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2014年2月21日 (金)

来日公演も話題に

Title:NEW
Musician:PAUL McCARTNEY

昨年11月の来日公演も大きな評判となったPAUL McCARTNEYの新作。今回のアルバム、「NEW」というタイトルとは裏腹に、非常に懐かしさを感じる作品になっていました。

「ビートルズを彷彿とするような」という言い方は、ビートルズというバンドの大きさから言うこともはばかられるようなリスキーな表現ですが、ただそれでもあえて言わせていただければ、おそらくポール・マッカートニーというミュージシャンのイメージは、音楽ファン意外にとってはビートルズ時代のヒット曲のイメージが強く、そして今回のアルバムは、そんなイメージに沿ったような内容になっているような印象を受けました。

確かに今回のアルバム、エイミー・ワインハウスを手がけたマーク・ロンソンや、アデルを手がけたポール・エプワースなど、今をときめくプロデューサーたちが共同プロデュースとして名前を連ねています。実際「Appreciate」などはエレクトロサウンドを入れたりして、「今風」の音を演出しようとしています。

ただ正直言うと、結果として「21世紀のポール・マッカートニー」像を演出できていたかと言われるとかなり微妙。ちょっと意地悪な言い方をしてしまうと、今風の音を取り入れたのも、「今の音楽にもちゃんとアップデートしていますよ」という言い訳づくりのようにも感じました。

しかし逆に、無理に必要以上、「今」の音を取り入れなかった結果、このアルバムは傑作になっていたように感じます。今回のアルバムの素晴らしさは、1にも2にもメロディーの良さ。もうここは稀代のメロディーメイカーポール・マッカートニーの本領発揮といった感じでしょう。特に傑作だったのが「Queenie Eye」で、甘~いメロディーラインが聴いていてとろけそうに魅力的。あたらしいポールの代表曲が登場、といっても過言ではない名曲だったと思います。

このポールの個性が出てくるメロディーラインの特徴が、60年代70年代という時代のイメージを形作るものだけに、彼の美メロが最大限発揮された今回のアルバムに一種の懐かしさを感じるのでしょう。それはどうしても一時代を築いたミュージシャンの宿命ですし、またそれだけ今回のアルバムは、彼の良さがメロディーラインに反映されていた、と言えるのかもしれません。

繰り返しになりますが今回のアルバム、タイトルとは裏腹に新しさはあまり感じません。ただ、それを差し引いて余りあるメロディーの良さを楽しめるアルバムであり、昔からのファンは安心して聴くことが出来、はじめて彼のソロアルバムに触れるような方にとっても、その美メロを問題なく楽しむことが出来る傑作だったと思います。御年70歳を過ぎて、いまだにこれだけの楽曲を作れるという事実には驚きすら感じられます。先日の来日公演、「最後かも」という宣伝文句が散々つかわれましたが、そんな寂しいことは言わずに、今後もまだまだ傑作を作り続けてください。

評価:★★★★★

PAUL McCARTNEY 過去の作品
Good Evening New York City

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