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2014年2月

2014年2月28日 (金)

HOME MADE 家族は「HIP HOP」か?

Title:家宝~THE BEST OF HOME MADE 家族~
Musician:HOME MADE 家族

名古屋出身の3人組HIP HOPユニット、HOME MADE 家族が、メジャーデビュー10周年を記念してリリースした初のベストアルバム。良くも悪くもすっかりJ-POPに取り入れられたラップという音楽。そんな中でもHOME MADE 家族というグループはラップをJ-POPに取り入れたグループの一組という認識が一般的じゃないでしょうか。良くも悪くも彼らはポップなラップを歌っています。

同じポップなラップグループとしては現在活動休止中のKICK THE CAN CREWやRIP SLYMEなどが思い浮かぶでしょう。ただ、彼らの音楽は、間違いなくHIP HOPのマナーにのっとった、間違いなくHIP HOPというジャンルにカテゴライズされる音楽。その実力も折り紙つきです。

もう一方で、自分たちの音楽にラップを取り入れているグループとしてソナーポケットやFUNKY MONKEY BABYSといったグループもいます。彼らの場合、間違いなく基本的にポップソングの中で、ラップというスタイルをちょっと拝借したもの。その良し悪し、好き嫌いはともかくとして、彼らの音楽を「HIP HOP」として語る人はいないのではないでしょうか。

そう考えるとHOME MADE 家族というグループは、ちょうどその両者の中間に位置するようなグループに思います。今回のアルバムを聴いていても「fantastic3」みたいなゲストを招いてのマイクリレーはやはり聴かせるものもあるし、「アイコトバ」などは、HIP HOPのパーティーチューンとして楽しさを感じさせるナンバー。そのスキルをグッと聴かせるというほどではないものの、きちんとライミングはしているし、HIP HOPな曲は決して少なくありません。

ただその一方で、これは・・・と思うようなベタなJ-POP的なナンバーも少なくありません。今回のアルバムはベスト盤なだけに、さすがにそれなりの曲が揃っているものの、「Tomorrow」あたりはちょっとベタなメロディーが鼻につくイメージがありますし、「Love is...」なども、女性ボーカル+ラップというスタイルがいかにも「売れ線」狙い。ここらへんはやはりあまり面白みも感じません。

そういう意味でHOME MADE 家族というグループ、まさに「HIP HOP」と「普通のポップス」の境界線に居るようなグループだな、ということをこのベスト盤を聴いてあらためて感じました。そのため、HIP HOPを聴かないような方でも比較的聴きやすく楽しめる反面、HIP HOP好きからしたら、あまりにもJ-POP的すぎて面白くない、と感じる方もいるかも。

でも、もっとポップス寄りのグループがヒットを飛ばすケースが多くなった今、彼らのようなグループがもうちょっとがんばってほしいなぁ、とも思います。やはりなんだかんだいっても地元名古屋出身という意味でも応援したいですしね。一時期に比べて、ちょっと人気の面で落ち着いちゃった感じもするだけに、このベスト盤リリースを機に、心機一転、またガンガンとヒットシーンに飛び出してほしいです。

評価:★★★★

HOME MADE 家族 過去の作品
HOME
Heartful Best Song "Thank You!"

CIRCLE
FAMILY TREE~Side Works Collection Vol.1~
seven emotions
AKATSUKI
3RISE


ほかに聴いたアルバム

try∴angle/TOKYO NO.1 SOUL SET

うーん、正直ここ最近の彼らのジャケットデザインって、もうちょっとどうにかしてほしいんですが、このダサさは逆に狙っているの?(^^;;前半は、いつもの彼ららしいラテン調のナンバー。ある種の「王道」ではあるものの、ちょっとマンネリ気味にも感じ、いまひとつかなぁ・・・とも思ったのですが、中盤以降、ダンスナンバーやギターロック、HIP HOP調のナンバーなどバラエティー富んだ展開に。TOKYO NO.1 SOUL SETらしさと、「新しい」部分がほどよくバランスされたアルバムに仕上がっています。ここ最近、比較的安定して充実した作品が続いているような印象。

評価:★★★★★

TOKYO NO.1 SOUL SET 過去の作品
No.1
Beyond The World
Best Set
全て光
Grinding Sound

幻のSP盤復刻! 戦前オールスター・大ヒットパレード大全集

戦前に数多くのヒット曲を世に送り出したレーベル、ポリドールのSP盤を復刻してまとめたオムニバスアルバム。東海林太郎や上原敏といったその時代の大スターのヒット曲も数多く収録。特に戦時色の強い楽曲も多く時代を感じさせます。そんな中、山中みゆきの「ほんとにほんとに御苦労ね」(後にドリフターズがカバーしてヒットした曲です)や上原敏の「泣くな坊やよ」などは戦地の兵隊や、戦地に赴く兵隊の歌を歌っているのですが、まだちゃんと人としての感情が読み込まれています。いずれも昭和14年の作品。ちょうど第二次世界大戦がはじまった年なのですが、まだまだこのころは、ちゃんと人としての素直な感情を歌に織り込むことが出来たんだな、ということも感じさせます。

全体的には民謡の流れを汲んだ、後に歌謡曲へとつながるような曲が多く、バタ臭い曲、ジャズの影響を感じる曲は少なめなのですが、おそらく当時のヒット曲の王道は、ここに収録している曲なんでしょうね。昭和初期、徐々に暗さが忍び寄っているものの、まだまだ明るさも感じられる時代の空気がつめこまれたオムニバスでした。

評価:★★★★

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2014年2月27日 (木)

こちらもまた・・・。

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートもジャニーズ系が1位。Sexy Zoneの2枚目となる「Sexy Second」が獲得。これで先週から引き続き、シングル、アルバムチャート共に1位がジャニーズ系という結果になっています。初動売上は12万1千枚。前作「one Sexy Zone」の8万6千枚よりアップという好調な結果となりました。

そして売上11万3千枚。わずか8千枚差で惜しくも2位となったのがゆず「新世界」。2009年の「FURUSATO」以降の連続1位記録は4作で途切れてしまいました。しかし、前作「LAND」の初動8万9千枚から初動売上はアップしており、売上的には健闘した結果となっています。

3位には加藤ミリヤ「LOVELAND」がランクイン。初動売上2万9千枚。こちらは前作「TRUE LOVERS」の5万8千枚から大きくダウン。2010年リリースの前々作「HEAVEN」は初動15万枚だったので、わずか2作で5分の1以下というかなり厳しい結果になっています。

続いて4位以下の初登場ですが、まずは4位。家入レオ「a boy」が入っていています。これが2作目となる女性シンガーソングライターの新作。初動売上2万4千枚は前作「LEO」の3万2千枚よりダウン。ブレイク後の2作目としてはまあこんな感じかな、といったところ。ただデビュー後、シングルは最高位7位どまりでいまひとつ大ブレイク感がありません。そろそろ一発、シングルヒットがほしいところか。

5位に入ってきたのが、K-POPの男性アイドルグループ超新星のメンバー、ユナク from 超新星のソロデビューアルバム「STARTING OVER」。初動売上は1万1千枚。直近のシングル「キミのすべてを愛していたよ」は7千枚(最高位18位)だったので、妥当な数値でしょうか。超新星としての直近のアルバム「SIX」は初動4万5千枚(最高位2位)だったので、こちらからは大きくダウンしています。

7位はちょっと懐かしい名前、Every Little Thing「FUN-FARE」が入ってきています。約2年半ぶりとなるニューアルバム。初動売上は9千枚と前作「ORDINARY」の2万1千枚から大きくダウン。オリジナルアルバムでは97年のデビューアルバムからベスト10入りの記録が続いていますが、それも少々厳しくなってきたような・・・。

8位にはM.S.S.Project「M.S.S.Phantom」がランクインです。M.S.S.Projectは人気動画サイト「ニコニコ動画」でゲーム実況を行う動画をアップし人気を集めた4人によるユニットで、ゲーム実況動画だけではなくVOCALOIDの動画などでも人気を集め、こちらはそんな彼らのVOCALOID楽曲を集めたアルバム。土曜日発売という不利な条件ながらも、デビュー作で見事ベスト10ヒットを記録しています。

最後10位にはVALSHE「V.D.」がランクインしています。VALSHEは女性ソロシンガーなのですが、もともと彼女もニコニコ動画にVOCALOID楽曲を自ら歌った曲をアップして話題となりデビューしたシンガー。いままでシングル6枚、アルバム4枚をリリースしてきましたが、本作が初のベスト10ヒットとなりました。2012年にビーイングに移籍。ビーイングらしくアニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマを歌い、徐々に知名度を上げてきたようです。ただし、初動売上は6千枚というかなり低水準。前作「PLAY THE JOKER」の7千枚(最高位17位)を下回ってしまっています。「名探偵コナン」のタイアップを使ってこの結果というのはかなり厳しいのでは?

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年2月26日 (水)

ジャニーズ系が1,2

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートはジャニーズ系が1位2位に並びました。

かなりインパクトあるジャケット写真なのは今週1位を獲得した関ジャニ∞「キング オブ 男!」。映画「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」主題歌。湘南乃嵐の若旦那が作詞を手がけたナンバーでタイトルから想像通りの曲なのですが、ボーカルの線が細すぎて、歌詞にマッチしていないような。初動売上は35万2千枚。前作「ひびき」の20万6千枚を大幅に上回っています。今回、CD販売形態が、前作までの2種から3種に増えた影響と、さらに3ヶ月連続のリリースとなったのですが、その3枚のシングルをすべて買うとイベント参加権が入手できる企画があり、その影響で初動売上が大幅に増えた模様。実際、その前作「ひびき」が先週の31位から9位にランクアップし、ベスト10に返り咲いています。

さらに今週、続く2位には先週1位の嵐「Bittersweet」がワンランクダウンながらも2位をキープ。ジャニーズ系が1位2位という結果になっています。

3位初登場はEXILE ATSUSHI「青い龍」。フジテレビ系ドラマ「医龍4~Team Medical Dragon~」主題歌。初動売上3万5千枚は、EXILE ATSUSHI&久石譲名義の前作「懺悔」1万8千枚から大きくアップ。EXILE ATSUSHI単独での前作「道しるべ」の2万4千枚からもアップしています。

続いて4位以下の初登場です。まず4位はBerryz工房「大人なのよ!」がランクイン。タイトル通り、ちょっと大人なシティポップ風のシングル。初動売上3万枚は、前作「もっとずっと一緒に居たかった」の3万6千枚からダウンで、前々作「ゴールデン チャイナタウン」(初動3万1千枚)と同一水準に。

5位は韓流。U-KISS「Break up」がランクイン。ロッキンなエレクトロビートのナンバー。初動売上2万2千枚は前作「Fall in Love」の2万6千枚からダウン。3月19日にこの曲も含むニューアルバム「Memories」の発売が予定されており、売上ダウンはその影響でしょう。

6位は遊助ことタレント上地雄輔のニューシングル「いるよ」が入ってきました。何が??と言いたくなるようなタイトルですが。初動売上2万1千枚は前作「V」の2万5千枚からダウン。ただこちらも3月19日にこの曲を含むアルバム「あの・・旅の途中なんですケド。」のリリースが予定されている影響と想われます。

7位にはコブクロ「今、咲き誇る花たちよ」がランクインです。NHK「ソチオリンピック・パラリンピック」テーマソングで、ここ最近、すっかり耳になじんだ曲ではないでしょうか。初動売上1万9千枚は前作「One Song From Two Hearts」の6万3千枚からダウン。ただし、こちらは最新アルバム「One Song From Two Hearts」からのリカットシングルのため。

8位初登場は女性アイドルグループフェアリーズ「Run With U」。7種類のCDをパッケージにしたセットなどを発売し、ドーピングしまくっていますが、初動売上1万8千枚は前作「光の果てに」の2万2千枚からダウン。

最後10位には地獄の沙汰オールスターズ「地獄の沙汰も君次第」という楽曲が入ってきています。TBS系アニメ「鬼灯の冷徹」オープニングテーマ。歌っているのは、アニメに参加している声優さんたちなのですが、作詞作曲はYOUR SONG IS GOODのサイトウ“JxJx”ジュンが手がけ、演奏もYOUR SONG IS GOODが手がけています。軽快でダンサナブル、おそらくアニメの世界観にあわせていると思うのですが、かなりユーモラスで楽しめる楽曲になっています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2014年2月25日 (火)

全盛期を思わせる充実作

Title:SPICE
Musician:ZEPPET STORE

2011年、東日本大震災へのチャリティー目的のため再結成後、コンスタントに活動を再開したZEPPET STORE。本作は活動再開後2作目、通算10作目となるニューアルバムです。

再結成後、初となる前作「SHARE5」もZEPPET STOREの魅力がフルに発揮された傑作に仕上がっていましたが、約1年ぶりとなる新作もカッコいい!!もうね、1曲目「DELIGHT」から、ガツンとするギターノイズからスタートし、ポップなメロディーラインがあらわれるあたり、まさにZEPPET STOREらしいカッコよさ。そこから「夜に這う」「DAZZLING SUN」と、ノイジーでヘヴィーなバンドサウンドをグイグイ押し出した作品が続き、否応なくテンションがあがります。

かと思えば中盤、「無情な世界」はシングルとしてもヒットポテンシャルありそうなポップ性を前に押し出したような作品。続く「SELFISH」も同じくポップなメロディーを前面に押し出したギターロック。いい意味で「J-POP」的な作品になっており、ここらへん、かつて「遠くまで」や「もっともっと」といったヒットシングルをリリースしていた頃の彼らを彷彿とさせる流れになっています。

そして後半も前半と同様、ノイジーなバンドサウンドを押し出したような曲に戻りますが、こちらはよりメロディアスに聴かせるタイプの曲が並びます。英語詞の「DRIVE AWAY」「BREAKTHROUGH」は、洋楽テイストにあふれた、彼ららしい魅力的な楽曲に仕上がっています。

最後はピアノやストリングスを入れてスケール感を増したバラードナンバー「WALKING IN THE MOONLIGHT」をはさみ、ラストの「SPY」はまた日本語詞でポップなギターロックナンバー。またもJ-POPテイストの強いインパクトある作品で締めくくっています。

この英語詞-日本語詞を行き来するような楽曲構成も見事ですし、ロック調、あるいは洋楽テイストが強い作品の中に、上手くJ-POP的なポップチューンを挟んでくる流れも見事。今回のアルバムは、そういうアルバム全体の流れも実に上手くはまっている作品になっていました。

そしてなによりも、シューゲイザーからの影響を感じるようなノイジーなギターロックから、ポップテイストの強い作品まで、様々なZEPPET STOREというバンドの魅力を上手く詰め込み、かつどれも魅力的な作品に仕上げている、という意味で、これが一度活動を休止したバンドの再結成後の作品とは信じられないような傑作に仕上がっています。活動を休止したことで、逆にZEPPET STOREというバンドの魅力を客観的に見れるようになったのでしょうか?今が彼らの最盛期では??とすら感じるほどの充実作になっていました。

かなり魅力的な作品で、年間ベスト候補クラスの傑作だと思います。残念ながら再結成後はメディアなどであまり取り上げられていないようですが、それがとても残念に思います。ギターロックが好きなら是非とも聴いてほしい傑作です。

評価:★★★★★

ZEPPET STORE 過去の作品
SHAPE5


ほかに聴いたアルバム

Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993-2013 “20<21" ~これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25/斉藤和義

タイトル通り、昨年8月25日に神戸ワールド記念ホールで行われたライブの模様を収録したライブ盤。彼、いままでもかなりの数のライブ盤をリリースしており、一体何枚目だよ、的な感はありますが、今、最も勢いのあると思われる時期だからこそ、ライブ盤に残したかったんだろうなぁ、ということはわかります。収録曲もベスト盤的な内容になっており、初心者向けでもあるかも。演奏も基本的に原曲通りの曲が多く、そういう意味でも初心者にもピッタリかも。ただ、ひとつの公演を3枚組ものボリュームでまるごと収めるのなら、正直MCも含めて全部収録してほしかったかも。どうも全体的に音質がきれいにまとまっている反面、観客席も含めた臨場感にはちょっと欠いていたような感じも。

評価:★★★★

斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
斉藤
和義

Playing The Orchestra 2013/坂本龍一

昨年5月に行われた日本では16年ぶりとなるフルオーケストラとの共演ライブの模様を収録した作品。彼の過去の代表曲などがオーケストラアレンジで演奏されていますが、予想を超えるようなアレンジはなく、良くも悪くも予想通りな内容に。まあ、たまにはオーケストラとやりたかったんだろうなぁ、という印象。

評価:★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE

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2014年2月24日 (月)

読み応えのある評伝

ここのサイトでも何度も取り上げている、私が大好きなバンド、ソウル・フラワー・ユニオン。その彼らの評伝が発売されました。「ソウル・フラワー・ユニオン 解き放つ唄の轍」。著者は写真家で、ソウル・フラワー・ユニオンのジャケット写真も多く手がけている石田昌隆。全318ページ、ハードカバーのズシリと重い本で、その表装の通り、読み応えのある1冊でした。

まず一般的にミュージシャンの活動を紹介したというと、基本的にその活動はライブやCDの販売を中心に進めていきます。この作品も、ソウル・フラワー・ユニオンが結成された1993年から、彼らのライブや発表されたアルバムなどもひとつの主軸として話は展開していきます。しかし、それ以上の記述を裂かれているのが、彼らがその活動を進めるにあたり、実際に体験したり、現地に飛んだり、あるいは影響を与えたりしたような社会事象でした。

評伝はまず2011年の東日本大震災の話からスタート。その後、ソウル・フラワー・ユニオンの活動に大きな影響を与え、「満月の夕」を生み出した阪神淡路大震災での出来事に話は飛びます。その後、パレスチナや北朝鮮、東ティモール、あるいは911から発展するイラク戦争、さらに沖縄の基地問題や原発、さらにはヘイト・スピーチへと話は展開してきます。

そのため読んでいるうちに、ミュージシャン本というよりは社会科学のドキュメンタリーを読んでいるような、そんな感覚に陥ります。そのため、単なる「ファンブック」に留まらない、非常に読み応えのある内容になっています。そして、そんな世の中の出来事と、密接にソウル・フラワー・ユニオンの活動が結びついている点、もちろん十分知っているつもりでしたが、あらためて彼らの活動や歌に込められた「意味」を再確認できる一冊になっていました。

そして読み進めていく中で感じるのは、ソウル・フラワー・ユニオンというバンドのすごさでした。確かに、社会に対して言葉を発信していくミュージシャンは少なくありません。ただその中でソウル・フラワー・ユニオンは常に弱者の視点というポリシーを持ちつつ、口先だけの活動ではなく実際にその現場に足を運び、そこにいる人たちとともに歌を届けています。

ソウル・フラワー・ユニオンは、精力的に新曲をリリースし続けています。その新曲が、結成20年のバンドにも関わらず、マンネリに陥らず、新鮮味を放ち続けているのは、やはりその時代時代にマッチした意味を、楽曲が背負っているからではないでしょうか。時代が変わればあたらしいソウル・フラワー・ユニオンの曲が生まれる。そしてだからこそ彼らの新曲は決してマンネリに陥らず、新鮮味を放ち続ける、そういうことを感じました。

ただし、今回の評伝、そんな社会的な視点がメインのため、正直、ソウル・フラワー・ユニオンの政治信条に共感できない方にとっては素直に受け入れ難い部分もあるかもしれません。ソウル・フラワー・ユニオンは楽曲自体には、強烈な政治信条をさほど入れてこない特徴があり、それゆえに幅広い層が純粋に楽しめるのですが、そういう意味ではこの本は、若干読み手を選ぶ部分は否定できないかもしれません。

また、この本で気になった部分としては、ソウル・フラワー・ユニオンの評伝なのですが、あくまでも著者石田昌隆の視点から捉えた本という点でした。この点は著者もあとがきで明記している通り、意識的に行っていることですし、著者がソウル・フラワー・ユニオンと関わっていなかった時代の話も、各種ルポタージュを引用し、丁寧に描いている点はとても素晴らしいと思います。また、著者の視点であるがゆえに、ソウル・フラワー・ユニオンの活動の描写がリアリティーあるものとして描かれていました。

ただ一方では第7章に関しては、おそらく現在進行形でおきている事象であるがゆえに、著者も多大な興味を抱いているのでしょうが少々ソウル・フラワー・ユニオンの話から離れすぎな印象は否めず、違和感がありました。また逆に、彼の政治信条的にソウル・フラワーに寄り過ぎている部分があって、「評伝」というのだから、例えばあえてソウル・フラワーの活動に対して批判的視点を中川敬やメンバーにぶつけてみる、そういう記述があれば、もっとおもしろかったのではないでしょうか。

特にソウル・フラワー・ユニオンの活動は時として理想論的な部分は否めません。もちろん、そういう信条の点も含めて個人的にはファンですし、そういう活動のスタンス自体は否定はしません。ただ例えば、一貫して弱者の視点で活動を続ける彼らですが、例えばヘイト・スピーチを行う人たちもまた、一種の弱者であり、弱者=善人であるとは限りません。そういう「現実」に対して、ソウル・フラワーのメンバーが、どのように捉えているのか、もう一歩突っ込んだような「評伝」もほしかったかな、ということも感じました。

もちろん、そういう気になる点はあったのですが、この著書全体としては、ソウル・フラワー・ユニオンの活動について、その社会情勢と含めて、深く知ることの出来る力作で、ソウル・フラワー・ユニオンが好きなら、まず読んでおくべき作品だと思います。また、90年代から2000年代の世界を知るためにも、決してソウル・フラワー・ユニオンに興味がなくても、興味深く読むことの出来る作品だと思います。あらためてソウル・フラワー・ユニオンというバンドの素晴らしさに触れることの出来た1冊でした。

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2014年2月23日 (日)

ごった煮な楽曲が魅力的

Title:Amygdala
Musician:DJ Koze

 

昨日のA$AP ROCKYに続き、2013年に話題となったアルバムをあらためて聴いているのですが、今日紹介するのは、同じく「ミュージック・マガジン」誌のハウス/テクノ/ブレイクビーツ部門で1位を獲得したアルバムです。ドイツ人DJ、Stefan KozallaことDJ Kozeによる2枚目となるアルバムだそうです。

まずはこのアルバム、聴いていて非常に心地よくなるポップなアルバムでした。ハウス/テクノにカテゴライズされるようなジャンルでありながら、例えば「Nices Wolkchen」などのようにその音色は丸みを帯びていて優しく、かつメロディアス。もちろんその音色は大きく異なるものの、向いているベクトル的には、どうもレイ・ハラカミあたりに重なるような匂いも感じました。

また、「Das Wort」「Homesick」などのようにゲストボーカルを迎えたメロウな歌モノも多く収録されています。これらの楽曲に関しては、ちょっとジャジーな要素を加え、しゃれた雰囲気がどこかかつての渋谷系を彷彿???一方では「Ich schreib' direin Buch 2013」はドイツ語で歌うボーカルがとてもパワフルに感じられるナンバーで、どこかユーモラスも感じられます。そんなポップな曲の数々にハウス/テクノといったジャンルを超えて、多くの方が楽しめそうな「ポップ」のアルバムになっているように感じました。

かと思えば一方では、ポップの一言では片付けられないアグレッシヴな楽曲も並んでいるのがユニーク。私がこのアルバムの中で一番気に入ったのは「Royal Asscher Cut」で、四つ打ちのリズムのミニマルなサウンドが延々と展開していくナンバー。そのテンポよいリズムに軽くトリップできるような楽曲に仕上がっています。

他にも「Auroville」では、いきなりアフリカ的な楽器の音色が奏ではじめ、他の楽曲に比べて明らかに異色なナンバーになっていますし、最後を飾る「Gimme TBQ」はHIP HOP的な要素が強いナンバーになっているなど、様々なタイプの楽曲にも挑戦しています。

そんなアルバムの内容は、まさにごった煮的という雰囲気もピッタリ。しかし、じゃあバラバラな雰囲気になっているのか、と言われるとそうでもなく、どの楽曲も基本的に音の感触には統一感があり、アルバム全体にまとまりも感じられます。そういう意味でもアルバム1枚通して楽しめる、実に魅力的なアルバムになっていたと思います。

とりあえず今回、音はもちろん名前もはじめて聴いたミュージシャンでしたが、決してマニアックではなく、ポップな感覚で楽しめる傑作だったと思います。ハウス/テクノ好きでなくても、気になった方、要チェックのアルバムです。

評価:★★★★★

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2014年2月22日 (土)

1年前に聴いていたら・・・

Title:LONG.LIVE.A$AP
Musician:A$AP ROCKY

各種メディア等で紹介されている昨年の「ベストアルバム」のうち、ノーチェックだった作品を、新譜も少なめな1月2月で聴きなおしているのですが、今回は「ミュージック・マガジン」誌のHIP HOP部門で1位を獲得したA$AP ROCKYのアルバムをチェック。リリースされたのは既に昨年の1月なのですが、ビルボードチャートで1位を獲得し、大ヒットを記録したアルバムです。

A$AP ROCKYが大きく注目された点は、ラップのスキルもさることながら、そのトラックの要素が強いようで、例えば今回のアルバムでも「Wild For The Night」ではプロデューサーにSkrillexを起用し、ダブ・ステップを取り込んだ今風のサウンドが大きな話題となっているようです。

確かに、サウンドに関してはかなりカッコよさを感じました。言ってしまえばいかにも「今風」なサウンド。音数を抑えつつビートを強調する手法が印象的な作品で、エッジの効いたサウンドが耳に残るトラックが多く見受けられました。ラップ以上にトラックを聴きこむだけでも十分最後まで楽しめるアルバムのように感じます。

また、ゲストに参加したラッパーもかなり豪華。今話題のKENDRICK LAMARやDRAKEが参加した「F**KIN' PROBLEM」や、同じくKENDRICK LAMAR参加の「1TRAIN」は、軽快なマイクリレーが楽しめる作品になっていました。

他にもピアノの音色を効果的に用いた「PHOENIX」や、Florence Welchが美しいボーカルを聴かせてくれるメロディアスな「I COME APART」などバリエーションも豊富。そういう意味でも、非常に良く出来た構成のアルバムになっているように感じました。

・・・・・・ただ、正直、良いアルバムだとは思うのですが、はまったかどうかと言われるとちょっと微妙だったかも。確かに、今風のトラックはカッコよかったのですが、一方では似たようなタイプの曲も多く、これといって耳を惹くようなフックの効いたナンバーが少なかったようにも思いました。

また、今風のサウンドであることは間違いないのですが、すごく新鮮で真新しいか、と言われると、最近、このタイプの音、増えてきているよね、という印象も受けるのも間違いないし・・・。そういう意味でも、いいアルバムとは思うけど、「年間1位」と言われるとそこまでかなぁ、という感じも受けてしまいます。

もっとも、このアルバムがリリースされてから既に1年が経過していて、先端を行く音だからこそ、1年前に聴いていればもうちょっと印象も変わったかも、という感じもないことはないかも・・・。次にどのようなステップを進むのか、楽しみな1枚ではあるのですが。

評価:★★★★

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2014年2月21日 (金)

来日公演も話題に

Title:NEW
Musician:PAUL McCARTNEY

昨年11月の来日公演も大きな評判となったPAUL McCARTNEYの新作。今回のアルバム、「NEW」というタイトルとは裏腹に、非常に懐かしさを感じる作品になっていました。

「ビートルズを彷彿とするような」という言い方は、ビートルズというバンドの大きさから言うこともはばかられるようなリスキーな表現ですが、ただそれでもあえて言わせていただければ、おそらくポール・マッカートニーというミュージシャンのイメージは、音楽ファン意外にとってはビートルズ時代のヒット曲のイメージが強く、そして今回のアルバムは、そんなイメージに沿ったような内容になっているような印象を受けました。

確かに今回のアルバム、エイミー・ワインハウスを手がけたマーク・ロンソンや、アデルを手がけたポール・エプワースなど、今をときめくプロデューサーたちが共同プロデュースとして名前を連ねています。実際「Appreciate」などはエレクトロサウンドを入れたりして、「今風」の音を演出しようとしています。

ただ正直言うと、結果として「21世紀のポール・マッカートニー」像を演出できていたかと言われるとかなり微妙。ちょっと意地悪な言い方をしてしまうと、今風の音を取り入れたのも、「今の音楽にもちゃんとアップデートしていますよ」という言い訳づくりのようにも感じました。

しかし逆に、無理に必要以上、「今」の音を取り入れなかった結果、このアルバムは傑作になっていたように感じます。今回のアルバムの素晴らしさは、1にも2にもメロディーの良さ。もうここは稀代のメロディーメイカーポール・マッカートニーの本領発揮といった感じでしょう。特に傑作だったのが「Queenie Eye」で、甘~いメロディーラインが聴いていてとろけそうに魅力的。あたらしいポールの代表曲が登場、といっても過言ではない名曲だったと思います。

このポールの個性が出てくるメロディーラインの特徴が、60年代70年代という時代のイメージを形作るものだけに、彼の美メロが最大限発揮された今回のアルバムに一種の懐かしさを感じるのでしょう。それはどうしても一時代を築いたミュージシャンの宿命ですし、またそれだけ今回のアルバムは、彼の良さがメロディーラインに反映されていた、と言えるのかもしれません。

繰り返しになりますが今回のアルバム、タイトルとは裏腹に新しさはあまり感じません。ただ、それを差し引いて余りあるメロディーの良さを楽しめるアルバムであり、昔からのファンは安心して聴くことが出来、はじめて彼のソロアルバムに触れるような方にとっても、その美メロを問題なく楽しむことが出来る傑作だったと思います。御年70歳を過ぎて、いまだにこれだけの楽曲を作れるという事実には驚きすら感じられます。先日の来日公演、「最後かも」という宣伝文句が散々つかわれましたが、そんな寂しいことは言わずに、今後もまだまだ傑作を作り続けてください。

評価:★★★★★

PAUL McCARTNEY 過去の作品
Good Evening New York City

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2014年2月20日 (木)

歌謡曲の魅力がたっぷり

Title:ニガイナミダが100リットル
Musician:大西ユカリ

大西ユカリの最新アルバムは、まさに王道の歌謡曲といった作品。ナニワのおばちゃんパワーでグイグイと押し込んでいった前作「直撃!韓流婦人拳」と比べると、「おばちゃんパワー」は薄味。アクの強さではなく純粋に楽曲のメロディーで勝負をかけるようなアルバムに感じました。

純粋に、歌謡曲らしさが前に押し出した作品、という意味では、前々作「やたら綺麗な満月」を思い出しましたし、実際、似ているアルバムだなぁ、と思いながら聴きました。それも道理、今回のアルバムも、「やたら綺麗な満月」と同様、全曲、宇崎竜童作曲によるアルバム。まさに歌謡曲界の大御所を引っ張り込んできたアルバムなだけに、歌謡曲の王道ともいえる内容になるのは当然でしょう。

その「やたら綺麗な満月」については、特に前半、歌謡曲としての様式化が進んだような局が並んでいて、最初、あまりおもしろくないかも、と思ったアルバムでした。しかし、それに比べると今回のアルバムは、確かにいかにも歌謡曲っぽい曲が多かった反面、前作のようなつまらなさは感じられませんでした。

それは結構今回のアルバム、歌謡曲路線ながらも楽曲にバリエーションをもたせ、実に上手く構成された作品になっているからではないでしょうか。まず最初「ニガイナミダが100リットル」「うっとり」と、かなりどす黒いグルーヴを利かせたファンキーなナンバーからスタートし、「快耐」ではちょっとジャジーな雰囲気が、さらに「絆」では、スケール感ある、もうちょっとニューミュージック寄りな作風の曲が並んでいて、王道の歌謡曲路線という軸はぶれないまでも、バリエーションあるサウンドを楽しませてくれます。

それだけに、歌謡曲が様式化してしまった場合に感じてしまう「古臭さ」がこのアルバムからは感じられず、純粋にメロディーの良さ、歌詞の良さが際立つアルバムになっていました。また、今回のアルバムで話題となったのは、旧面影ラッキーホール、現Only Love HurtsのaCKyが作詞で参加。個人的には、面影ラッキーホールの歌詞は奇をてらいすぎで、全然良いとは思っていないのですが、このアルバムではちゃんと大西ユカリの世界にマッチした歌詞を提供しつつ、「うっとり」では彼らしいエロ歌詞を作り上げていて、アルバムにインパクトを与えていました。

ただ、ちょっと残念なのはこのアルバム、「絆」と「歌い継がれてゆく歌のように」というカバー曲がメロディーの面では頭ひとつ出ているなぁ、と感じた点。前者は1984年に橋幸夫が、後者は1977年に山口百恵が歌った曲なのですが、やはり宇崎竜童・阿木燿子コンビの全盛期は、70年代から80年代にかけてなんだ、ということを思ってしまいました。

とはいうものの、アルバム全体としてとても素晴らしい内容だったのは間違いありません。まさに歌謡曲の魅力を存分に感じられるアルバムになっていたと思います。うん、今の時代に宇崎竜童の曲を一番歌いこなせられるのは彼女かもしれないですね。さすがです。

評価:★★★★★

大西ユカリ 過去のアルバム
HOU ON
やたら綺麗な満月
直撃!韓流婦人拳(韓国盤)
直撃!韓流婦人拳


ほかに聴いたアルバム

エレファントカシマシ カヴァーアルバム2~A Tribute to The Elephant Kashimashi~

エレカシのカバーアルバム第2弾。エレカシといえば、やはり宮本浩次のボーカルが大きなインパクトになっているだけに、他のミュージシャンのカバーは原曲に比べるとどうしても物足りなさも覚えるものの、全員、それなりに自分の持ち味を出しつつ、上手くカバーしている印象。宮本浩次ボーカルをひっぺがしてもやはりエレカシの曲は魅力的なんだ、とも感じました。

個人的には秦基博が、切ないボーカルを上手くつかって意外と健闘していた他、曽我部恵一の「デーデ」があえて原曲とミスマッチなカバーになっているのがおもしろかったり、CharaとTHE NOVEMBERSの「月夜の散歩」も、Charaらしさが上手く生きていたカバーになっているように思いました。グループ魂はいつも通りですね(笑)。

とはいえ、原曲を超えたよさが・・・といわれると微妙で良くも悪くも全体的には無難な内容だったかも。悪いアルバムではないので、エレカシのファンと、参加ミュージシャンのファンは是非。

評価:★★★★

シリーガールはふり向かない/堂島孝平

堂島孝平のニューアルバムは、本人曰く「とんでもCD」だとか。なにがとんでもかというと、タイトル曲「シリーガールはふり向かない」に続く2曲目以降のボーナストラックが、遊び心あふれる曲が並んでいる点。「 “ま、え、か、わ、よ、う、こ”の『き、ぜ、つ、し、ちゃ、う』」では、タイトル通り、「キューティーハニー」や「魔女っこメグちゃん」などを歌ったアニメソング界の大御所、前川陽子が、堂島孝平の「き、ぜ、つ、し、ちゃ、う」を歌っていますし、また、続く4曲目では、佐野元春の「レインボー・マイ・ソウル」を堂島孝平がカバーしています。さらに絶品なのは堂島孝平の名曲「セピア」を独奏とスタイルでセルフカバー。これが実に素晴らしい出来なので、ファンは必聴です。

ただ、アルバムとしては遊び要素が強く、後半30分にも及ぶ「ラジオ」形式のトークが収録されていたりするので、やはりファンズアイテム的な要素が強く、一般的に強く薦められるような作品ではないのは事実。もっとも、この後半30分に及ぶラジオでも、超大物レジェンドが参加しており、そういう意味では聴き逃せないのですが・・・。とりあえず「とんでも」ってほどのとんでもではないのですが、ファンにとっては要チェックのアルバムです。

評価:★★★★

堂島孝平 過去の作品
UNIRVANA
VIVAP
Best of HARD CORE POP!
A.C.E.
A.C.E.2

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2014年2月19日 (水)

シングル、アルバム共にジャニーズ系

今週もアルバムの初登場が少なめ。そのため、シングルアルバム同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートはベスト10全入替となりました。そんな中、1位獲得はやはり強い。のニューシングル「Bittersweet」でした。フジテレビ系ドラマ「失恋ショコラティエ」主題歌。ちなみにカップリングの「Road to Glory」は日テレ系ソチオリンピックテーマソングなので、こちらも聴く機会が多いかも。初動売上51万1千枚は前作「Endless Game」の47万7千枚よりアップ。ただ、前々作「Calling」は初動75まん6千枚よりはダウンしています(もっとも、今回の初回盤+通常盤の2種売上に対して、「Calling」は初回盤2種+通常盤という販売形態の影響が大きいのでしょうが)。

続く2位は女性アイドルグループSUPER☆GiRLS「空色のキセキ」がランクイン。初動売上3万9千枚は前作「常夏ハイタッチ」の7万5千枚よりダウン。MUSIC CARD11種同時発売という強烈なドーピングでしたが、思ったほど効きませんでした。

3位初登場は、昨年6月に解散したFUNKY MONKEY BABYSのファンキー加藤によるソロデビュー作「My VOICE」。タイプ的にはファンモンと同じ系統。初動売上は3万8千枚で、これはFUNKY MONKEY BABYSのラストシングル「ありがとう」の3万5千枚よりアップ。好調なソロでの滑り出しとなりました。

続いて4位以下の初登場です。4位は女性シンガーソングライターmiwa「Faith」。「ユーキャン」CMソングの元気が出るようなアップテンポナンバー。初動売上3万3千枚は前作「Faraway」の2万2千枚で、初動売上としては自己最高を記録。ここに来て、人気がまた上り調子になっています。

5位にはT.M.Revolution/SCANDAL「Count ZERO」がランクイン。ガールズバンドSCANDALとのスピリットシングルでゲーム「戦国BASARA4」オープニング・テーマ。カップリングの「Runners High」をSCANDALが歌っています。初動売上は3万枚。T.M.Revolutionの前作は、水樹奈々とのコラボシングル「革命デュアリズム」でこちらの8万枚より大きく減。SCANDALの前作「OVER DRIVE」の1万5千枚よりアップ。ただ、前作はアルバムの先行シングルで売上を大きく落としていました。とはいえ、前々作「下弦の月」の2万8千枚よりもアップしており、T.M.RevolutionよりもSCANDALにとって「おいしい」コラボとなった模様です。

6位にはヴィジュアル系バンドシド「hug」が入ってきています。初動売上2万枚は前作「ANNIVERSARY」の2万1千枚より若干ダウン。ただ今回は初回盤4種+通常盤(前作は初回盤3種+通常盤+タイアップのアニメ盤)ということを考えると、実質はもっとダウンしている感が。

7位にはEXILEと同じ事務所の男性ボーカルグループDEEP「雪しずり」がランクイン。本作もまた、EXILE系のグループが歌うバラードナンバー・・・といってイメージされるような何のヒネリもない曲。初動1万9千枚は前作「I Promise You」の1万6千枚からアップ。ただし、MUSIC CARD5種というドーピング付。

8位は入ってきたのがゆず「ヒカレ」。日本生命CMソング。ちょうど昨日、北川悠仁と高島彩夫妻に長女誕生のおめでたいニュースが入ってきましたが、そんなタイミングにもピッタリの未来への明るさを感じるナンバー。初動売上1万6千枚は前作「表裏一体」の3万3千枚より大きくダウンしていますが、これは翌週にアルバム「新世界」の発売を控えている影響と思われます。

9位には女性アイドルグループ東京女子流「Partition Love」がランクイン。初動売上1万6千枚は前作「ROAD TO BUDOKAN 2013 ~ちいさな奇跡~」の8千枚(最高位16位)より大きくアップ。ただしMUSICCARD24種というとんでもないドーピンク付。「禁断の恋」がテーマみたいですが、この売り方の方がよっぽど「禁断」だよ!

最後10位には、人気声優谷山紀章とギタリスト飯塚昌明によるユニットGRANRODEO「変幻自在のマジカルスター」がランクイン。アニメ「黒子のバスケ」オープニングテーマ。初動売上1万5千枚は前作「The Other self」の1万6千枚から微減となっています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートもジャニーズ系が1位獲得。1位はKinki Kids堂本剛のソロアルバム「shamanippon -ロイノチノイ-」が獲得。逆から読むと「命の色」ってことですね。うん、ごめん、痛い(苦笑)。初動売上5万1千枚は、前作のカバーアルバム「カバ」の7万7千枚よりダウン。オリジナルとして前作「shamanippon-ラカチノトヒ-」の7万2千枚よりもダウンしています。

2位は全員、オオカミの被り物をつけた頭はオオカミ、身体は人間という完全生命体であるMAN WITH A MISSION「Beef Chicken Pork」がランクイン。全米進出を前提に、英語詞の曲を集めた企画盤的ベストアルバム。2位は自己最高位。ただし、初動売上1万8千枚は、前作「MASH UP THE WORLD」の2万4千枚からダウン。「英語詞のみ」ということでファン以外にまでリスナーが広がらなかったのでしょうか。

3位はレゲエミュージシャンSPICY CHOCOLATEのベスト盤「ずっとスパイシーチョコレート~BEST OF 渋谷 RAGGA SWEET COLLECTION」がランクインです。DoCoMoのCMソングとなった「ずっと feat.HAN―KUN&TEE」が着うたなどを中心に大ヒットを記録。いろいろな意味で大きな話題にもなりました。これが初のベスト10ヒットとなります。

続いて4位以下の初登場ですが、今週は初登場がわずか2枚。まず4位に読者モデル出身の女の子たち4人からなるガールズバンドSilent Siren「31 Wonderland」がランクイン。フルアルバム2枚目にして初のベスト10ヒット。初動売上1万3千枚は前作「Start→」の5千枚(最高位16位)より大きくアップ。

もう1枚の初登場もギャルバン。9位に女の子5人組のメタルバンドCyntia「Limit Break」がランクインです。こちらが3枚目のアルバムとなるバンドで、アニメ「聖闘士星矢Ω」のオープニング「閃光ストリングス」や浜田麻里のヒット曲「Return to Myself〜しない、しない、ナツ。」のカバーなどのスマッシュヒットで徐々に注目を集め、見事初のベスト10ヒットを記録しています。

今週のチャート評は以上。また来週の水曜日に!

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2014年2月18日 (火)

やはりライブが素晴らしい

TEDESCHI TRUCKS BAND ライブ

会場 ダイアモンドホール 日時 2014年2月7日(金)19:00~

2014年はじめてのライブは、テデスキ・トラックス・バンドの来日公演。ご存知このバンドを率いるデレク・トラックスとスーザン・テデスキは、「世界でもっともギターが上手い夫婦」と呼ばれ、かつ、デレク・トラックスは「新・三大ギタリスト」とも呼ばれるような腕前の持ち主だとか。そんな彼らが名古屋でライブ、ということもあって、かけつけてきました。

会場はそれなりにゆっくり見れる程度のスペースはあるものの、ほぼ満員。客層もさすが30代から40代あたりの落ち着いた客層がメイン。ただ、思ったよりも外国人の数は少ないように感じたのは名古屋という地方都市だからでしょうか?会場はスタート前から歓声があがるなど異様な熱気。そしてちょっと意外なことに、19時を5分ほど回った段階でスタート。もちろん、メンバーが登場すると、会場から大きな歓声があがり、彼らのライブを待ちわびたファンの多さを感じました。

まず1曲目は「DON'T LET ME SLIDE」からスタート。最初にバンドメンバーが音を出した瞬間から、すごい!あきらかにCDとは違う迫力を感じました。まず感じたのは、バンドの音の分厚さ。彼ら、バンドメンバーにドラムスが2人いるのですが、この2人のドラミングがとくにCDよりさらなる迫力を感じます。なにより、バンド全員の一体となったグルーヴ感がカッコいい!CDよりも一回りも二回りも迫力を増した演奏に、まずは惹き付けられました。

前半は「DO I LOOK WORRIED」や「IT'S SO HEAVY」などの曲を披露。最初、どの曲もジャムっぽい演奏を入れて、原曲とは大きく異なってくるのかなぁ、という想像をしていたのですが、ちょっと意外なことに、基本的に原曲に忠実なステージ。もちろん、ところどころでデレク・トラックスのギタープレイを入れてきて、その腕前にうっとりするとともに、スーザン・テデスキの、華奢なスタイルとは裏腹な、声量のあるボーカルは予想していた以上に上手くてビックリしました。

途中、ゲストギタリストとしてドイル・ブラムホールⅡが登場。ギターの共演となりましたが、デレク・トラックスのギターが比較的メロウな雰囲気だとしたら、ドイルのギターはノイズを利かせたサウンドで、その対比もまたステージにインパクトを与えるように感じました。ドイルがボーカルをとった「ST.JAMES INFIRMARY」は、もともとルイ・アームストロングの曲だそうですが、某所で、先日亡くなったブルース界のレジェンド、ボビー・ブランドのスタイルを模したものという指摘を見かけました。偉大なるブルースシンガーへのオマージュということでしょうか。

ドイルはその後も「ALL THAT I NEED」などにも参加し、そのギタープレイを聴かせてくれました。後半では、「PART OF ME」でちょっとモータウンちっくなポップな楽曲を楽しく聴かせてくれたり、「MIDNIGHT IN HARLEM」では、しんみりと聴きいる演奏を聴かせてくれました。

後半では、よりデレク・トラックスのギタープレイが前面に出てきた楽曲が増えて、ジャム演奏が増えたように思います。本編ラストを飾ったのは「BOUND FOR GLORY」で、まさにバンド、そしてギターのプレイを存分に楽しめるアレンジになっていました。特にデレク・トラックスのギタープレイは、もちろんとてもテクニックのある演奏なのは間違いないものの、必要以上にテクニックをひけらかすわけではなく、メロディアスな演奏が耳を惹きます。また、バンドサウンドの中で上手く溶け込んでいて、ただ単にテクニックを見せ付けたいだけのプレイではないギターサウンドに、とても暖かみを感じました。

そしてアンコールですが、2曲を披露。1曲目は・・・すいません、曲名がわかりませんでした(^^;;で、2曲目に入る前に、バンドメンバーが音あわせっぽい軽いジャムプレイを。ここで結構長いことうだうだと演奏していて、ここはこの日唯一、ちょっとダレたかも。ただ、最後を飾った「LOVE HAS SOMETHING ELSE TO SAY」では、途中、メンバーそれぞれにソロのパートが用意され、決してテデスキ・トラックス・バンドがデレク=スーザン夫妻だけのバンドではない、ということが強調されていたように感じました。でももちろん最後はデレク・トラックスのギターソロで締めくくり。全2時間10分強。ほどよい長さの迫力あるステージは、大盛況のうちに幕を下ろしました。

テデスキ・トラックス・バンドはライブが素晴らしいという話は以前から聴いていたのですが、確かにこの日のライブ、とても素晴らしかったです。なによりもバンドとしてのステージの一体感は素晴らしいものがあり、CDで聴くより比べ物にならない迫力を感じました。2時間強のステージは終始、その演奏に聴きほれたステージ。彼らのステージの評価の高さをまじまじと実感できたライブでした。

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2014年2月17日 (月)

懐の広さを感じる

横浜出身1MC1DJのHIP HOPユニット、サイプレス上野とロベルト吉野。このサイトでも何度か紹介してきました。そんな彼らがデビュー10周年を記念して、2枚のベスト盤を同時にリリースしています。

Title:ザ、ベストテン 10th Anniversary Best(紅)
Musician:サイプレス上野とロベルト吉野

Title:ザ、ベストテン 10th Anniversary Best(白)
Musician:サイプレス上野とロベルト吉野

ジャケットからしてかなりユニークな作品なのですが・・・(^^;;2枚同時発売となったベストアルバム。サイプレス上野とロベルト吉野ことサ上とロ吉については、以前からお気に入りのミュージシャンでしたが、あらためてベスト盤で彼らの曲を聴くと、素晴らしい実力あるミュージシャンだなぁ、ということが実感できました。

もちろんラッパーとしてのスキルとか、トラックつくりの上手さとか、そういう点は言うまでもありません。ただ、具体的に彼らを素晴らしいユニットだなぁ、と思ったのにはいくつか他にも理由がありました。

まずひとつは、HIP HOPユニットとしての懐の大きさ。実に様々なタイプの楽曲がこのアルバムには収録されています。タイトルそのまま「サ上とロ吉」あたりはまさに彼ららしいナンバーといった感じですが、「MASTERSオブお家芸」のようなロッキンでヘヴィーなナンバー、後藤まりこをゲストに迎えた「ちゅうぶらりん」のようなメロウなナンバー、「女喰ってブギ」のようなちょっとおちゃらけたユーモアなナンバーに、「FEEL LIKE DANCE」のようなエレクトロなダンスチューンなどなど。このバリエーションの広さは、同時にHIP HOPという音楽のジャンルが持つ自由さや幅の広さも感じます。

また、その懐の大きさという意味では、参加しているゲストミュージシャンにもそれを感じます。RHYMESTERの宇多丸やOZROSAURUSといったメンバーの他、前述の後藤まりこや在日ファンク、クレイジー・ケン・バンドの横山剣といったHIP HOP村の外のミュージシャンも多く参加しており、そういう意味でも懐の大きさを感じます。

一方では同時に、全編に渡って地元横浜への愛情を歌ったり、ラッパーらしい自己紹介ソングがあったり、「WONDER WHEEL 2013 REMIX」のようにしっかりマイクリレーを聴かせる曲があったりと、HIP HOPらしさ、HIP HOPの魅力という点はきちんと抑えている点も印象的でした。

そんな彼らのバリエーション豊富でポップで楽しい楽曲が並んでいるだけに、アルバム2枚いずれも70分を超えるフルボリュームの内容だったのですが、全く最後まで飽きることがなく、かつ、何度も聴きたくなるような充実な内容になっていました。2枚同時発売なのですが、2枚ともに大きな差はありません。あえていえば「白」の方が、アゲアゲなナンバーが多かったかな?HIP HOP好きはもちろん、そうじゃない方でも楽しめる、サ上とロ吉の魅力を知るには最適なベスト盤でした。

ただその一方、これだけ魅力的な割りには残念ながら彼ら、いまひとつブレイクには繋がっていません。そしてその理由もこのベスト盤でなんとなく感じてしまいました。

一番大きな理由は、いまひとつこれといったキラーチューンがない、という点。どの楽曲にしても、サ上とロ吉しか出来ないようなタイプの曲ではありませんし、また、一度聴いたら耳について離れない、というタイプの曲でもありません。また、わかりやすいインパクトあるパンチラインがある、という感じではなく・・・そういう意味では、ブレイクするようなつかみという点はちょっと弱いのかな、ということも感じてしまいました。

ま、そんな気になる点もあるのですが、それを差し引いても十分魅力的な彼ら。その入門盤としてお薦めのベスト盤です。まずは、是非。

評価:どちらも★★★★★

サイプレス上野とロベルト吉野 過去の作品
WONDER WHEEL
YOKOHAMA LAUGHTER
サ上とロ吉のINMIX~non stop rental~
MUSIC EXPRES$
TIC TAC


ほかに聴いたアルバム

OUT/YOUR SONG IS GOOD

インストバンドYOUR SONG IS GOODのニューアルバム。もちろん今回も全編インストのナンバーですが、ちょっとラテンのテイストの入った軽快でアップテンポなナンバーが心地よく、まだエレピの音色も魅力的。インストながらもどの曲も歌心も感じられる作品でした。

評価:★★★★★

YOUR SONG IS GOOD 過去の作品
THE ACTION
B.A.N.D.

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2014年2月16日 (日)

日本の歌謡曲を聴く感覚で?

Title:Mendek Sevaolasizmi?
Musician:Yildiz Usmonava

1月2月は例年、新譜のリリースが少なめになるのですが、そんな時期、年末から年明けにかけて各種メディア等で発表される「ベストアルバム」のうち、まだ聴いたことないアルバムをいろいろ聴いていたりします。今回紹介するアルバムも、そんな流れで聴いたアルバム。「ミュージック・マガジン」誌のワールドミュージック部門で年間2位となっていたことをきっかけに聴いてみた1枚です。

彼女の名前は「ユルドゥス・ウスマノヴァ」と読むそうで、ちなみにアルバムタイトルは「メンデク・セヴァオラシズム?」と読むそうです。1963年に中央アジアのウズベキスタンで産まれた彼女はソ連崩壊に伴いウズベキスタンが独立した91年頃にデビュー。93年から96年にかけては3枚のアルバムをヨーロッパでもリリースするなど、高い人気を得たそうです。

その後も国内外で高い支持を得て、一説には全世界で2,000万枚ものアルバムを売ったとか。その高い人気から「中央アジアのマドンナ」という異名も持つそうで、国内では政界へも進出。「歌う代議士」としても知られるようになったそうです。

しかしそんな折発生したアンディジャン事件に反発する形で大統領と対立。トルコに亡命する形になり現在に至っているそうです。

ちなみに今回のアルバムタイトルは、ライナーツノートによると彼女の母語、ウズベク語で「あなたはわたしよりも愛しているの?」という意味だとか。トルコ亡命後の作品はトルコ語で歌われた作品をリリースしていたそうですが、今回は彼女の母語、ウズベク語による作品になっているそうです。

とまあ、以上、CDについていたライナーツノートの要約になってしまうわけですが、もちろん彼女のアルバムを聴くのは今回はじめて。ウズベキスタンの音楽、なんてのは全く想像できなかったわけですが、聴いてみてちょっとビックリしました。これ、完全に歌謡曲じゃん(笑)。

いや、それは決して悪い意味ではなく、日本人にとっては琴線に触れるであろうメロディアスなナンバーの連続。「DUNYO」という1曲目なんて、そのまま2ドラの主題歌として起用しても違和感ないレベル。4曲目の「YOLG'IZ ONA YOR YORI」なんか、ギターやストリングスの使い方も含めて、完全に日本の古き良き歌謡曲という雰囲気を漂わせるナンバーになっていました。

もちろん、「歌謡曲風」といっても、決してベタに日本的なわけではなく、むしろベースにしっかり中東的、アジア的な雰囲気が混じっているのがとても魅力的。「YALINGANING QANI」「MARG'ILONDAN RAVONA BO'LDIM」あたりがそんな典型例でしょうか。エキゾチックな雰囲気のアレンジは、ちょうど私たちが中東の音楽としてイメージしそうなタイプの音楽で、ちょっとアラビアテイストといった感じでしょうか、哀愁あるサウンドがとても魅力的でした。

とはいえ、全体的に歌謡曲っぽい雰囲気のメロディーが印象に残るアルバム。そこにアジアテイストのアレンジ、そこに彼女の力強いボーカルが加わる作品で、ワールドミュージックにカテゴリーされるアルバムですが、日本人受けしそうな要素も感じます。ウズベキスタンの音楽と、日本の歌謡曲にどこか似たような雰囲気を感じてしまうあたり、どこかで繋がっているのではないか、とすら感じてしまうアルバムでした。

そんな訳で、はじめて聴いた彼女のアルバムでしたが、その魅力は十分に伝わってきたように感じます。日本人にとってはどこか懐かしさも感じるようなアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Kiss Land/The Weeknd

昨年、本作は高い評価を得て、ビルボードでもチャート2位を記録し、大ヒットとなりました。作品は映画音楽あるいはドラマ音楽を彷彿とさせる、ちょっとベタな分厚いエレクトロアレンジ。仰々しい雰囲気もありますが、メロウなメロディーと対比してインパクト十分な出来になっています。ただ、その分厚いアレンジのため、後半はちょっとだれる直前に。そのため、ボーナストラック2曲はちょっと余計だったかも・・・。

評価:★★★★★

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2014年2月15日 (土)

「フォークの神様」

Title:岡林四十五景~デビュー45周年記念ベスト盤
Musician:岡林信康

60年代から70年代にかけてのフォークブームの時に絶大な支持を集め、「フォークの神様」と言われる岡林信康。日本のポピュラーミュージック史を語る時にも必ずその名前が語られる、日本ポピュラーミュージック界のいわば「リヴィング・レジェンド」ですが、その彼がデビュー45周年を迎えオールタイムベストをリリースしました。

3枚組となるボリュームで、彼の楽曲が活動順にならんでいる、まさに岡林信康の歴史を知ることが出来るベスト盤。デビュー当初のフォークソングから、その後のロック寄りの作品、彼がその後傾倒する演歌や、さらに80年代後半からの彼のライフワークとなる、日本の民謡のリズムを取り入れた「エンヤトット」まで、その45年間のうちにめまぐるしく変化し続ける、彼の音楽遍歴を一望することが出来ます。

ただ、これら彼の代表曲を俯瞰して聴くと感じるのは、彼はやはりあくまでも「フォークの神様」だなぁ、という点でした。ぶっちゃけて言ってしまうと、彼の楽曲で文句なく名曲と感じたのはフォーク期の曲。演歌やエンヤトットの楽曲については、正直、フォークほど「名曲」とは感じられませんでした。

例えば演歌に傾倒した「月の夜汽車」「春を運ぶな雪の海」はまさにそのままど演歌。同じフォーク畑の吉田拓郎が作曲した「襟裳岬」や彼のバックバンドをつとめたはっぴいえんど出身の大滝詠一が書いた「冬のリヴィエラ」などは彼らの持ち味をいかしつつ、演歌のイメージと上手く融合させていますが、岡林信康の演歌は、その意味では演歌の様式にはまりすぎている感じがします。

「マンハッタン」「霧のHighway」などもタイトル含めていかにもニューミュージック風ですが、こちらもいまひとつ岡林信康としての個性が出ていない結果に。ここらへんに比べて、彼が行き着いたエンヤトットは「DANCE MUSIC」など、確かにおもしろいことはおもしろいのですが、ロックとの融合という観点では、後発のソウル・フラワー・ユニオンなどに比べると、民謡のイメージに縛られすぎにも感じます。また、「江州音頭物語」などもそうですが、おそらく当時反発を受けた「エンヤトット」の良さを普及しようとするのはわかるのですが、その結果、あまりにも理屈っぽい歌詞が、聴いていて一種のノイズになってしまっています。

これらの曲がなぜいまひとつに感じるかというと、結局のところ、理屈っぽい、ということになるような印象を受けます。フォークという一箇所に捕らわれず、新たな音楽を模索する彼のスタイルは、敬意に値しますが、狙いが露骨すぎて、型にはまりすぎてしまっているように感じました。

結局のところ彼の最大の魅力は、時には物語性を持ち、人間を的確に描写し、常識や権力に常に疑問を抱きつつ、ユーモアな視点を持ちながら描くその歌詞。そしてそんな歌詞を上手くひきたてる、シンプルながらもインパクトあるメロディー。これに尽きるのではないでしょうか。そしてそんな彼の魅力が最も生きるのがやはりフォークソングという形態であり、だからこそ彼はあくまでも「フォークの神様」だな、というのがこのベスト盤を聴いた感想でした。

これらの魅力がきちんと反映された曲は今聴いても実に魅力的。確かにメロディーなどに時代を感じる部分はあるのですが、今でも十分通用する普遍的なメッセージ性もちゃんと残っています。例えば「くそくらえ節」などは、今で言うところのブラック企業の上司をちくりと皮肉った歌詞なんかも登場。ただ、これを聴いて拍手している世代が、ブラック企業のトップの側に立って、若者をこき使っている事実が実に皮肉なのですが・・・。

またもっとも楽曲としていまひとつと感じても、音楽的に常に挑戦をし続ける彼のスタイルについてはやはり大きな魅力だと思いますし、そういうスタンスもまた、自分自身を一種の「権力化」しないという意味で、デビュー以来、一本筋が通っているものを感じます。そういう生き方も含めて、まさに「フォークの神様」と言えるのかもしれません。

ちなみにこのベスト盤でちょっと残念だったのは同和地区の差別問題に切り込んだ「手紙」が収録されなかった点。いろいろな事情があるかもしれませんが、やはり彼にとっては重要な曲だと思うんだけどなぁ。

そんな訳で、いろいろと感じることの多かったベスト盤。とはいえ、間違いなく日本のミュージック史を代表するミュージシャンのひとりなので、まずは聴いておくべきアルバムだと思います。考えさせられる部分も多く、心に響く曲も少なくない作品です。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

re(construction)/plenty

plentyの代表曲を ストリングスやピアノを入れて再構築されたアルバム。美しいサウンドが印象的だが、基本的にplentyのイメージに沿ったアレンジのため驚きみたいなものはない。また、再構成にストリングスとピアノを入れるという方法はちょっとベタな気が・・・。

評価:★★★★

plenty 過去の作品
拝啓。皆さま
理想的なボクの世界
plenty
this

nightporter/geek sleep sheep

L’Arc~en~Cielのyukihiro、MO’SOME TONEBENDERの百々和宏、凛として時雨の345からなる3ピースバンドのデビューアルバム。基本的にシューゲイザーからの影響の色濃いギターロックで、345のボーカルも効果的に使っていて、雰囲気としてはスーパーカーに近い雰囲気があります。音的には思いっきり好みの音で、そのため基本的には楽しめたのですが、正直、目新しさがほとんどなく、それを補うだけのメロディーやサウンドがあったかというと、そこまでは微妙・・・。シューゲイザー好きにはお薦めできると思いますが。

評価:★★★★

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2014年2月14日 (金)

複雑な気持ち・・・。

Title:EP2
Musician:PIXIES

Ep2

PIXIESがまたしても新譜をリリースしてしまいました・・・・・・・「してしまいました」と表現しなくてはいけないのが悲しいところなのですが(苦笑)。前作「EP1」でベーシストとして参加していたKim Shattuckを解雇。新たなベーシストとして、Zwanなどで活動していたPaz Lenchantinを新メンバーに加えての新作となりました。

今回の新作を目だって酷評したのがかのピッチフォーク。アルバムレビューでは2点という年間ワーストレベルの酷評ぶり(^^;;レビューの文章は英語をざっと斜め読みした程度なのですが、「平凡なギターロック」といった感じの評価になっていました。

「EP1」もそうだったのですが今回のアルバムも、かつての彼らのアルバムと比較すると、確かに平凡な内容。PIXIESらしい一発で覚えられるようなフックが利きまくったメロもなければ、バンドサウンドの緊張感もいまひとつ。なによりキム・ディールとのやりとりがなくなってしまったのが一番寂しい点です・・・・・・。

ただ、じゃあピッチフォークで2点をつけられたような駄作か、と言われると、正直、そこまでは悪くはありません。「Blue Eyed Hexe」のヘヴィーなバンドサウンドはやはりカッコよさを感じますし、「Greens and Blues」のようなメロディアスな曲には、Black Francisのメロディーセンスも感じられます。そういう意味では、下手なギターロックバンドにはまだまだ及びもつかないレベルなのは間違いありませんし、PIXIESとしての魅力も、きちんと兼ね備えています。

それだけに、楽曲の内容にしろ活動にしろ、いまひとつ中途半端さはどうにも否めません。PIXIESの名前に頼った中途半端な活動をするくらいなら、Black Francisのソロの方がよっぽどいいですし、PIXIESとして活動するなら、過去の伝説をぶっとばすくらいの活躍をしてほしい、とやはり思ってしまいます。

そういう意味では、実に複雑な気持ちになるアルバム。それでもやはりPIXIESの新譜ならば聴いてしまうんですよね・・・。

評価:★★★★

PIXIES 過去の作品
EP1


ほかに聴いたアルバム

I Am Not A Human Being II/Lil Wayne

人気ラッパー、リル・ウェインの、「I Am Not A Human Being」シリーズの第2弾。美しいピアノの音色やトライバルなリズムを取り入れるなど、多彩な音を取りいれた作風は魅力的。ただ中盤以降は正直似たような雰囲気の曲が多く、ちょっと飽きが来てしまった部分も。

評価:★★★★

LIL WAYNE 過去の作品
THA CARTER III
THA CARTER IV
Dedication 4
Dedication 5

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名古屋圏フェス・イベント情報2014 (2/14) 

管理人の予定策定という実用を主目的とした、名古屋近辺の音楽イベント一覧。3月頃再スタートを予定していましたが、年が明け、次々とフェス開催のニュースが入ってきているため、はやくもスタートです。ただし、4月までは更新は月1回の予定。

主な選定基準は

複数ミュージシャンが参加する野外ライブや、複数のイベント会場で同時に行われる、ライブサーキット的なイベント。

ジャンルはポップス全般。ジャズも含む。演歌、クラシックは除く。

場所は、名古屋から新幹線を使わず日帰り圏内。具体的には東海3県と、静岡の掛川あたりまで、長野の木曽地域、滋賀の米原、彦根、長浜あたりまで。

一応、それぞれのイベントに、「行きたい度」をつけました。

行きたい度 ★★★★★ ⇒是非とも行きたいイベント
行きたい度 ★★★★   ⇒出来れば行きたいイベント
行きたい度 ★★★    ⇒お金と時間に余裕があれば。
行きたい度 ★★      ⇒タダ券が手に入り、暇なら。
行きたい度        ⇒行きません。

「行きたい度」はあくまでも管理人の趣味・主観によるものです。そのため、イベント自体の良し悪しとは一切関係ありません。ご了承ください。

イベントについているタグの種類
形態・・・【野外】【屋内】【ライブサーキット】【街角ライブ】
ステージ・・・【複数ステージ】【単独ステージ】
【サブステージ制】→ひとつの会場でステージが2つあり、交互に演奏する形態
場所・・・【都市型】【郊外型】【山中】【海辺】
ジャンル・・・【Rock】【Pop】【HIP HOP】【Punk】【Club】【Reggae】【Idol】【Jazz】【World】
その他出し物・・・【屋台】→食べ物の屋台の出店あり 【マーケット】→雑貨屋やフリマの出店あり
【非音楽イベント】→音楽以外のイベントあり
その他・・・【外タレ】【無料】【オールナイト】【キャンプ可】【キャンプ前提】

2/14更新
<開催決定>
UP PARK CAMP 2014 SHIMA REGGAE FESTIVAL、TOKAI SUMMIT '14、Nagoya HAWAII Festival 2014
<出演者追加>
東濃フェス2014春、やまのて音楽祭2014、PUNKSPRING2014、びわこJAZZフェスティバル in 東近江2014、リゾートライブラリーIII、森道市場2014、TAICOCLUB'14、頂 ITADAKI 2014、FUKUNE MUSIC FES.2014

続きを読む "名古屋圏フェス・イベント情報2014 (2/14) "

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2014年2月13日 (木)

エレクトロサウンドを入れつつ・・・

Title:Rave Tapes
Musician:MOGWAI

純然たるオリジナルアルバムとしては2年ぶりとなるMOGWAIのニューアルバム。ここ最近のMOGWAIの作品は、ノイジーギターが楽しめる、いわばリスナーがMOGWAIに求めるサウンドをきちんとつくりつつも、目新しさがなく、そういう意味ではちょっと物足りないかな、と感じる作品が続いていました。

MOGWAIらしいギターノイズを聴かせつつ、目新しさがない、という点では今回のアルバムも正直変わりはなかったかもしれません。「HEARD ABOUT YOU LAST NIGHT」など、ギターノイズに心地よさを感じるような曲がメイン。特に今回の作品に関しては、静かなアレンジから一気にハードな音が出てきて、ダイナミックな展開が魅力、という雰囲気の曲はあまりありませんでした。

今回のアルバムの特徴としてはエレクトロサウンドの導入という点があるかもしれません。確かに「REMURDERED」をはじめ、エレクトロサウンドを楽曲に取り込んだ作品も目立ちました。ただ、どの曲も打ち込みのサウンドを前面に押し出したというよりも、あくまでもバックに彩りを添える程度のサウンド。いわばギターサウンドの隠し味的な位置付けで、MOGWAIのイメージがグッと変わった、という感じではありません。

今回のアルバムでむしろ印象的だったのは、アルバム全体がポップに、よりメロディアスになったように感じた点でした。「HEXON BOGON」「BAD MAGICIAN 3」あたりはかなりメロディアスで哀愁も感じられましたし、「BLUES HOUR」などはとても美しいピアノの音色が印象的な作品になっていました。

そういう意味では2011年にリリースした「Earth Division EP」で聴かせたピアノとストリングスでの美しいサウンド、その系統も引き継いだアルバムと言えるかもしれません。一方で、ノイジーなサウンドはいつも通りのMOGWAI。きちんとファンの要求に応える、壺をついた作品になっていたと思います。

そんな訳で、今回のアルバムも決して目新しいものではありませんでした。ただ、メロディアスなメロが素直により楽しめるという意味で、ここ数作の中では一番楽しめた作品だったと思います。今後は、今回取り入れたエレクトロサウンドがどう展開されるのか楽しみにしつつ、MOGWAIらしさを楽しめたアルバムでした。

評価:★★★★★

MOGWAI 過去の作品
The Hawk Is Howling
HARDCORE WILL NEVER DIE,BUT YOU WILL
Live at All Tomorrow's Parties,9th April 2000
Earth Division EP

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2014年2月12日 (水)

ジャニーズ系、韓流、AKBの三つ巴

今週はアルバムの初登場が少なめだったので、シングルアルバム同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週はジャニーズ系、韓流、AKB系の三つ巴となりました。

まず1位はジャニーズ系。Hey!Say!JUMP「AinoArika」が獲得。TBSテレビ系ドラマ「ダークシステム 恋の王座決定戦」主題歌。初動売上20万7千枚は前作「Ride With Me」の16万2千枚よりアップで、2作ぶりに初動20万枚を確保。ただ、以前の初回盤×2種類+通常盤の3種類から、初回盤×3種類+通常盤と販売形態を増やしたのも要因のようですが。

2位は韓流。東方神起「Hide&Seek」がチャートイン。フジテレビ系ドラマ「チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮」主題歌。ハイテンポなEDMナンバーになっています。初動売上10万7千枚は前作「Very Merry Xmas」の11万6千枚からダウン。3月にニューアルバム「TREE」の販売が予定されており、その影響もあるかも。

で、3位はAKB系。元AKB48板野友美「little」がランクイン。今回もまた、ダークな雰囲気の歌謡曲で、中森明菜とかその方面を狙っているみたいですが、それにしてはあまりにも歌唱力に難ありすぎでは?初動売上3万4千枚は前作「1%」の4万4千枚よりダウンしています。

続いて4位以下の初登場ですが、まず4位にback number「fish」がランクインしてきました。back numberは3人組のロックバンド。哀愁漂うメロディーが印象的なバンド。アルバムではいままで2枚ベスト10ヒットを記録していますが、シングルでは初のベスト10ヒット。初動1万7千枚は、前作「高嶺の花子さん」の1万枚(最高位11位)より大幅アップ。

5位は日本人2人、韓国人3人からなる日韓混合ユニット、BEE SHUFFLEのデビューシングル「Welcome to the Shuffle!!」が入ってきました。韓国や台湾の番組を放送しているCSテレビ局「DATV」と韓国のMBC MUSIC共同企画のアイドル番組からデビューしたユニットで、今回のデビューシングル、チャート5位に入らなければ即解散という企画があったそうです。って、こんな馬鹿馬鹿しい企画、まだやっているの?

で、今週残りの初登場、6位から9位はすべてアニソンが並びました。まずそのうち上位2枚は人気女性声優の新曲。田村ゆかり「秘密の扉から会いにきて」(アニメ「のうりん」オープニングテーマ」)が6位、坂本真綾「SAVED.」(アニメ「いなり、こんこん、恋いろは。」エンディングテーマ)が7位にランクイン。同じ女性声優系ながらも、田村ゆかりはトランシーなアイドルソング、坂本真綾は鈴木祥子作曲のバラードナンバーとかなり違うタイプなのですが・・・。初動売上は田村ゆかりが1万5千枚でここ3作続けての同水準。坂本真綾は初動1万4千枚で前作「はじまりの海」の9千枚(最高位19位)よりアップ。2011年の「おかえりなさい」以来3作ぶりのベスト10入り。

8位はロックバンドUNISON SQUARE GARDEN「harmonized finale」が入ってきました。アニメ「劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-」主題歌。これで3作連続ベスト10入り。初動売上1万3千枚は「桜のあと (all quartets lead to the?)」の1万2千枚から微増。メロディアスなギターロックだけど、ルーツレスな雰囲気がいかにもJ-POPな作品。

最後、9位にはヴィジュアル系バンドViViD「光-HIKARI-」がランクイン。TBS系アニメ「マギ」オープニングテーマ。爽やかな前向きポップチューンは良くも悪くもアニメの主題歌っぽい雰囲気。初動売上1万1千枚は前作「ANSWER」の2万枚から大きくダウンしていますが、こちらは今月26日にこの曲も収録したアルバム「THE PENDULUM」発売が予定されているためと思われます。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

こちらはEXILE系vs韓流

で、1位を獲得したのはTHE SECOND from EXILE「THE II AGE」。EXILEのメンバーからなる別働隊的ユニットの初となるアルバム。初動売上5万枚は、直近のシングル作「SURVIVORS」の8万2千枚からダウンという、アイドルみたいな結果に。

2位は韓国の4人組バンドCNBLUE「Korea Best Album 'Present'」。タイトル通り、韓国で発表された曲をまとめたベスト盤。初動1万9千枚は、日本盤オリジナルアルバムの直近作「What turns you on?」の4万3千枚から大きくダウン。どちらかというとコアなファン向けタイトルといった感じでしょうか。

3位にはアメリカの女性シンガーAriana Grande「Yours Truly」がランクインです。昨年8月にリリースされたアルバムの国内盤。キュートなルックスが日本でも話題を呼び、このアルバムの国内盤リリースにあわせて来日プロモーション。その活動も功を奏し、見事ベスト3ヒットとなりました。

続いて4位以下の初登場ですが、まずは4位。高田龍一「劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ! 』オリジナル・サウンドトラック」がランクイン。タイトル通り、ゲーム「THE IDOLM@STER」の映画盤のサントラ。

そして初登場最後は5位。ロックバンドNICO Touches the Walls「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」が入ってきました。タイトルそのままですが、今年結成10周年を迎えるNICO Touches the Wallsの初のベスト盤。初動売上1万2千枚は前作「Shout to the Walls!」の1万枚よりアップ。ただ、ベスト盤ということを可が得ると、上げ幅はちょっと寂しい感じかも・・・。

初登場は以上。今週はもう1枚返り咲きのアルバムが。8位にイギリスのアイドルグループONE DIRECTION「Midnight Memories」が先週の11位からランクアップ。ただし、売上は8千枚から7千枚にダウンしているので、低水準のチャートに助けられての返り咲きの模様。先々週のチャート以来、2週ぶりのベスト10入りとなります。

そんな訳で、今週のチャート評は以上。また来週の水曜日に!

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2014年2月11日 (火)

徹底的なエンターテイナー

Title:5人のエンターテイナー
Musician:東京カランコロン

2月にリリースしたメジャーデビューアルバム「We are 東京カランコロン」は、先日紹介した、2013年の私的ベストテンで5位に入れたほどお気に入りのアルバムとなった東京カランコロン。それからわずか9ヶ月のインターバルで、はやくもメジャー2枚目となるアルバムがリリースされました。

ギターロックをメインに、キーボードの音色を効果的に入れつつ、様々なジャンルを取り入れたポップな楽曲を展開するのは前作と一緒。とにかく彼ら、音楽的に筋が通っているのが、ポップで、リスナーを徹底的に楽しませようとするスタンスが、どの曲にも感じられる点です。

このアルバムでも先行シングル「16のbeat」みたいな軽快なギターロックを主軸としながら、ファンキーなディスコチューン「true! true! true!」や、せんせいのボーカルを効果的に使い、かわいらしいポップソングに仕上げた「キャラメル」、ミディアムテンポのメロウなナンバーに仕上げている「てのひら」など、様々なパターンの曲を楽しく展開させています。

特に男性ボーカルのいちろーと、女性ボーカルのせんせいのツインボーカルを上手くつかいこなしているのが見事。ちょっととぼけた雰囲気のいちろーと、キュートなせんせいのボーカルの対比がおもしろく、「走れ、牧場を」などは、このツインボーカルゆえの名曲に仕上がっています。

ここらへん、アルバムタイトルもそうなのですが本人たちがリスナーを楽しませようとする姿勢は明確で、このアルバムでも1曲目「誰かのエンターテイナー」では

「大した事は唄えなくても、
誰かにとって、
君にとって、
エンターテイナーであれたらいいな」

(「誰かのエンターテイナー」より 作詞 いちろー)

と宣言していますし、ラストはそのものスバリ「J-POPって素敵ね」。ちょっと「J-POP」を揶揄するかのような歌詞もあるのですが、基本、J-POPに対する愛情を歌っています。

一方でちょっとひねくれたサウンドがまたユニークで耳に残るのも大きな特徴。ただ、前作「We are カランコロン」に比べると、サウンドやメロはもうちょっと整理されて良くも悪くもまとまった感じもします。そういう意味ではメジャー2作目にして、完成度が増したアルバムと言える反面、デビュー作のような新人バンドらしい勢いや、何が飛び出るかわからないような楽しさはちょっと薄くなってしまったかな?とも思います。

とはいえ、前作に引き続き9ヶ月のインターバルでリリースされた新作も文句なしに楽しい傑作。これはこれからの活躍も楽しみですね。2014年、最も期待したい新人バンドの一組なのは間違いないでしょう。

評価:★★★★★

東京カランコロン 過去の作品
We are 東京カランコロン


ほかに聴いたアルバム

One Song From Two Hearts/コブクロ

コブクロの4年4ヶ月ぶりとなるニューアルバム。正直、一時期に比べると勢いや人気はちょっと下降気味になってしまいましたが、楽曲の良さ、特にメロディーの良さは相変わらず。正直、変わりばねをしないといえばそれまでなのですが、いい意味で期待通りの安定した良作を作り続けています。ただ、アレンジに関しては安直にストリングスを入れてスケール感を出そうとする一本調子の内容に少々霹靂。基本的に編曲も本人たちが手がけているみたいですが、アレンジは第三者に頼んだほうがよいのでは?

評価:★★★★

コブクロ 過去の作品
5296
CALLING
ALL COVERS BEST
ALL SINGLES BEST2

TOMMY ICE CREAM HEAVEN FOREVER/Tommy heavenly6

the brilliant green川瀬智子のTommy heavenly名義でのソロアルバム。基本的にハードロック志向のアルバムなのですが、相変わらず特に代わり映えしないよくありがちなサウンドでこれといった面白みは感じられず。ポップでインパクトがあるのは間違いないと思うのですが・・・。

評価:★★★

Tommy february6/Tommy Heavenly6 過去の作品
I KILL MY HEART(Tommy Heavenly6)
Strawberry Cream Soda Pop “Daydream”(Tommy February6)
Gothic Melting Ice Cream’s Darkness “Nightmare”(Tommy heavenly6)
FEBRUARY&HEAVENLY(Tommy february6/Tommy heavenly6)
HALLOWEEN ADDICTION-ハロウィン中毒-(Tommy february6/Tommy heavenly6)
TOMMY CANDY SHOP SUGAR ME
(Tommy February6)

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2014年2月10日 (月)

あなたの知らない世界

私は基本的に毎月、「レコード・コレクターズ」誌を購読しているのですが、その中で一番楽しみにしているコーナーが、芸能史研究家で、SPレコード収集家の第一人者、岡田則夫氏のコラム「続・蒐集奇談」。今回、その過去の連載をまとめた本が1冊にまとまったため、読んでみました。

SPレコードというのは、「Standard Playingレコード」の略で、LPやEPレコードが出てくる前、1950年代あたりまで生産されていたレコードの形態。いまでは、普通に生活していれば、音楽ファンでもまずお見かけすることのない昔のレコードなのですが、全国各地の古道具屋を巡りSP盤を収集している著者が、その収集の過程を記した作品です。

基本的に、冒頭、「SP盤収集とは何か」という話が描かれ、SP盤収集にあたってのマニアの間での常識や収集の方法などが語られていますが、この著書全般で記されているのは、著者が全国の古道具屋を巡ってSP盤を収集するお話しで、そういう意味では「SPレコード」といっても音楽のお話、よりはむしろ「紀行文」に近いかもしれません。もっとも、紀行文といっても著者がそこでやるのはひたすらSP盤収集のため、古道具屋を巡ったり、骨董市を巡ったり、その現地の収集仲間と出会う物語で、現地の観光地などはほとんど登場しません。

ぶっちゃけ口を悪く言ってしまえば「マニアの生態を描いたお話し」なのですが、これがとても興味深く読めてしまうのは、もちろん、岡田氏の文章力もあるのでしょうが、やはり、たまにテレビでやるような「あなたの知らない世界」的な、自分たちとは全く関係なさそうな世界をのぞきこむようなあのドキドキ感。例えば著者は、全国各地の古道具屋を巡るのですが、そこはどこも店の中に古い雑貨が山積みにされ、さらに店主は積極的に愛想よく営業をするような人ではなく、一癖も二癖もある人たちばかり。そんな古道具屋が(ここで取り上げられているのは、古いと20年くらい前の話になってしまうのですが)全国各地(というよりも、ひとつの街に何件か)あるというのはちょっと驚き。確かにたまに「何の店なんだろう?」というような、古い品物が積みあがっているような店を見かけることがあるんですが、あれがここで登場するような古道具屋なんでしょうね・・・。また、骨董市は、朝6時くらいから店が開きだし、マニアはさらにそれよりも早く、会場でウロウロしているという事実など、全く知らない「SP盤収集マニア」の実態は、興味深いものがありました。

一方で、こういう世界をおもしろく読めるのって、たしかに自分たちとは直接関係ない世界なのかもしれないですが、でもどこか自分たちにも共感する部分があるんですよね。それは例えば、岡田氏のSP盤に対する愛情が伝わってくるという部分もありますし、また例えば音楽だとか、ライブだとか、それとも切手収集でも鉄道でもいいのですが、なにかひとつ、こだわりのある趣味を持っている人にとっては、それこそ一般人には理解されないような行動力で趣味の世界を広げていく岡田氏をはじめSP盤収集マニアの行動については、共感をおぼえる部分も強いのではないでしょうか。だからこそ、このコラムは、とても興味深く読むことが出来ました。

そんな訳で、一応「音楽の本」の括りで読んで紹介した本ですが、内容的には音楽と直接関係ありませんし(岡田氏の興味も、むしろ落語が本筋のようですし)、むしろ音楽関係なく、なんらかの趣味を持っている方ならば、楽しめる本だと思います。

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2014年2月 9日 (日)

踊らせることに徹底して特化

Title:80:XX-01020304
Musician:80kidz

80kidzの最新作は企画盤。今年5月に始動したダンストラックEPシリーズ「80シリーズ」の4枚をCD1枚にまとめてリリースしたアルバムです。

まずはアルバムを1枚聴いて感じたのは、うーん、困った。ここのサイトでは、よくマイナス評価の表現として「新鮮味がない」「個性がない」という表現をつかいます。でもこのアルバムもはっきりいってしまえば新鮮味があまりありません。正直、80kidzしか持っていないような個性もありません。しかし、はっきりいってこのアルバムにはまってしまいました。

サウンドをカテゴライズするとエレクトロ・ダンス・ミュージックということになりそう。ただ、音的には今流行りのEDMといった感じではありません。むしろ、かつてのunderworldあたりを彷彿とさせそうな、90年代あたりのエレクトロミュージック。そういう意味でサウンドに新しさはほとんどありません。

ただ、アルバム全体に流れるのはあくまでも踊れることに主眼を置いたエレクトロミュージック。王道ともいえるサウンドは、確かに新鮮味はありませんが、「踊る」という機能性を除外するような要素は一切ありません。あくまでもリスナーを楽しませるための音楽で、聴いていて、知らず知らずに身体を動かしてしまうようなサウンドが特徴的。そういう意味で、実にリスナーの壺をついた作品になっていました。

もっとも簡単に「リスナーの壺をついた作品」と書いてしまっていますが、実際に思わず身体を動かしたくなるような音楽って、ダンスミュージックでもなかなかありません。比較的ビートの強いサウンドで、ロックテイストも強い、という点やダンスミュージックといっても、その後ろでしっかりメロディアスなメロディーが流れているという点も大きな魅力でしょう。最初に「個性がない」といいましたが、こういう王道ながらもメロディアスなテクノをしっかりつくってくるという点こそが80kidzの個性、なのかもしれません。

前作「TURBO TOWN」ではロック色の強い作品にシフトした80kidzですが、本作では以前のようなダンスミュージック路線に戻ったともいえる作品。もっとも、そういうダンスミュージックをコンセプトとした企画盤ですので、次のオリジナルではどんな作品をつくってくるのか不明なのですが・・・。ただ、徹底してフロア志向のこのアルバムは、聴いていて無条件で気持ちよかった傑作。ダンスミュージック好きは、必聴の1枚だと思います。

評価:★★★★★

80kidz 過去の作品
THIS IS MY SHIT
THIS IS MY WORKS
WEEKEND WARRIOR
TURBO TOWN


ほかに聴いたアルバム

ハッピーランチ/前野健太

前作からわずか11ヶ月というインターバルで発表された前野健太の新作。フォーキーな雰囲気が漂うアコースティックなサウンドがメインの構成というのは前作から変わらず。メロディーにも歌詞にもどこか歌謡曲っぽい雰囲気が漂うのもひとつの魅力に。ただ、前作に比べてインパクトが低く、若干内輪的な雰囲気を感じてしまった点、ちょっと惜しい感じも。

評価:★★★★

前野健太 過去の作品
オレらは肉の歩く朝

PANDORA/SiM

最近人気上昇中のヘヴィーロックバンド。全体的にヘヴィーで、レゲエ風なリズムをいれつつもいかにもなハードコア風な楽曲。ただ、へヴィネス度は適度に抑え、メロディーを比較的前に出しています。そのメロディーも結構ポップで、意外と哀愁があって、いい意味でも悪い意味でも日本的。確かに売れそうだなぁ、という印象。

評価:★★★★

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2014年2月 8日 (土)

ブルースへの愛情あふれるカバー第3弾

Title:1968 vol.3~NOVEMBER~
Musician:近藤房之助

日本を代表するブルース・ミュージシャン、近藤房之助のカバー企画第3弾。「1968年当時17歳だった近藤房之助が感じたBLUESをどこまで表現出来るかを挑戦した」だそうで、ブルースの名曲11曲をカバー。さらに本作ではインスト作品として自作の曲も2作収録されています。

2010年に第1弾、2012年に第2弾がリリースされ、そして本作。第3弾にして最終作だそうす。基本的な路線は第1弾、第2弾と同じ。ブルースの名曲の数々を歌い上げる彼のボーカルは実に力強く、そして丹念にカバーしていくスタイルはブルースへの愛情を深く感じます。

パワフルにかきならされるギターの音とブルース・ハープの音色が目立つため、楽曲としてパッと聴くととても無骨な雰囲気。とくに彼のボーカルは、第1弾から同様なのですが、きれいな英語の発音に拘らず歌いたいように歌うスタイルのため、彼の感情がストレートに表現されているため、この「無骨」というイメージが強調されています。

しかし実際にこのアルバムをよくよく聴くと、「無骨」というイメージよりも意外と計算された洗練さを感じました。特に後半、Otis Rushの「Take A Look Behind」から自作のインスト曲「November」はジャジーでメロウな雰囲気がとても都会的なイメージ。「無骨」なイメージとは異なるサウンドを聴かせてくれます。

また、ブルースの王道を行くようなカバーながらも、これは以前の「1968」シリーズとも共通しているのですが、現代風にアレンジしている部分が強いのも印象的。まず全体的に音圧が強いアレンジにしていますし、Leroy Carrの「Rocks In My Bed」で聴かせてくれるノイジーなギターサウンドやSonny Boy Williamson Ⅰの「Sloppy Drunk Blues」での重低音を響かせるアレンジなどまさに現代的な雰囲気を感じます。単純なブルースのカバーではなく、彼なりに咀嚼して、現代風にアップデートする部分はアップデートしている点も印象的でした。

この現代風のアップデートも、ここ最近の「ブルース」のアルバムを聴いていると、やけにギターのソロを強調したりするハードロック風なアレンジが目立ち大味になりがちな部分が多いのですが、彼の場合、ブルースのブルースらしい部分はきちんと残しているため、決して単調な大味なアレンジにならないのも魅力的でした。

以前も書いたのですが、現代風の聴きやすいアレンジなので、ブルース初心者にもお薦めしたいアルバム。このアルバムでカバーされている曲の原曲を聴いてみる、みたいに遡って聴いていけば、ブルースの世界も一気に広がるかも。これで最後、というのはちょっと残念なのですが・・・次は彼の自作曲でのアルバムを期待したいです!

評価:★★★★★

近藤房之助 過去の作品
1968
1968 vol.2~DOWN HOME~


ほかに聴いたアルバム

BAAN/原田郁子&ウィスット・ポンニミット

クラムボンの原田郁子とタムくんの愛称で知られる、タイの人気漫画家ウィスット・ポンニミットによるコラボアルバム。全編アコースティックな作品で、タイのタムくんの自宅で収録された作品なだけに虫の声や鳥の声が入ったフィールド・レコーディングのような雰囲気に。基本的に自由な雰囲気で暖かく聴かせるポップですが、タムくんの日本語がいまひとつ聴きにくいのと、自由度が高すぎてまとまりがない雰囲気に。原田郁子のファンとタムくんのファン以外はちょっと辛い部分も。

評価:★★★

A WILL/LUNA SEA

2010年の活動再開以来、シングルやセルフカバーアルバムのリリースはあったのですが、ついにリリースされました、13年ぶりとなるオリジナルアルバムです。そんな久しぶりのアルバムは、活動休止直前の時期のような攻撃的な雰囲気は薄まり、かなりポップな内容に。河村隆一の耽美的なボーカルも前に出て、良くも悪くも「一般的にイメージされるようなLUNA SEAらしい」曲のならぶアルバムになっています。久しぶりの新譜なので昔からのファンに向けて、という感じでしょうか。悪くはないけど・・・正直ちょっと物足りなさも感じてしまいました。

評価:★★★

LUNA SEA 過去の作品
COMPLETE BEST
LUNA SEA

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2014年2月 7日 (金)

奥田民生の魅力

Title:O.T.Come Home
Musician:奥田民生

ユニコーンとしてデビューして27年。今年、ソロデビュー20周年を迎える奥田民生のニューアルバム。デビュー以来、第一線で活躍し続けている彼ですが、そんな奥田民生の魅力って何かなぁ、とぼんやり考えてみました。

どこか飄々とした雰囲気、歌詞もユニークでとぼけた感じを出していながら、一方ではそんな彼の楽曲からはロックへの愛情を感じますし、ポップなメロディーラインにはファンに対する愛情も感じます。見た目にはとぼけた雰囲気を感じながらも、その奥には音楽への熱い愛情を感じさせる、それが奥田民生の大きな魅力のように感じます。

本作はそんな彼の約3年ぶりとなるニューアルバム。前作「OTRL」がライブレコーディングで誕生した企画盤的なアルバムだったので、純然たるオリジナルアルバムとしては2008年の「Fantastic OT9」以来5年ぶりとなるニューアルバムです。

なんでそんなことを考えたかと言うと、まさに今回のアルバム、そんな奥田民生の魅力満載の作品になっていたから。奥田民生らしい、ユーモラスでポップなロックナンバーが詰まった作品になっています。

基本的にオルタナティヴ系のギターロックがメインなのですが、アルバムの冒頭を飾る「フリー」はいきなりヘヴィーなギターリフが主導する、これぞハードロックといった感じのナンバーですし。タイトルも歌詞もユーモラスな「チューイチューイトレイン」はロックンロールナンバー。「フリーザー」は60年代ギターポップ風と様々なタイプのロックが繰り出されます。

歌詞にしてもどこかとぼけたユーモラスを感じながらも、実はしっかりみんなを優しくみつめる描写や、背中を押してくれるような雰囲気の曲が並んでいるのが魅力的。「ちょっとにがい」とか、恋に落ちた時の妄想をユーモラスにでもどこか暖かい視点で描いているのが魅力的ですし、先行シングル「風は西から」など

「明日へ突っ走れ 未来へ突っ走れ 魂で走れ
明日はきっといいぜ 未来はきっといいぜ 魂でいこうぜ」

(「風は西から」より 作詞 奥田民生)

なんていうかなり熱い応援歌を聴かせてくれ、彼の奥にあるとても熱いものを感じさせます。

そんな訳で今回のアルバム、奥田民生の新作として決して「真新しい」という感じはしません。むしろ奥田民生としての王道をきっちりとなぞった作品かもしれません。「O.T.Come Home」というタイトルもやはり原点回帰的な意味があるからでしょうか。しかしだからこそ、彼の魅力を存分に感じられるアルバムになっていました。

ユニコーンの活動と同時平行で、精力的な活動を続ける彼。まだまだその勢いは止まらなさそうです。

評価:★★★★★

奥田民生 過去の作品
Fantastic OT9
BETTER SONGS OF THE YEAR
OTRL
Gray Ray&The Chain Gang Tour Live in Tokyo 2012

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2014年2月 6日 (木)

新譜ラッシュ続く

今週のアルバムチャート

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先週に引き続き、アルバムは今週も新譜ラッシュ。

そんな中、今週1位は韓流。男性アイドルグループ2PM「GENESIS OF 2PM」が1位獲得です。初動売上6万3千枚で日本発売のオリジナルアルバムでは前作となる「LEGEND OF 2PM」の5万枚よりアップしています。

2位には「うたの☆プリンスさまっ♪ 劇団シャイニング 天下無敵の忍び道」がランクイン。人気恋愛ゲームのキャラクターによるドラマCD。初動売上は3万5千枚。同じシリーズの前作「うたの☆プリンスさまっ♪ 劇団シャイニング マスカレイドミラージュ」の3万6千枚より微減。

3位には、先週1位のAKB48「次の足跡」が2ランクダウンながらベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場ですが、まずは4位HoneyWorks「ずっと前から好きでした」がランクイン。メンバー4人からなるボーカロイド楽曲制作グループだそうで、こちらがメジャーデビューアルバムとなります。そっか、ボーカロイド楽曲も、そういうグループで活動している人たちも出てきているんですね。

6位には藍井エイル「AUBE」がランクイン。基本的にアニメソング中心に活動している女性ボーカリストの2枚目で、2作連続のベスト10ヒットに。ただし、初動売上1万4千枚は前作「BLAU」の1万9千枚からダウンしています。

続く7位初登場は黒夢「黒と影」。90年代に一世を風靡し、1999年に活動を停止した人気ヴィジュアル系バンド(・・・と書いたらファンから怒られそうですが)が、2010年に活動を再開。これが活動再開後2作目のオリジナルアルバムとなります。初動売上1万2千枚は、活動再開後初のアルバム「Headache and Dub Reel Inch」の1万7千枚からダウン。

8位は、アメリカのロックシンガー、Bruce Springsteenの最新作「High Hopes」がランクインしてきました。ご存知、「リビング・レジェンド」的な大物シンガーですが、日本でのベスト10ヒットは1995年の「Greatest Hits」以来14年ぶりのベスト10ヒットに。初動売上1万1千枚も、前作「Wrecking Ball」が最高位16位を記録した時の売上6千枚からアップしています。このアルバム、日本ではかなり宣伝に力を入れていたみたいなので、その影響が出たのでしょうか。ちなみにアメリカビルボードでもイギリスでも堂々の1位獲得しています。

最後9位には、こちらもアニメソング中心に活動をしている女性シンガーMay'n「NEW WORLD」がランクイン。初動売上1万枚は、前作「HEAT」の1万2千枚からダウンです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2014年2月 5日 (水)

ヒットチャート総入れ替え

今週のシングルチャート

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今週はベスト10が総入れ替えのチャートとなりました。

その中で1位を獲得したのはモーニング娘。'14「笑顔の君は太陽さ」が獲得。今風のEDMを上手くアイドル歌謡曲に取り入れたポップで、こういうところ、つんく♂は相変わらず上手いなぁ、と思います。初動売上14万9千枚は前作「わがまま 気のまま 愛のジョーク」の14万4千枚から若干アップ。4作連続1位で、ここ最近「再ブレイク」と表現しているメディアもあるみたいですが、一方ではこのシングルも6枚セットを同時に購入するとイベントへの参加券を得られるという、複数枚買い戦略はかなり露骨。正直、こういう「売り方」を取り上げずに「再ブレイク」を強調しているメディアは、「メディア」としてそもそも信用してはいけなさそうです。

ベスト10総入替で、やはり今週も多かったのが女性アイドルグループ。他にも7位にClariS「CLICK」、8位にベイビーレイズ「恋はパニック」がそれぞれランクイン。ClariSはどちらかというと「アニソン」の枠組みかもしれませんが・・・。ベイビーレイズはバンドの鶴が作詞作曲のギターロックナンバー、って、またこの方向性のアイドルグループですか。ClariSは初動売上2万枚で前作「カラフル」の3万9千枚から大幅減。ベイビーレイズは初動1万8千枚で、前作「暦の上ではディセンバー」の1万3千枚よりアップで、順調に売上を伸ばしています。

さて、ベスト3に戻ると2位初登場は氷川きよし「大利根ながれ月」。一体いつの時代の曲だよ、と思うど演歌で全く面白みがありません。初動売上4万6千枚は前作「満天の瞳」の4万5千枚から微増。前々作「しぐれの港」も初動4万5千枚で、ここらへん、手堅い感じ。

3位には安室奈美恵「TSUKI」が入ってきています。映画「抱きしめたい-真実の物語-」主題歌。ちょっと和風な雰囲気が漂うバラードナンバー。初動売上4万2千枚は前作「Big Boys Cry」の2万3千枚からアップ。前々作「Go Round」の水準(初動4万6千枚)まで戻しました。

続いて4位以下の初登場ですが、上に書いた女性アイドルグループの他、総入れ替えでやはり目立ったのはアニメ・キャラソン系。4位にアニメキャラクターによるアイドルユニットμ's「タカラモノズ」、6位にゲームソフト「アイドルマスター」の登場人物によるユニット765PRO ALLSTARS「M@STERPIECE」、そしてその2曲とはちょっと色合いが違うのですが、人気男性声優神谷浩史「START AGAIN」が10位にぞれぞれランクインしています。

μ'sと765PRO ALLSTARSはまさに「狙ったような」アイドルソング。μ'sは初動3万6千枚で、前作「Music S.T.A.R.T!!」から横バイ。765PRO ALLSTARSは初動2万7千枚で、前作「CHANGE!!!!」の2万3千枚からアップ。神谷浩史は・・・前作と同様ナルシストっぽいPVがちょっと苦笑いなんですが、初動1万6千枚は前作「Such a beautiful affair」の2万1千枚よりダウンしています。

これで10曲中8曲まで紹介したのですが、おもしろいことにあと2曲はいずれも女性シンガーソングライターによる新作。4位にaiko「君の隣」、9位に家入レオ「チョコレート」がそれぞれランクインしています。ちょっとややこしいことに、aikoの「君の隣」がロッテ「ガーナミルクチョコレート」のCMソングで、家入レオ「チョコレート」はテレビ朝日系バラエティー「お願い!ランキング」エンディングテーマで、チョコのCMとは関係ありません。

aikoは初動3万6千枚で、前作「Loveletter」の4万3千枚よりダウン。ここ最近、7万2千枚→4万6千枚→4万3千枚→3万6千枚と減少傾向が続いているのが気にかかります。家入レオは初動1万8千枚。前作「太陽の女神」の初動1万7千枚より微増となりました。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2014年2月 4日 (火)

2013年ベストアルバム(邦楽編) その2

昨日6位まで紹介した2013年私的ベストアルバム。今日は5位から1位までです。

5位 We are 東京カランコロン/東京カランコロン

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赤い公園に引き続き期待の新人。様々な音楽をごちゃまぜにしたひねくれポップ的な要素と、J-POPっぽいベタなメロディーを両立させたユニークな音楽性が魅力的。上期も書いたのですが、ポップになったクラムボン、という表現がピッタリ来そう。これからまだまだ伸びそうで、一気にブレイクもありそうな期待の新人です。

4位 音楽はあるか/ウラニーノ

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先日、わずか61歳でこの世を去ったプロデューサー佐久間正英。その彼が最後に手がけていた仕事がこちら。男性2人組バンドウラニーノの最新作。シンプルな歌詞とメロが特徴的ながらも、文学的で物語性ある歌詞の世界はインパクトがあります。本作では特に、今の音楽シーンに一言物申すような歌詞も多く、強いメッセージ性も感じます。佐久間正英の名前云々以前に是非聴いてほしい傑作です。

3位 第5作品集「無題」/downy

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つい先日、感想をアップしたばかりなのですが・・・活動を再開したポストロックバンドの9年ぶりとなる新作。変拍子を多用しつつ、シューゲイザー的な要素やエレクトロニカからの影響なども感じつつ展開していく楽曲は非常に独特のもの。ただ一方で、1曲あたりの時間は比較的短く、複雑な作風ながらも「ポップソング」的に聴けてしまう部分も大きな魅力。downyらしさを詰め込んだ傑作でした。

2位 Ten/キリンジ

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兄弟2人組デゥオとしては最後となるキリンジの新作。上半期の1位作品で、その時も書いたのですが、ラストアルバムながらも、これで最後という気楽さからか、変な気負いもなく、結果として兄弟それぞれの魅力がしっかり出ている傑作になってしまいました。これが最後というのはとても残念なのですが・・・堀込兄弟のこれからにも期待です!

そして・・・

1位 予襲復讐/マキシマム ザ ホルモン

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もうね、本年度断トツの1位はこちら。文句なしに一番はまりました。ロック好きが文句なしに楽しめそうな音を全部詰め込んだサウンドに、中学時代という誰もが抱える苦く切ない過去を一歩下がった視点から描いた歌詞も大きな魅力。売上的にも大ヒットを記録しましたが、それも納得の作品で、ロック好きとしての血が騒いだ傑作でした。

そんな訳で、あらためてベスト10を振り返ると・・・

1位 予襲復讐/マキシマム・ザ・ホルモン
2位 Ten/キリンジ
3位 無題/downy
4位 音楽はあるか/ウラニーノ
5位 We are 東京カランコロン/東京カランコロン
6位 矢野顕子、忌野清志郎を歌う/矢野顕子
7位 踊れ!踊らされる前に/ソウル・フラワー・ユニオン
8位 ダーティーサイエンス/RHYMESTER
9位 人間と動物/電気グルーヴ
10位 公園デビュー/赤い公園

暫定版の時にも書いたのですが、傑作揃いの洋楽シーンとは一転、10枚選ぶのも難しいような、はっきりいって不作の1年になったように感じます。他にベスト10候補だったのは・・・

1-2-3/THE BAWDIES
オレらは肉の歩く朝/前野健太
TIC TAC/サイプレス上野とロベルト吉野
ハモ騒動~The Gospellers Covers~/ゴスペラーズ
I/いきものがかり
森は生きている/森は生きている
グレイテスト・アイドル/Mitchie M feat.初音ミク
The Entertainer/三浦大知

といったあたりでしょうか。なんで今年の邦楽はいまひとつなのかなぁ、と考えたのですが、そのひとつの要素って、やけに複雑で凝った、情報量を詰め込んだ曲が多く、かつそれがもてはやされる傾向にある、というのがひとつの理由のような印象を受けます。

もちろん今回のベストアルバムに入れた赤い公園や東京カランコロン、downyも比較的情報量の多い楽曲を書くミュージシャンですし、情報量の多さも上手くはまればとても魅力的そのためそれが「悪い」とは思いませんが、情報量の多さがおもしろいという傾向には疑問。そういう最近の邦楽の「良し」とされる傾向と、個人的な好みとが乖離しているのが、今年、いまひとつ傑作が少なかった理由なのかもしれません。

とはいえ、ベストアルバムにもウラニーノ、東京カランコロン、さらにベスト10候補にも森は生きているなど期待の新人が入ってきていますし、個人的にベスト10に入れようか最後まで迷ったMitchie M feat.初音ミクなど、初音ミク界隈のミュージシャンに次々おもしろいミュージシャンが出てきていて、こちらも目が離せなさそう。

またひとつ大きかったのはロック勢の活躍。洋楽1位のTHE STRYPES、邦楽1位のマキシマム ザ ホルモン、どちらもロックのカッコよさを久しぶりに実感できたアルバムでした。ロック勢の盛り返しも、2014年の大きな注目点のように感じます。そういう意味で2014年の音楽シーンは期待と不安が入り混じった1年になりそう。今年もたくさんのいい音楽と出会えますように。

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 上半期

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2014年2月 3日 (月)

2013年ベストアルバム(邦楽編) その1

昨日の洋楽編に続き、遅くなりましたが邦楽私的ベストアルバム10枚。今日と明日の2回にわけてお送りします。

10位 公園デビュー/赤い公園

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2012年にメジャーデビューしたものの、ギターの津野米咲の体調不良により活動休止となった女性4人組のバンド。タイトル通り、「再デビュー」的な意味合いのこめられた作品で、いわばアバンギャルドな側面とポップな側面を両立させた音楽性が魅力的。このアルバムもわずか30分程度の内容ながらも先の読めない展開が楽しめます。まだまだ伸びる余地も多く見受けられますし、2014年以降、さらなる傑作のリリースが予想される楽しみなバンドです。

9位 人間と動物/電気グルーヴ

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今年久しぶりに行った電気グルーヴのライブも素晴らしい内容でしたが、ニューアルバム「人間と動物」も素晴らしい内容でした。どちらも電気グルーヴとして卒のなさを感じさせる内容。特にアルバムでは、90年代に回帰したような歌モノとテクノ路線の両立がほどよく保たれている傑作。そういう意味では「真新しさ」はないのかもしれませんが、電気グルーヴというミュージシャンの魅力が存分につまった傑作でした。

8位 ダーティーサイエンス/RHYMESTER

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上期ベスト5の5位4位が同じようにここに並びました。上期の時も書いたのですが、9位の電気グルーヴ同様、RHYMESTERらしさがつまったアルバムで、きちんとファンの期待に応えた作品といった印象を受ける作品。ユーモアな内容から社会派な歌詞までバラエティー富んだ内容に、RHYMESTERの実力を感じさせる傑作でした。

7位 踊れ!踊らされる前に/ソウル・フラワー・ユニオン

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12月にベスト盤もリリースしたソウル・フラワー・ユニオン。6月にリリースされたミニアルバムである本作は、彼らとしては比較的珍しく、曲から彼らの今の日本に対する主張が強く感じられる作品で、それだけ今の日本に対する危機感の強さのあらわれでしょう。残念ながらその後、状況は改善するどころかますます悪化していますが、ソウル・フラワー・ユニオンが曲を歌いつづけれるうちはまだ日本は大丈夫でしょう!

6位 矢野顕子、忌野清志郎を歌う/矢野顕子

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上期ベスト5では企画盤的要素が強いので対象外、としたのですが・・・年間ベストではやはりベストアルバムの対象とすることにしました。名盤には変わりないので。下期に「名盤」が少なかったから、という理由は秘密。文字通り、忌野清志郎の名曲の数々を矢野顕子がカバーしたアルバム。キヨシローの魅力をきちんと残しつつ、矢野顕子の色にしっかり染められており、矢野顕子のキヨシローに対する愛情と、ミュージシャンとしての実力を感じさせるアルバムになっています。キヨシロー本人とのデゥオになっている「ひとつだけ」は泣けます!

10位から6位は以上。5位から1位は明日に!

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2014年2月 2日 (日)

2013年ベストアルバム(洋楽編)

また遅くなってしまいましたが毎年恒例。私的ベストアルバム。まずは洋楽編から。

5位 MOJO JUJU/MOJO JUJU

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ジャケットからしてインパクト満点の、オーストラリアの女性ミュージシャン。ドスの効いた歌声で「ヴィンテージ」という呼び名もピッタリの、匂いがムンムン立ち込めるようなヘヴィーなロックンロールを歌い上げあげます。中性的なボーカルも大きな魅力の、渋さあふれるロックンロールがインパクト大。「姉貴!ついていきます!」といいたくなりそうな雰囲気で聴かせるミュージシャンの傑作です。

4位 LIVE AT THE AVANT GARDE/MAGIC SAM
(邦題 驚愕の発掘ライヴ1968~ライヴ・アット・アヴァン・ギャルド)

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続いては、伝説のブルースミュージシャン、MAGIC SAMの1968年6月22日に、ミルウォーキーのコーヒーハウス「アヴァン・ギャルド」で行われたステージの模様を収録した未発表ライブ音源。昨年、突如リリースされ大きな話題となりました。MAGIC SAM含めバンドメンバー3人の息のあった、でも緊迫感あるステージがカッコよく、ブルースの魅力にあらためて取り付かれた傑作の発掘音源でした。

3位 SHOCK EL HAL/GNAWA DIFFUSION
(邦題 時代の棘)

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アルジェリア移民のフランス人によるバンド。2002年に解散したものの、昨年再結成し、発売したニューアルバム。レゲエやアラブの音楽の要素がベーシックにあるバンドですが、一方でロックの要素も強く、そういう意味では「ワールドミュージック」という括りの中では比較的ロックリスナーにも聴きやすいアルバム。そんな様々な音楽的な要素がごっちゃになって独特のサウンドを作り上げた、再結成のインターバルを感じさせない傑作でした。

2位 m b v/My Bloody Valentine

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出ました!今年突如リリースされたMy Bloody Valentineのニューアルバム!!「loveless」の時代の彼らを彷彿とさせながら、その先にある2013年のマイブラの音も同時に提起した傑作で、待ちに待ったファンを納得させるには十分の作品だったと思います。次の1枚が、さらに近いうちにリリースされるのか、それとも・・・?

そして・・・

1位 SNAPSHOT/THE STRYPES

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一言で言えば彼らの魅力はロックンロールを奏でる楽しさをあらためて教えてくれた、という点。平均年齢16歳という話題のバンドのデビュー作は、ルーツオリエンテッドなガレージロック。確かに「いつの時代だよ!」といった雰囲気のサウンドに真新しさはないのかもしれませんが、メンバーがなによりロックンロールを楽しんでいるというのがとてもよくわかるアルバムで、ロックンロールの楽しさ、カッコよさを再認識させられる傑作でした。

そんな訳であらためてベスト5を振り返ると

1位 SNAPSHOT/THE STRYPES
2位 m b v/My Bloody Valentine
3位 SHOCK EL HAL(時代の棘)/GNAWA DIFFUSION
4位 LIVE AT THE AVANT GARDE/MAGIC SAM
5位 MOJO JUJU/MOJO JUJU

以上、ベスト5でしたが洋楽はなによりも傑作揃いで5枚に絞るのがかなり苦労しました。他にベスト盤候補としては

More Light/Primal Scream
JAKE BUGG、SHANGRI-LA/JAKE BUGG
Modern Vampire Of The City/VAMPIRE WEEKEND
YEEZUS/KANYE WEST
LOVE IN THE FUTURE/JOHN LEGEND
Rewind The Film/Manic Street Preachers
REFLEKTOR/ARCADE FIRE
Govermment Plates/Death Grips
One True Vine/Mavis Staples

とまあ、普通ならベスト5に余裕で入ってきそうな傑作揃い。本当に素晴らしいアルバムに多く出会えた1年でした。

そしてその中でも2013年は、ロック勢の巻き返しが目立ったような印象を受けます。ベスト5のTHE STRYPES、マイブラもそうですが、primal screamにJAKE BUGG、VAMPIRE WEEKEND、マニックスなどなど、新人にベテランに、ロックバンドの傑作が目立った1年に感じました。そういう意味で今年は、ロックの当たり年になるか??ますます洋楽シーンは勢いが増しそうで、楽しみです!

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2014年2月 1日 (土)

(無題)

Title:第5作品集「無題」
Musician:downy

来た!!downyのニューアルバム!downyは2000年に結成されたポストロックバンド。2000年にシングル「月宿る善良」をリリース後、アルバム4枚、ライブ盤1枚をリリース後、活動を休止しました。

変拍子を多用したリズムに、ヘヴィーなギター。エレクトロニカ的な要素も加えつつ、メロディーは意外とポップ。彼らのアルバムはそんな独特の世界を作り上げた傑作の連続でした。また、メンバーにはVJも加わっており、楽曲のイメージをそのまま反映させた映像を交えた圧巻のステージをつくりあげていました。

そして活動休止から9年。まさかの活動再開。さらに、9年ぶりとなるニューアルバムがリリースとなりました。ちなみに彼らのアルバムの大きな特徴として、アルバムタイトルがすべて「無題」である、という点。本作もそのスタンスを引き継いでいるのがうれしいですね(笑)。さすがに、久しぶりなので「第5作品集」という副題がついているみたいなのですが。ただし、久しぶりのニューアルバムなので、あの頃のような傑作が聴けるだろうか、期待半分、不安半分で聴いたアルバムでした。

しかしその結果として、不安な要素は全くの杞憂でした。というよりも、期待以上の作品だったかも?9年というインターバルを経て、きちんとdownyとしてのバンドの魅力が煮詰まったようなアルバムに感じました。

今回のアルバムも、変拍子を多用したリズムにヘヴィーなギターサウンド、そして意外とポップなメロ、という要素は以前の彼らと一緒。ただ今回のアルバムに関しては、特に「赫灼セルロイド」「曦ヲ見ヨ!」あたりは、かなりリズム隊を前に押し出した作風を感じました。彼らは活動休止以前の末期、エレクトロニカ的な要素に傾倒していきましたが、これらの作品はリズムを前に出しつつも、メタリックなギターでタイトなサウンドをつくりあげており、どこかこのエレクトロニカ路線の延長のようなものを感じます。

かと思えば後半の「燦」はノイズが楽曲全体に流れている作品で、どこかシューゲイザー的な雰囲気。活動休止前の彼らの楽曲からは、マイブラやMOGWAIあたりの影響を強く感じたのですが、この曲がその路線を引き継いだ、といった感じでしょうか。かと思えば「雨の犬」では悲しげなメロが前面に出ています。このメロディーも彼らの魅力な大きな要素でしょう。

今回のアルバムは再活動にあたって、全く新しいことを演るのではなく、いままでのdownyの活動を咀嚼した上で、downyというバンドの良さをきちんと体現化したアルバムのように感じました。そしてその試みは見事に成功していたように感じます。9年の月日でじっくりと熟成されたdownyのサウンドは実に魅力的。個人的に彼らのアルバムの中では2002年リリースの2枚目が最高傑作だったと思っていたのですが、このアルバムはそれを塗り替える最高傑作と言えるかもしれません。

ちなみにこのアルバム、もうひとつうれしいのは全11曲43分というアルバムの短さ。この手のポストロックバンドは複雑な構成の音をじっくり聴かせたいがためにアルバムの長さが妙に長くなることがあるのですが、スパッと40分程度で終わるこのアルバムは、まったくだれることがなく聴くことが出来ます。実際、前半に関しては正直似たようなタイプの曲も多く、これが70分とか80分とかの長さなら、少々だれていたかも。1曲あたり4分程度でポップソングの感覚で聴けるのもうれしいですね。

そんな訳で、久々のニューアルバムにして傑作のアルバム。この復活劇は本当にうれしいです。ライブ活動も再開させているみたいなので、こちらも一度見ておかなくては。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

曽我部恵一 BEST 2001-2013/曽我部恵一

曽我部恵一のソロでの活動をまとめた2枚組のベスト盤。1枚目は代表曲を収録。2枚目はレア音源を中心に収録されています。楽曲はフォーキーな曲からギターロック、レゲエにHIPHOPまで様々。よく言えばジャンルに捕らわれずやりたいことを自由にやってるな、と感じますし、悪く言うと一貫性がない感じ。楽曲もそんなスタンスを反映するためか、楽しんで演っているな、と伝わる部分がある反面、少々内輪な雰囲気を感じる部分も。

評価:★★★★

キラキラ!(曽我部恵一BAND)
ハピネス!(曽我部恵一BAND)
ソカバンのみんなのロック!(曽我部恵一BAND)
Sings
けいちゃん
LIVE LOVE
トーキョー・コーリング(曽我部恵一BAND)

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