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2014年2月16日 (日)

日本の歌謡曲を聴く感覚で?

Title:Mendek Sevaolasizmi?
Musician:Yildiz Usmonava

1月2月は例年、新譜のリリースが少なめになるのですが、そんな時期、年末から年明けにかけて各種メディア等で発表される「ベストアルバム」のうち、まだ聴いたことないアルバムをいろいろ聴いていたりします。今回紹介するアルバムも、そんな流れで聴いたアルバム。「ミュージック・マガジン」誌のワールドミュージック部門で年間2位となっていたことをきっかけに聴いてみた1枚です。

彼女の名前は「ユルドゥス・ウスマノヴァ」と読むそうで、ちなみにアルバムタイトルは「メンデク・セヴァオラシズム?」と読むそうです。1963年に中央アジアのウズベキスタンで産まれた彼女はソ連崩壊に伴いウズベキスタンが独立した91年頃にデビュー。93年から96年にかけては3枚のアルバムをヨーロッパでもリリースするなど、高い人気を得たそうです。

その後も国内外で高い支持を得て、一説には全世界で2,000万枚ものアルバムを売ったとか。その高い人気から「中央アジアのマドンナ」という異名も持つそうで、国内では政界へも進出。「歌う代議士」としても知られるようになったそうです。

しかしそんな折発生したアンディジャン事件に反発する形で大統領と対立。トルコに亡命する形になり現在に至っているそうです。

ちなみに今回のアルバムタイトルは、ライナーツノートによると彼女の母語、ウズベク語で「あなたはわたしよりも愛しているの?」という意味だとか。トルコ亡命後の作品はトルコ語で歌われた作品をリリースしていたそうですが、今回は彼女の母語、ウズベク語による作品になっているそうです。

とまあ、以上、CDについていたライナーツノートの要約になってしまうわけですが、もちろん彼女のアルバムを聴くのは今回はじめて。ウズベキスタンの音楽、なんてのは全く想像できなかったわけですが、聴いてみてちょっとビックリしました。これ、完全に歌謡曲じゃん(笑)。

いや、それは決して悪い意味ではなく、日本人にとっては琴線に触れるであろうメロディアスなナンバーの連続。「DUNYO」という1曲目なんて、そのまま2ドラの主題歌として起用しても違和感ないレベル。4曲目の「YOLG'IZ ONA YOR YORI」なんか、ギターやストリングスの使い方も含めて、完全に日本の古き良き歌謡曲という雰囲気を漂わせるナンバーになっていました。

もちろん、「歌謡曲風」といっても、決してベタに日本的なわけではなく、むしろベースにしっかり中東的、アジア的な雰囲気が混じっているのがとても魅力的。「YALINGANING QANI」「MARG'ILONDAN RAVONA BO'LDIM」あたりがそんな典型例でしょうか。エキゾチックな雰囲気のアレンジは、ちょうど私たちが中東の音楽としてイメージしそうなタイプの音楽で、ちょっとアラビアテイストといった感じでしょうか、哀愁あるサウンドがとても魅力的でした。

とはいえ、全体的に歌謡曲っぽい雰囲気のメロディーが印象に残るアルバム。そこにアジアテイストのアレンジ、そこに彼女の力強いボーカルが加わる作品で、ワールドミュージックにカテゴリーされるアルバムですが、日本人受けしそうな要素も感じます。ウズベキスタンの音楽と、日本の歌謡曲にどこか似たような雰囲気を感じてしまうあたり、どこかで繋がっているのではないか、とすら感じてしまうアルバムでした。

そんな訳で、はじめて聴いた彼女のアルバムでしたが、その魅力は十分に伝わってきたように感じます。日本人にとってはどこか懐かしさも感じるようなアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Kiss Land/The Weeknd

昨年、本作は高い評価を得て、ビルボードでもチャート2位を記録し、大ヒットとなりました。作品は映画音楽あるいはドラマ音楽を彷彿とさせる、ちょっとベタな分厚いエレクトロアレンジ。仰々しい雰囲気もありますが、メロウなメロディーと対比してインパクト十分な出来になっています。ただ、その分厚いアレンジのため、後半はちょっとだれる直前に。そのため、ボーナストラック2曲はちょっと余計だったかも・・・。

評価:★★★★★

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