踊らせることに徹底して特化
Title:80:XX-01020304
Musician:80kidz
80kidzの最新作は企画盤。今年5月に始動したダンストラックEPシリーズ「80シリーズ」の4枚をCD1枚にまとめてリリースしたアルバムです。
まずはアルバムを1枚聴いて感じたのは、うーん、困った。ここのサイトでは、よくマイナス評価の表現として「新鮮味がない」「個性がない」という表現をつかいます。でもこのアルバムもはっきりいってしまえば新鮮味があまりありません。正直、80kidzしか持っていないような個性もありません。しかし、はっきりいってこのアルバムにはまってしまいました。
サウンドをカテゴライズするとエレクトロ・ダンス・ミュージックということになりそう。ただ、音的には今流行りのEDMといった感じではありません。むしろ、かつてのunderworldあたりを彷彿とさせそうな、90年代あたりのエレクトロミュージック。そういう意味でサウンドに新しさはほとんどありません。
ただ、アルバム全体に流れるのはあくまでも踊れることに主眼を置いたエレクトロミュージック。王道ともいえるサウンドは、確かに新鮮味はありませんが、「踊る」という機能性を除外するような要素は一切ありません。あくまでもリスナーを楽しませるための音楽で、聴いていて、知らず知らずに身体を動かしてしまうようなサウンドが特徴的。そういう意味で、実にリスナーの壺をついた作品になっていました。
もっとも簡単に「リスナーの壺をついた作品」と書いてしまっていますが、実際に思わず身体を動かしたくなるような音楽って、ダンスミュージックでもなかなかありません。比較的ビートの強いサウンドで、ロックテイストも強い、という点やダンスミュージックといっても、その後ろでしっかりメロディアスなメロディーが流れているという点も大きな魅力でしょう。最初に「個性がない」といいましたが、こういう王道ながらもメロディアスなテクノをしっかりつくってくるという点こそが80kidzの個性、なのかもしれません。
前作「TURBO TOWN」ではロック色の強い作品にシフトした80kidzですが、本作では以前のようなダンスミュージック路線に戻ったともいえる作品。もっとも、そういうダンスミュージックをコンセプトとした企画盤ですので、次のオリジナルではどんな作品をつくってくるのか不明なのですが・・・。ただ、徹底してフロア志向のこのアルバムは、聴いていて無条件で気持ちよかった傑作。ダンスミュージック好きは、必聴の1枚だと思います。
評価:★★★★★
80kidz 過去の作品
THIS IS MY SHIT
THIS IS MY WORKS
WEEKEND WARRIOR
TURBO TOWN
ほかに聴いたアルバム
ハッピーランチ/前野健太
前作からわずか11ヶ月というインターバルで発表された前野健太の新作。フォーキーな雰囲気が漂うアコースティックなサウンドがメインの構成というのは前作から変わらず。メロディーにも歌詞にもどこか歌謡曲っぽい雰囲気が漂うのもひとつの魅力に。ただ、前作に比べてインパクトが低く、若干内輪的な雰囲気を感じてしまった点、ちょっと惜しい感じも。
評価:★★★★
前野健太 過去の作品
オレらは肉の歩く朝
PANDORA/SiM
最近人気上昇中のヘヴィーロックバンド。全体的にヘヴィーで、レゲエ風なリズムをいれつつもいかにもなハードコア風な楽曲。ただ、へヴィネス度は適度に抑え、メロディーを比較的前に出しています。そのメロディーも結構ポップで、意外と哀愁があって、いい意味でも悪い意味でも日本的。確かに売れそうだなぁ、という印象。
評価:★★★★
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