奥田民生の魅力
Title:O.T.Come Home
Musician:奥田民生
ユニコーンとしてデビューして27年。今年、ソロデビュー20周年を迎える奥田民生のニューアルバム。デビュー以来、第一線で活躍し続けている彼ですが、そんな奥田民生の魅力って何かなぁ、とぼんやり考えてみました。
どこか飄々とした雰囲気、歌詞もユニークでとぼけた感じを出していながら、一方ではそんな彼の楽曲からはロックへの愛情を感じますし、ポップなメロディーラインにはファンに対する愛情も感じます。見た目にはとぼけた雰囲気を感じながらも、その奥には音楽への熱い愛情を感じさせる、それが奥田民生の大きな魅力のように感じます。
本作はそんな彼の約3年ぶりとなるニューアルバム。前作「OTRL」がライブレコーディングで誕生した企画盤的なアルバムだったので、純然たるオリジナルアルバムとしては2008年の「Fantastic OT9」以来5年ぶりとなるニューアルバムです。
なんでそんなことを考えたかと言うと、まさに今回のアルバム、そんな奥田民生の魅力満載の作品になっていたから。奥田民生らしい、ユーモラスでポップなロックナンバーが詰まった作品になっています。
基本的にオルタナティヴ系のギターロックがメインなのですが、アルバムの冒頭を飾る「フリー」はいきなりヘヴィーなギターリフが主導する、これぞハードロックといった感じのナンバーですし。タイトルも歌詞もユーモラスな「チューイチューイトレイン」はロックンロールナンバー。「フリーザー」は60年代ギターポップ風と様々なタイプのロックが繰り出されます。
歌詞にしてもどこかとぼけたユーモラスを感じながらも、実はしっかりみんなを優しくみつめる描写や、背中を押してくれるような雰囲気の曲が並んでいるのが魅力的。「ちょっとにがい」とか、恋に落ちた時の妄想をユーモラスにでもどこか暖かい視点で描いているのが魅力的ですし、先行シングル「風は西から」など
「明日へ突っ走れ 未来へ突っ走れ 魂で走れ
明日はきっといいぜ 未来はきっといいぜ 魂でいこうぜ」
(「風は西から」より 作詞 奥田民生)
なんていうかなり熱い応援歌を聴かせてくれ、彼の奥にあるとても熱いものを感じさせます。
そんな訳で今回のアルバム、奥田民生の新作として決して「真新しい」という感じはしません。むしろ奥田民生としての王道をきっちりとなぞった作品かもしれません。「O.T.Come Home」というタイトルもやはり原点回帰的な意味があるからでしょうか。しかしだからこそ、彼の魅力を存分に感じられるアルバムになっていました。
ユニコーンの活動と同時平行で、精力的な活動を続ける彼。まだまだその勢いは止まらなさそうです。
評価:★★★★★
奥田民生 過去の作品
Fantastic OT9
BETTER SONGS OF THE YEAR
OTRL
Gray Ray&The Chain Gang Tour Live in Tokyo 2012
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