(無題)
Title:第5作品集「無題」
Musician:downy
来た!!downyのニューアルバム!downyは2000年に結成されたポストロックバンド。2000年にシングル「月宿る善良」をリリース後、アルバム4枚、ライブ盤1枚をリリース後、活動を休止しました。
変拍子を多用したリズムに、ヘヴィーなギター。エレクトロニカ的な要素も加えつつ、メロディーは意外とポップ。彼らのアルバムはそんな独特の世界を作り上げた傑作の連続でした。また、メンバーにはVJも加わっており、楽曲のイメージをそのまま反映させた映像を交えた圧巻のステージをつくりあげていました。
そして活動休止から9年。まさかの活動再開。さらに、9年ぶりとなるニューアルバムがリリースとなりました。ちなみに彼らのアルバムの大きな特徴として、アルバムタイトルがすべて「無題」である、という点。本作もそのスタンスを引き継いでいるのがうれしいですね(笑)。さすがに、久しぶりなので「第5作品集」という副題がついているみたいなのですが。ただし、久しぶりのニューアルバムなので、あの頃のような傑作が聴けるだろうか、期待半分、不安半分で聴いたアルバムでした。
しかしその結果として、不安な要素は全くの杞憂でした。というよりも、期待以上の作品だったかも?9年というインターバルを経て、きちんとdownyとしてのバンドの魅力が煮詰まったようなアルバムに感じました。
今回のアルバムも、変拍子を多用したリズムにヘヴィーなギターサウンド、そして意外とポップなメロ、という要素は以前の彼らと一緒。ただ今回のアルバムに関しては、特に「赫灼セルロイド」や「曦ヲ見ヨ!」あたりは、かなりリズム隊を前に押し出した作風を感じました。彼らは活動休止以前の末期、エレクトロニカ的な要素に傾倒していきましたが、これらの作品はリズムを前に出しつつも、メタリックなギターでタイトなサウンドをつくりあげており、どこかこのエレクトロニカ路線の延長のようなものを感じます。
かと思えば後半の「燦」はノイズが楽曲全体に流れている作品で、どこかシューゲイザー的な雰囲気。活動休止前の彼らの楽曲からは、マイブラやMOGWAIあたりの影響を強く感じたのですが、この曲がその路線を引き継いだ、といった感じでしょうか。かと思えば「雨の犬」では悲しげなメロが前面に出ています。このメロディーも彼らの魅力な大きな要素でしょう。
今回のアルバムは再活動にあたって、全く新しいことを演るのではなく、いままでのdownyの活動を咀嚼した上で、downyというバンドの良さをきちんと体現化したアルバムのように感じました。そしてその試みは見事に成功していたように感じます。9年の月日でじっくりと熟成されたdownyのサウンドは実に魅力的。個人的に彼らのアルバムの中では2002年リリースの2枚目が最高傑作だったと思っていたのですが、このアルバムはそれを塗り替える最高傑作と言えるかもしれません。
ちなみにこのアルバム、もうひとつうれしいのは全11曲43分というアルバムの短さ。この手のポストロックバンドは複雑な構成の音をじっくり聴かせたいがためにアルバムの長さが妙に長くなることがあるのですが、スパッと40分程度で終わるこのアルバムは、まったくだれることがなく聴くことが出来ます。実際、前半に関しては正直似たようなタイプの曲も多く、これが70分とか80分とかの長さなら、少々だれていたかも。1曲あたり4分程度でポップソングの感覚で聴けるのもうれしいですね。
そんな訳で、久々のニューアルバムにして傑作のアルバム。この復活劇は本当にうれしいです。ライブ活動も再開させているみたいなので、こちらも一度見ておかなくては。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
曽我部恵一 BEST 2001-2013/曽我部恵一
曽我部恵一のソロでの活動をまとめた2枚組のベスト盤。1枚目は代表曲を収録。2枚目はレア音源を中心に収録されています。楽曲はフォーキーな曲からギターロック、レゲエにHIPHOPまで様々。よく言えばジャンルに捕らわれずやりたいことを自由にやってるな、と感じますし、悪く言うと一貫性がない感じ。楽曲もそんなスタンスを反映するためか、楽しんで演っているな、と伝わる部分がある反面、少々内輪な雰囲気を感じる部分も。
評価:★★★★
キラキラ!(曽我部恵一BAND)
ハピネス!(曽我部恵一BAND)
ソカバンのみんなのロック!(曽我部恵一BAND)
Sings
けいちゃん
LIVE LOVE
トーキョー・コーリング(曽我部恵一BAND)
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