらにそれ以上に強烈だったのが同時発売された「BEACH」。こちらはオリジナルアルバムではなく、過去のライブ音源をリミックスしたアルバム。ただそのリミックスがすごい(笑)。全編、思いっきりノイズに加工されており、元曲の雰囲気はほとんどありません。

「光のなかに立っていてね」はノイズなアルバムといっても基本的にメロディーと歌がちゃんと聴くことができて、一般的なポピュラーソングに使われるような「ノイジー」という表現ができるアルバムでしたが、こちらはむしろノイズ・ミュージックにカテゴライズされそうな音になっています。

それだけにかなり聴く人を選びそうな問題作。正直、ファンでも受け入れられないという方もいそうですし、私も何度か聴いたのですが・・・はまりませんでした。リスナー層を選びそうなのにamazonのレビューでは絶賛の嵐なのはちょっと疑問。まあ「光のなかに立っていてね」のレビュー数の4分の1程度なので、受け入れれらない人は最初から聴いていないということか・・・。

どちらも銀杏BOYZが暴走したようなアルバム。ただ同じ暴走といっても、「光のなかに立っていてね」はその暴走が楽しいのに対して、「BEACH」は一部のファンを連れて向うの方まで言ってしまって、ごめん・・・ついていけないかも・・・といった感じのアルバム。とはいえ、今の彼らがやりたいことをやって、そしてやりつくした、という意味ではどちらのアルバムも共通するかもしれません。峯田ひとりになった銀杏BOYZ、とりあえず次はどう進むのか、それも楽しみです。

評価:
光のなかに立っていてね ★★★★★
BEACH ★★★

銀杏BOYZ 過去の作品
SEX CITY~セックスしたい(銀杏BOYZと壊れたバイブレーターズ)

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2014年3月13日 (木)

こちらもバラエティー豊富

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャート同様、新譜ラッシュのアルバムチャートですが、様々なジャンルのミュージシャンたちがランクインしています。

まず1位は、K-POPの中では歴然たる1番人気の東方神起「TREE」。これでオリジナルアルバムでは3作連続の1位獲得となりました。初動売上は22万4千枚。前作「TIME」の24万3千枚よりはダウンしましたが、前々作「TONE」の20万4千枚を上回っており、まだまだ人気は衰えていません。

2位には女性シンガーソングライターJUJU「DOOR」がランクインです。ジャズアルバムやライブ盤などのリリースはありましたが、オリジナルとしては2年半ぶりとなるニューアルバム。初動売上は3万9千枚。直近作はジャズアルバム「DELICIOUS ~JUJU's JAZZ 2nd Dish~」の1万9千枚(11位)からはアップ。ただ、オリジナルアルバムの前作「YOU」の11万1千枚(1位)を大きく下回ってしまいました。

3位も同じく女性シンガーソングライター。アンジェラ・アキのベストアルバム「TAPESTRY OF SONGS - THE BEST OF ANGELA AKI」が入ってきました。4月からの全国ツアーを最後に音楽活動を休止する彼女。秋からはアメリカに移住し、現地の音楽大学に留学するそうです。初動売上は2万6千枚で、直近作のオリジナルアルバム「BLUE」の8千枚(14位)からアップ。2011年のアルバム「WHITE」以来のベスト10入りとなりました。オリジナルから大きく初動売上を伸ばしており、浮動層にもまだまだ支持されていることが伺わせます。

続いて4位以下の初登場。5位に男性シンガーソングライター、清木場俊介「唄い屋・BEST Vol.1」が入ってきています。彼の代表曲を再録音した企画盤。初動売上は2万1千枚。2010年のアルバム「ROCK&SOUL」以来のベスト10ヒットとなりました。

6位にはご存じ元総理大臣竹下登の孫として話題をあつめ、BREAKERZのボーカルとしても活躍する男性シンガーDAIGOのソロアルバム「DAIGOLD」がランクインです。いままでDAIGO☆STARDUST名義でのアルバムリリースはありましたが、DAIGO名義ではこれが初。初動売上は1万2千枚。BREAKERZの直近作「BREAKERZ BEST ~SINGLE COLLECTION~」の1万5千枚からダウン。ソロデビューとしてはまあまあの滑り出しでしょうか。

そしてロックバンドが2組ランクイン。7位初登場はFACT「WITNESS」、10位初登場androp「period」がそれぞれランクインしています。

FACTは長らく5人組として活動してきたスクリーモバンド。2012年にイギリス人ギタリストAdamが加入し、6人組となって初となるアルバム。初動売上は1万2千枚で、前作「burundanga」の1万4千枚(6位)からはダウン。andropはこれがフルアルバムとしては3枚目となる4人組ギターロックバンド。シングルアルバム含めて初のベスト10ヒットとなります。ただし、初動売上は1万枚で前作「one and zero」の1万1千枚(14位)からは若干ダウン。ちなみにどちらも人気の若手バンドですが、いずれもデビュー当初は顔写真を一切公開していなかった、という点で共通項が。ただ最近、どちらも顔写真を解禁したようですが。

最後。9位には宇多田ヒカル「First Love-15th Anniversary Edition-」がランクインしています。ご存じ、1999年にリリースされると760万枚を売り上げ、いまだにアルバム史上最高売上を記録している脅威のアルバム。その発売15周年を記念してリリースされたリマスターアルバム。ファーストライブの模様を収めたDVDや、デラックスエディションではレア音源なども収録されています。発売からちょうど15年目の3月10日にリリースされており、そのため、フライング販売分のみで1万枚を売り上げてランクイン。根強い人気を感じされます。

今週のアルバムチャートは以上!チャート評はまた来週の水曜日に。

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2014年3月12日 (水)

またも新譜ラッシュ

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

新譜ラッシュとなった今週ですが、チャートインしたミュージシャンは、比較的バラエティー富んだ印象が。

まずは1位はジャニーズ系。Kis-My-Ft2「光のシグナル」。映画「ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~」主題歌。初動売上20万2千枚は前作「SNOW DOMEの約束」の26万7千枚からダウン。ジャニーズ系アイドルがドラえもん映画主題歌を歌うのはこれがはじめて。ドラえもん映画の主題歌といえば武田鉄矢でしょう、という世代なので正直、うれしくありません。もっとも、いかにも事務所の力が背景に感じられるタイアップがつくのは、今にはじまった話ではありませんが・・・。

2位はハロプロ系アイドルユニット。℃-ute「心の叫びを歌にしてみた」。前作に引き続きエレクトロアレンジのアイドルポップ。初動売上6万2千枚は前作「都会の一人暮らし」の6万3千枚から若干減少。あいかわらずイベント参加券付の5枚まとめ買いセットというドーピング付。ハロプロアイドルといえば、この曲の作詞作曲もしているつんく♂が喉頭がんを公表し、心配されますが、ハロプロ系の活動はどうするんでしょう。

3位はEXILE系。EXILE TAKAHIRO「Love Story」。EXILE系としてはめずらしくロック寄りのポップスで、福山雅治とかあの系統でしょうか。ソロデビュー2作目で、初動5万4千枚は、前作「一千一秒」の8万3千枚から大きくダウン。

以下4位からの初登場ですが、4位はAKB系。前田敦子「セブンスコード」がこの位置。ロックテイストのJ-POP。初動4万2千枚は、前作「タイムマシンなんていらない」の6万枚から大きくダウンして、4作目にして初のベスト3落ち。デビュー以来、17万6千枚→13万6千枚→6万枚→4万2千枚と順調に滑り落ちていますが、そろそろ歯止めをかけないとやばいかも。

5位は男性アイドルグループ。スターダストプロモーション所属の男性アイドルグループDISH//「FREAK SHOW」がランクイン。最初はなんちゃってミクスチャーロックからはじまって、サビは軽快なアイドルポップに展開する、良くも悪くもアイドルポップらしい曲。初動売上3万4千枚は、前作「いつかはメリークリスマス」の1万4千枚から大きくアップ。

で、7位は男性ソロシンガー。三浦大知「Anchor」が入ってきています。TBS系ドラマ「夜のせんせい」主題歌。初動売上1万5千枚は前作「GO FOR IT」の1万9千枚からダウン。のびやかなボーカルを生かしたミディアムテンポのナンバー。

8位はK-POP。T-ARA「Lead the way」。初動売上1万2千枚は前作「NUMBER NINE」の9千枚(最高位13位)からランクアップで、昨年3月の「バニスタ!」以来3作ぶりのベスト10返り咲きとなっています。

9位はなんと演歌。山内惠介「恋の手本」が入ってきています。イケメン演歌歌手として知られる彼。楽曲はド演歌というよりはムード歌謡曲寄りか。自身初のベスト10ヒットで、初動売上1万枚は前作「釧路空港」の9千枚(最高位11位)より若干のアップ。

そして最後10位はロック。TK from 凛として時雨「contract」がランクイン。ロックバンド凛として時雨のギターボーカルTKによるソロ作。一応位置づけは「EP」で、「ミニアルバム」という扱いなのですが、オリコン上は収録曲の関係でシングル扱いに。初動売上は6千枚で、アルバムとしては前作「flowering」の1万1千枚(最高位14位)からダウン。低水準だったシングルチャートゆえの初のベスト10入りになりました。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2014年3月11日 (火)

日本でももっと注目されてもいいと思うのですが・・・。

Title:The Best of Keane
Musician:Keane

Coldplay、Travis、Keane・・・個人的にこの3バンドはどうしても似たような印象を抱いてしまいます。いずれも切ない美メロを前面に押し出したポップスロックバンド。90年代後半から2000年代前半にデビューし、イギリスで大ブレイク。ちょっとしたブームを巻き起こしました。

現時点での本国での人気はColdplay>Keane>Travisという順番でしょうか。Coldplayについては言うまでもありません。イギリス本国のみならずアメリカをはじめ全世界でブレイク。グラミー賞を獲得し、いうまでもなく現在、もっともビックなバンドの一組になっています。しかしKeaneも決して負けてはいません。イギリスではデビュー以来すべてのオリジナルアルバムが1位を獲得。「Under the Iron Sea」「Pefect Symmetry」ではビルボードでのベスト10ヒットを果たしました。

なのになぜか日本ではKeaneの知名度は極端に低くなっています。Coldplay>Travis>Keaneといった感じでしょうか。前々作「Perfect Symmetry」では、ついに国内盤発売すらなくなってしまいました(直近作「Strangeland」では無事国内盤の発売もありましたが・・・)。

比較的輪郭のはっきりしたポップなメロディーラインは日本人好みだと思うのですが・・・・。今回発売された彼ら初のベスト盤では、そんな彼らのメロディーセンスの良さをあらためて実感できる内容になっていました。

今回のアルバムは、彼らの代表曲がリリース順に収録されています。そのため、彼らの歩みが非常によくわかる展開に。特にアルバムの序盤、「Hopes And Fears」からの楽曲が特に絶品。特に彼らの代表曲とも言える「Somewhere Only We Know」は、何度聴いても胸に響いてきます。

ただちょっと残念だったのは中盤。「Under the Iron Sea」以降、新たな挑戦を感じさせる曲や、スケール感のある曲に挑戦しています。おそらくデビュー作が大ヒットを記録しただけに新たな一歩を踏み出そうとしたのでしょうし、スタジアムバンドとして成長を遂げようとがんばったのでしょう。事実、この時期の曲も十分ポップで魅力的ではあると思います。ただ、新たな挑戦にしてもスケール感にしてもちょっと中途半端。スタジアムバンドを狙って失敗しちゃったかなぁ、という印象も受けました。

でもうれしいのは、最近の作品については再び美メロが復活してきています。中盤にような新たな挑戦というよりは、彼らの持ち味であるメロディーを生かしたシンプルな曲が増えてきています。特に「Sovereign Light Cafe」はそんな彼らの持ち味が最も生かされた名曲と言えるのではないでしょうか。その後新曲2曲がおさめられていますが、どちらもメロディーにインパクトがあり、今後のKeaneも楽しみになってくる作品でした。

DISC2には未発表曲やシングルのカップリングが収録。こちらもKeaneの魅力がしっかりと伝わってくるポップソングが数多く収録されており、ベスト盤同様、楽しむことができます。

しかし、これだけメランコリックなインパクトのあるメロを書くんだから、もっと日本でも注目されてもいいと思うんだけどなぁ。確かに、中盤の中途半端さはバンドとしての限界も感じたのですが、それを差し引いても十分すぎる魅力的な楽曲が並んでいます。ColdplayやTravisが好きなら彼らもぜひとも聴いてほしい。その第1歩としておすすめのベスト盤です。

評価:★★★★★

KEANE 過去の作品
Perfect Symmetry
NIGHT TRAIN
Strangeland


ほかに聴いたアルバム

2013 Grammy Nominees

日本でもおなじみグラミー賞のノミネート作品を収録したオムニバスアルバム。その年の音楽シーンを知るには最適な1枚。正直ちょっとつまらなかった2011年ヴァージョンから、2012年ヴァージョンはグッとおもしろくなりましたが、2013年はさらにバラエティー豊かなおもしろい曲が並んでいます。例えばロックにしても、The Black Keys、Jack WhiteやAlabama Shakesのようなルーツ志向の楽曲から、Fun.のようなみんなが聴いていて楽しくなるような曲まで並んでいますし、Katy Perryのようなガールズポップ、Frank OceanのようなメロウなR&B、Mumford&Sonsのような爽やかなカントリー路線と実に楽曲の色彩が豊か。例えばアイドル系がはやると、猫も杓子もアイドルに走るような日本とは異なるシーンの多様性を感じます。それがいい意味で音楽シーンに勢いを与えているように感じました。邦楽しか聴いていない方にこそ、ぜひとも聴いてほしいオムニバスです。

評価:★★★★★

Grammy Nominees 過去の作品
2011 GRAMMY NOMINEES
2012 GRAMMY NOMINEES

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2014年3月10日 (月)

敬愛する6人のミュージシャンをカバー

Title:Listen To The Music 3
Musician:槇原敬之

ボーカリスト槇原敬之。槇原敬之というミュージシャンについては、その歌詞、そしてメロディーについては良く語られ、高く評価されることが少なくありません。ただボーカリストとしての側面はどうでしょうか?決してあまり多く語られることはありません。確かに彼は決して飛びぬけた歌唱力があるわけではありません。また、個性的なボーカルを聴かせてくれるわけでもありません。しかし彼のボーカルは安定感があり、間違いなく「上手い」と言えるだけの歌唱力は持ち合わせています。そしてなにより彼のつつみ込むような優しいボーカルは、彼の楽曲にマッチしています。彼の楽曲の魅力の多くの部分は、あのボーカルがあるからというのは間違いない事実だと思います。

今回のアルバムは、そんなボーカリスト槇原敬之が臨むカバーアルバム。タイトル通り、以前からコンスタントにリリースされており今回が第3弾となります。第1弾、第2弾については、様々なミュージシャンの曲をカバーしてきた彼ですが、第3弾となる本作は大江千里、小田和正、久保田利伸、中島みゆき、松任谷由実、山下達郎という彼が影響を受けた6人のミュージシャンの楽曲を、CD2枚18曲に渡ってカバーしたアルバムになっています。

カバーするミュージシャンを6組に絞った結果、ミュージシャンによってマッキーとの相性の良否がはっきり感じられました。一番カバーが良かったと思ったのが中島みゆき。これでもかというほど感情を込めて仰々しく歌い上げる中島みゆきに対して、彼のカバーは至ってシンプル。その結果、中島みゆきの楽曲の本来持っているメロディーや歌詞の良さがより明確になったように思います。「銀の龍の背に乗って」などはその傾向がもっとも顕著に出たように思いました。

一方で、一番相性が悪く感じられたのが山下達郎。彼の楽曲の場合、楽曲の後ろでしっかりと感じられるブラックミュージックからの影響が大きな要素となっています。ただ、「MAGIC TOUCH」が顕著だったのですが、彼のカバーはブラックミュージック独特のリズム感がいまひとつ感じられず、ちょっと平坦に感じられました。

ただ、彼らのカバーに限らず、今回のアルバム、彼が影響を受けたミュージシャンに絞ったのですが既に以前のカバーアルバムでカバー済みのミュージシャンも多く、正直言って、全くカバーの意外性がありませんでした。「なるほど、マッキーの手にかかるとこういう解釈になるのか」というカバーはなく、ある意味、聴く前から予想が出来た内容のカバーばかり。また、カバーにしても原曲を大胆にいじったようなカバーはなく、基本的に原曲に忠実。そういう意味でも意外性のないカバーになっていて、あまり面白みはありませんでした。

確かにバラードナンバーに関しては、マッキーのボーカルの優しさが曲にピッタリマッチしており、カバーとしていい味は出していたと思うのですが、アルバム全体としてはカバーアルバムとしての「味」である意外性や、彼ならではの独自の解釈というおもしろさはあまり感じられないアルバムでした。ちょっと残念。第4弾では是非、「え?こんなミュージシャンもカバーするの?」とか、「この曲がマッキーの手にかかるとこんな風になるのか・・・」というカバーを聴きたいなぁ。もちろん、悪いアルバムではないのですが、ちょっと物足りなさも感じるアルバムでした。

評価:★★★★

槇原敬之 過去の作品
悲しみなんて何の役に立たないと思っていた
Personal Soundtracks
Best LOVE
Best LIFE

不安の中に手を突っ込んで
NORIYUKI MAKIHARA SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT CELEBRATION 2010~SING OUT GLEEFULLY!~
Heart to Heart
秋うた、冬うた。
Dawn Over the Clover Field

春うた、夏うた。


ほかに聴いたアルバム

ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン/ザ・クロマニヨンズ

昨年行われたライブツアー「ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン」の模様を収録したライブアルバム。このライブアルバム、決して音は良いわけではありません。ただその分、ライブ会場の雰囲気がそのまま密封したような内容になっています。バンドとしての迫力はもちろん、観客の熱気もそのままパッケージした内容で、クロマニヨンズのライブの魅力が十二分に伝わってきました。1曲あたり2、3分程度の曲が次から次へと展開するテンポよい内容も実に魅力的。クロマニヨンズのライブはまだ一度も見たことないのですが、一度見てみたいなぁ・・・そう感じさせるには十分すぎるほど魅力的なライブアルバムでした。

評価:★★★★★

ザ・クロマニヨンズ 過去の作品
CAVE PARTY
ファイヤーエイジ
MONDO ROCCIA
Oi! Um bobo
ACE ROCKER
YETI vs CROMAGNON

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2014年3月 9日 (日)

上田剛士の異なる魅力が2枚に。

現在活動休止中のTHE MAD CAPSULE MARKETS上田剛士のソロプロジェクト、AA=。昨年末、2枚のミニアルバムが続けざまにリリースされました。

Title:#
Musician:AA=

まず11月下旬にリリースされたミニアルバム「#」、そして・・・

Title:4
Musician:AA=

そしてこちらがそれからわずか2週間のインターバルを置いてリリースされたミニアルバムです。

どちらも30分に満たない長さの作品で、両者あわせても1時間に満たない長さになっています。それだけに、1枚にまとめてもよかったのでは?と思わなくもないのですが、楽曲の雰囲気として異なるスタンスの2作品。AA=というミュージシャンの持つ2つの方向性を示したといえるのかもしれません。

まず「#」の方は、明確にデジタルハードコア路線。いわば後期MADの延長線のような雰囲気の作品。ヘヴィーなバンドサウンドにデジタルサウンドが加わったダイナミックな作風。そこに載るメロディーはハードコア風ながらも、サビの部分は意外とポップというスタイルはMADそのまま。テクノ、ロック、ハードコア、HIP HOP、ポップの要素がたくみに交わった作風は、上田剛士らしさが全開されている、と言えるかもしれません。

ただ、一方でちょっと気になったのは、楽曲の輪郭が少々薄いように感じました。要するに、上田剛士がサウンドに込めたアイディアが先にありき、といった印象で、ポップソングとしてまとめあげられていない、MADの時のようなわかりやすいメロやインパクトのあるサビが少々不足していて「ポップソング」としての物足りなさを感じてしまいました。

逆に「4」に関してはまさにポップソング路線を前に押し出した作品。インパクトあるポップなメロがまず先にありきの作品で、それだからこそ「#」で少々ぼやけていた楽曲の輪郭が明確になったアルバムになっていました。

ただ、ポップになった分、パンキッシュな作風の曲が多くなり、「#」で魅了したデジタルハードコア色は薄め。上田剛士のアイディアもちょっと控え気味といった感じ。なんか「#」と「4」を足して2で割ればちょうどよい傑作になりそうなのにもったいないなぁ、という印象も受けてしまいました。

もっとも「4」の中でも「The Klock」などは、まさに後期MADを彷彿とさせるデジタルハードコア路線。さらにサビの部分で楽曲の抜けが入り、一気にポップなメロになる部分も上田剛士らしい楽曲構成。まさにファンなら大満足の名曲に仕上がっていました。

そういう意味で上田剛士の魅力はきちんと感じられたものの、その魅力を2枚のミニアルバムに分散してしまった結果、ちょっとその魅力が薄れちゃったかも、とも感じた作品でした。このアルバムを聴く場合は2枚で1作なので、2枚まとめてどうぞ。

評価:どちらも★★★★

AA= 過去の作品
#1
#2

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2014年3月 8日 (土)

素朴な美メロにはまります。

Title:Into The Lime
Musician:The New Mendicants

Teenage Fanclubのノーマン・ブレイクと、Pernice Brothersのジョー・パーニスが組んだ新バンド。ごめんなさい、Pernice Brothersは聴いたことがないのですが、Teenage Fanclubといえば、私も大好きなバンド。また、ノーマン・ブレイクといえば、以前、ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキと組んだバンドJonnyのアルバム「Jonny」が個人的に壺にはまり、2011年の個人の洋楽年間ベストアルバムに選んだほど。それだけに、今回のアルバムももちろん購入しました!

そして、この内容はその期待に見事沿った美メロの連続になっていました。まず耳を惹いたのが2曲目の「A Very Sorry Christmas」。ほどよくギターを聴かせるバンドサウンドに、メロディーがとにかく絶品。キューっと胸がしめつけられるようなポップだけど切なさが同居するメロディーが実に見事。そう、こういうメロディーが聴きたかったんだよ!と思わず叫びたくなるような名曲でした。

ただ、そんな美メロがアルバム全体に流れているのですが、アルバム全体としてはアコースティックな感触の強いアルバムになっています。「Follow You Down」「By the Time it Gets Dark」あたりは特にアコギを中心としたサウンド構成に。ただ、それでももちろん、切ないメロディーは楽曲全体に流れています。

また、今回のアルバムでもうひとつ特徴的だったのは、ボーカル2人のハーモニー。これに関しては特に光っていたのが「If You Only Knew Her」でしょうか。この静かに聴かせる2人のハーモニーがまた絶妙でした。

で、ここまでこのアルバムの聴き所として書いてきた美メロにしても、アコースティックなサウンドにしてもハーモニーにしても、アルバムの中ではそんな特徴を「これでもか」といった感じで聴かせる感じではなくサラリと流しているんですよね。要するに、アルバム全体の印象としてはとても素朴。そしてそのシンプルな素朴さが、とても暖かい雰囲気を作り出しています。アルバムを通して聴いても30分強という短さも、そんな押し付けがましくないこのアルバムらしい長さと言えるかもしれません。

ただ、そんなアルバムの中でちょっと浮いていたのがラストの「Lifelike Hair」。ちょうど先日紹介したTEMPLESのような60年代サイケポップのようなナンバー。他の曲と比べると、明らかに違うタイプでちょっと違和感があるのですが・・・これはこれで、アルバムの中の「異物」としておもしろいのかもしれません。

さて今回のアルバム、もちろんTeenage Fanclubの曲は良く知っているのですがPernice Brothersは初耳。楽曲によってはちょっとアメリカンロックなテイストの曲があったので、もっとアメリカンロックなバンドなのかなぁ、と思ってYou Tubeでちょっと試聴してみたのですが・・・思いっきりTeenage Fanclubと同系統の美メロポップバンドで、はまってしまいました(笑)。彼らのアルバムもチェックしてみなくては!こういう出会いもいいですよね!

そんな訳でシンプルな作風に派手さはないのですが、聴けば聴くほどはまっていってしまう傑作でした。洋楽アルバム本年度最初のベスト盤候補か?美メロポップが好きなら、手放しでお薦めしたい傑作です。

評価:★★★★★

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2014年3月 7日 (金)

ノイジーなサウンドに懐かしさが

Title:SUN STRUCTURES
Musician:TEMPLES

イギリスからまたおもしろいバンドが出てきました。4人組ロックバンドTEMPLESのデビューアルバム。かのノエル・ギャラガーやジョニー・マーが大絶賛したということでも大きな話題に。昨年、「Hostess Club Weekender」への出演で来日し、話題にもなっています。

彼らの楽曲がとてもユニークなのは、アルバムを聴きはじめてすぐにわかります。全編にリヴァーヴがかかったようなノイジーなギターサウンドに、とてもキュートなポップス。「サイケデリックバンド」とカテゴライズされる彼らの音は、確かに「サイケ」なのですが、ただサイケデリックロックがもっともっとポップだった、60年代、例えればゾンビーズあたりの影響をストレートに感じさせるポップソングを奏でています。

そんな彼らの音は、新しさ以上に懐かしさを感じさせる音。そしてそれ以上にポップなメロディーと、そのメロを甘くデコレートするかのようなバンドサウンドがとてもキュートなサウンドを作り上げています。デビューシングルとなった「SHELTER SONG」などもまさにそんな魅力がギュッと凝縮された曲になっていますが、アルバムの前半、特にキュートに感じたのが「MESMERISE」あたりでしょうか。このアルバム、特に前半はそんな聴いているだけで楽しくなってくるポップスが並んでいます。

そんなポップソングは、60年代のギターポップが好きなら一発ではまってしまいそうですし、例えば「A QUESTION ISN'T ANSWERED」あたりのドリーミーな楽曲は、シューゲイザー系あたりにも通じるものがありそう。ただどの曲もノイジーなサウンドの中に誰でも楽しめるような暖かさと懐かしさがあり、そういう意味では幅広いリスナー層にアピールできそうなバンドのようにも感じました。

そんな訳で、ノエル・ギャラガーやジョニー・マー大絶賛も納得の1枚。こういうちょっと懐かしさを感じるギターポップというのも、ある種イギリスのお家芸のような感じもします。ただ一方で、後半になってくると、ちょっと飽きが来たようにも思います。特に後半、ポップなメロディーよりもサウンドを前に押し出しているような曲も多く、そうなると、楽曲としてちょっと単調さも感じました。「SAND DANCE」など、後半、バンドサウンドをしっかりと聴かせてくれますが、正直、長くてダレるだけ、という印象が・・・。そういう意味ではバンドの足腰の弱さも弱点として感じます。ここらへんは今後の課題ということでしょうか。

そういう気になる点もあるものの、アルバム全体としてはやはり十分に楽しめる傑作に仕上がっていたと思います。まだまだ課題はあるものの、これからが楽しみなバンドなのは間違いありません。イギリスギターロック好きは要チェックです。

評価:★★★★★

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2014年3月 6日 (木)

新譜ラッシュ

今週のアルバムチャート

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アルバムチャートは10枚中8枚が初登場という新譜ラッシュとなりました。

そんな中で1位を獲得したのが倖田來未のニューアルバム「Bon Voyage」。一時期に比べて、人気は落ち着いた感じはあるのですが、まだまだ根強い人気を見せつけました。ただし、初動売上4万6千枚は直近作はリミックスアルバム「Koda Kumi Driving Hit's 5」の6千枚(最高位19位)よりはもちろんアップしているものの、オリジナルとしての前作「JAPONESQUE」の9万3千枚より大きくダウン。ここ数作、25万3千枚→13万8千枚→9万3千枚→4万6千枚と下落傾向は止まっていない模様。

2位は「うたの☆プリンスさまっ♪ 劇団シャイニング JOKER TRAP」。人気恋愛ゲームのキャラクターによるドラマCDの第3弾。初動売上4万2千枚は前作「うたの☆プリンスさまっ♪ 劇団シャイニング 天下無敵の忍び道」の3万5千枚よりアップしています。

3位は韓流男性アイドルのデゥオ。SUPER JUNIOR DONGHAE & EUNHYUK「RIDE ME」が入ってきています。初動売上は4万枚。さすがにSUPER JUNIORとしてのアルバム「Hero」の10万2千枚は大きく下回りました。

続いて4位以下の初登場ですが、アイドルグループさくら学院からの派生ユニットで、アイドルとメタルの融合として話題を集めたBABYMETALのデビューアルバム「BABYMETAL」がランクイン。初動売上3万7千枚はシングルの直近作「メギツネ」の2万1千枚からアップ。シングルより売上をアップさせましたが、話題性の割りには伸びなかった印象も。

6位にはASIAN KUNG-FU GENERATION「フィードバックファイル2」が入ってきました。シングルのカップリングやライブ音源、「NANO-MUGEN COMPILATION」に収録した楽曲などを集めた企画盤の第2弾。初動売上は2万1千枚で、直近作の「ザ・レコーディング at NHK CR-509 Studio」初動1万枚よりアップ。ただし2006年リリースの第1弾「フィードバックフィルム」の初動8万7千枚よりは大きくダウンしてしまいました。

7位初登場は、HY「HY SUPER BEST」。HYのオールタイムベストなのですが、例のごとく旧レコード会社が勝手にリリースしたベスト盤。初動売上1万5千枚は前作「Route29」の1万8千枚よりダウン。また、同日にオリジナルアルバム「GLOCAL」をリリースしています。自分たちの意図しないベスト盤リリースにぶつけてきたのでしょうか。ただ結果は初動1万1千枚で11位初登場というちょっと残念な結果になっています。

8位には人気声優花澤香菜「25」がランクインです。初動売上1万4千枚は、デビュー作である前作「claire」の1万5千枚より微減。

最後9位初登場は、仙台を中心に活動するローカルアイドルグループDorothy Little Happy「STARTING OVER」。初動売上1万3千枚で初のベスト10ヒット。直近のシングル「ASIAN STONE」は初動1万7千枚なので、アイドルグループとしては健闘した結果か?

今週のアルバムチャートは以上。シングルチャートはまた来週の水曜日に!

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2014年3月 5日 (水)

またミリオン

今週のシングルチャート

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今週は、AKB48の新曲がランクイン。

AKB48「前しか向かねえ」が1位を獲得。初動売上109万1千枚。前作「鈴懸の木の道で~」の103万3千枚よりアップ。前作が初動ミリオンギリギリだったので、何かのテコ入れが予想されたのですが、大島優子卒業というテコ入れをしてきました。で、6万枚の増加というのは微妙な結果。楽曲はなんちゃってメロコアといった感じで、タイトル含め、青春パンクがはやった頃に、雨後の竹の子のように出てきた自称パンクバンドが作ったようなチープな曲調。思ったより初動が伸びなかったのは純粋に曲の出来も一因だったかも。

2位はEXILEの事務所初の女性アイドルグループE-girls「Diamond Only」。日テレ系ドラマ「恋文日和」主題歌。初動売上は7万2千枚で、前作「クルクル」の6万9千枚より若干のアップ。相変わらずMUSIC CARD29種類という強烈なドーピングがついてきています。

3位は男性アイドルグループLead「サクラ」がランクイン。すぐそこに迫っている春に向けたさわやかなナンバー・・・といいたいところなのですが、いまさらこんなタイトルつけちゃうんだ・・・というのが正直な感想。「桜」というタイトルのJ-POPって、そろそろネタの扱いのように思うのですが。初動売上4万1千枚。これで前々作「Upturn」から3作続けて横ばい。

続いて、4位以下の初登場曲です。4位にはavexの男女混合ダンスグループAAA「Love」が入ってきています。初動売上2万5千枚は前作「恋音と雨空」の3万7千枚からダウン。前作に続き聴かせるタイプのナンバーになっています。

6位初登場は人気女性声優4人組ユニットスフィア「Eternal Tours」。軽快なポップチューンはアイドル色のかなり強いナンバーに。初動売上1万9千枚は、15位に終わった前作「Sticking Places」の1万枚より大幅増。5周年記念リリースという形で、違ったバージョンのDVDがつく4種同時リリースなど、大々的にプロモーション+売上増加の施策を行った結果の模様。

7位には初顔が。Rihwa「春風」という曲が入ってきています。Rihwaは、これがメジャー5作目となる女性シンガーソングライター。この曲はフジテレビ系ドラマ「僕のいた時間」主題歌に起用され、見事ブレイクを果たしています。ストリングスやアコースティックなサウンドを使った、スケール感がありつつメロディアスに聴かせるポップナンバー。良くも悪くも癖がないので誰でもすんなり受け入れられそうな一方、一発屋的な雰囲気も?初動1万6千枚は前作「Last Love」の7千枚(最高位13位)からアップ。ある意味、「ヒット曲」らしい売れ方をしています。

8位はKANA-BOON「結晶星」。初のベスト10ヒットとなった前作「盛者必衰の理、お断り」と、その後リリースされベスト3入りしたアルバム「DOPPEL」で注目度がグッと増した4人組ロックバンド。軽快なギターロックナンバーは、本作も思いっきり詰め込んだ歌詞が特徴的。初動売上1万3千枚は、前作の8千枚より大幅増。ただ、アルバムヒットを考えると思ったほど伸びなかったような印象も。

最後9位初登場は、秋葉原を中心に活動する女性アイドルグループALLOVER「桜BaByラブ」。完全にAKB48の亜流といった感じのユニットで、楽曲もAKB48の曲をグレードダウンさせたような感じ。上に「いまさら『桜』って・・・(苦笑)」と書いたのですが、まだ出てきちゃっていますね。初動売上1万3千枚は前作「世界でイチバン夏が好き」の1万2千枚(最高位13位)から若干のアップ。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日。

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2014年3月 4日 (火)

バンドとしての危うさがどこかに

Title:THE FACES
Musician:Dragon Ash

Dragon Ashというバンドは本当に大変なバンドだと思います。ブレイクし、それまで日本に定着していなかったHIP HOPというジャンルを一気にメジャーなものに押し上げた結果、HIP HOP界からはバッシングを受けます。そんな中「Greatful Days」で共演したZEEBRAからも、ディスを受け、その結果、HIP HOPから手を引き、音楽性をラテンへと大きくシフトさせました。

その後も2012年にはメンバーのIKUZONEの急逝という悲劇がバンドを襲います。正直、Dragon Ashの降谷建志が典型的な「おぼっちゃん」タイプで、こういう逆境をバネにするタイプにはどうしても思えないだけに、ここ数年、バンドの危うさばかりが目についていました。

そんなバンドの悲劇を乗り越え、6人体制では初となる約3年ぶりのニューアルバムが本作。イントロをはさみ事実上の1曲目が「The Show Must Go On」というタイトルの楽曲からスタートしていく点、メンバーの死を乗り越え、新たな一歩を進んでいこうというバンドの決意を感じるのですが、同時にバンドとして進んでいかざるを得ない、という危うさも、同時に感じてしまいました。

そして今回のアルバムは、前作「MIXTURE」に引き続きミクスチャーロックに回帰している点でしょう。さらに「Still Goin' On」ではHIP HOPグループのYALLA FAMILYが参加しており、まさにミクスチャーロックからHIP HOP志向の強いアルバムになっています。

正直、ラテン志向のアルバムは、後ろ向きな感覚が否めず、現役のバンドにも関わらず、どこか半分引退している大ベテランバンドみたいな雰囲気を感じてしまっていたのですが、やはり前作「MIXTURE」といい本作といい、Dragon Ashというバンドにはミクスチャーロックが一番似合っているんだ、ということをあらためて感じました。

そんな中で本作では「Here I Am」「Blow Your Mind」のような哀愁がたっぷり漂うような曲もチラホラ。ここらへんの曲に関しても、ラテンフレーバーといった感じではありませんが、ラテン音楽志向が強かった時期の残り香を感じます。そういう意味でも今回のアルバムは、ギターロック、HIP HOP、ラテンと彼らが通ってきた道の総括みたいな印象も受けました。

ただ・・・前作でも感じたのですが、今の彼らの音と、かつてブレイク直後の彼らの音とで最大に異なるのが攻撃性。時代を切り開いてやる、あるいは俺らの音を聴け、というブレイク直後の攻撃性はこのアルバムにはありません。もちろん、それは彼らがおとなしくなったといえるのかもしれませんが、ベテランである以上、余裕が出来た、と言えるのかもしれません。ただ、その余裕を持てるベテランとなり、代わりに入手した「何か」があまり感じられませんでした。

そういう意味では彼らも、バンドとしてもうひとつ新しい段階に踏み出すべき時なのかもしれないのですが、今回のアルバムではまだ無邪気にミクスチャーロックを楽しんでいるだけという感じもしました。もちろんそれもまたバンドとして素晴らしいことなのですが・・・。ファンとしては満足できるアルバムだと思いますし、Dragon Ashの良さも感じたのですが、今後への危うさも感じたアルバムでした。

評価:★★★★

Dragon Ash 過去の作品
The Best of Dragon Ash with Changes Vol.1
The Best of Dragon Ash with Changes Vol.2

FREEDOM
MIXTURE
LOUD&PEACE

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2014年3月 3日 (月)

新世代の「砂漠のブルース」

Title:Chatma
Musician:TAMIKREST

今回紹介するアルバムは、2006年にアフリカはマリで結成されたバンド、TAMIKRESTの3枚目となるアルバム。アフリカ・マリといえば「砂漠のブルース」と呼ばれたTINARIWENが知られていますが、彼らもまた、TINARIWENと同じくトゥワレグ人によるグループ。TINARIWENからも影響を受けているそうで、トゥアレグ人の音楽をその楽曲に取り入れた「砂漠のブルース」と呼ばれる独特の音楽を展開しています。

TAMIKRESTというのは「結び目」という意味だとか。メンバー全員1980年代生まれの若いグループだそうです。それもあり、欧米のロックミュージックからの影響を強く受けているそうで、確かに今回のアルバムを聴いて強く感じたのは、彼らの音楽はいわば欧米の音楽とアフリカの音楽をほどよいバランスで融合させているな、ということでした。

具体的に言うと、彼らの奏でるバンドサウンドは欧米のロックからの影響が強く、垢抜けた感じがします。特に、「砂漠のブルース」と呼ばれるが所以のギターの音色は、実にメロディアスでブルージー。彼らのギターから感じる哀愁あるサウンドは、垢抜けたものを感じると同時に、どこか遠いアフリカの砂漠を思い起こさせる・・・・・・というのは無関係な日本人が、勝手にセンチメンタリズムを感じているだけかもしれませんが(^^;;ただそういう感傷を彷彿とさせるようなサウンドに仕上がっていました。

また、全体としてパーカッションを多用しつつ、うねるようなサウンド、要するにグルーヴィーなサウンドを生み出している曲も多く、「Ejanegh etoumast」のようなファンキーなサウンドがとても魅力的な曲も。ちょっとサイケな要素も加わったこのバンドサウンドもまた、欧米のロックからの影響を感じる垢抜けた部分を感じます。

ただ、このグルーヴィーなサウンドに関してもまた、バンドサウンドをギターと同時にパーカッションに主導させることにより、どこかアフリカ的な独特のテイストを感じます。もっともその一方で、決してポリリズムを多用した複雑なリズムで圧倒・・・といった雰囲気でもない点、ロックリスナーにとってもある種の「聴きやすさ」も感じました。

そんな感じで欧米のロックの要素を入れつつ、随所にアフリカ音楽らしさを感じる楽曲が並ぶのですが、その中で一番アフリカ音楽らしかったのは、独特の節回しのメロディー。「Toumast anlet」「Timtar」など、ちょっと切ない雰囲気のあるメロディーがとても印象的でした。

またこのアルバムタイトル、Chatmaは「姉妹」という意味なのですが、そのタイトルナンバーともいえる「Tisnant an Chatma」(邦題:姉妹の苦しみ)をはじめ、マリの中で独立を求めるトゥアラグ人のメッセージを読み込んだ歌詞が多いのも大きな特徴。国内盤では邦訳もちゃんとついているところがうれしいところ。このトゥアラグ人の叫びともいえる激しいメッセージ性も大きな特徴となっています。

TINARIWENもアフリカ音楽の中で欧米のロック要素を取り入れ、私たちにも聴きやすさを感じるバンドでしたが、彼らも、それに増して、いい意味での聴きやすさ、アフリカと欧米の音楽のほどよいバランス感覚を覚えました。普段、ワールドミュージックをあまり聴かないような方にもお薦めできる1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

スコットとリバース/Scott&Rivers

えっと、これを「洋楽」として紹介していいのかちょっと迷う部分もあるのですが・・・WEEZERのリバース・クオモとALLiSTERのスコット・マーフィーのユニットのアルバムです。親日家である彼らのアルバムは、なんと全曲日本語詞の「J-POP」のアルバム。CDでのリリースは日本のみだそうで、そういう意味でも邦楽のアルバム、と言えるかもしれません。上で紹介したTAMIKRESTがアフリカと欧米の融合ならば、こちらはまさにJ-POPと欧米の融合のアルバム、と言えるかもしれません。

そしてこれが実に素晴らしい名盤に仕上がっていました。例えば「BREAK FREE」など、J-POP的な大サビがあったりして、全体としてJ-POP的なベタさ、要するにメリハリあるメロディーのわかりやすいキャッチーさを保ちつつ、洋楽的な美メロも同時にあわせもっています。ALLiSTERは聴いたことないので詳しくはわからないのですが・・・このメロディー、おそらくWEEZERのファンならたまらないのでは?

特に2曲目「HOMELY GIRL」などは、まさに彼ららしい、切ないメロディーラインが炸裂する名曲!歌詞の出だしが「神様から もらった この身体と心は」と、いかにもキリスト教的な、日本人が書かなさそうな歌詞からスタートしているのが逆にユニークなのですが、サビの部分がちょっと不自然に英語が入ってくるあたりJ-POPらしいなぁ、と思ってしまいます。

ある意味肩の力も抜けて、好きな音楽を好きなように演奏しており、美メロの連続は下手したらWEEZERの、名盤の呼び声高い1枚目、通称ブルーアルバムを彷彿とさせるくらいの出来。ちょっと企画盤的要素が強いから、といって忌避するのはあまりにももったいない傑作に仕上がっていました。美メロ好きはもちろん、邦楽リスナーにも聴いてほしい1枚です。

評価:★★★★★

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2014年3月 2日 (日)

黄金期のコンピ盤

Title:黄金の80'sベストヒッツ35曲!~Epic35~

80年代から90年代にかけて、佐野元春やTM NETWORK、渡辺美里、岡村靖幸といった層々たるミュージシャンたちを世に送り出し一世を風靡したエピックレコード(当時は「エピックソニー」と言われていましたが)。その会社設立35周年を記念してコンピレーションアルバムが配信でリリースされました。

エピックのコンピといってまず思い出したのが、25周年を記念してリリースされた「EPIC25」という一連のオムニバスアルバムでした。その時はエピックのミュージシャンが一堂に会した「LIVE EPIC」というライブイベントも行われ(私も行きました!)、かなり盛況なイベントとなったのを覚えています。

今回のコンピがリリースされた時、まず思ったのが「あれ?こないだこういう企画やったじゃん」ということ。そして思い起こすと、あれからもう10年という月日がたったことに驚かされました(厳密には、「LIVE EPIC」の開催が2003年の2月だったので11年です)。また、それと同時に、35周年のコンピはCDでのリリースではなく「配信」というスタイルを選択したことに、時代の流れを感じます。

今回のシリーズは、80年代、90年代、そして2000年代と年代を区切り、3回にわけてリリースされるそうです。エピックとしては90年代以降もジュディマリやいきものがかりといった一時代を築いたミュージシャンたちを世に送り出していますが、間違いなく黄金期と言えるのは80年代でしょう。私がリアルタイムでポピュラーミュージックを聴き始めたのは90年代からだったのですが、私が最初に「レーベル」というものを意識して音楽を聴き始めたのはエピックソニーでした。当時は「eZ」というエピックソニーが制作する音楽番組なんかも放送されていたりして、かなりレーベルカラーを押し出していたレコード会社というイメージがありました。

当時のエピックソニーというレコード会社は、どこか新しく、刺激的な、そして若い世代の気持ちに沿った音楽を奏でる「今時」のレコード会社というイメージがあり、そしてそんなエピックのイメージを作り出していたのは、まさに今回のコンピレーションに収録されているミュージシャンたちでしょう。佐野元春、THE MODS、大沢誉志幸、THE STREET SRIDERS、大江千里、渡辺美里、小比類巻かほる、TM NETWORK、遊佐未森、BO GUMBOS、松岡英明・・・ミュージシャンの名前を連ねるだけで、私くらいの世代の方にとってはワクワクしてきそうな並び。歌謡曲がまだまだ勢いがあった80年代にあって、当時10代、20代の若者たちが、自分たちの世代のための、自分たちのための音楽を作り出そう、そういう気概を今回のコンピの曲から感じます。

ただし一方でユニークなのが、このコンピ、1曲目はばんばひろふみの「SACHIKO」というバリバリのフォークソングではじまり、最後は時任三郎の「勇気のしるし~リゲインのテーマ~」というコミックソングで終わります。この並びには、エピックレコードがいわば「今時の若者たち」の曲ばかりではなく、様々なタイプの曲を手がけてきたんだ、という一種の主張も感じます。実際、渡辺徹の「約束」や、渡辺満里奈の「深呼吸して」といったアイドル系の楽曲やTERI DESARIOの「オーヴァーナイト・サクセス」といった洋楽も収録されていおり、そんなエピック側の主張も感じました。

今後、第2弾、第3弾のリリースも予定されているそうですが、おそらく内容としては80年代のコンピを超えることはないでしょう。それだけ一時代を築いた時代の楽曲ばかり。まあ正直この手のコンピは、最近、数多くリリースされているので、そういう意味での「目新しさ」的な要素が若干薄いのは残念なのですが・・・。ただ、配信というスタイルで、数多くのヒット曲が手軽に聴けるという意味でも、リアルタイム世代はもちろん、今の10代20代も、一度チェックしてみてほしい作品です。

25周年の時のように、また、このアルバムに参加したミュージシャンたちでのライブイベント、やってほしいなぁ。ただ、25周年の時は、Wikipediaの記述によると、創始者の丸山茂雄氏の送別という意味が主目的だったようですが。次は45周年?それとも50周年??ただ、そこまでエピックレコードが残っていられるのかが、正直かなり微妙な状況なのですが(苦笑)

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

AT THE SWEET BASIL/吉井和哉

吉井和哉10周年のプレミアムライブとして、昨年10月に六本木スイートベイジルで行われたライブイベントの模様を収録したライブアルバム。基本的にライブ会場のイメージ通り、ジャジーな雰囲気にまとめあげられています。「夢は夜ひらく」のカバーなどはなかなか絶品で、やはり彼と歌謡曲の相性の良さを感じました。ただ一方ではジャズアレンジに走るということが、もちろんやってみたかったという点もあるのかもしれませんが、良くも悪くも「大人のシンガー」への道を歩んでしまっているのかなぁ、という印象も。

評価:★★★★

吉井和哉 過去の作品
Hummingbird in Forest of Space
Dragon head Miracle
VOLT
The Apples
After The Apples
18

大貫妙子トリビュートアルバム - Tribute to Taeko Onuki-

大貫妙子の音楽活動40周年を記念してリリースされたトリビュートアルバム。ユーミンや竹内まりや、坂本龍一、奥田民生らのベテラン勢から、やくしまるひろこ、青葉市子といった若手まで豪華なミュージシャンがズラリ。その各々が、それぞれの個性を生かしつつ、きちんと大貫妙子の名曲をカバーしています。そういう意味では、ある種「文句のつけようのない」アルバム。ただ正直、それが逆に意外性がなく、聴いた後いまひとつ印象の薄いアルバムになってしまったような感じがしました。もちろん、1曲1曲の内容は名カバーばかりで、大貫妙子のファン、参加ミュージシャンのファン、両方にとって満足はいく内容とは思うのですが。

評価:★★★★

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2014年3月 1日 (土)

ツアータイトルの意味は・・・?

KAN BAND LIVE TOUR 2014【Think Your Cool Kick Yell Come On!】

会場 Zepp Nagoya 日時 2014年2月20日(木)19:00~

Kanlive2014_2

待ちに待ったKANちゃんのライブツアー!もちろん、今回も足を運んできました。前回のライブから約2年ぶり。今回も会場はZepp Tokyoです。

会場には、7時10分くらい前に着いたのですが、既にライブがスタートしていました。というのも、今回コーラスで参加している菅原龍平のソロステージがオープニングアクトとしてライブを行っていたのです。もちろん、彼を見るのは今回はじめて・・・と言いたいところなのですが、実は彼がthe autumn stoneというバンドにいたころのライブを何度か見ていて・・・過去のデータをあさったら、約14年ぶりに見るステージのようです(^^;;ただ、ギターロックバンドだったthe autumn stoneと異なりフォーキーなステージ。わずか2曲しか聴けなかったのですが、ラストの曲は社会派な歌詞を聴かせる曲で、なかなか良かったように思います。

(以下、例のごとくネタバレ満載です。ご注意!)

で、彼のライブがスタートすると、なぜかそのままステージ中央に直立不動。しばらくするとおもむろに足元からスレイベルを取り出して、そのままライブスタート。パッとステージに光が灯ると、きゃりーぱみゅぱみゅのライブみたいな大きなリボンと飴やアイスクリームなどの看板がセットされたド派手なステージ。そこに、チェック柄の派手な服を着た、KANをはじめとするバンドメンバーが、同じくベルを手に、並んで入場してきました(笑)。

そんなきゃりーぱみゅぱみゅなセットを前に、「明るいだけのLove Song」からライブはスタート。さらに「君から目がはなせない」とこのセットにピッタリのポップなナンバーが続きます。が、さすがに50歳を過ぎたKANちゃんのライブにはこのセットは厳しいみたいで、途中からこのド派手なセットは撤収。その後、「サンクト・ペテルブルグ−ダジャレ男の悲しきひとり旅−」そしてキラーチューン「まゆみ」、さらにはライブではレアな「君がいなくなった」と聴かせるナンバーが続きます。

その後はポップな楽曲から一転、本人曰く"スタイリッシュ"で"アーバン"、他の言い方がないかベースの西嶋さんに振ったところ「マンダム」なんて答えが返ってきたりもしていましたが、ともかくそんな「大人な雰囲気」のナンバーが続きます。「ホタル」「BRACKET」と続き「Mr.Moonlight」では、これまた西嶋さんがみなさんにプレゼントということで、いきなりSaxを持ち出し、ムーディーな雰囲気でSaxを(でも、お世辞にも上手いとはいえないレベルで)吹き出します。やがて、どこかで聴いたことあるメロディーになったかと思えば、なぜか「長崎は今日も雨だった」に(笑)。

スタイリッシュな曲のコーナーは続き、アコースティックコーナーに。ここでまたちょっとしたコントが。これ見よがしにアップライトベースが置かれ、これまた西嶋さんがいかにも「自分に振って」というようにアピール。で、KANちゃんが「これ、なんという楽器ですか」とアップライトベースを指して質問したかと思えば、全く違うバンドメンバーが、自分の楽器について答える・・・というコントに。で、結局アップライトベースについての説明はないどころか、使われもしませんでした(^^;;

そのアコースティックコーナーでは「Girlfriend」、そしてKANちゃんがコーラスの菅原さんたちと組んだバンド、Cabrellsの曲「Chu Chu Chu」を披露してくれました。

その後はKANちゃん一人がステージに残り、今回の奇妙なライブタイトルの説明。「Think Your Cool Kick Yell Come On!」はそのまま日本語として読んで、「新曲聴けるかも」という意味だそうです(^^;;この日は、このツアータイトルにちなみ(?)彼の未完成の曲を集めたデモCDが売られており、私も買ってきました。そしてその後は「世界でいちばん好きな人」をピアノ弾き語りで聴かせてくれ、会場の雰囲気は一度、グッと引き締まります。

さらにKANちゃん一人のMC、この日披露される新曲2曲の説明がここであり、そのまま後半戦に突入。「よければ一緒に」から、新曲1曲目「scene」へ。KANちゃんらしいこの曲は、なんとミスチルの2000年代初頭の曲をイメージしてつくった曲。確かにイントロ一発目のギターはまんまミスチルでしたし、彼がMCでミスチルらしい部分として説明していた「Aメロは低いトーンで入る」「サビ前にちょっとだけファルセット」「そして大サビ」「サビのメロディーは複雑だけどもそれをちゃんとポップに聴かせる」というミスチルらしいスタイルをきちんと踏襲していて、うん、いかにもミスチルらしい曲だ(笑)。一方、歌詞はスキマスイッチの「全力少年」をパクッたそうで(ジャックダニエルをプレゼントして大橋卓弥には許可済みだそうです)、仮タイトルは「全力ほうき星」だったとか。確かにサビは、まんま「全力少年」でした。

で、このいかにもミスチルらしい曲から「愛は勝つ」への展開はまさに鳥肌モノ。この日はいつも以上にダイナミックなアレンジがほどこされていて、会場はさらに盛り上がります。そして新曲2曲目は「さくらナイトフィーバー」。「さくら」をテーマとした曲だそうですが、KANらしいところは「さくら」の気持ちになって歌った歌詞だそうで、「夜はライトアップされて眠れない。眠らせてくれよ」「夏や秋もそこに立っているんだから春以外も気付いてくれよ」という歌詞がとてもユニークな、80年代風ディスコチューン。事前に簡単な振り付けも教えられ、新曲なのに大盛り上がりでした。

そして「Oxanne−愛しのオクサーヌ−」で会場は最高潮に。さらに本編ラストは、これまたちょっとレアな「1989(A Ballade of Bobby & Olivia)」。ベスト盤にも収録されていないまさに隠れた名曲。別れた恋人同士の会話から、彼らの出会いと別れを歌った、物語性のある歌詞に、聴いていて思わず涙してしまいました。

もちろんその後は盛大なアンコールに。そしてアンコール最初は、また菅原さんが直立不動でステージの真ん中に、という、本編一番最初のはじまりと同じようにスタート。「ここでダイジェストがスタートか?」と思ったのですが、足元から取り出したのは、おそらくオーシャンドラムという楽器。で、メンバーが登場して、あとはKANと思ったら、いきなり半そでサングラスでバンダナをした、いかにも浜田省吾な人が登場(笑)。で、楽曲はもちろん、浜省の曲をパロッた「エンドレス」へ。なぜか「広島~!」と叫んだりして、まさに浜省なステージでした(笑)。

そしてステージはそのまま「適齢期Love Story」へ。シンセでバリバリ盛り上がるナンバーで、会場はさらに盛り上がります。さらに恒例のライブダイジェストへ。途中、今回もAKB48の「ヘヴィーローテーション」がなぜかまじり、相変わらず笑い要素が一杯のダイジェストでした。

メンバー全員のあいさつが終わり、ライブメンバーがステージから去ると最後はKAN一人のピアノ弾き語りで「50年後も」。最後はKANのミュージシャンとしての実力をしっかりと見せ、会場を締めて、ライブは終わりました。

全3時間。相変わらずネタ満載のとても楽しいステージでした。今回はネタ以上に、「スタイリッシュ」なナンバーが多く構成されていたり「聴かせる」という要素も強いステージだったように感じます。あと、菅原さんが本編最初とアンコールで、スレイベル、オーシャンドラムというちょっと変わった楽器を取り出したり、途中のコントのコーナーでもユニークな楽器の紹介があったりと、この「いろいろな楽器を演奏」というのもひとつのテーマになっていたような。

個人的には隠れた名曲「1989(A Ballade of Bobby & Olivia)」が聴けたのもすごくよかったし、新曲2曲も名曲!こちらも早くアルバムで聴きたいなぁ。本人曰く「ライブが終わったら・・・ゆっくり休んで・・・それから考えます!」だそうなので、アルバムはもうちょっと先になりそうですが(^^;;

そんな訳で、相変わらずの大満足なライブでした。ちなみに恒例の最後の偽ツアータイトルは「長崎は今日もさくらナイトフィーバー」でした(笑)。

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