ごった煮な楽曲が魅力的
Title:Amygdala
Musician:DJ Koze
昨日のA$AP ROCKYに続き、2013年に話題となったアルバムをあらためて聴いているのですが、今日紹介するのは、同じく「ミュージック・マガジン」誌のハウス/テクノ/ブレイクビーツ部門で1位を獲得したアルバムです。ドイツ人DJ、Stefan KozallaことDJ Kozeによる2枚目となるアルバムだそうです。
まずはこのアルバム、聴いていて非常に心地よくなるポップなアルバムでした。ハウス/テクノにカテゴライズされるようなジャンルでありながら、例えば「Nices Wolkchen」などのようにその音色は丸みを帯びていて優しく、かつメロディアス。もちろんその音色は大きく異なるものの、向いているベクトル的には、どうもレイ・ハラカミあたりに重なるような匂いも感じました。
また、「Das Wort」「Homesick」などのようにゲストボーカルを迎えたメロウな歌モノも多く収録されています。これらの楽曲に関しては、ちょっとジャジーな要素を加え、しゃれた雰囲気がどこかかつての渋谷系を彷彿???一方では「Ich schreib' direin Buch 2013」はドイツ語で歌うボーカルがとてもパワフルに感じられるナンバーで、どこかユーモラスも感じられます。そんなポップな曲の数々にハウス/テクノといったジャンルを超えて、多くの方が楽しめそうな「ポップ」のアルバムになっているように感じました。
かと思えば一方では、ポップの一言では片付けられないアグレッシヴな楽曲も並んでいるのがユニーク。私がこのアルバムの中で一番気に入ったのは「Royal Asscher Cut」で、四つ打ちのリズムのミニマルなサウンドが延々と展開していくナンバー。そのテンポよいリズムに軽くトリップできるような楽曲に仕上がっています。
他にも「Auroville」では、いきなりアフリカ的な楽器の音色が奏ではじめ、他の楽曲に比べて明らかに異色なナンバーになっていますし、最後を飾る「Gimme TBQ」はHIP HOP的な要素が強いナンバーになっているなど、様々なタイプの楽曲にも挑戦しています。
そんなアルバムの内容は、まさにごった煮的という雰囲気もピッタリ。しかし、じゃあバラバラな雰囲気になっているのか、と言われるとそうでもなく、どの楽曲も基本的に音の感触には統一感があり、アルバム全体にまとまりも感じられます。そういう意味でもアルバム1枚通して楽しめる、実に魅力的なアルバムになっていたと思います。
とりあえず今回、音はもちろん名前もはじめて聴いたミュージシャンでしたが、決してマニアックではなく、ポップな感覚で楽しめる傑作だったと思います。ハウス/テクノ好きでなくても、気になった方、要チェックのアルバムです。
評価:★★★★★
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